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回想 禁呪(第二次聖戦中)
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「君はッ!」
と言ったきり僕はそれ以上は動かない。動いてはならない。
頭のなかは怒りで爆発しそうなので、息を止めどうにかこうにかして堪えた。息を止めれば感情はそこで留まる。
それにしてもだ。君がそう思わなくても、実際にそうなっている。あの状況的にそれ以外に、ない。あるはずがないんだ。
どうして君はそこを認めずそれどころか、庇うのだ? あれが君を襲い掛かってきているというのに、君を殺しに来ているのに、なにが私はそうは思いません、だ。
夫に対して妻自身が自分を殺しに来るものを庇うとか理解の範囲を超越している。
なんだこの文章は頭が痛くなる。
君は聡明かつ理智的であるのに、このことになると信じられないほど愚かになるのはどうしてだ? 子供のように幼児返りしてしまう。言い過ぎだとしたら十五の小娘に返ってしまう。
それはもしかしてあの男に対しての愛なのか?
愛する男のことなら何でも庇う馬鹿な女みたいなことを君が僕にしているというのか。
こういったあらゆる種類の激怒から生まれた疑惑と罵倒が頭の中に渦巻いていると、いつのまにか妻は立ち上がっており彼女が僕を見上げている。
美しい翠色の瞳が涙で濡れ、光をそこに留めており僕はそれを見つめる。
「私のことを心配して下さり、感謝します。その怒り、理解しています。私が危険なことを敢えてしていることに我慢ならないということですね。ごめんなさい、でも許してください。このことは私にどうかお任せしてください」
あまりに珍しい妻の懇願に僕は憐れさを催し、心の底からあの男のことが憎らしくなる。
そうだ彼女は加害者ではなく明らかに被害者側なのだ、これを忘れてはならない。
ここまで僕の妻を苦しめるとは、まさにこの世に生まれてきた最大の悪といっても過言ではないかもしれない。
魔王が災厄といったものならアーダンは人災といったものだ。
僕は妻の哀しさや苦しくさに胸が痛くなり抱きしめた。妻も反応し抱き返しひとまず安堵するが、この先が心配だ。
あの男が現れると彼女は忌々しいことに嬉々として戦いに挑みに行く。誰にも邪魔されたくない二人きりの時間のようだ。
これを無理に押し止めてしまうと口論というか、しまいには力づくとなることは目に見えている。彼女はこの件に関しては自分の意思を絶対に貫き通すだろう。
心配は尽きないどころかある日彼女は深手を負い戻ってきた。あの男も同様のダメージを負わせ撃退したとのことだ。そしてすぐに失神した。
僕は最大限の治癒魔法を用いて治療にあたったがあることに注意を向けていた。
朦朧とした彼女からのうわ言に対して耳を傾けた。どうか一言でも恨み言でも、呪詛でも、もう辞めたいとでもいった言葉を僕は聞きたかった。
君の中の本音を、そうであって欲しいという僕の願望を、どうか言ってくれと注意を払っていると、
ひとこと言葉が漏れた。
「強く、なりましたね……」
何を喜んでいるんだなにを! と僕の手は震え、頭に血が昇る。これは稽古ではなく殺し合いなんだぞ! いつまで君はそこにいるんだ!
彼女はこの一点に限ってはどこまでもいつまでも時が止ったかのように、現実を見ないようにしているかのように、あの頃に留まっている。
この僕達の生活は二人から三人へと生活が日々変化してもそこだけは変わらなかった。
あたかもそれは僕が始めてあの男と出会った日の君の奇妙な反応の時と同じように。
君はあの男を忘れていない。
たとえ日々の生活の忙しさからその存在が薄らいでも、襲来と共に甦る。
僕もあの男のことが忘れられない。妻を通じて忘れられないという関係なのだ。
僕のこの心を妻はうっすらとでも分かってはいるだろう。醜く嫉妬する僕の心を。そうだと分かっていても君はあの男への感情を抑えようとはしない。
それどころかもしかしたらそれでも抑えているのかもしれない。僕や子がいないとしたらもっと大きな感情を以てあれと対峙するのかもしれない。
想像するも辛いが、そこは良い。仕方のないことだ。彼女もそのことで心が苦しんでいるはずだから責めることはできない。
僕が最も我慢できないのはあの男がこちらの感情を知らないことだ。オヴェリアの心についてはともかく、こちらは自信を以てはっきりと言い切れる。あの男の心の中に僕はいない。
あの初対面の時ですら、無神経な態度で接してきたあの男が僕の心がどうとか思うはずもない。
僕があの男を憎んだところとて独り相撲であり虚しいこと。
そこが、気に喰わない。
こんなにもお前のせいで情調が乱され妻の心の闇で苦しみながらも、努めて表には出さずに生活をしている僕のことをあれは一切合切も気にしていないということ!
「オヴェリアちゃんはディータのことを愛していると思うけど」
心の中であいつのいつもの声が聞こえてくる。そうだとも僕はそこは疑っていない。
だが疑う時がある、それがお前との時のことだといくら説明してもあいつは要領を得ない言葉を返してくるはずだ。
鈍いというか馬鹿というか間抜けというか、だからホリンにアグ殿を取られるんだよ!
と言い返したらさぞかし愉快だろうが、僕はそういうことはしない。
お前とは同じ土俵には降りない。お前の愚かさには付き合うものか!
ああ願わくばお前がどこか遠くで戦死してくれればいいのだが二度と妻と会わなければいいのだが、しかしそうはいかずに戦いは続いていく。
長引いた戦争もついに終盤へと入った。決戦は懐かしの魔王城。妻は戦いの準備をしていた。
だがそこにはいつもと違う暗い陰が射していた。
もう、決着なのだ。あれとの戦いに遭遇した場合には後退はない。どちらかが倒れるまで、倒されるまでやり合う戦いとなる。
魔王側の主力戦士は一人たりとも残さない、これが解放軍の方針ということを妻は承知している。
本人も宣言をした。次こそは魔戦士を打倒する、と。それは魔王との戦いのひとつの終わりとなる。
御子息と主力が魔王と戦い剣星は魔戦士と戦う。
最後に残るであろうこの二大戦力を倒せばもう戦いは終わる。だがどちらかが生き残れば終戦宣言は出せない。
よって妻があの男を殺す。つまり愛するものを殺すのだ。僕はそれを知っている。僕だけがそれを知っている。
彼女にこのことを尋ねてもそうではないと言うだろう。彼を楽にするのだともいうかもしれない。
それが本心で無いことは僕には分かる。僕を相手にしているからそう言うのである。
そして僕はそれを喜べばいい。真に喜びもう終わったと言って妻を抱きしめればいい。
そうすれば新しい日々が、あれがいない僕が望んでいた時が訪れる。そして僕たち二人は……共に……想像の中の妻が泣いている。
オヴェリアは悲し気な心をしている。表情は微笑んでいるし明かるい、だが違う、伝わってくる。彼女が遠いところに行った感じがする。
僕がそう感じているのなら、そうなのだ。それぐらい僕には分かる、分からなければならない。
だから僕は以前考えていたことを決行することとする。僕は魔戦士戦の妻へのサポート役として戦闘を支えている。
もう既に魔戦士の力は異次元な奇跡の段階へと入り、剣星オヴェリアの力を上回るようになっている。
単純な物理戦では誰も対抗不能となりつつある。前回であの強さなら今回は更に強くなっているだろう。僕のサポート魔法をフル稼働すれば互角となり、なんとか勝てるようには目算はできている。
そしてこれは考えたくはないが、今までしていたであろう妻の手加減も無くなる。あと一歩という壁をこの戦いで彼女は乗り越えていく。
その手を愛するものの血で染める彼女を僕は傍観するのか? 彼女が望むとしてもそれは……と僕は決心して一冊の魔術書を開く。
これはかつて龍殺しの里とも呼ばれたザクにおける伝説というよりかは、神話の時代の話といったほうが近いものだがそこにはあったのだ。
それは神を殺す呪文、いやそうではない、神を縛る呪文、封印の呪文、ひいてはこうだ、龍をも封印する呪文、つまりは禁呪だ。
と言ったきり僕はそれ以上は動かない。動いてはならない。
頭のなかは怒りで爆発しそうなので、息を止めどうにかこうにかして堪えた。息を止めれば感情はそこで留まる。
それにしてもだ。君がそう思わなくても、実際にそうなっている。あの状況的にそれ以外に、ない。あるはずがないんだ。
どうして君はそこを認めずそれどころか、庇うのだ? あれが君を襲い掛かってきているというのに、君を殺しに来ているのに、なにが私はそうは思いません、だ。
夫に対して妻自身が自分を殺しに来るものを庇うとか理解の範囲を超越している。
なんだこの文章は頭が痛くなる。
君は聡明かつ理智的であるのに、このことになると信じられないほど愚かになるのはどうしてだ? 子供のように幼児返りしてしまう。言い過ぎだとしたら十五の小娘に返ってしまう。
それはもしかしてあの男に対しての愛なのか?
愛する男のことなら何でも庇う馬鹿な女みたいなことを君が僕にしているというのか。
こういったあらゆる種類の激怒から生まれた疑惑と罵倒が頭の中に渦巻いていると、いつのまにか妻は立ち上がっており彼女が僕を見上げている。
美しい翠色の瞳が涙で濡れ、光をそこに留めており僕はそれを見つめる。
「私のことを心配して下さり、感謝します。その怒り、理解しています。私が危険なことを敢えてしていることに我慢ならないということですね。ごめんなさい、でも許してください。このことは私にどうかお任せしてください」
あまりに珍しい妻の懇願に僕は憐れさを催し、心の底からあの男のことが憎らしくなる。
そうだ彼女は加害者ではなく明らかに被害者側なのだ、これを忘れてはならない。
ここまで僕の妻を苦しめるとは、まさにこの世に生まれてきた最大の悪といっても過言ではないかもしれない。
魔王が災厄といったものならアーダンは人災といったものだ。
僕は妻の哀しさや苦しくさに胸が痛くなり抱きしめた。妻も反応し抱き返しひとまず安堵するが、この先が心配だ。
あの男が現れると彼女は忌々しいことに嬉々として戦いに挑みに行く。誰にも邪魔されたくない二人きりの時間のようだ。
これを無理に押し止めてしまうと口論というか、しまいには力づくとなることは目に見えている。彼女はこの件に関しては自分の意思を絶対に貫き通すだろう。
心配は尽きないどころかある日彼女は深手を負い戻ってきた。あの男も同様のダメージを負わせ撃退したとのことだ。そしてすぐに失神した。
僕は最大限の治癒魔法を用いて治療にあたったがあることに注意を向けていた。
朦朧とした彼女からのうわ言に対して耳を傾けた。どうか一言でも恨み言でも、呪詛でも、もう辞めたいとでもいった言葉を僕は聞きたかった。
君の中の本音を、そうであって欲しいという僕の願望を、どうか言ってくれと注意を払っていると、
ひとこと言葉が漏れた。
「強く、なりましたね……」
何を喜んでいるんだなにを! と僕の手は震え、頭に血が昇る。これは稽古ではなく殺し合いなんだぞ! いつまで君はそこにいるんだ!
彼女はこの一点に限ってはどこまでもいつまでも時が止ったかのように、現実を見ないようにしているかのように、あの頃に留まっている。
この僕達の生活は二人から三人へと生活が日々変化してもそこだけは変わらなかった。
あたかもそれは僕が始めてあの男と出会った日の君の奇妙な反応の時と同じように。
君はあの男を忘れていない。
たとえ日々の生活の忙しさからその存在が薄らいでも、襲来と共に甦る。
僕もあの男のことが忘れられない。妻を通じて忘れられないという関係なのだ。
僕のこの心を妻はうっすらとでも分かってはいるだろう。醜く嫉妬する僕の心を。そうだと分かっていても君はあの男への感情を抑えようとはしない。
それどころかもしかしたらそれでも抑えているのかもしれない。僕や子がいないとしたらもっと大きな感情を以てあれと対峙するのかもしれない。
想像するも辛いが、そこは良い。仕方のないことだ。彼女もそのことで心が苦しんでいるはずだから責めることはできない。
僕が最も我慢できないのはあの男がこちらの感情を知らないことだ。オヴェリアの心についてはともかく、こちらは自信を以てはっきりと言い切れる。あの男の心の中に僕はいない。
あの初対面の時ですら、無神経な態度で接してきたあの男が僕の心がどうとか思うはずもない。
僕があの男を憎んだところとて独り相撲であり虚しいこと。
そこが、気に喰わない。
こんなにもお前のせいで情調が乱され妻の心の闇で苦しみながらも、努めて表には出さずに生活をしている僕のことをあれは一切合切も気にしていないということ!
「オヴェリアちゃんはディータのことを愛していると思うけど」
心の中であいつのいつもの声が聞こえてくる。そうだとも僕はそこは疑っていない。
だが疑う時がある、それがお前との時のことだといくら説明してもあいつは要領を得ない言葉を返してくるはずだ。
鈍いというか馬鹿というか間抜けというか、だからホリンにアグ殿を取られるんだよ!
と言い返したらさぞかし愉快だろうが、僕はそういうことはしない。
お前とは同じ土俵には降りない。お前の愚かさには付き合うものか!
ああ願わくばお前がどこか遠くで戦死してくれればいいのだが二度と妻と会わなければいいのだが、しかしそうはいかずに戦いは続いていく。
長引いた戦争もついに終盤へと入った。決戦は懐かしの魔王城。妻は戦いの準備をしていた。
だがそこにはいつもと違う暗い陰が射していた。
もう、決着なのだ。あれとの戦いに遭遇した場合には後退はない。どちらかが倒れるまで、倒されるまでやり合う戦いとなる。
魔王側の主力戦士は一人たりとも残さない、これが解放軍の方針ということを妻は承知している。
本人も宣言をした。次こそは魔戦士を打倒する、と。それは魔王との戦いのひとつの終わりとなる。
御子息と主力が魔王と戦い剣星は魔戦士と戦う。
最後に残るであろうこの二大戦力を倒せばもう戦いは終わる。だがどちらかが生き残れば終戦宣言は出せない。
よって妻があの男を殺す。つまり愛するものを殺すのだ。僕はそれを知っている。僕だけがそれを知っている。
彼女にこのことを尋ねてもそうではないと言うだろう。彼を楽にするのだともいうかもしれない。
それが本心で無いことは僕には分かる。僕を相手にしているからそう言うのである。
そして僕はそれを喜べばいい。真に喜びもう終わったと言って妻を抱きしめればいい。
そうすれば新しい日々が、あれがいない僕が望んでいた時が訪れる。そして僕たち二人は……共に……想像の中の妻が泣いている。
オヴェリアは悲し気な心をしている。表情は微笑んでいるし明かるい、だが違う、伝わってくる。彼女が遠いところに行った感じがする。
僕がそう感じているのなら、そうなのだ。それぐらい僕には分かる、分からなければならない。
だから僕は以前考えていたことを決行することとする。僕は魔戦士戦の妻へのサポート役として戦闘を支えている。
もう既に魔戦士の力は異次元な奇跡の段階へと入り、剣星オヴェリアの力を上回るようになっている。
単純な物理戦では誰も対抗不能となりつつある。前回であの強さなら今回は更に強くなっているだろう。僕のサポート魔法をフル稼働すれば互角となり、なんとか勝てるようには目算はできている。
そしてこれは考えたくはないが、今までしていたであろう妻の手加減も無くなる。あと一歩という壁をこの戦いで彼女は乗り越えていく。
その手を愛するものの血で染める彼女を僕は傍観するのか? 彼女が望むとしてもそれは……と僕は決心して一冊の魔術書を開く。
これはかつて龍殺しの里とも呼ばれたザクにおける伝説というよりかは、神話の時代の話といったほうが近いものだがそこにはあったのだ。
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