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忍者兄妹対決 (シノブ52)
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全力で以って駆けて跳び回れるこの喜び! 快楽の心地のなかにシノブはいたが状況は苦境そのもの。
兄が追ってきている。そのあとも里の忍者が自分を追いかけてきている。しかも、だ。いまの自分はコンデションがまだ本調子ではない。七分程度であり、それは兄と互角または劣っている。
そんなことは分かっていた。こんなことになるのは分かっていた。分かっているがやらずにはいられない、さっきのあれはまさにそうであった。自分を止めて捕まえると宣言したアカイへの絶縁状とも言えるクナイの投擲。
二発とも眉間を狙ったものであり、兄とカオリさんの邪魔がなければ確実に刺さり、皮膚を貫き肉を裂き刃は命にまで届いていただろう。私はアカイの命を奪い取り死を掴んでいたはずだ。
だがいつものようにいかずに見抜かれ、こうして追われている状況に陥った。それでも今の自分には悔いはないどころか帰って清々しささえあった。
自分はアカイを、切ったのだと。今までできなかったことができた。やりたかったことがついにできた。私は、アカイを、捨てた。これである、さっきのあれはこれなのである。
次も私はアカイを殺しに掛かれる。次は確実に殺せる。出来ないはずがない。この私に出来ないはずがない。そうだよあいつは私が自分のことを殺さないと思っているはずだ。だからあんな私を舐めた態度をとれるわけだ。
後悔させてやる。そうだアカイを殺し王子と結ばれる。これが私の生きる道であり最善なる人生哉!
「止れ、シノブ!」
追付かれたかとシノブは振り返りつつそれからクナイと投げた。外れるもそれは牽制のためであり、目的はスレイヤーを反射的に跳躍させるため。そうであるからシノブはここで懐から爆弾を取り出し地面に叩きつけた。
「煙玉か!」
その通り、これは煙玉であり四方八方は煙に包まれ着地したスレイヤーは防御を固め警戒態勢に入った。煙幕が張られ視界が防がれた以上安易に動くことはできない。シノブは攻撃に来るかそれとも逃走に入るか。あいつならここは……
「アカイを仲間に入れられてよかったね兄さん」
会話で来た!? とスレイヤーは困惑する。シノブのパターンにはない三つめのものだ。さっきからアカイが絡むとシノブは不思議な行動をとるのだとスレイヤーは不気味がった。
「仲間というか協力してもらっている。なにせあの人はお前に騙されているのだからな」
「……そうね私は騙していたわよ。利用していたわけよ」
「開き直りやがって。そんなことは許されるのか?」
「だったらアカイの行動は許されるものなの?」
何故こんな無駄口を? とスレイヤーは思うもこれは好機と捉えた。煙玉の効果が消えるまで粘れたら。どんな手を使ってもこれを有効活用するべきだ。
「なにを言っているんだ? とにかくもうこれ以上動くな。城に行っても無駄だ。あちらは人でもう固めているしアカイ殿もそこへ向かっている。お前を行かせないためにな」
空気が変わったとスレイヤーは感じ取った。シノブから言い様もない妙な雰囲気が伝わってくる。その意味をスレイヤーは知らない。彼はそういう人間なのである。
「兄さんはアカイを過大評価しているけどあいつは全然駄目な奴だよ。弱くて情けなくて惨めで信用の出来ない最低の男だ。名前を口に出しただけで反吐が出るよ」
シノブの言葉にスレイヤーの頭に血が昇る。いままで散々騙した癖によくもそんな口が利けるものだと。
「黙れ。お前こそ最低だ! いまのお前のことなど信頼するものなどいない。明白に、敵だ」
「……そうだよね。分かっているよ、それが、アカイの言葉だってことがね」
「いや、それは」
そうではないと言いかける直前にスレイヤーは煙幕の揺れに反射的に身を翻す。姿は見えねど勘が働きシノブが飛び込んで来たことを感じた。まさか接近戦を!? まだ本調子ではないうえに相手がこの自分だというのに? 格闘戦なら多少分が悪い戦力差だというのに!
普段のシノブでは考えられない行動にスレイヤーはなおも困惑するもやはりこれも好都合とも思った。ここで制圧し捕獲できたら万事解決。自分の手でそれができたらなお良い。
殺気が身体を突き抜けた。来るぞ! とスレイヤーは煙のなかで構え、それから見えない衝撃に対し体を捌き、技を掛けにでた。襟首を捕え地面に叩き付け制圧するその体術の動きに出るも、手に掴んだのは服のみ。
中身というべき身体は無く服を掛けた木のみのまさに抜け殻のごときもの。まさに空蝉身代わりの術! ここで術を! いや術を使えるほど回復しているとは! つまりこの煙幕の役目はこの手を打つための準備のために!
スレイヤーは刹那に三度驚く間に背後から抱きしめられたその感触。紛れもなく肉親のそれ、馴染み深い妹のシノブの腕!
「起きたらアカイに伝えといて。裏切り者のお前を殺すって」
アカイ殿は裏切ってなどいないと思うと同時にスレイヤーはシノブの雄叫びを聞きながらバックドロップを喰らい闇に落ちた。
兄が追ってきている。そのあとも里の忍者が自分を追いかけてきている。しかも、だ。いまの自分はコンデションがまだ本調子ではない。七分程度であり、それは兄と互角または劣っている。
そんなことは分かっていた。こんなことになるのは分かっていた。分かっているがやらずにはいられない、さっきのあれはまさにそうであった。自分を止めて捕まえると宣言したアカイへの絶縁状とも言えるクナイの投擲。
二発とも眉間を狙ったものであり、兄とカオリさんの邪魔がなければ確実に刺さり、皮膚を貫き肉を裂き刃は命にまで届いていただろう。私はアカイの命を奪い取り死を掴んでいたはずだ。
だがいつものようにいかずに見抜かれ、こうして追われている状況に陥った。それでも今の自分には悔いはないどころか帰って清々しささえあった。
自分はアカイを、切ったのだと。今までできなかったことができた。やりたかったことがついにできた。私は、アカイを、捨てた。これである、さっきのあれはこれなのである。
次も私はアカイを殺しに掛かれる。次は確実に殺せる。出来ないはずがない。この私に出来ないはずがない。そうだよあいつは私が自分のことを殺さないと思っているはずだ。だからあんな私を舐めた態度をとれるわけだ。
後悔させてやる。そうだアカイを殺し王子と結ばれる。これが私の生きる道であり最善なる人生哉!
「止れ、シノブ!」
追付かれたかとシノブは振り返りつつそれからクナイと投げた。外れるもそれは牽制のためであり、目的はスレイヤーを反射的に跳躍させるため。そうであるからシノブはここで懐から爆弾を取り出し地面に叩きつけた。
「煙玉か!」
その通り、これは煙玉であり四方八方は煙に包まれ着地したスレイヤーは防御を固め警戒態勢に入った。煙幕が張られ視界が防がれた以上安易に動くことはできない。シノブは攻撃に来るかそれとも逃走に入るか。あいつならここは……
「アカイを仲間に入れられてよかったね兄さん」
会話で来た!? とスレイヤーは困惑する。シノブのパターンにはない三つめのものだ。さっきからアカイが絡むとシノブは不思議な行動をとるのだとスレイヤーは不気味がった。
「仲間というか協力してもらっている。なにせあの人はお前に騙されているのだからな」
「……そうね私は騙していたわよ。利用していたわけよ」
「開き直りやがって。そんなことは許されるのか?」
「だったらアカイの行動は許されるものなの?」
何故こんな無駄口を? とスレイヤーは思うもこれは好機と捉えた。煙玉の効果が消えるまで粘れたら。どんな手を使ってもこれを有効活用するべきだ。
「なにを言っているんだ? とにかくもうこれ以上動くな。城に行っても無駄だ。あちらは人でもう固めているしアカイ殿もそこへ向かっている。お前を行かせないためにな」
空気が変わったとスレイヤーは感じ取った。シノブから言い様もない妙な雰囲気が伝わってくる。その意味をスレイヤーは知らない。彼はそういう人間なのである。
「兄さんはアカイを過大評価しているけどあいつは全然駄目な奴だよ。弱くて情けなくて惨めで信用の出来ない最低の男だ。名前を口に出しただけで反吐が出るよ」
シノブの言葉にスレイヤーの頭に血が昇る。いままで散々騙した癖によくもそんな口が利けるものだと。
「黙れ。お前こそ最低だ! いまのお前のことなど信頼するものなどいない。明白に、敵だ」
「……そうだよね。分かっているよ、それが、アカイの言葉だってことがね」
「いや、それは」
そうではないと言いかける直前にスレイヤーは煙幕の揺れに反射的に身を翻す。姿は見えねど勘が働きシノブが飛び込んで来たことを感じた。まさか接近戦を!? まだ本調子ではないうえに相手がこの自分だというのに? 格闘戦なら多少分が悪い戦力差だというのに!
普段のシノブでは考えられない行動にスレイヤーはなおも困惑するもやはりこれも好都合とも思った。ここで制圧し捕獲できたら万事解決。自分の手でそれができたらなお良い。
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スレイヤーは刹那に三度驚く間に背後から抱きしめられたその感触。紛れもなく肉親のそれ、馴染み深い妹のシノブの腕!
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