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しおりを挟むボクの髪を撫でていた手がすこし耳を掠って、体がびくっと小さく震えた。それをセージは声を出さずに小さく笑って、耳の淵をゆっくりと指先でなぞる。その感触に、言い表しようもないような酷い劣情を感じて、じわっと涙が滲む。
……酒なんて飲んだら、確かに羞恥心は飛ばせるだろうけど、それが癖になったらいやだ。
けれど、酔ってないと、色々な感覚がダイレクトに伝わってきてしまう。セージの吐息。ボクらの間にある大人びた空気感。指の感触、そして、人に抱かれるという事実。
そのどれもが、ボクの心臓を馬鹿みたいに早くさせて、どうしようもない。
その感覚が少し怖くて、けれど、変に高揚してしまう。
期待と恐怖が入り混じって、フニフニと耳を弄ばれる感覚が、彼の指の感触が、昨日、散々ボクに触れて、あまり他人と深い関係と築くのが得意ではない、ボクの情けないところまで暴きだた。
それでも、こうしてボクを望んでくれているのだと思うと、嬉しいんだか恥ずかしいんだかわからない。
全部の感情が拮抗して、手が震える。こんなのは初めてで、だからこそ、彼しか知らないまま、深い泥沼にはまってしまいそうで、けれど、それならそれでも、この優しい男なら悪いようにはしない気がしてしまい、半ば倒れるようにして、セージの方に一歩踏み出し、彼の肩筋に頭を預ける。
「……」
「……」
セージは何も言わずに、ボクの背を軽くなでて、それからボクのしっぽみたいな三つ編みを指に絡めてゴムを外して、解きほぐす。
髪がふんわり広がって、彼は感触を確かめるみたいに、しばらく弄んだあと、顎を掬い上げるみたいにしてボクに上を向かせて、唇を重ねる。
「ん、……っ、は、ぅ……んん」
すがるように口を開けると、舌が入ってきて口内を凌辱する。熱い粘膜同士が絡み合って、そちらに集中していれば、腰を抱かれて、部屋着の隙間からセージの手が滑りこんできて、下着をたくし上げて、肌に触れる。
「っ、う……、っ」
衣擦れの音とともに、セージの手が腹に移動して、昨日散々、突かれた下腹を緩くさする。それだけで膝が震えて、セージの服を強く握る。彼はボクの頭を撫でて、頬にキスをして、耳に口を寄せる。
「ユキ、いっぱい気持ちよくしてあげるからね」
「っ~。……」
ささやかれて、その声が腰に響いて、思わず自分のものが大きくなるのを感じてしまう。昨日の一回だけのセックスですでに、ボクの性的趣向は歪められてしまっていたのだと、今更ながらに自覚する。
「ベット行こうか」
そう言われ腕を引かれるが、下着に先がこすれて容易には歩けない。立ち止まっていると、彼はぱっと手を放し、少し暗闇に慣れてきた目で、ボクのことを覗き込む。
けれど、こんな簡単に興奮しているだなんて、言えなくてぼんやりとしか見えない彼にどうにか察して欲しくて「セージ……」と情けない声で彼を呼ぶ。
「なぁに」
「……」
「ベットが嫌ならここで立ったままする?」
「っ……」
「……ユキ?」
どうやら、ボクの異変に気が付いたようで、彼は徐に、ボクの腹に触れて、それからゆっくり下に手を滑らせていく。
「あはは……はー、もう、かわいいな」
「っ、やっ、う」
セージはボクの性器を服の上からゆっくり擦って刺激する。制止しようとしても、その手を取られて刺激を強められると、甘い快感が、脳みそを支配して、まともに抵抗できない。
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