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決意の手紙 その2
しおりを挟むすると、私の前にリノが、進み出て、私の利き手を恋人のように絡めて繋いだ。
おお、奥さんの前で何しているんだ、リノは!
意味がわからずに硬直していると、リノの方も眉をしかめて、私を睨んだ。
その行動は、そんな顔でするものじゃないと思うのだけど、まったく意味が分からない。
「な、なに、どうしたの二人とも」
「姫さんは、手紙を書いちゃだめ、です」
「え、なんで」
「……ル、ルカに身を汚されたからって、早まらにゃいで!!欲しいの!!」
マティにそっと背後から抱きしめられた。
それからリノは、私の手を痛いぐらい強く握る。
「どうして話してくださらないのですか、私達、それほど信用出来ませんか」
「ちょっと、ちょっとまってよ!」
「またにゃい!姫さん、また手紙を書くって言うなら、僕、姫さんの指折るから!」
「大丈夫です、姫様、痛いのは折れた時だけですから、ね?」
そういう問題では、無いのでは?!
なんで手紙を書いただけで、指を折られなきゃいけないのだ。書くなと言われても、帰らないと、クリスティナ様に送らなければ、迎えが来てしまう。それは困ったことだ。
それに、ルカに身を汚された?!私、汚れてないよ?!清廉潔白だ!!いや、この言葉はそういう意味じゃないと思うんだけどね?
とにかくだ、何か二人は、手紙の内容を勘違いしている!
「まって、ほんとに!折らないで、痛いって」
私が今更、わたわたと暴れると、マティはむぎゅと私を抱きしめなおす、一見、柔らかく抱きしめているだけに見えるのに、全く逃れる事が出来ない。
リノの方も同様だ、手を離して貰えそうにない。
「姫様、大丈夫、大丈夫ですわ」
「うん、痛くにゃい。かる~く一本だけ折るだけ、です」
「そうです、ちゃんと治りやすいように、折りますから」
リノが私の人差し指をスリスリと狙いを付けるように撫でた。
その仕草にぞわわっと寒気が背中を駆け抜ける。
なんてこった。本当に折るつもりらしい。
手紙に告発文でも書いていると思っているのか、二人は、私が捕まると思い込んでいるらしい。
なんて言うか、それほど私とてアホではない、流石にそれをやるなら、クリスティナ様に直接出すのでは無く、付き人の宛名にしたり、暗号文を使ったりと色々やるだろう。
だから、国内で検分されて捕まるなんて間抜けすぎることは、起こらないんだけど!
と頭の中で、とツッコミを入れる。
呑気に、考え事をしていると、リノが、ぐりっと私の人差し指を手の甲の方へ押した。
「い゛っ、っあ~!もう!話を聞いてよ!獣人は、そんなに立派なお耳が着いてるのに、なんでこう人の話を聞かないかな!」
「だって、姫さんが」
「お止めしなければ、捕まってしまいます!」
「捕まらないよ!私、なんにも悪いことしてないもの!」
「ダメにゃのです、姫さんがバレにゃいと思っていても、バレてるの」
「な、何がよ!」
「ッ、い、言えにゃいの」
リノは、しょんぼりしたまま、ぐりっと私の指を押し込む。だから痛いと言っているのだが、聞こえていないのだろうか。
しかし、一体、何がバレているって……!……暗号式か!王族の暗号式は、既に解読されているとルカが言っていたそれで、こんな事になったのか。けれど、使用人階級の人間が、その情報を知っているとは思えない……んだけど。
そこはルカが予め、二人に伝えて居たとすれば、辻褄が合う。
そしてルカと揉めたと思われているのは私が、胸元のボタンを飛ばして、月光浴から帰ってきたからだろう、いや、まぁ確かに、紛らわしかったと思うけれども!
指を折る必要は、無いでしょうが!
「暗号式がバレてるのは知ってます!ルカが教えてくれたし、何より、私はルカに犯されてない!ので!」
あ、犯されるなんて、はしたない言葉を使ってしまった。
「お、犯され?!いや、そこまでは」
「触れ合ってないし、キスもしてないし!けど、仲も悪くなってない!見てて、二人とも!今からもう一回手紙書くから」
驚いて、リノの手が緩んだのを逃さずに、右手を振り払う、それから、テーブルにまだ広げてある、便箋に走り書きで文字を書いた。
“私!帰りません!”
ロイネより、と文字もつけたし、リノに突きつける。
「心配しないで……指なんか折らなくても、もう手紙は出さないから」
マティは、正面に回ってそれを確認して、目を瞬かせる。まったく、思い込みが激してく困る。
けど……嫌じゃない、私がきっと間違った事をしようとしていたら、止めてくれるだろうし安心できる。
それと、これからはちゃんと情報を共有しないとダメだね。
「あと、話を聞いてくれる?ルカとの、事なんだけど、色々、あってね。……だめかな?」
「……あ、……も、申し訳ございません、私……早とちりしてしまいました。是非、お話聞きたいです」
「……姫さん……僕、痛いことして、ごめんなさい」
「許します!そのかわり、次からは話を聞いてよ」
「!うん」
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