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妹が気になる遼
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「香月くんは妹さんを待っていたのか?」栗原が訊いてきた。
「いや、オレは図書委員で残っていた」
「そうなんだ」
「本を借りに来る子が増えるんじゃない?」高原が笑う。
「どうだかな」遼は惚けた。
「後輩女子に手を出してないでしょうね」横から星が、しなくても良いツッコミを入れる。
「オレは年上派だ」
ついうっかり家にいる時のように妹に返したものだから高原が目を輝かせた。
「香月くん、そうだったの?」
「いや……」
「そういえば白砂先生と授業中やけに目を合わせあっているよね。ひょっとしてできてる?」
「ええ!そうなの? 最低!」星が声を荒げた。
テーブルについている全員の視線を感じる。
「ヒマだから鑑賞しているだけだ」星に向かって答えた。
「図書室で白砂先生といるところをよく見かけるという話だけど」高原は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「誰の話だ?」舞子会長から聞いたのか?
「クラスでは東矢さんに見とれているよね。ああいうのがタイプなのかあ。さらさらストレートのロングヘア。キリッとした美人。私の出る幕はないな」高原は溜め息をついて見せた。
「おっと、和泉が男に執着するのは珍しい」栗原が口を挟んだ。「恭平がモーション送っても適当にいなす癖に」
「あいつのはいつもポーズでしょ」
「和泉ちゃん、渋谷くんよりも遼が良いの? それは嬉しいけど、和泉ちゃんはうちの遼にはもったいないかな。渋谷くんの方が似合ってるよ」
「あいつは軽すぎるし。教養もない」
「渋谷くんのこと、そんな風に言えるのは和泉ちゃんだけだわ」
「まあ、和泉の相手は学年五位以内に入ってなきゃダメだろな」栗原が言った。
「オレは入ってないぞ」
「手を抜いてるからね、香月くん」高原は断言した。
「すごい買い被りだな」遼は息を吐いた。
と、そこへコップに入った水が差し出された。見上げると、鮫島のパシリをしていた眼鏡の男がにっと笑っていた。
「ありがとー、鮎沢くん」星が代わりに礼を言う。「いつも気が利くね」
鮎沢と呼ばれた眼鏡男は黙ったまま星に手を振って下がっていった。
「これは満点だね」星川がやけに絶賛している。
「ただの点数稼ぎだろ」鮫島が言った。
何の点数稼ぎだ?
「将を射んと欲すればまず馬を射よ」高原が言った。
「ん、オレが馬なのか?」
「どうでしょう」高原は笑う。
あいつは星を狙っているのか? 遼は眼鏡男を目で追った。
彼は相変わらず飲み物を配っていた。店の給仕より役に立っている。星の取り巻き女子三人の受けも良かった。
「あ、香月くんのシスコンムーブが発動した。心配みたい」
「どういうこと?」星が高原に訊く。
「鮎沢くんを警戒している」
「そうなの?」星は笑う。
「いや、そんなことない」
「彼は意外に女子ウケが良いのだよ」星川が言った。「ボクほどではないけれどね」
「お前、自分が思ってるほどモテてないぞ」鮫島が星川にツッコミを入れた。
「キミにはわからないさ」星川は全く動じていなかった。
何なんだ、この連中は? 遼は頭を抱えたかった。
ようやく夕食会から遼は解放された。それぞれが家路につく。
星の取り巻き三人が「日曜日に遊びに行きます」と声を揃えて帰って行った。
それが耳に入った高原が「え、良いな……」と羨ましそうな顔をした。
本当にそう思ったのかは遼にはわからなかった。
「和泉、邪魔すんなよ」栗原が高原を引っ張って帰って行った。
乗り替えたりして最後まで一緒だったのは眼鏡男だった。髪と眼鏡で表情はよく掴めない。
「なんと、鮎沢くん、同じ駅だったの?」星が驚きの声をあげた。
眼鏡男は何か返したようだが遼には聞こえなかった。
彼の声はなかなか聞こえない。最後にようやく一言が聞こえた。
「じゃあボクはこれで」眼鏡男は星に手を振って背を向けた。
どこかで聞いたことがあるような声だと遼は思ったが思い出せなかった。
マンションのエレベーターに乗る。
「私、先にシャワー浴びてもいい?」
「もちろんだ」
フットサルの練習で汗まみれになったはずだ。四階でエレベーターを乗り換えて、住宅用のエレベーターに乗った。
「クラスによってずいぶんカラーが違うな。H組は賑やかだ」
「A組だって和泉ちゃん、栗原くんとか賑やかだと思うけど」
「はっきり言うとその二人だけだな」一瞬小山内の顔が浮かんだが、掻き消した。
「今度の日曜日に三人来るからお願いね」
「給仕をしろということだな?」
「私じゃできないから」星は笑った。
「仕方がない」遼は覚悟を決めた。
「いや、オレは図書委員で残っていた」
「そうなんだ」
「本を借りに来る子が増えるんじゃない?」高原が笑う。
「どうだかな」遼は惚けた。
「後輩女子に手を出してないでしょうね」横から星が、しなくても良いツッコミを入れる。
「オレは年上派だ」
ついうっかり家にいる時のように妹に返したものだから高原が目を輝かせた。
「香月くん、そうだったの?」
「いや……」
「そういえば白砂先生と授業中やけに目を合わせあっているよね。ひょっとしてできてる?」
「ええ!そうなの? 最低!」星が声を荒げた。
テーブルについている全員の視線を感じる。
「ヒマだから鑑賞しているだけだ」星に向かって答えた。
「図書室で白砂先生といるところをよく見かけるという話だけど」高原は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「誰の話だ?」舞子会長から聞いたのか?
「クラスでは東矢さんに見とれているよね。ああいうのがタイプなのかあ。さらさらストレートのロングヘア。キリッとした美人。私の出る幕はないな」高原は溜め息をついて見せた。
「おっと、和泉が男に執着するのは珍しい」栗原が口を挟んだ。「恭平がモーション送っても適当にいなす癖に」
「あいつのはいつもポーズでしょ」
「和泉ちゃん、渋谷くんよりも遼が良いの? それは嬉しいけど、和泉ちゃんはうちの遼にはもったいないかな。渋谷くんの方が似合ってるよ」
「あいつは軽すぎるし。教養もない」
「渋谷くんのこと、そんな風に言えるのは和泉ちゃんだけだわ」
「まあ、和泉の相手は学年五位以内に入ってなきゃダメだろな」栗原が言った。
「オレは入ってないぞ」
「手を抜いてるからね、香月くん」高原は断言した。
「すごい買い被りだな」遼は息を吐いた。
と、そこへコップに入った水が差し出された。見上げると、鮫島のパシリをしていた眼鏡の男がにっと笑っていた。
「ありがとー、鮎沢くん」星が代わりに礼を言う。「いつも気が利くね」
鮎沢と呼ばれた眼鏡男は黙ったまま星に手を振って下がっていった。
「これは満点だね」星川がやけに絶賛している。
「ただの点数稼ぎだろ」鮫島が言った。
何の点数稼ぎだ?
「将を射んと欲すればまず馬を射よ」高原が言った。
「ん、オレが馬なのか?」
「どうでしょう」高原は笑う。
あいつは星を狙っているのか? 遼は眼鏡男を目で追った。
彼は相変わらず飲み物を配っていた。店の給仕より役に立っている。星の取り巻き女子三人の受けも良かった。
「あ、香月くんのシスコンムーブが発動した。心配みたい」
「どういうこと?」星が高原に訊く。
「鮎沢くんを警戒している」
「そうなの?」星は笑う。
「いや、そんなことない」
「彼は意外に女子ウケが良いのだよ」星川が言った。「ボクほどではないけれどね」
「お前、自分が思ってるほどモテてないぞ」鮫島が星川にツッコミを入れた。
「キミにはわからないさ」星川は全く動じていなかった。
何なんだ、この連中は? 遼は頭を抱えたかった。
ようやく夕食会から遼は解放された。それぞれが家路につく。
星の取り巻き三人が「日曜日に遊びに行きます」と声を揃えて帰って行った。
それが耳に入った高原が「え、良いな……」と羨ましそうな顔をした。
本当にそう思ったのかは遼にはわからなかった。
「和泉、邪魔すんなよ」栗原が高原を引っ張って帰って行った。
乗り替えたりして最後まで一緒だったのは眼鏡男だった。髪と眼鏡で表情はよく掴めない。
「なんと、鮎沢くん、同じ駅だったの?」星が驚きの声をあげた。
眼鏡男は何か返したようだが遼には聞こえなかった。
彼の声はなかなか聞こえない。最後にようやく一言が聞こえた。
「じゃあボクはこれで」眼鏡男は星に手を振って背を向けた。
どこかで聞いたことがあるような声だと遼は思ったが思い出せなかった。
マンションのエレベーターに乗る。
「私、先にシャワー浴びてもいい?」
「もちろんだ」
フットサルの練習で汗まみれになったはずだ。四階でエレベーターを乗り換えて、住宅用のエレベーターに乗った。
「クラスによってずいぶんカラーが違うな。H組は賑やかだ」
「A組だって和泉ちゃん、栗原くんとか賑やかだと思うけど」
「はっきり言うとその二人だけだな」一瞬小山内の顔が浮かんだが、掻き消した。
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「給仕をしろということだな?」
「私じゃできないから」星は笑った。
「仕方がない」遼は覚悟を決めた。
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