ゴミ捨て場で男に拾われた話。

ぽんぽこ狸

文字の大きさ
68 / 75

69

しおりを挟む




「……んで!結局乎雪は、清司に告白すんの?」
「する。……リクが言うほど、独占欲がつよいなら多分今は我慢してんだろ、それは……なんていうか辛いだろ」
「!……へえ、強気だねぇ~?そもそも君、清司に好かれてるって確証はあるわけ~?」

 煽るようにいわれるが、まったく響かない。なんせ、まぁ、毎日一緒にいるのだ。

「あるぞ」
「言うじゃん?じゃあ束縛されんのはどうなの?」
「……」

 ……そもそも、それを問題に感じたためしがないのが困ったところだ。気が済むまで束縛したらいいなんて思うのはまずいのか?

「……位置情報把握されるのは、だめなのか?」

 何が正解かわからないのでとりあえず二人に聞いてみる。リクは「僕はいや」と即答して、フジナミさんは少し考える。

「知られたくない場合に行くときには、停止できるのであれば構わないんですけどね」
「それは無しらしいよ?」
「……では、俺も」
「そっか……」

 二人ともNGらしい。確かに、見せたくない時も消せないというのは、プライバシーがないように思う。ボクから見てもよく考えれば、あまりやらない方がいい気がする。

「じゃあ、出来ないって、セージには言っといたほうがいいのか?」

 自身の事のはずが、なんとなく疑問形で聞くと、二人は顔を見合わせて、それからフジナミさんの方が口を開く。

「もしかして、乎雪さんはGPSも許容できる範囲なんですか?」
「……ふ、不便はないな」
「え~?だって、仕事の飲み会で行ったお店も、友達と旅行行くときも全部見られてんだよ!?嫌じゃない?」
「……旅行も、飲み会もない業種ってか、友達?もリク以外いまのとこいないし。ここにくんのは、ちゃんと説明すれば問題ねぇかなって」
「…………?」

 高校卒業してからずっと引きこもって絵ばっかり描いてきたのだ。考えてみれば、絵を描いている時間さえ確保できてるなら、それがボクの確保したいプライベートなのだ。

 ボクの返答に疑問を持ったのかリクはすこし間をおいてから、真剣な顔をして、ボクと目を合わせる。

「ねえ、乎雪、ぶっちゃけ聞いていい?」
「な、なに」
「君って何者?」

 ……何者?ど、どういう意味だ?

 質問の意図がわからなくて首をかしげると、リクは続けざまに言う。

「何者っていうか、何してる人で、なんで清司のところに居んの?」
「……」

 ……ああ、そういう話か。というか、言ってなかったのだから不思議に思われても仕方がないだろう。

 ただ、自分の仕事を他人に言うのは、ボクの心情的に難しい。それでも、真剣にボクの恋路を応援しようとしてくれている二人に、嘘をつくのは誠実ではない、それだけはわかる。

「……絵描き。水彩かいてる。ボクの絵を売ってくれる人とそりが合わなくなって、逃げてた、そんで拾われた」
「あ!え?君あれ、趣味っていってたじゃん!」
「嘘ついた。悪かったな」
「良いけど~?それで、色々自由なの?友達少ないのは別として」
「まぁ、そんなとこ」
「へぇ~なるほどね」

 なんてことないように納得してくれてホッと胸をなでおろす。馬鹿にされなくてよかった。

「ねえねえ、実は有名な絵描きだったりするの~?」
「全然、賞もとってねぇし、無名だ」
「なぁんだ。まあ、そういう色々融通聞くなら、清司の意見を飲んでもいいかもね」
「許容できる範囲は人ぞれぞれですからね。乎雪さんからして、無理がないと思えるなら、それでもいいかもしれません。ただ、さっき凛久さんが言っていた事も、すこし加味しておいた方がいいと思います」
「さっき?」
「ああ、清司が金持ちだって話?」
「そうです。俺も恋人同士は対等が一番だと思いますから」

 そういわれて、そういえばセージにまだお金を受け取ってもらえていないことを思い出す。

 そういう部分から、せっかく恋人になれたとしても関係がゆがんでいっては意味がない。

「それと関連する話なんだが、相談してもいいか?」
「もちろん!この僕に任せてよ!」
「構いませんよ」



 そうしてボクらは長い事、酒を飲みながら話し合って、店が混み始めてからも、こうすべきああすべきだと、おもにボク以外の二人が話し合ってくれた。もし付き合えたらセージとお礼を言いにこの店に来ようと思う。

 それで結局出た結論は、借りてるお金はプレゼントにして返すのがいいのではないかということだ。そして、ついでに告白してしまえば一石二鳥という事らしい。リクがプレゼント選びに付き合ってくれることも心強い。

 そして束縛についてはよく話し合う事。これをとにかく守れと言われた。そして、何かあったら相談にのるから必ず話せと。人の恋バナを多少面白がっているように感じつつも、これならもし玉砕しても立ち直れるなと、なんとなく思えた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

バーベキュー合コンに雑用係で呼ばれた平凡が一番人気のイケメンにお持ち帰りされる話

ゆなな
BL
Xに掲載していたものに加筆修正したものになります。

処理中です...