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封印の時 (シノブ57)
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その時、シノブはアカイの身体から炎が浮き上がるのを見た。見覚えのある、いつも見ていた彼の炎の色。アカイの炎。
それは火の玉となり、凄まじい勢いで飛んで行く。
スレイヤーの水牢の術を突破したボウギャックが、自分の娘と闘っている大臣夫人が、ボウギャックの反応に釣られ振り返るスレイヤーが、ただならぬ気配を察知し攻撃をやめたマチョが、部屋から王子を連れ出し必死の介抱を続けていたカオリが、その場にいた全てのものが、見た。翼を広げた鳥のような炎を。
進む先は息絶えた王子の屍のもと、炎はその屍を包み込みながらの中へと入るやいなや、その身体を宙に浮かすとその両の眼は開き目覚め輝きをその身にまとい王子は復活した。
「王子!」
マチョは叫んだ。
「アカイ!」
シノブも同時に叫ぶ。
「そんな馬鹿な! お前はもう死んでいたはずでは!」
大臣夫人は悲鳴を上げるもすぐに跪いた。
「かっ身体が……」
王子は掌を敵である大臣夫人とボウギャックの二人に向けた。すると封印が解かれたために強靭さで膨らんでいたボウギャックの身体が萎みだし呻き声をあげた。
「そこまでだ叛逆者二人よ。お前たちの負けだ」
輝きと炎の闘気で以って宙に浮かびながら近づいてくる王子に対し、夫人と王となるはずだったものはわめくことしかできない。封印の時が再起動されたからである。
「なぜこんなことに! 私達の計画は成功していたのよ」
「俺はお前に勝ったはずなのに……なぜだ!」
跪くもなおも逆らう二人に向かい王子は答える。
「そうだ余はお前たちの陰謀によって紛れもなく敗れた。封印は解かれこの世界に滅亡が迫ろうとなどとは不徳の極みだ。だがしかしお前たちは敗れる。それは余によってではなく、まずはあの余の后となるマチョによって」
「王子……」
マチョも跪き頭を垂れた。
「そして余の警護をし献身の限りを尽くしてくれたシノブによって」
「王子……」
シノブもまた頭を垂れた。
「そして最後は……余に炎を授けてくれた救世主によってな」
「アカイ……」
シノブはその名を口にし床を叩いた。
「終わりにする。この炎によってな」
王子の掌に炎が集まりだした。大臣夫人が慄き身動きが取れないながらもボウギャックは前に出た。だがその動きはさっきのまでに比べあまりにも遅くそして弱々しかった。
「終わりだ。俺の炎によって眠りにつくが良い。安心しろ。マチョによってお前たちの一族の新たな歴史が始まるのだからな」
抗う言葉を叫ばれる前に王子は炎を放ち二人は炎によって包まれ、そのまま消滅した。
「シノブよ。余に教えよ」
二人を炎によって始末した王子がシノブに近寄り説明を求めてきた。
「この炎を地上にもたらしたこの救世主は誰だ? 名は?」
救世主? とシノブはその聞き慣れた言葉に現実感が湧かなかった。でも事実そうなのだ。そうかこの人は本当に救世主だったのだ。私が連れてきた人がそれであるのなら、私の使命とはつまり……救世主を王子を引き合わせることであった。アカイの屍を抱えたままシノブは王子を見上げながら答えた。
「はい王子。この人の名はアカイと申しまして私の……」
それ以上言えずシノブの言葉は詰まり涙が溢れてくるのを王子は返事と受け取り頷き、そして膝を屈した。
「余にとっての恩人いや世界の救世主である。よくぞここまで導いてくれた。このままにしてはおけん」
そう言うと王子はアカイの胸に掌をあてるやその屍は光に覆われた。
それは火の玉となり、凄まじい勢いで飛んで行く。
スレイヤーの水牢の術を突破したボウギャックが、自分の娘と闘っている大臣夫人が、ボウギャックの反応に釣られ振り返るスレイヤーが、ただならぬ気配を察知し攻撃をやめたマチョが、部屋から王子を連れ出し必死の介抱を続けていたカオリが、その場にいた全てのものが、見た。翼を広げた鳥のような炎を。
進む先は息絶えた王子の屍のもと、炎はその屍を包み込みながらの中へと入るやいなや、その身体を宙に浮かすとその両の眼は開き目覚め輝きをその身にまとい王子は復活した。
「王子!」
マチョは叫んだ。
「アカイ!」
シノブも同時に叫ぶ。
「そんな馬鹿な! お前はもう死んでいたはずでは!」
大臣夫人は悲鳴を上げるもすぐに跪いた。
「かっ身体が……」
王子は掌を敵である大臣夫人とボウギャックの二人に向けた。すると封印が解かれたために強靭さで膨らんでいたボウギャックの身体が萎みだし呻き声をあげた。
「そこまでだ叛逆者二人よ。お前たちの負けだ」
輝きと炎の闘気で以って宙に浮かびながら近づいてくる王子に対し、夫人と王となるはずだったものはわめくことしかできない。封印の時が再起動されたからである。
「なぜこんなことに! 私達の計画は成功していたのよ」
「俺はお前に勝ったはずなのに……なぜだ!」
跪くもなおも逆らう二人に向かい王子は答える。
「そうだ余はお前たちの陰謀によって紛れもなく敗れた。封印は解かれこの世界に滅亡が迫ろうとなどとは不徳の極みだ。だがしかしお前たちは敗れる。それは余によってではなく、まずはあの余の后となるマチョによって」
「王子……」
マチョも跪き頭を垂れた。
「そして余の警護をし献身の限りを尽くしてくれたシノブによって」
「王子……」
シノブもまた頭を垂れた。
「そして最後は……余に炎を授けてくれた救世主によってな」
「アカイ……」
シノブはその名を口にし床を叩いた。
「終わりにする。この炎によってな」
王子の掌に炎が集まりだした。大臣夫人が慄き身動きが取れないながらもボウギャックは前に出た。だがその動きはさっきのまでに比べあまりにも遅くそして弱々しかった。
「終わりだ。俺の炎によって眠りにつくが良い。安心しろ。マチョによってお前たちの一族の新たな歴史が始まるのだからな」
抗う言葉を叫ばれる前に王子は炎を放ち二人は炎によって包まれ、そのまま消滅した。
「シノブよ。余に教えよ」
二人を炎によって始末した王子がシノブに近寄り説明を求めてきた。
「この炎を地上にもたらしたこの救世主は誰だ? 名は?」
救世主? とシノブはその聞き慣れた言葉に現実感が湧かなかった。でも事実そうなのだ。そうかこの人は本当に救世主だったのだ。私が連れてきた人がそれであるのなら、私の使命とはつまり……救世主を王子を引き合わせることであった。アカイの屍を抱えたままシノブは王子を見上げながら答えた。
「はい王子。この人の名はアカイと申しまして私の……」
それ以上言えずシノブの言葉は詰まり涙が溢れてくるのを王子は返事と受け取り頷き、そして膝を屈した。
「余にとっての恩人いや世界の救世主である。よくぞここまで導いてくれた。このままにしてはおけん」
そう言うと王子はアカイの胸に掌をあてるやその屍は光に覆われた。
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