悪魔に魅入られて。

蕃紅花。

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壱馨 “F”

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彼は手にしている物を花芯へ当てると電源を入れた
焦らすような微かな振動が繰り返される。
快楽を求める身体には優しすぎる振動。
刺激が足りない...

どうして?と目で訴えかけると彼の口からは先程聞いたばかりの全く同じ言葉が返ってきた。
謝る事はないか?
隠している事はないか?
また瞬間的に現実へと引き戻された。

何度も言うけど、心当たりが無いわけではない。
けれど別に恋人という訳ではないし
何よりも彼が知るはずのない事。
私が思考を巡らせている事に気付いた彼は
その内容を話すように促した。
恋人でないのだから話しても問題ではないはず
それなのになぜだろう
話してはいけないと本能的に察した。

目線を逸らし口を閉ざしてしまった私を引き戻したのは、先程よりも強くなった快楽だった。
待ち望んだ感覚に身体が跳ねた。
と思ったのも束の間。
昇り詰める直前、元の弱い振動に戻されてしまう。
私が恨めしく彼に視線を移すと、怖いくらいニッコリと笑う彼がいた。
その笑みにすら反応する身体。
更なる快楽を求め自然と腰が揺れてしまう。

そして彼はやっぱり同じ問いをする。
謝る事はないか?
隠している事はないか?と
そして彼は更に付け足した。
素直に話せば褒美をくれると
再び悩む私を見ると催促するように振動が強くなった。
けれどまた昇り詰める直前で止められる。
与えられない快楽の先を求める私は
甘い言葉に釣られるように話した。

恋人の居ない私を心配する後輩からマッチングアプリを勧められた事。
強引にアプリを始めさせられた事。
特に興味も沸かずそのまま放置されている事。
全て洗いざらい話した。
話を聞く彼は変わらずに振動を変え私を焦らし続けた。
決して昇り詰める事は許されず、逃げることも出来ない私は、ただ彼に与えられるままに快楽の波に揺られ続けた。
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