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クラス替え
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下駄箱のある出入口前に貼り出されたクラス分けの掲示の前にはいつまでも人集りができていた。
明音は二年D組の欄に自分の名を見つけた。中等部からこの御堂藤学園に通って五年目、初めてA組から外れた。名簿を見る限り、新しいクラスは高等部からの入学組が多く、馴染みの生徒はいない。まるで転校してきた気分だ。
「何組だった?」小原梨花が駆け寄ってきた。「私、F組になっちゃった」
うるうる、と両手で目から涙がこぼれる真似をする梨花は誰の目にも可愛く映るだろう。
「純香と恭平がB組、秀一がC組、大地がE組だったよ。明音の名前、見つからない……」
「私はD組、ほら」明音は指差した。
「あ、そうか、名字、変わったんだね」
「春から『小早川明音』だよ」
梨花は気まずそうな顔をした。
「梨花が気にすることないよ、うちのママ、離婚も二度目だし、私の名字が『小早川』になるのも二度目、慣れてるよ」
「なら良いけど、ごめん」
とはいえ、御堂藤学園に通うようになってからは初めてのことだ。
そして変わるのは名字だけではない。マンションに引っ越し、弟妹たちの面倒をみたり、アルバイトに勤しんだり。以前のような学園生活を送ることはできない。しかしこれは、以前の学校生活と訣別する良いきっかけなのだと明音は思っていた。
「私たち、やっぱり目をつけられてバラバラにされたよね?」梨花は呟くように言った。
「単に学園の方針転換じゃないの? A組を特別視するのはやめた、ということよ」明音はさばさばした調子で言った。
「そうなのかなあ……」梨花は納得していない顔をした。
御堂藤学園は特進クラスを正式には作っていなかった。ただ、成績優秀者をA組に集めるというクラス編成を中等部では行っている。明音や梨花はずっとA組だった。
高等部はA組からH組まで八クラスあり、一年生は中高一貫組と高等部入学組とを完全に分けているが二年生から混合にしている。その際、A組だけが成績上位者三十六名で構成され、その他のクラスは完全にランダムにクラス分けする仕組みだった。
成績順なら明音も梨花も、そして明音たちの仲間はみなA組に入るはずだったのだ。それが今年はそうはならなかった。
クラス分けの掲示の前では、あることないこと噂をする者が絶えない。一部の成績優秀者が集まるグループが学園を牛耳っている現状を憂えた学園側がそのグループを分散させたという噂。
別に牛耳っているわけでもない、と明音は思う。しかし目立っていたかもしれない。まわりがもてはやし、それにいい気になっていた。
「私にはちょうどいいかも」と明音は梨花に言った。「名字も変わって、新しい人生の一歩を踏み出したみたいな」
「えええ!?」
呆気にとられる梨花に明音は笑顔を見せた。
明音は二年D組の欄に自分の名を見つけた。中等部からこの御堂藤学園に通って五年目、初めてA組から外れた。名簿を見る限り、新しいクラスは高等部からの入学組が多く、馴染みの生徒はいない。まるで転校してきた気分だ。
「何組だった?」小原梨花が駆け寄ってきた。「私、F組になっちゃった」
うるうる、と両手で目から涙がこぼれる真似をする梨花は誰の目にも可愛く映るだろう。
「純香と恭平がB組、秀一がC組、大地がE組だったよ。明音の名前、見つからない……」
「私はD組、ほら」明音は指差した。
「あ、そうか、名字、変わったんだね」
「春から『小早川明音』だよ」
梨花は気まずそうな顔をした。
「梨花が気にすることないよ、うちのママ、離婚も二度目だし、私の名字が『小早川』になるのも二度目、慣れてるよ」
「なら良いけど、ごめん」
とはいえ、御堂藤学園に通うようになってからは初めてのことだ。
そして変わるのは名字だけではない。マンションに引っ越し、弟妹たちの面倒をみたり、アルバイトに勤しんだり。以前のような学園生活を送ることはできない。しかしこれは、以前の学校生活と訣別する良いきっかけなのだと明音は思っていた。
「私たち、やっぱり目をつけられてバラバラにされたよね?」梨花は呟くように言った。
「単に学園の方針転換じゃないの? A組を特別視するのはやめた、ということよ」明音はさばさばした調子で言った。
「そうなのかなあ……」梨花は納得していない顔をした。
御堂藤学園は特進クラスを正式には作っていなかった。ただ、成績優秀者をA組に集めるというクラス編成を中等部では行っている。明音や梨花はずっとA組だった。
高等部はA組からH組まで八クラスあり、一年生は中高一貫組と高等部入学組とを完全に分けているが二年生から混合にしている。その際、A組だけが成績上位者三十六名で構成され、その他のクラスは完全にランダムにクラス分けする仕組みだった。
成績順なら明音も梨花も、そして明音たちの仲間はみなA組に入るはずだったのだ。それが今年はそうはならなかった。
クラス分けの掲示の前では、あることないこと噂をする者が絶えない。一部の成績優秀者が集まるグループが学園を牛耳っている現状を憂えた学園側がそのグループを分散させたという噂。
別に牛耳っているわけでもない、と明音は思う。しかし目立っていたかもしれない。まわりがもてはやし、それにいい気になっていた。
「私にはちょうどいいかも」と明音は梨花に言った。「名字も変わって、新しい人生の一歩を踏み出したみたいな」
「えええ!?」
呆気にとられる梨花に明音は笑顔を見せた。
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