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バスケット決勝 二年A組対二年C組
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前半の終盤にかかっていた。決勝の相手は二年C組。試合はA組がリードしているものの僅差で予断を許さない状況だった。
「何だ、こりゃ? A組の圧勝じゃなかったのか」鮫島が呑気に呟いた。
「これは興味深いね」何か知らないが星川がいつもより目を開けた。
A組には身長百九十五センチの栗原がいてゴール下を支配していた。フットサルと異なりバスケットの独自ルールでは男子のシュートは一点になる。実際栗原は二本シュートを決めていたようだ。
そしてA組はスポーツ万能スーパガールの高原がいて、彼女の活躍で準決勝まで大勝してきたと聞いている。にもかかわらず僅差とは、と遅れて観戦に来た遼たちは思った。
「いやはや、想像以上に凄いゲームだよ、香月くん」また小山内が横に来た。
小山内は目敏く遼を見つけて寄ってくる。遼としては遠慮して欲しいところだ。
「これはA組、容赦なくベストメンバーで来たね。東矢さんが出ているじゃないか」星川が解説者になっている。
「あいつ、そんなに動けるのか?」鮫島が訊いた。
「見てればわかるよ」星川が勿体つけた。
A組は男子二人、女子三人の布陣だった。その女子が高原、東矢、神々廻の学年総合順位五位以内の才媛で、しかも彼女たちは普段の顔ではなかった。
東矢と神々廻は長い髪を纏めて額を出し、神々廻は眼鏡も外していた。はじめは誰かもわからなかったくらい神々廻は美人になっていた。その神々廻がスリーポイントをどんどん狙うようだ。
ゴール下に栗原がいてリバウンドは全てとるからできる芸当で、このためA組は準決勝まで大勝してきたのだ。
その神々廻にC組女子の一人が粘り強くはりついていてシュートを打たせないようにしていた。そしてポイントガード役の高原にもぴったりマークがついている。どうもそのマーク役の女子がバスケ経験者らしく互いにマークしあって相手の良さを消していた。
栗原についている男子も動きが良かった。身長で負けているからボールの取り合いには分が悪いものの、攻撃時にはボールの持ち上がり役もこなしていた。
「篠塚君も頑張っているね」星川の独り言で、その彼の名が篠塚だとわかった。
試合展開は点の取り合いになっている。C組の得点の多くは一人の女子があげていた。この女子の存在がゲームを白熱させていたようだ。
「東雲じゃねえか」鮫島が呟くように言って眼鏡男を見た。
「そうだよ」と答えたのは小山内だった。「この試合、東雲さんと東矢さんのワンオンワンになっている」
ポイントゲッターの高原と神々廻にバスケ経験者の女子と粘り強くはりつく女子がマンツーマンでマークに当たっていた。そして互いの特徴を消している。そうなると残りのメンバーでボールをまわすことになり、事実上東矢と東雲の対決のような構造になっていた。
ボールを持つ東雲と東矢が対峙して一瞬動きが止まった。
目がおかしくなったのかと遼は思った。東雲の顔が東矢に見えるのだ。
髪型がショートボブなので間違えることはないがそれにしても似ている。ミラーイメージだ。
「やっぱ、双子だよな。東矢家の隠し子?」小山内の声が聞こえた。
東雲が一瞬の隙をついて東矢を抜く。しかしそこに巨人栗原が待っているのだ。
東雲は前に栗原、後ろに東矢のかたちで挟まれた。何度か見た光景だ。東矢がわざと抜かせたように思えてしまう。
C組の篠塚が寄っていき、東雲は篠塚にパスをした。ゴールからは後退だ。明らかにC組は攻めあぐねていた。
そうして時間は過ぎてゆく。
いつしか遼は自分のクラスではなく、C組の視点に立っていることに気づいた。そして観戦者も同じく、C組を応援する者がA組のそれより増えていた。
前半が終了した。A組四点リードで終えた。
二点差になったり四点差になったりを繰り返していたのだが、点差が開いたタイミングで前半を終えた。
「それで私たちに勝つつもり?」信じられないような一言が聞こえた。その言葉を放ったのは東矢だった。
東矢が見つめる先に東雲が立っていた。
「今、あおったよね」
「あんな東矢さん、初めて見た」
観戦者の中から戸惑いの声が上がった。
「凄いよ」
「ガチだ」
遅れて、興奮の声が上がり出した。体育館が熱気で包まれた。
「あんなこと言うのか? 生徒会」鮫島が星川に訊いた。
「生徒会室では東矢嬢はあのくらいがデフォルトだよ」星川が答えた。
隣にいた眼鏡男が声を出さずに笑っている。不気味だ。
しかし一番戸惑っていたのは味方のA組メンバーだったようだ。
東矢のすぐ後ろにいた高原、神々廻、栗原が呆気にとられた顔をしてから当惑の表情になった。手負いの獣を刺激して思わぬ反撃にあったらどうするの?と言わんばかりの顔だった。
戦力の層の厚さを考えればA組が圧倒的に有利だ。C組はバスケ経験者の主戦(西潟という女子らしい)が高原に封じ込まれ(それは高原も同じでお互いさまだった)頼みの男子篠塚も栗原を抜けない状況だった。
打開策は東雲の個人技なのだ。その東雲を刺激するとは真向勝負にこだわる姿勢だった。
「おもしれえな」鮫島が呟いた。「ケンカ売って、買うかどうか」
「その挑発もボクには作戦に見えるけどね」星川が冷静な一言を放った。
後半が始まった。前半とはうって変わり、シュートがなかなか放たれない展開となった。
時間だけが過ぎてゆく。疲れが出たのか東雲は精彩を欠いていた。その兆候は前半の終わりにあったのだと遼は思った。
抜群の個人技で動き回った東雲はガス欠状態にされていた。東矢があおり続けたのはそれを狙ったのかもしれない。
二人だけの対決ならわずかに東雲が勝っていたのに、東矢の粘り強い動きが後半になってその威力を発揮し出した。
派手な動きをせず、地味に基本に忠実なプレーとひたすら食らいつく姿勢、それが東矢泉月のやり方なのだ。それで学年総合一位をとり続けてきたのだ。生徒会役員もこなしてきたのだ。
遼は少しだが東矢のことがわかった気がした。
さてどうする。C組はこのままあっさりと負けてくれるのか。
残り一分、A組四点リードは変わらなかった。C組にはワンチャンスしかない。スリーポイントが入っても一点負けており、A組のボールになるのだ。
どうにも打開できない状況だがC組は、いや東雲は、敢えてこの状況を狙って最後まで体力回復に努めていたのだと遼は思った。
C組の篠塚がボールを持ち上がる。男子のシュートは一点にしかならないからほとんどフリーにされていた。
東雲が動いた。パスをもらいに行き、パスを受けるや、別の女子に即パス、その女子には高原がついていたからボールはすぐに東雲に戻った。それがA組ゴール近くの狭いエリアで四人が絡み合うように行われたので、ボールを手にした東雲がぬっと出てきた時にゴール下にいた栗原は一瞬虚をつかれた。そして思わず東雲に手を出してしまった。
その時東雲はすでにシュート体勢に入っていたのだ。まさかここで二点シュートをうってくるとは栗原は予想していなかっただろう。栗原が出した手が東雲に当たった。
東雲のシュートは決まり、栗原はファウルをとられた。
「バスケットカウント、ワンスロー」歓声が湧く。
「手を出さなきゃ終わってたのにな」鮫島が言った。
「今、触った?」東雲の声が聞こえた。栗原に倒されたかたちの東雲が両手で胸を覆っている。
「い、いや、そんなつもりじゃ……」栗原がその巨漢に似合わずうろたえていた。
「ダメじゃん、耀太」高原の笑い声が聞こえた。
そのいじりは栗原をリラックスさせるためのものだと遼は思ったが、その効果はあまりなかった。
残り数秒。二点負けているC組はこのワンスローを外して跳ねたボールをとりに行く。誰もがそう思い、敵味方とも身構えた。
栗原だけが落ち着きを失っていた。これを狙って「今、触った?」と栗原を牽制したのだとしたら恐ろしい女だ。リバウンド王の動きを封じる奥の手だったに違いない。
ラストワンプレー。東雲は時間をとって集中した。
そして笛がなる。
わずかに間をおいて東雲は投じた。
敵味方がボールが跳ねる先を見極めようとした。
しかしボールはなかなか落ちてこなかった。
なぜそんなに高く投げたのだというくらいボールは天高く上がった。そしてゆっくりと落下しゴール間近でスピードを増し、リングで大きく弾んだ。
ボールが真横に近い角度で飛び、エリア外に出ようかというところまで達した。
そこに東雲がいた。投じた本人が跳ねる位置を計算して移動したようだ。
そんなことができるか遼にはわからなかったが、一か八かで東雲が選んだ選択肢がそれだったのだ。
スリーポイントラインの外、東雲がシュート態勢に入る。
しかし一人だけ東雲の意図を読んでいた者がいた。
東矢泉月だけが東雲の後を追い、東雲の前に立ちふさがった。大きく両手を上げてシュートコースをふさぐ。
東雲はその横を抜いて二点をとる道を選ばず、少し後ろに飛びながらシュートを放った。
全員がボールの落ちる先を見た。
入る、と思った生徒、入るな、と思った生徒。両者が見つめる中、ボールはリングに当たって跳ねた。
そして試合終了。A組が二点差で勝利した。
「層の厚さの差が出たな。桂羅も泉月もガチで良くやったよ……」そんな声が聞こえた。
大歓声で興奮する中、いつの間にか遼の前に来ていた男がほとんど動かず低い声でその言葉を発したのだ。それは眼鏡男だった。
彼は振り返り、遼と向き合った。そして不気味に口許を緩めると、手を上げて去って行った。
その後を鮫島が「なんだよ、結局A組の勝ちかよ」と言いながら、そして星川が「感動的じゃないか」と満足そうな顔をして引き上げていった。
「優勝だよ、すごかったね」
遼は小山内に絡まれて我に返った。小山内は抱きつきそうな勢いだった。
「ああ、すごい試合だった」遼は棒読みのように言った。
「何だ、こりゃ? A組の圧勝じゃなかったのか」鮫島が呑気に呟いた。
「これは興味深いね」何か知らないが星川がいつもより目を開けた。
A組には身長百九十五センチの栗原がいてゴール下を支配していた。フットサルと異なりバスケットの独自ルールでは男子のシュートは一点になる。実際栗原は二本シュートを決めていたようだ。
そしてA組はスポーツ万能スーパガールの高原がいて、彼女の活躍で準決勝まで大勝してきたと聞いている。にもかかわらず僅差とは、と遅れて観戦に来た遼たちは思った。
「いやはや、想像以上に凄いゲームだよ、香月くん」また小山内が横に来た。
小山内は目敏く遼を見つけて寄ってくる。遼としては遠慮して欲しいところだ。
「これはA組、容赦なくベストメンバーで来たね。東矢さんが出ているじゃないか」星川が解説者になっている。
「あいつ、そんなに動けるのか?」鮫島が訊いた。
「見てればわかるよ」星川が勿体つけた。
A組は男子二人、女子三人の布陣だった。その女子が高原、東矢、神々廻の学年総合順位五位以内の才媛で、しかも彼女たちは普段の顔ではなかった。
東矢と神々廻は長い髪を纏めて額を出し、神々廻は眼鏡も外していた。はじめは誰かもわからなかったくらい神々廻は美人になっていた。その神々廻がスリーポイントをどんどん狙うようだ。
ゴール下に栗原がいてリバウンドは全てとるからできる芸当で、このためA組は準決勝まで大勝してきたのだ。
その神々廻にC組女子の一人が粘り強くはりついていてシュートを打たせないようにしていた。そしてポイントガード役の高原にもぴったりマークがついている。どうもそのマーク役の女子がバスケ経験者らしく互いにマークしあって相手の良さを消していた。
栗原についている男子も動きが良かった。身長で負けているからボールの取り合いには分が悪いものの、攻撃時にはボールの持ち上がり役もこなしていた。
「篠塚君も頑張っているね」星川の独り言で、その彼の名が篠塚だとわかった。
試合展開は点の取り合いになっている。C組の得点の多くは一人の女子があげていた。この女子の存在がゲームを白熱させていたようだ。
「東雲じゃねえか」鮫島が呟くように言って眼鏡男を見た。
「そうだよ」と答えたのは小山内だった。「この試合、東雲さんと東矢さんのワンオンワンになっている」
ポイントゲッターの高原と神々廻にバスケ経験者の女子と粘り強くはりつく女子がマンツーマンでマークに当たっていた。そして互いの特徴を消している。そうなると残りのメンバーでボールをまわすことになり、事実上東矢と東雲の対決のような構造になっていた。
ボールを持つ東雲と東矢が対峙して一瞬動きが止まった。
目がおかしくなったのかと遼は思った。東雲の顔が東矢に見えるのだ。
髪型がショートボブなので間違えることはないがそれにしても似ている。ミラーイメージだ。
「やっぱ、双子だよな。東矢家の隠し子?」小山内の声が聞こえた。
東雲が一瞬の隙をついて東矢を抜く。しかしそこに巨人栗原が待っているのだ。
東雲は前に栗原、後ろに東矢のかたちで挟まれた。何度か見た光景だ。東矢がわざと抜かせたように思えてしまう。
C組の篠塚が寄っていき、東雲は篠塚にパスをした。ゴールからは後退だ。明らかにC組は攻めあぐねていた。
そうして時間は過ぎてゆく。
いつしか遼は自分のクラスではなく、C組の視点に立っていることに気づいた。そして観戦者も同じく、C組を応援する者がA組のそれより増えていた。
前半が終了した。A組四点リードで終えた。
二点差になったり四点差になったりを繰り返していたのだが、点差が開いたタイミングで前半を終えた。
「それで私たちに勝つつもり?」信じられないような一言が聞こえた。その言葉を放ったのは東矢だった。
東矢が見つめる先に東雲が立っていた。
「今、あおったよね」
「あんな東矢さん、初めて見た」
観戦者の中から戸惑いの声が上がった。
「凄いよ」
「ガチだ」
遅れて、興奮の声が上がり出した。体育館が熱気で包まれた。
「あんなこと言うのか? 生徒会」鮫島が星川に訊いた。
「生徒会室では東矢嬢はあのくらいがデフォルトだよ」星川が答えた。
隣にいた眼鏡男が声を出さずに笑っている。不気味だ。
しかし一番戸惑っていたのは味方のA組メンバーだったようだ。
東矢のすぐ後ろにいた高原、神々廻、栗原が呆気にとられた顔をしてから当惑の表情になった。手負いの獣を刺激して思わぬ反撃にあったらどうするの?と言わんばかりの顔だった。
戦力の層の厚さを考えればA組が圧倒的に有利だ。C組はバスケ経験者の主戦(西潟という女子らしい)が高原に封じ込まれ(それは高原も同じでお互いさまだった)頼みの男子篠塚も栗原を抜けない状況だった。
打開策は東雲の個人技なのだ。その東雲を刺激するとは真向勝負にこだわる姿勢だった。
「おもしれえな」鮫島が呟いた。「ケンカ売って、買うかどうか」
「その挑発もボクには作戦に見えるけどね」星川が冷静な一言を放った。
後半が始まった。前半とはうって変わり、シュートがなかなか放たれない展開となった。
時間だけが過ぎてゆく。疲れが出たのか東雲は精彩を欠いていた。その兆候は前半の終わりにあったのだと遼は思った。
抜群の個人技で動き回った東雲はガス欠状態にされていた。東矢があおり続けたのはそれを狙ったのかもしれない。
二人だけの対決ならわずかに東雲が勝っていたのに、東矢の粘り強い動きが後半になってその威力を発揮し出した。
派手な動きをせず、地味に基本に忠実なプレーとひたすら食らいつく姿勢、それが東矢泉月のやり方なのだ。それで学年総合一位をとり続けてきたのだ。生徒会役員もこなしてきたのだ。
遼は少しだが東矢のことがわかった気がした。
さてどうする。C組はこのままあっさりと負けてくれるのか。
残り一分、A組四点リードは変わらなかった。C組にはワンチャンスしかない。スリーポイントが入っても一点負けており、A組のボールになるのだ。
どうにも打開できない状況だがC組は、いや東雲は、敢えてこの状況を狙って最後まで体力回復に努めていたのだと遼は思った。
C組の篠塚がボールを持ち上がる。男子のシュートは一点にしかならないからほとんどフリーにされていた。
東雲が動いた。パスをもらいに行き、パスを受けるや、別の女子に即パス、その女子には高原がついていたからボールはすぐに東雲に戻った。それがA組ゴール近くの狭いエリアで四人が絡み合うように行われたので、ボールを手にした東雲がぬっと出てきた時にゴール下にいた栗原は一瞬虚をつかれた。そして思わず東雲に手を出してしまった。
その時東雲はすでにシュート体勢に入っていたのだ。まさかここで二点シュートをうってくるとは栗原は予想していなかっただろう。栗原が出した手が東雲に当たった。
東雲のシュートは決まり、栗原はファウルをとられた。
「バスケットカウント、ワンスロー」歓声が湧く。
「手を出さなきゃ終わってたのにな」鮫島が言った。
「今、触った?」東雲の声が聞こえた。栗原に倒されたかたちの東雲が両手で胸を覆っている。
「い、いや、そんなつもりじゃ……」栗原がその巨漢に似合わずうろたえていた。
「ダメじゃん、耀太」高原の笑い声が聞こえた。
そのいじりは栗原をリラックスさせるためのものだと遼は思ったが、その効果はあまりなかった。
残り数秒。二点負けているC組はこのワンスローを外して跳ねたボールをとりに行く。誰もがそう思い、敵味方とも身構えた。
栗原だけが落ち着きを失っていた。これを狙って「今、触った?」と栗原を牽制したのだとしたら恐ろしい女だ。リバウンド王の動きを封じる奥の手だったに違いない。
ラストワンプレー。東雲は時間をとって集中した。
そして笛がなる。
わずかに間をおいて東雲は投じた。
敵味方がボールが跳ねる先を見極めようとした。
しかしボールはなかなか落ちてこなかった。
なぜそんなに高く投げたのだというくらいボールは天高く上がった。そしてゆっくりと落下しゴール間近でスピードを増し、リングで大きく弾んだ。
ボールが真横に近い角度で飛び、エリア外に出ようかというところまで達した。
そこに東雲がいた。投じた本人が跳ねる位置を計算して移動したようだ。
そんなことができるか遼にはわからなかったが、一か八かで東雲が選んだ選択肢がそれだったのだ。
スリーポイントラインの外、東雲がシュート態勢に入る。
しかし一人だけ東雲の意図を読んでいた者がいた。
東矢泉月だけが東雲の後を追い、東雲の前に立ちふさがった。大きく両手を上げてシュートコースをふさぐ。
東雲はその横を抜いて二点をとる道を選ばず、少し後ろに飛びながらシュートを放った。
全員がボールの落ちる先を見た。
入る、と思った生徒、入るな、と思った生徒。両者が見つめる中、ボールはリングに当たって跳ねた。
そして試合終了。A組が二点差で勝利した。
「層の厚さの差が出たな。桂羅も泉月もガチで良くやったよ……」そんな声が聞こえた。
大歓声で興奮する中、いつの間にか遼の前に来ていた男がほとんど動かず低い声でその言葉を発したのだ。それは眼鏡男だった。
彼は振り返り、遼と向き合った。そして不気味に口許を緩めると、手を上げて去って行った。
その後を鮫島が「なんだよ、結局A組の勝ちかよ」と言いながら、そして星川が「感動的じゃないか」と満足そうな顔をして引き上げていった。
「優勝だよ、すごかったね」
遼は小山内に絡まれて我に返った。小山内は抱きつきそうな勢いだった。
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