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chapter1 信じるものは救われる

ユダの呪い

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「オルガ、仕事よ。起きなさい」

コツコツとヒールの音を響かせながらこちらに近づいてきた女は机にひとつの紙束をおいた

オルガ「ん~…ふぁぁ…おはよ~…マリア」

マリア、彼女は有名な名門大学を首席合格した才女にして、俺の所属するチームの若頭…アンダーボスとして俺らソルジャーをまとめている

マリア「机に足を乗せないように…前にも言ったはずよ?」

オルガ「この体制が1番楽なんだよ」

マリア「机が汚れてしまうわ。さっさと足を下ろしなさい。」

オルガ「じゃあ靴を脱ぐよ」

マリア「そういう問題じゃなくてね…」

オルガ「わーかったわーかった。」

マリア「いい子ね。全く…大体貴方はソルジャーと言えど、アヴァンのメンバーなのよ?もうちょっと恥のない行動を…」

オルガ「俺ァいいんだよ。こんなんで。ぼちぼち食っていけるだけの金さえ貰えりゃ誇りも地位も要らないさ。」

マリア「そう…全く。」

マリア「まぁいいわ…話を戻すけど、久しぶりに貴方にご立派な仕事よ」

オルガ「ご立派な仕事ォ…?ココ最近は暴力団の連中を潰す依頼しかこなかったもんなぁ。もしかして今回もそんなもんか?」

マリア「いいえ…違うみたいよ。どうしてこんな仕事が来たのか…私にも分からないの。こんな大掛かりな仕事…ウチより大きなチームに頼んだ方がいいのに…」

オルガ「ふ~ん?」

複雑そうに紙を見つめるこいつを見て、内容が気になった俺は、先程マリアが持ってきた資料に目を通した

オルガ「暗殺者育成プログラム?そのプログラムの撃滅ね…」

マリア「どうやら、この国の西部にある協会の孤児院で行われているみたいなの」

オルガ「孤児院で暗殺者育成?まさか子供を暗殺者に育てるって言うのか?」

マリア「そうなるわね…」

オルガ「はぁ。ほっとけって。どうせ子供だ、よっぽどの才能が無い限りろくな暗殺者に育てられやしないさ。育成失敗で殺されるか捨てられるかの二択だ。俺らの出る幕じゃない。」

資料を受け取るも、ビッシリと細かく詳細が書かれているヤツを読む気には慣れず、机に投げ捨てた

マリア「いいえ。そうはならないの。資料をちゃんと読んでご覧なさい」

オルガ「面倒臭い。どうせしょーもない仕事だろ。大した金も貰えなそうだし。」

マリア「そうやって貴方はお金ばかり。まぁいいわ。私が説明から最後まで聞いてちょうだい。」

オルガ「おお。さすがアンダーボスさまは優しいね」

マリア「本当に思ってるのかしら」

オルガ「もちろんですとも。さぁその美声で説明しておくれ?」

マリア「簡単に言ってしまえば、脳操作されている子供で暗殺者育成計画よ」

オルガ「脳操作…洗脳?」

マリア「まぁ、そんな感じね。」

オルガ「ふーん…孤児院ねー。行ったことないなー」

オルガ「西部の協会って言ったっけ?そーいやマリアはちょくちょくあっち行くよな」

マリア「そうね。私の通っている大学が西部にあるからね」

オルガ「へぇ…にしても教会に孤児院ねぇ…」

マリア「あそこは元々教会の方が先に建てられていてね…その教会に捨てられる子供が多かったみたい。スラム街じゃ、子供を育てるのは難しいからね。だから、その教会の裏側に孤児院が立てられて、孤児が集うようになったみたいよ。」

オルガ「なるほどねぇ、子供達にとっては、教会の神が心の拠り所になっていいんじゃないか?」

マリア「そうね。あなたの言う通り、あの孤児院の子は神を強く信仰している。きっと、本当に神の存在に救われているのね。」

オルガ「そうだねぇ…。そんで、この仕事の日時は?俺と…あと誰?」

マリア「この仕事は明日の夜から。誰とって言っても…キリルくらいしかいないわよ」

マリア「ユリアノは大学だし…」

オルガ「ユリアノが通ってる大学って西部じゃなかった?」

マリア「そうね、私と同じ大学なのよ」

オルガ「へー。そうなんだ。今日は行かなくていいの?」

マリア「ええ、本当は今日出ておきたい講義があったのだけれど…」

オルガ「?」

途端にマリアの顔色が悪くなる

マリア「この仕事…ウチにきたからには絶対に見過ごせないのよ」

オルガ「…マリア?」

マリア「ともかく、ボスから頼まれた仕事よ。何がなんでも成功させなさい。連れていく人は貴方に任せるわ。」

マリア「絶対に、成功させなさい。」

オルガ「へーいへい。分かったよ。若頭様」

マリア「…普通にマリアって呼んで頂戴」

オルガ「はいよ。マリアちゃん」

マリア「……まったく」

1度部屋から出ていったものの、マリアはすぐに戻ってきた

マリア「そういえば最近、ボスが仕事に出ないのよ。運動不足になられても困るから、今日の仕事はボスも連れて行って頂戴。」

オルガ「え~?ボス忙しいんじゃないの?」

マリア「そんなわけないでしょ。昨日だってご友人様と呑みに行かれたのよ。潰れて帰ってきたんだから…」

オルガ「分かったよ…とりあえずキリルに声かけてみる」

マリア「声かけなくても、あっちから来るわよ」

オルガ「どういうこと?」

キリル「予めマリアに頼まれてるからだよ」

ニヤッと不気味な笑顔をしてこちらに向かってきた男、キリルは、日本のヤクザから引き抜かれて俺らのチームに入った。口調が軽くお調子者な電子機器に強いナゾ人間だ。

マリア「貴方には早めに言っておかないと、何かと理由をつけて仕事に来なくなるからね。仕事の日時はしっかり伝えたわよ、予定を入れないように。」

キリル「そ~んなピキピキしなくてもちゃんと行くってぇ。信じてよマリアちゃ~ん」

マリア「信じてもらいたいなら、まずは行動に出しなさいな」

オルガ「2人って仲良いんだな」

マリア「あら、そんな事ないわよ」

キリル「俺とマリアちゃんは仲良いよ。普段からずっと一緒にいるもんね、マリアちゃん」

マリア「嫌な言い方しないでよ。カポである貴方が仕事しないから私が見張ってるんでしょ」

キリル「仕事はちゃんとしてるさ、なんならボス直々に頼まれる仕事だってあるんだからね。」

マリア「ボス直々に…!?あんたが…!?」

キリル「ああそうさ。俺だってカポなんだよ~?ボスから直接頼まれたりするさ。それに俺は電子機器の扱いになれているからね。他グループとの通信だって、ボスは俺を通して行っている。君より俺の方がアンダーボスに向いているんじゃないかい?」

マリア「なっ…!!あんた…私に喧嘩売ってるの?」

キリル「ははっ冗談だって。マリアちゃんがいてくれるから俺の仕事はスムーズに進むよ。ありがとう、アンダーボス」

マリア「なによ、気持ち悪いわね。」

オルガ「ははっ、顔が真っ赤だよ」

キリル「それにオルガ、ひとついいことを教えてあげるよ」

キリル「見張ってる、なんて言ってるけど、マリアちゃんは仕事中の俺に紅茶を淹れてくれることもあるんだよ」

オルガ「マリアさん…やさしい」

マリア「あんた達、いい加減にしなさいよ」

キリル「ははっこれ以上言うとお嬢様の頭の血管がキレそうだ。そろそろ俺は仕事に戻ろうかな」

マリア「ハイハイ。そうしなさいな。それと、もう紅茶は持っていってあげませんから」

キリル「うぇぇ~…困るよマリアちゃ~ん…」

オルガ「マリアさんの淹れる紅茶…いいな。」

怒っているのか少し足早に歩くマリアにひょろひょろとキリルがついていく

オルガ「さて…俺はボスでも起こしに行こうかな」


アヴァンが共有で生活するこの建物は、メンバー一人一人に部屋が用意されている。そして、皆が集まって食事をとったり話したりできる大部屋が1つ、色んな情報が保管されている情報室等がある。

オルガ「ボスの部屋…直接来るのは久しぶりだな」

ボスの部屋は建物の最奥にある。何段もの階段を下ってココへ来るのには、中々の体力が必要だ。

オルガ「…」

最後の階段を下りると、暫く長い廊下が続く

廊下の両壁には時々、額縁に入れられた写真が飾ってある

オルガ「歴代のアヴァン…なのかな」

軍服を着た人達の集合写真、笑う1人の男、花等…モノクロで撮られた写真はこの写真たちは、はっきり不気味と言えるだろう

オルガ「ん…?」

少し前に、立ち止まって写真を見ている女性がいる

オルガ「エイル?」

エイル「あら、オルガじゃないの。ボスになにか御用?」

オルガ「あぁ、新しく来た仕事にボスも連れていけってマリ…アンダーボスに頼まれてね。」

エイル「なるほどね。」

エイル 薬屋である彼女は、そこら辺の医者と比べ物にならないくらいの効果をもつ薬を作れる。リアリストで不器用な人間だ

オルガ「その写真…綺麗だね」

エイル「え?あ、ああ。そうね。」

オルガ「子供?」

エイル「そうね。私、子供が好きなの。この子達の笑っている顔が可愛くて…つい魅入ってしまったわ。」

オルガ「はは、本当だ。可愛いね。ん?エイルもボスに何か用事?」

エイル「私はボスに呼ばれてるの。"これ"を持って来いってね」

エイルは手に持っている錠剤の入った瓶を見せてきた

オルガ「何の薬?」

エイル「ボスにも改めて説明するつもりだから、その時にね」

エイル「行きましょ、ボスが待ってるわ」

オルガ「あ、あぁ」

そう言って、辿り着いた部屋のドアを開けると、首元にくっきりと残る赤い傷が特徴的なシルバーヘアの女と、みっともない姿で横になる我らのボス、リリーが居た。

リリー「う"~ん…」

シュルト「エイル殿、待っていた。」

エイル「ほら、作ってきましたよ。二日酔いに効く薬。即効性が高いので、1時間もすれば効いてきます」

リリー「ありがとう…エイル。」

オルガ「あぁ、二日酔いに効く薬なのか。」

シュルト「おや、オルガ殿。君も来ていたのか。」

オルガ「ちょっとね、ボスに用があってさ。」

シュルト「ボスに用…?」

オルガ「あぁ、西部孤児院の暗殺者育成プログラムの撃滅依頼に…ボスも連れていけってアンダーボスがね。」

シュルト「ふむ、エイル殿依頼のあの仕事か。」

オルガ「エイルが依頼したのか?」

薬の支度をしながら、エイルは依頼経由を話し始めた

エイル「実は…私は、このチームに入る前から、単独であの孤児院の子供たちに支援してきたの。」

エイル「食べ物や飲み物、学習道具…時には体調を崩した子に薬を与え…あの子たちが何不自由ないように支援してきたつもり。そのおかげか、その施設では"卒業"と呼ばれる、施設から出られた子達も多いの。経済的にある程度の余裕がある人に引き取られたり…自力で社会を生きていけるようになったり…卒業の理由は様々。日に日に人数が減っていって…部屋が広く感じてしまうのは悲しいけれど…卒業して行った子も幸せでいてくれてると考えると私も嬉しかった」

エイル「それから数年たって…私がこのチームに入って少し経った後、子供たちの間で体調不良者が次々と出てきてしまったの。私はこれを、あの孤児院の中での流行病かウイルスと勘違いした。」

エイル「孤児院にいる大人達もそう思っていたらしい上、子供たちを治す為に用意して欲しいと頼まれた薬があったの。」

エイル「子供達を何よりも分かっているのは、誰よりも近くで見守っていたあの大人達だと思って、子供の病気の容態や症状を説明してくれる人に従って薬を作った。」

エイル「それを提供すると、彼らは喜んでくれたわ。これがあれば、子供達は元気になる、ありがとう。本当にありがとう…そう私に何度も何度もお礼の言葉を言ってくれたわ。」

エイル「でも…それ以降、私は孤児院の中に入れて貰えなくなったの。私の作った薬を投与しても効果はなく、悪化していく一方だったみたい。当時の私は若かったから、私にも感染してしまうかもしれないと、子供たちに合わせて貰えなくなった。」

エイル「恥ずかしいけれど、私が直接その子たちの様態を見れば、きっともっとそのウイルスに対抗出来る薬が作れるはずだと思っていた。それを職員に伝えても聞き入れて貰えなかった。」

エイル「それどころか、彼らは私に薬ではなくお金しか要求してこなくなったの。私の作る薬ではなく、もっといい薬を作るために金銭的協力を求めてきた。でも…子供達の為を思って、毎回望む額を渡していたわ。」

エイル「それからまた数年経って…孤児院の子供達が、暗殺者に育てられていることを知ったの。」

エイル「知ったきっかけとしては、孤児院にいたと思われる子が、殺戮を繰り返す悪魔として、町中から恐れられた時があったの」

オルガ「まって…それ知ってる。確か、その殺戮を繰り返す悪魔の名前…"タヴァンオーナー"だよな」

エイル「そう。実はそのタヴァンオーナーの撃滅依頼もウチに入ったのよ。その依頼は私と他の構成員で向かったけれど…残念ながら途中で逃げられてしまったの。」

エイル「タヴァンオーナーとはちゃんと戦えた。でもその子が元々孤児院にいた子だって私は知っていたから…撃つのを躊躇ってしまったの。その間に、その子は孤児院で暗殺者育成プログラムが行われていること、そして自身が、そのプログラムで成功した第一号目の暗殺者だと言うことを教えてくれたの。」

エイル「流行病対策の際私が支援した薬の中に…ほんの微かに記憶を薄めてしまう効果があった。当時私はその事を副作用として伝えたけれど、あっちの人間はそれを悪用して、強く記憶を消す薬を作った。完全に消しきれはしないから、その後は脳を操作したのね…タヴァンオーナーもその薬を投与されて、過去の記憶は無いはず。だけれど…」

エイル「あの子にはきっと、孤児院で生活していた頃の記憶があったんだと思う。完全なる暗殺者ではなかったんだと思う。だからきっと、他の子供達を助ける為に私にそのプログラムが孤児院で行われていることを教えてくれたんだわ」

エイル「だから…何としてでも…。」

オルガ「ひとつ聞いていいか?」

エイル「ええ。何でもきいて」

オルガ「支援だのなんだのって…マリアも関係してた?」

エイル「そうね、アンダーボスは支援と言うより、子供達に勉強を教えてたわ。きっと子供達も、アンダーボスを慕っていると思う」

(この仕事…絶対に見過ごせないのよ)

マリアの発言に込められた意味が、今やっとわかった気がした

エイル「ボス、薬が仕分けられましたよ。さぁ起き上がって、飲んでください」

リリー「よいしょ…なんだか薬多くない…?11、12…12錠もあるじゃないの…」

エイル「ボス…用意したのは6錠です。2重に見えているのであれば、それを治すお薬も必要ですね?」

リリー「じょ、冗談に決まってるじゃない。オルガ、水を用意してくれる?」

オルガ「分かりました。お水ですね。」

シュルト「エイル殿、錠剤の数が多いような気がするが。」

エイル「あら、そんな事ないわよ。私が言うんだもの、間違いないわ。それに、こんなのテキトーでいいのよ、テキトーで。」

シュルト「…そうか。失礼した。」

オルガ「…テキトーで…いいのか、?」

薬が飲めるくらいの量が入った常温の水を用意して、ボスに手渡した

リリー「ありがとう。」

6錠をまとめて口の中に入れると、水で薬を流し込むように一口で飲みきった

リリー「これで治るのよね…」

エイル「大人しくしていれば、今日中には治ります」

リリー「それじゃあ、また一眠りしようかしら」

エイル「全く…ボスのくせに自由なんですから…」

オルガ「あっ寝る前にひとついいですか?」

リリー「なによ~…手短に頼むわよぅ~」

オルガ「明日の夜の仕事…孤児院の件のことなんですけど、マリアさんにボスも連れていくように頼まれたんです」

リリー「アンダーボスったら、面倒臭い事押し付けてくれちゃって…」

オルガ「あはは…お願いしますね。」

エイル「あなたの用件も済んだみたいだし、部屋を出ましょうか。眠りを妨げる訳にはいかないし。仕事も残っているしね。」

オルガ「そうだな」

オルガ「アンダーボスは…この依頼人がエイルだって知ってたのかな…」

エイル「どうでしょうね。あの人なら気づいてないわけ無いと思うけど。」

オルガ「そっか」

エイル「それじゃあね、シュルトさん。」

シュルト「あぁ、ありがとう、エイル殿。」

ドアを閉めてからふと気になった

オルガ「あの二人って…同じ部屋?」

エイル「そんな訳ないでしょ、シュルトさんはボスが心配なだけ」

オルガ「看病…?」

エイル「そんなもんじゃないかしら?分からないけどね」

(エイルって…意外とテキトーな人なんだな…)



リリー「久しぶり」

リリー「この仕事には、貴方も加わるべきだと思ってね」

リリー「報酬なら出すわ。あなたの安全も保証する」

リリー「ええ。もちろん知ってるわ、貴方の過去も…あの子のことも…。」

リリー「そう言ってくれると思ったわ。今晩、あそこでね。」



オルガ「ここって…BAR?」

エイル「ボスが教えてくれたの。経営しているのもアヴァンのメンバーよ」

中に入るとそこは、まるでよそ者を寄せ付けないような不思議なBARだった

手馴れた手つきでお酒を作るバーテンダーが
こちらを見つめてきた

彼は何だか不思議な匂いがする。触れてはならない何か…
特別な匂い

カウンター席にはたった1人、ぽつんとお酒を飲む男がいるだけで、他に客はいなかった

エイル「ジン、久しぶり」

ジン「これはこれは、エイル。と…お連れさんかな?」

オルガ「ソルジャーのオルガだ…よろしく。」

ジン「私の名前はジンだ。基本はこのBARにいることが多い、よろしく頼むよ」

エイル「明日の夜の話は、ここでしようと思ってね」

オルガ「さっき話したので全部じゃないのか?」

エイル「大体のことは話したけど…全てじゃないわ。それに、あの孤児院について最も詳しい人物は…私じゃなくてそこの男だもの」


そういうと、エイルはカウンター席に座る男を睨みつけた

男「………」

エイル「貴方、よくここに居るのね」

男「落ち着くものだからね…気に食わなかったかい」

オルガ「…?アイツが何か関係あるのか?」

エイル「孤児院に直接関係はないけれど、そこに居た子と関係があったそうよ。」

オルガ「俺達、同じチームじゃないか。情報を提供し合おう」

男「そんな安売りできる情報じゃないんだ。諦めてくれ」

オルガ「…へぇ、一匹狼ぶってんの?カッケーじゃん。」

そういうとオルガは指の関節をポキポキと鳴らしながら男に近づいた。

オルガ「知ってること、全部はいてもらおうじゃねーか」

謎の男「……話すことなんて、何も無い」

オルガ「売られねー情報は奪ってでも得るもんだろ?」

そう言ってオルガは男目がけて拳を振り上げた

ザシュン_…

オルガ「…は?」

オルガの頬が何かによってかすれた
白い…銀…?のような何かがほんの一瞬だけ見えた

ジン「コンテッサがこぼれたら勿体ないからね、ここでの争い事は御遠慮願うよ」

コンテッサ…この男の飲んでいる酒か…?

それより…何が俺の頬を切ったんだ…?ふと右側の壁を見ると、ペティナイフが刺さっていた。アレで間違いないだろう

今の発言からして…投げたのもあのオッサンだな…

野蛮な連中の一員のくせに、争いを嫌うなんて変な奴。
酒の一つや二つ、零れたって代わりがあるだろうに。

エイル「オルガ、落ち着きなさい」

エイル「…この話は一旦いいわ。ここはなんでも美味しいのよ、今日は私の奢りでいいから、なんでも好きなの飲みなさい」

オルガ「むっ…エイルまで…。」

エイル「ジン、私はいつもの」

ジン「ミントティーだね、わかったよ」

オルガ「…命拾いしたな」

男「……」

そういうとオルガは、エイルの隣の席に座る

オルガ「じゃあ…俺は」

エイル「なんでもいいのよ、バーボン、テキーラ、ウィスキー…何杯でもどうぞ」

オルガ「…じゃあ」

オルガ「…………オレンジジュースで。」

エイル「え?」

ジン「…ふふっオレンジジュースだね」

エイル「オレンジジュース?お子ちゃまねぇ…」

オルガ「仕方ねぇだろ!明日の夜仕事なんだよ!」

エイル「まぁ…あんたは一杯飲むと次から次へと止まらなくなるものね、賢明な判断なんじゃないかしら?」

オルガ「バカにしてるのかよエイル!!!!」

エイル「そんな事ないわよ、オルガちゃま」

オルガ「おめぇぜってー許さねーからァ!!!」




ボクも、君たちみたいに笑っていたかった

あの人に救われても、全ては崩れ去り

何もかも…ボクの身の回りのモノも全て

アイツさえも…守ってやれなかった

しまいには…自分さえも

全てが全て、ユダの呪いによって溶けていく



そして俺とエイルは、日が暮れるまでジンのBARで飲み食いしていた

エイル「貴方は何時までここにいる気なのかしら?」

男「………君に教える必要はあるのかい」

エイル「アヴァンのメンバーとして…あなたが居る意味が分からないわ」

男「……」

オルガ「……」

オルガ「よいしょっと。」

オルガは再び謎の男に近づいくと、手を差し出した

オルガ「オルガだ。よろしく」

男「………」

オルガ「さっきのこと、まだ怒ってるのかよ」

男「最初から怒ってなんてないさ」

オルガ「じゃあなんでそんなムスッとしてんだよ」

男「人と話すことにあんまり慣れてないだけだよ、気分を悪くさせてしまったのなら申し訳ない」

オルガ「……別に」

差し出した手をしまおうとした瞬間、男はオルガの手を取った

男「来るもの拒まず去るもの追わず…。ボクの名前はメロウ、よろしくね」

オルガ「なんだ、ちゃんと喋れるんじゃねーか」

エイル「あら、オルガも馴れ合いが好きだなんて、意外ね」

オルガ「馴れ合いって…同じチームなんだから、ギシギシしてたくないだろ」

エイル「同じチームなのに、情報提供しないのがソイツなのよ」

メロウ「………」

オルガ「さっきはあんなこと言ったけど…よく考えたらきっと何か言えない事情があるんじゃないか。」

エイル「貴方に他人を理解する脳があるのも意外ね」

オルガ「俺だって人の子さ、それくらい持ち合わせてる」

メロウ「…情報提供出来てなかったのは…悪く思ってる。ただ、先程エイルさんが言っていた、"僕が孤児院の子と関わりを持っている"という情報は、本当。」

メロウ「オルガさんが言った…"殺戮を繰り返す悪魔"この子のこと…君たちはどこで知ったの…?」

エイル「タヴァンオーナー…あの子の撃滅依頼が過去にウチに来たことがあるの」

エイル「孤児院で暗殺者育成プログラムが行われていること…自身がそのプログラムの一号目だと言うことを彼女は教えてくれたわ」

メロウ「タヴァンオーナーの特徴は?」

エイル「仮面をしていたわ。布に身を包んでいて…鋭い爪に…低身長で子供のような高い声…。武器を使わずに主に爪を使っていたわ。常人じゃ有り得ない身体能力を持っていることから、何かしらの改造をされたのは間違いないわ」

メロウ「タヴァンオーナーが、あの孤児院の子供であったという証拠は?」

エイル「彼女自身が口で説明してくれた」

メロウ「それだけじゃ足りない」

エイル「貴方は何が言いたいの」

メロウ「タヴァンオーナーと僕は過去に特別な関係にあってね」

メロウ「確かにタヴァンオーナーはあの孤児院の子供だった。でも…それは数十年も前の話なんだ」

エイル「…は?」

メロウ「さっきも言ったけど…僕とタヴァンオーナーは過去に特別な関係にあったんだ。ぼくが"幼い頃"にね。その頃から彼女はあの容姿だよ」

エイル「…改造されている訳だから…体の成長が止まっている…?」

メロウ「そう。つまり、孤児院暗殺者育成プログラムは、何十年も前から行われていたんだ。君が単独で支援している頃からね」

エイル「…!?あんた…なんでそれを…」

メロウ「タヴァンオーナーと特別な関係にあったからさ」

エイル「それが何にでも通用すると思わないで」

メロウ「いいや、この件については何にでも通用してしまうんだよ」

メロウ「僕はね、君たちに幻滅しているんだ。どうして何十年も前から行われているプログラムに気づけなかったんだい?」

エイル「…ならあんたは…どうして気付いてたくせに子供達を助けなかったのよ…!!」

メロウ「それは…"ユダの呪い"にかかっていたから」

エイル「は…?」

メロウ「暗殺者育成プログラムに成功して作られた暗殺者達にはそれぞれ名前がつけられるんだ。もっとも、当時は難しいプログラムとされていて、あまり成功できなかったんだけどね。」

メロウ「タヴァンオーナーはその計画の第一号目…ユダと名付けられた。大人になった今だから言えるけれど、僕はスラムの人間でね、飢えていて常に死と隣り合わせだったんだ」

メロウ「そこで、死にかけの僕を見かけたタヴァンオーナーは…僕を拾ってくれた…助けてくれたんだ。美味しい物を与えてくれた、"13"という名前札を付けてくれた。」

メロウ「これ以上深くは言えないけど、世間一般的に言えば、僕はタヴァンオーナーと同居生活を送っていたんだ。そして…僕はタヴァンオーナーと別れを告げた。」

メロウ「アヴァンに入るほんの少し前までね」

エイル「そう…そういうこと。」

メロウ「それとひとつ、いいことを教えてあげるよ」

エイル「なによ」

メロウ「暗殺者育成プログラムは終わらせられない。」

メロウ「勿論、僕にもだ」

エイル「なによそれ…!!プログラム主催者より、私たちの方が劣っているとでも言いたいの!?」

メロウ「半分不正解、半分正解…かな。」

メロウ「このプログラムは君たちが思っている以上に広く、深く…重大な問題なんだ。西部の孤児院だけじゃない。この国全体にに広まりつつあるんだ」

メロウ「最近君たちの元に入ってくる仕事の多くはギャングの撃滅だろう?」

オルガ「ああ。最近子供のギャングが増えてるんだってな。今じゃスラムの一番の問題だよ。」

メロウ「このスラムのギャングの子供達の八割以上はあのプログラムの失敗作として野に放たれた子供なんだ。それに…」

メロウ「あの孤児院は、"孤児"じゃない子供もいるんだ」

オルガ「それ…孤児院って言うのか…?」

メロウ「あの施設は、正直…孤児院とは言えないほどかけ離れた存在のものなんだ。孤児や誘拐された子供、人身売買で孤児院に買われた子供、同じく人身売買で売れ残った子供が引き取られ"記憶を消され"孤児として育てられる、それをまた…暗殺者として育て上げられる」

メロウ「これが、暗殺者育成プログラムの真相」

メロウ「君たちが思っていた以上に深いだろう?」

エイル「待ってよ…それじゃあ…"卒業"って…」

メロウ「育成実験に失敗して死ぬこと、野に放たれること、あるいは成功して、"暗殺者として卒業すること"かな」

エイル「そんな…あんまりよ…。どうして私は…気づけなかったの…?」

メロウ「気づけなくて当然だったからさ、当時はもっと小規模だったからね。君の作った"薬"のお陰で、大規模かつ簡易的に実験を行えるそうだね。更にそのおかげで暗殺者育成プログラムは今まで以上にハイスピードで実験を進められている。勿論、ソレらを進行する為に情報隠匿も必要だ。それもプログラムを拡大していくウチに技術を深めたのだろう。」

エイル「どうして薬の話まで…嘘でしょ…。」

オルガ「…もういいよ。メロウ、ありがとう。」

メロウ「これだけでいいのかい?情報、もっと知りたくないのかい?」

オルガ「こんな冷たい言い方ないだろう」

メロウ「君たちが望んだとおり、僕は"情報提供"しただけだよ」

エイル「………」

エイルはカウンターにポツポツと大粒の涙を零した

ジン「大丈夫かい、エイルさん」

ジン「メロウ君、君がその事に熱くなってしまうのは分かるけど、エイルさんに罪の意識を持たせてしまうような言い方はないんじゃないかい。」

メロウ「ジンさん、エイルさんからしたら僕が憎いように…僕からしたら…あの組織に手を貸したエイルさんが憎いんだ。」

ジン「彼女は、孤児院の大人達がそんな実験をしていると思わなかったんだ。話を聞いていて、君もそれくらい分かるだろう。」

メロウ「……」

ジン「も…君がそんな対応するのは望んでいないと思うよ」

メロウ「っ……」

メロウ「悪かったよ…エイルさん…」

そう言ってエイルの肩に触れた瞬間

エイル「触らないで!!!」

大声をあげて首元にメスを突きつける

エイル「お前…結局の所タヴァンオーナーの手下って訳じゃない…共同生活をしていたなんて…。なんでそんなヤツが、アヴァンのメンバーなんかになれてんのよ!!要は裏切り者じゃない!!お前も…タヴァンオーナーと同じ悪魔じゃない!!」

メロウ「僕は……。」

メロウ「オーナーが暗殺者だって知らなかった僕は…オーナーがしていることが"そんなこと"だって知らなかった僕は…あの人はただ"自分を助けてくれた優しいひと"だと思いながら…共同生活を送っていた。でも、色々あって別れを告げたよ。」

メロウ「そこから色々あったんだけど…そこだけは言えないかな」

そう言って、メロウは首から吊るしているネックレスを握りしめた

メロウ「エイルさん、悪かったよ。色々言ってしまったね。」

エイル「…私は…ただ子供達を助けたかっただけなの…」

エイル「ただ…本当に…それだけだったの…」

そう言ってエイルは床に泣き崩れてしまった

エイル「神様…子供達を…返してください…」

エイル「孤児院を…返してください…」

メロウ「…エイルさん…。」

メロウ「信用されていないのは分かっている。でも…僕と協力してくれるかい。気持ちは僕もエイルさんと同じなんだ…プログラムを阻止したい…」

エイル「……協力出来るわけ…ないでしょ。」

エイル「あんたの言う通り…私はあんたを信用してない…。」

メロウ「……わかった。」

メロウ「マスター、ご馳走様。今日も美味しかったよ。」

ジン「いつもありがとうね、またいつでも待ってるよ」

メロウ「これ、気持ちとして」

そう言うと、エイルとオルガの代金も合わせて置いていった

オルガ「あ、ありがとう…」

エイル「……何よあの"青眼"」

ジン「孤児院の話になると少し熱くなっちゃうだけなんだ…許してやってくれないかな」

エイル「……もういいです…大丈夫です」

エイル「マスター…アイツが出して行ったお金…とっといてください。またいつかあいつが来た時…ここから引いといて」

ジン「わかったよ」

エイル「気分が悪いわ…なにか飲むわよ。オルガ、付き合いなさい」

オルガ「オレンジジュースでいいなら…いくらでも」



メロウ「………いつから僕は…汚れてしまったんだろう」

"タヴァンオーナーに別れを告げたんだ"

それも嘘だ。本当は必要とされなくなって…捨てられただけだ

殺戮を繰り返す悪魔…タヴァンオーナー

暗殺者育成プログラム…そのプログラムの成功者第一号の名は"ユダ"

僕は幼少期にタヴァンオーナーに助けられた

飢餓に苦しむ僕を、あの人は救ってくれたんだ

そこから僕はタヴァンオーナーの元で生活するようになったんだ

ある日、タヴァンオーナーからを告げられた

"君は病気なんだ"

それ以降、僕の体の検査をしにオーナーさんの友達がやってきては僕の血を取ったり、薬を飲ませに来てくれた

屋敷の地下で僕を治す為の薬の実験が行なわれていると教えてくれた

僕のために…来る日も来る日も…。

僕はタヴァンオーナーに拾われてから、ずっと綺麗だね、美しいねなんて可愛がってくれた

だから…僕もオーナーの事が大好きだった

それから数年経っても…僕の"病気"は治らなかった

それだけじゃなくて、採血と薬も増えて行ったんだ

12歳になった頃、「僕は知ってしまったんだ」

優しかったオーナーさんもその友達も…本当は居ない

今まで生活してきたココも、目の当たりにしたものも、全て地獄そのものだった

屋敷の地下で行なわれていた実験は…病気の研究なんかではなかったんだ

ユダ…彼女は殺人鬼であり…でもあったんだ

僕に付けられた13という名前は…ただの年札に過ぎなかった

僕の体に流れる血は…タヴァンオーナーにとっては"13年もののワイン"だった。

全てを知った瞬間…もちろん叫んでしまったよ…。

ただ…オーナーさんからしたら僕達の叫び声は賛美歌にしかならなかったんだ

こんなことなら…知りたくなかった。

綺麗なまま…美しいままでいたかった

オーナーが僕を褒める言葉は…僕を…俺を惑わし…狂わせた

僕の目元に入った忌まわしい年札をとろうと…何度も何度も引っ掻いた

それから…僕は13歳になった

毎日のように引っ掻いていたせいか

"僕の左眼はポロリと取れ落ちた"

これで…もうオーナーは僕のことを美しいなんておだてられやしない

血が滝のように流れ落ちると、すぐさまオーナーの友達…調理師が採取しに来た

採血された血を…今日もまたオーナーは飲む…分かっていた

だが…その晩餐で、オーナーは一言はなったそう

「いらない」

どうやら、年数がたちすぎた"食前酒"はもう喉を通さない

そして…僕のからだで行われる…最後の調理

オーナーは、僕の13という年札を見て、年数がたちすぎた食前酒の正体が僕だとわかった

そしてまた

「いらない」

僕は捨てられた

僕と同じように、ワインとして育て上げられた別の子供の義眼を左眼に埋め込むと、ささっと屋敷から追い出された

数十年ぶりの外の香りは土の匂いがした

もう豪華な食事も、採血も薬も…年札も…偽物の優しさも要らない

左眼と13という刺繍は自分への戒め

それ以降…俺とオーナーはキッパリと会わなくなり、オーナーがこの後どうなったのかも分からないまま

メロウ「なぁ、俺はどこで間違えたのかなぁ…エヴィ…」

ぼーっとしていると、微かにエヴィが見えた気がした

アイツは俺の気分が落ち込んでいる時…頬を撫でる癖がある

透けて見えたアイツの手は、確かに暖かった

ただ、俺は愛されたかった
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