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補習を受ける男
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六月に入った頃、千駄堀尽は数学の補習を受けていた。中間試験で三十点未満の者は補習の対象者となる。数学は最も赤点が出やすい科目だったから補習を受ける生徒は多かった。演習室は生徒でほぼ満室となっていたので三十人はいたことになる。男子が六割以上だ。
総数で四割に満たない男子。数学の高得点者は男子が多い。にも関わらず、補習を受ける生徒に男子が多いのは奇異に映ることだろう。わざと赤点をとっている男子が一部いた。千駄堀もその一人。頑張れば赤点回避は可能だ。しかし数学教師小町の補習を受けるのも悪くはない。そう考えて赤点になった男子は多いはず、と千駄堀は考えていた。
補習は、はじめの十分程おさらいの授業がなされた後、演習形式になる。それぞれの生徒の弱点を強化するため個人ごとに課題が与えられ、できたものから退席して良いことになっていた。ただ、補習の対象者は赤点なので、ほとんどの者がたくさんの課題を与えられた。千駄堀の課題も多量だった。放課後の一時間では終わらない。六時までかかるのではないか。それでも千駄堀はかまわなかった。
プリント一枚終えるごとに小町のところへ持っていく。正解なら次のプリントがもらえる方式だった。そこで小町とのコミュニケーションがはかれるわけで、それを楽しみに補習の対象者となる男子が多かったのだ。
「どうして簡単な計算を間違えるのかしら……」
理解できないと小町は困惑の顔をした。その眉をひそめた表情がまた千駄堀はたまらなかった。
「集中力がないのでしょう」他人事のように千駄堀は語る。
「どうして?」
「睡眠不足です」
「眠れないの?」
「いえ、つい夜更かしをして」
「何をしているのかしら?」
「試験期間中は一夜漬けで」
「ふだんは?」
「本を読んだり、ネット動画を観たり……」
「どんな本を読んでいるの?」
「ラノベですね」
「ラノベ?」小町はそれがどのようなジャンルか知らないようだった。
千駄堀は自分の趣味を熱く語った。後ろに生徒が並んだので小町は「あとで聞くわ」と言って次の課題を千駄堀に渡した。そうしたことを繰り返し、千駄堀は最後まで残った。六時になっていた。
「下校時刻ね、もう帰りなさい」
「まだ終わっていませんが」
「宿題にしましょう、明日の放課後に持ってきて」
「わかりました」明日は個人授業になるのかな、と千駄堀は期待した。
翌日の放課後、千駄堀は職員室に小町を訪れた。小町は職員室内の入口そばにあるテーブルへと千駄堀を案内した。そこはちょっとした面談コーナーになっていて個人情報のやり取りをする面接でなければ気軽に利用できるのだ。
千駄堀は宿題を小町に見せた。
「どうにか合格ね」小町はほっとしたような笑みを見せた。
小町が笑うことは滅多にない。よほどストレスを与えていたのだと千駄堀は思った。
「あなた、部活を何もしていなかったわね?」
「帰宅部です」千駄堀は胸を張った。
「アルバイトもしていないのよね?」
「その必要を感じないもので」
「おうちには真っ直ぐ帰るの?」
「寄り道は校則で禁じられています」
「確かにそうだけど……」全く調子が狂うわ、と小町が感じていることは千駄堀には容易にわかった。「自宅学習は宿題しかしないのかしら?」
「宿題でも忘れることがありますよ」むしろ忘れることの方が多いと千駄堀は思ったが口にはしなかった。
「時間が有り余っているはずよ、毎日復習したらいかがかしら?」
「先生らしい全うなご意見です。ですがボクの体は地道な努力には向いていないようで、復習などというものにはアレルギーを起こしてしまいます」
「昨日の宿題はやってきたじゃない、できるはずよ」
「まあ、一日くらいなら」できることもある。いや、というより小町が出した課題だから仕上げたのだ。こうして小町に会う口実もできる。そして心地よい「お叱り」を受けるのだ。
「毎日少しずつでもやっていれば習慣になるわ。頑張ってやってみて」
「しかし、一人で楽しむ誘惑も多くて」
「読書やビデオ鑑賞かしら?」
「まあそうです」
「一時間くらい削っても支障はないでしょう?」
「つい観てしまうともう止められないですね」
小町はため息をついた。そうした表情を見ることができるのも一興だった。
本当はこうした言うことを聞かない生徒と関わりたくないはずだ。それでもこうして気にかけるのは小町が千駄堀の担任だからだ。だからというわけでもないのだろうが、小町は勉強以外のことにも矛先を向けた。
「あなたはいつもひとりでいるわね、友だちはいないの?」
「さすが先生、よく観ていらっしゃる」よく観なくてもわかることだが。
「人見知りするとか、コミュニケーション障害があるようにはとても見えないけれど、どうしてかしら?」
「きっと性格が悪いからだと思いますよ」
「自覚があるのね……」
「ひどくないですか? 冗談に決まってるでしょう」
「喋り方に問題があると思うの。ひとを小馬鹿にして楽しんでいる。性格が良いとは言えないわ」
「いや、先生も相当ですよ」
「それが小馬鹿にしている、と言っているの」
「気分を害されたのなら謝ります。しかしこういう喋り方は性分なもので、一種の発達障害のようなものかと」
「そうね……」と小町は考え込んでしまった。
「否定してくれないのですね、まあそうなのですが」
「喋ろうと思えば人と関わることができるのにそれをしないのは性格なのか障害なのか私にはわからないけれど……」
「わからないのですね、はは……」
「二年生になったのだし、私のクラスになったからにはその習性を修正した方が良いと思うわ」
「何ですか、おやじギャグみたいですよ」
「ごめんなさい、ついまわりの影響でつまらないことを言ってしまったわ」
「自覚はあるのですね」数学担当には他に年配の男性教師がいて駄洒落を連発しては空気を壊していた。
「あなた、部活をしなさい」
「はい?」
「何か部活をした方が他人と関わる機会も増えるし、調査書に記載する事項も増えるわ」
「調査書には先生がうまく書いて下さいよ」
「だからそのために部活をするのよ。そうね、ボランティア部なんてどうかしら?」しれっと自分が顧問を務める部活を挙げた。「誰かのために何かをする、素敵な活動だと思うわ」
「先生の口から素敵などという言葉が出るとは思いませんでした。数式だとかロジカルなものしか興味がないのかと」
「ひどい言われようね。やはりあなたはコミュニケーション能力を磨くべき」
「必要かつ十分なコミュニケーションはとっていますよ」
「あなたの名前、『尽くし』っていうのよね? ご両親はきっと人に尽くす人間になってほしいと願いをこめたのだと思うわ」
「名前のことは言わないで下さい」千駄堀は小町の前に手をたてた。
「ボランティア部に入って、世のため人のために尽くすのよ」
「ご勘弁を! ボクの生き方の対極に位置する行為です」
「そうやってひねくれてばかりいて、ニヒリストのつもりなのかもしれないけれど、おかしなお兄さんを持った妹さんのことを考えたことがあるの?」
「う!」
千駄堀の妹は中等部の三年生だった。しかも孤高を好む兄とは逆に友だちが多い陽性キャラだった。
「苗字が珍しいからすぐわかってしまうのよね、あの変なひと、千駄堀さんのお兄さんなの?って言われて妹さんが困っている光景が目に浮かぶわ」
「ボクには浮かびませんが」たとえ浮かんでいたとしても言えないことだった。
「下に生まれた者は常に誰某さんの妹ね、と言われ続けることになるの。それが良くても悪くても」
「どうも先生にはお兄さんがいらっしゃったようで」
「よくわかったわね」小町は驚いたような顔をした。
それが白々しいと千駄堀は感じたが口にはしなかった。一言付け加える度にやぶ蛇になる。
「ここはボランティア部で尽くす兄の姿を見せるべきよ」
最後は妹まで出されて、千駄堀は折れるしかなかった。かくして千駄堀はボランティア部の幽霊部員となった。
総数で四割に満たない男子。数学の高得点者は男子が多い。にも関わらず、補習を受ける生徒に男子が多いのは奇異に映ることだろう。わざと赤点をとっている男子が一部いた。千駄堀もその一人。頑張れば赤点回避は可能だ。しかし数学教師小町の補習を受けるのも悪くはない。そう考えて赤点になった男子は多いはず、と千駄堀は考えていた。
補習は、はじめの十分程おさらいの授業がなされた後、演習形式になる。それぞれの生徒の弱点を強化するため個人ごとに課題が与えられ、できたものから退席して良いことになっていた。ただ、補習の対象者は赤点なので、ほとんどの者がたくさんの課題を与えられた。千駄堀の課題も多量だった。放課後の一時間では終わらない。六時までかかるのではないか。それでも千駄堀はかまわなかった。
プリント一枚終えるごとに小町のところへ持っていく。正解なら次のプリントがもらえる方式だった。そこで小町とのコミュニケーションがはかれるわけで、それを楽しみに補習の対象者となる男子が多かったのだ。
「どうして簡単な計算を間違えるのかしら……」
理解できないと小町は困惑の顔をした。その眉をひそめた表情がまた千駄堀はたまらなかった。
「集中力がないのでしょう」他人事のように千駄堀は語る。
「どうして?」
「睡眠不足です」
「眠れないの?」
「いえ、つい夜更かしをして」
「何をしているのかしら?」
「試験期間中は一夜漬けで」
「ふだんは?」
「本を読んだり、ネット動画を観たり……」
「どんな本を読んでいるの?」
「ラノベですね」
「ラノベ?」小町はそれがどのようなジャンルか知らないようだった。
千駄堀は自分の趣味を熱く語った。後ろに生徒が並んだので小町は「あとで聞くわ」と言って次の課題を千駄堀に渡した。そうしたことを繰り返し、千駄堀は最後まで残った。六時になっていた。
「下校時刻ね、もう帰りなさい」
「まだ終わっていませんが」
「宿題にしましょう、明日の放課後に持ってきて」
「わかりました」明日は個人授業になるのかな、と千駄堀は期待した。
翌日の放課後、千駄堀は職員室に小町を訪れた。小町は職員室内の入口そばにあるテーブルへと千駄堀を案内した。そこはちょっとした面談コーナーになっていて個人情報のやり取りをする面接でなければ気軽に利用できるのだ。
千駄堀は宿題を小町に見せた。
「どうにか合格ね」小町はほっとしたような笑みを見せた。
小町が笑うことは滅多にない。よほどストレスを与えていたのだと千駄堀は思った。
「あなた、部活を何もしていなかったわね?」
「帰宅部です」千駄堀は胸を張った。
「アルバイトもしていないのよね?」
「その必要を感じないもので」
「おうちには真っ直ぐ帰るの?」
「寄り道は校則で禁じられています」
「確かにそうだけど……」全く調子が狂うわ、と小町が感じていることは千駄堀には容易にわかった。「自宅学習は宿題しかしないのかしら?」
「宿題でも忘れることがありますよ」むしろ忘れることの方が多いと千駄堀は思ったが口にはしなかった。
「時間が有り余っているはずよ、毎日復習したらいかがかしら?」
「先生らしい全うなご意見です。ですがボクの体は地道な努力には向いていないようで、復習などというものにはアレルギーを起こしてしまいます」
「昨日の宿題はやってきたじゃない、できるはずよ」
「まあ、一日くらいなら」できることもある。いや、というより小町が出した課題だから仕上げたのだ。こうして小町に会う口実もできる。そして心地よい「お叱り」を受けるのだ。
「毎日少しずつでもやっていれば習慣になるわ。頑張ってやってみて」
「しかし、一人で楽しむ誘惑も多くて」
「読書やビデオ鑑賞かしら?」
「まあそうです」
「一時間くらい削っても支障はないでしょう?」
「つい観てしまうともう止められないですね」
小町はため息をついた。そうした表情を見ることができるのも一興だった。
本当はこうした言うことを聞かない生徒と関わりたくないはずだ。それでもこうして気にかけるのは小町が千駄堀の担任だからだ。だからというわけでもないのだろうが、小町は勉強以外のことにも矛先を向けた。
「あなたはいつもひとりでいるわね、友だちはいないの?」
「さすが先生、よく観ていらっしゃる」よく観なくてもわかることだが。
「人見知りするとか、コミュニケーション障害があるようにはとても見えないけれど、どうしてかしら?」
「きっと性格が悪いからだと思いますよ」
「自覚があるのね……」
「ひどくないですか? 冗談に決まってるでしょう」
「喋り方に問題があると思うの。ひとを小馬鹿にして楽しんでいる。性格が良いとは言えないわ」
「いや、先生も相当ですよ」
「それが小馬鹿にしている、と言っているの」
「気分を害されたのなら謝ります。しかしこういう喋り方は性分なもので、一種の発達障害のようなものかと」
「そうね……」と小町は考え込んでしまった。
「否定してくれないのですね、まあそうなのですが」
「喋ろうと思えば人と関わることができるのにそれをしないのは性格なのか障害なのか私にはわからないけれど……」
「わからないのですね、はは……」
「二年生になったのだし、私のクラスになったからにはその習性を修正した方が良いと思うわ」
「何ですか、おやじギャグみたいですよ」
「ごめんなさい、ついまわりの影響でつまらないことを言ってしまったわ」
「自覚はあるのですね」数学担当には他に年配の男性教師がいて駄洒落を連発しては空気を壊していた。
「あなた、部活をしなさい」
「はい?」
「何か部活をした方が他人と関わる機会も増えるし、調査書に記載する事項も増えるわ」
「調査書には先生がうまく書いて下さいよ」
「だからそのために部活をするのよ。そうね、ボランティア部なんてどうかしら?」しれっと自分が顧問を務める部活を挙げた。「誰かのために何かをする、素敵な活動だと思うわ」
「先生の口から素敵などという言葉が出るとは思いませんでした。数式だとかロジカルなものしか興味がないのかと」
「ひどい言われようね。やはりあなたはコミュニケーション能力を磨くべき」
「必要かつ十分なコミュニケーションはとっていますよ」
「あなたの名前、『尽くし』っていうのよね? ご両親はきっと人に尽くす人間になってほしいと願いをこめたのだと思うわ」
「名前のことは言わないで下さい」千駄堀は小町の前に手をたてた。
「ボランティア部に入って、世のため人のために尽くすのよ」
「ご勘弁を! ボクの生き方の対極に位置する行為です」
「そうやってひねくれてばかりいて、ニヒリストのつもりなのかもしれないけれど、おかしなお兄さんを持った妹さんのことを考えたことがあるの?」
「う!」
千駄堀の妹は中等部の三年生だった。しかも孤高を好む兄とは逆に友だちが多い陽性キャラだった。
「苗字が珍しいからすぐわかってしまうのよね、あの変なひと、千駄堀さんのお兄さんなの?って言われて妹さんが困っている光景が目に浮かぶわ」
「ボクには浮かびませんが」たとえ浮かんでいたとしても言えないことだった。
「下に生まれた者は常に誰某さんの妹ね、と言われ続けることになるの。それが良くても悪くても」
「どうも先生にはお兄さんがいらっしゃったようで」
「よくわかったわね」小町は驚いたような顔をした。
それが白々しいと千駄堀は感じたが口にはしなかった。一言付け加える度にやぶ蛇になる。
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