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しおりを挟む最近ペットを飼い始めた。見た目通りのかわいい子で、少し強がりなところもあるが、割と聞き分けがよくていい子である。
といっても、イヌやネコなんかではなく、人間で一応、最低限の尊厳は守っているつもりなのだが、やはり何か不満に思ってることは無いかと気になり、できるだけ早く家に帰ることを心がけるようになった。
外にある郵便受けを確認して、エントランスのオートロックのセンサーにキーをかざして、ロックを外す。そうして中に入ると、丁度交代の時間だったのか、このマンションに在中している職員のうちの、昼の時間にいることが多い初老の男性がこちらに向かってきて気さくに話しかけてくる。
「こんばんは。東さん。お疲れ様です」
「こんばんは。今日はもう、あがりですか?山本さん」
「ええ、今日は金曜ですからね。これから、一杯行く予定ですよ」
そういいながらくいっと、グラスを傾けるようなしぐさをして、にっこりと笑う。確かこの間は、健康診断で肝臓の数値で引っかかったなんて言っていたような気がするが、酒は飲んでも問題ないんだろうかと少し気になる。
「あまり、飲みすぎないようにしてくださいね。また奥さんに叱られますよ」
すこし、揶揄うようにいえば、彼は苦笑して「ええ、ほどほどにしときますわ」とこぼす。それから、あっと思い出したように口を開く。
「そういえば、甥っ子さん、最近見かけませんけどあれから、喧嘩せずにやってますかな」
「……甥っ子、ああ」
聞かれて何のことだか一瞬、考えるがすぐにユキの事だと思い出す。
……そうだった。ユキを拾った次の日、どうしても仕事に出なくてはならず、山本さんに、ユキのことを甥っ子だと嘘をついた。喧嘩をしていて勝手に出ていかれては困るからという名目で、彼のが出ていくのを見かけたら止めるようにお願いしていたのだ。
一応、それから数日して、問題なく仲直りしてしばらくここに住むことになったからと、伝えてあったのだがその話だろう。
「ええ、最近は彼も落ち着いてきてるんです。おとなしく生活してくれてますよ」
「それはよかった」
「ただ、あの子は少し気難しい子なので、あまり刺激しないでやってくれると助かります」
「ははっ!わかってますとも、東さんは心配性ですな!」
ユキに気軽に、話しかけられて俺の嘘がばれても困る。こういう念押しは大事だ。
「そうですかね、いや、お恥ずかしい」
「いえいえ!そのぐらい心配してくれる人がいる方が子供もぐれたりしずらいでしょう。良いことだと思いますよ!」
「あはは……そういってもらえると助かります。……では、また」
「ええ」
適当なところで会話を切り上げて、急ぎ足で自宅へと戻る。
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