49 / 75
50
しおりを挟むセージはいつもと同じぐらいの時間に帰宅した。いつもと同じようにご飯を食べて、お風呂に入る。たまには、一緒にお風呂に入ることだってあるが、基本は別々だ。大体はセージが先。ボクは、外にも出ないし汗もかかないので、お風呂は気が向いたときに適当に入るのが常だ。
しかし今日ばかりはそうもいかない。セージと入れ替わりでお風呂に入って、支度を済ませる。夜なのでセージが買った大きめサイズのカーディガンを羽織って、愛用の二つ折りの皮財布を持った。
忘れ物がないか確認して自室をでる。リビングには珍しく、セージがいて、ゴールデンタイムのドラマを点けたまま、スマホに視線を落としてソファーでくつろいでいた。
……準備してる音が聞こえたのかな。
セージはリビングのテレビをあまり見ない。見るとしてもサブスクで映画を見るぐらいなのだ、地上波を流しているということは、リビングにいる口実を作るためなのかなと思う。
「あ、ユキどうしたの?コンビニでも行く?」
そして彼は、まったく今気が付いたような顔をして、スマホから顔を上げて、ボクの方を見る。そんなに察しの悪い人ではないので、ある程度分かっているだろうと思うのだが、まったくわからないフリをするつもりらしい。
「いや、ちょっと遊びにいってくる。いいか?」
「……俺の許可なんて取らなくていいよ?いってらっしゃい。あんまり、遅くならないようにね」
「ああ」
「泊りになるときは連絡してね」
セージは言いながら自分のスマホをトントンとタップする。「ん。わかった」と返事をしながら、自分のスマホの電源を入れる。最近はミノルからの嫌がらせ電話もないので、セージと連絡先を交換してある。使う機会は多くないが、こういう時には便利だ。
「あと、迎えに来てほしいときは電話してくれればすぐに行くから」
「ん」
「危ない場所にはいかないでね」
「うん」
「ナンパされてもついてっちゃだめだよ。危ないから」
「ああ」
「お酒はほどほどにしとくんだよ」
「ん、」
セージは言い淀むことなく次々に、親のようなことを言う。そんな彼は、心なしか余裕がないように見える。
……そんなに心配そうな顔しているのに、どこに行くのか、誰と一緒なのかって聞かないんだな。
そんな我慢をしてでも、セージはボクを恋人にしてはくれない。ボクに踏み込んできたりしない。その線引きがすこしだけ、悲しい。
……あ、そうだ。リクに分かれた理由だけじゃなくて、何でセージがペットってのにこだわってるのかも聞いてみよう。ボクの中ではヒモを飼いたかったのだと勝手に解釈しているが、セージに確認を取ったわけではない。リクは、ボクがペットだって言った時、何か知っていそうだった。この際、全部話をしてもらおう。
そんなことを考えてから、ソファーに座っている彼に近づいた。
セージはボクに手を伸ばして、なんだか不安がっている子供みたいで可愛げがある。
その手を取ってぎゅっと握って、キスをする。
「送れちゃうから、行ってくるな」
「……気を付けて」
「ああ、ありがとう」
手を放して玄関に向かえば、もうセージは何も言ってくることは無くて、そのまま振り返らずに部屋を出た。
12
あなたにおすすめの小説
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる