龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

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第一章 なぜ私であるのか

僕は龍の婿になるつもりです

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 その予想だにしない言葉に思考が停止しているジーナの耳元から口を離したルーゲンは唇に指を立て声を若干潜めた。

「これは僕たちだけの話ということでひとつ。軍紀が緩むといけないので上層部の間で内密という取り決めとなっておりますが、その見方が強いのです。龍身がこちら側にも現れたというのは中央としても想定外の出来事であり、あちらとしてはあらゆる手を使ってでもソグに侵攻し龍身様を討たなければなりませんでしたが、
結果はソグ山での敗退であり冬のソグ山という壁が現れました」

 ジーナは山を再び見上げる。確かにあの戦い以後、敵側が侵入してきたという話は皆無である。ルーゲンは続けた。

「こちら側は撃退によって春まで時間を得られ力を養うことが可能となり、一方の中央側は各地の制圧と反撃でさらに内乱が進み力が衰える一方となっているようです。加えてあの一戦を龍身様とソグ教団がおよそ数百年ぶりに両龍の真偽を巡る龍戦と宣言し中央も慌てて対抗宣言しました。これに勝利した意味は皆が思っているよりもはるかに大きいものです。各地の反中央勢力への宣伝効果は絶大となり、つまりそういうことです」

 道理で戦いの片づけが終わった後にどこか牧歌的な空気が上の方から漂ってくるのかと思ったが、そういうことだったのかとジーナは納得した。

 あの苦悩の種である龍の護衛役もその産物かと思うとジーナはこの平和が小憎くなった。乱れろよ平和。

「そういえばそんなことをバルツ将軍が言っていたような気がしますが、なにせこちらとしては、戦うことにまぁ必死でして、そんな意義のある一戦だったとは知らなかったですね」

 はっきりとそんな意義づけには興味が無いとは言えないものの、興味がないことがルーゲンに伝わったのか声がまた重く冷たく変わった。

「……これから話すことも信仰心のない君だからこそ話す意味はあるのだろう。みんなには説明しなくても分かるが君にだけは説明しないと。ソグ山の最終局面を覚えていますよね」

 忘れもしないその戦いの最終局面は大吹雪の中での追撃戦であったとジーナはその時に発した心の中の熱を思い出し胸に感じた。

 その前段階の迎撃からの追撃、その経緯の全てを最も前に出ていたから何もかもを覚えている。突撃してきた中央軍の軍勢に対して雪崩のような吹雪が襲い掛かり、バルツの呼号のもと自分を含め前線が一気に攻め上がり逆襲に転じ撃退に成功し、それがそのまま戦いの終わりとなったことを。

「あの突然の大吹雪ですが記録を調べたところかつても同様なことがあったとのことです。勘付いているでしょうがそう龍に関してのことです。前回と言いますか、かつて古の龍祖とソグ僧団が逃げている最中の山越えで追手を雪にて足を止めたという伝説があります。そのおかげでソグには龍の教団が出来たわけでして。しかも前回の記録は季節外れとって良いほどのタイミングで吹雪いたとのことで、これは今回の雪が例年より明らかに早いことと共通点がありますが、どうしてだと思います?」

 言わせたいことは分かってはいるが、ジーナは認めたくは無かったので無駄だと分かりながら無益な抵抗を試みた。

「偶然じゃないですかね」

「そうやって意固地を張るところが実に君らしい。分かっていて言っていることは分かっていますのでご安心を。もちろん偶然ではなく祈りが通じたということです。以前は龍の巫女であり今は龍となるものとなった龍身様によってです。吹雪は龍の力です。龍の始祖から伝わる御力がここで発揮されたわけです」

 そんな馬鹿なと言おうとするもジーナは止めた。言っても無駄であるしルーゲンが天を見上げてゆっくりと語りだしたからである。まるでどこかに届けるような語り方で、恍惚としながら。

「あの日、あの御方に龍が宿られたとは誰にも分かりもしませんでした。高熱による意識不明に陥り付き添っていたシオン嬢や女官らの必死の介護もあってか、次第に熱が下がり意識はまだ朦朧でありながらもあの御方はソグ僧らを一同に集めろと命ぜられ、まだ誰もが状況を理解できず困惑している中で、僕はその大きく変わったあの左側を見た瞬間に全てを察し得心致しましたね、あれは印であり龍がここに現れたのだと」

 語るうちにルーゲンは手を広げ掌に何かを乗せ天に捧げる動きをする。いったい何を捧げようとしているのか?

「龍身様、と僕は呼びかけ龍に対する礼の形を取りました。すると龍身様は微笑まれ頷かれました。僕は間違えてはいなかった。中央の龍は今はもう偽物に堕し倒されるべきものであり、本物の龍は中央に御戻りならなければならない。こう僕は悟り、跪きました。もちろん龍への礼にそして自らに架せられた使命に対して、です。僕の動きによって他のものたちもようやく悟り次々と跪き拝しますと、龍身様が宣言を為されたのです。自分は真の龍であり中央の龍を除けなければならないと。偽龍を討つのだ、と。ここから龍の護軍が誕生し今に至る、そういうことですね。それ以来龍身様もお変わりになられました。僕は元々ソグ王室をお相手に講義を担当しておりその役目は継続となりましたが、以前のあの御方はもとはそれほど勉学はお好きではありませんでした。しかし龍身様となられてからは熱心に勉学に励まれ、その頭脳の明晰さを日々発揮為されておられます」

 明晰って悪賢いってこと? とジーナは昨日のことを思いつつ、もし性格も良くなったと言ったらツッコミを自制できるかなとも心配しだした。

「龍となるものとしての自覚が変えたのでしょうね。以来必要な勉学をどのような時であっても可能な限りこなし、それが天へと通じ動かす力となるのです。日々の儀式も勉学の現れであり、あのソグ山の一戦も始祖以来の龍戦を宣言なされたため、龍身様が先頭に立ちソグ僧を率いてかつてない規模の儀式を戦いが始まる前夜から始め、終わるその夜まで挙行いたしましたが、龍身様は一度も中断することなくやり通し、吹雪が訪れた」

 手を広げあげていたルーゲンが語りは終わりだと告げるようにゆっくりと手を戻し、それからジーナを向きいつものような口調で話しかける。

「無論ソグ山の一戦は君たちが前線に立ち戦ったものたちの活躍のおかげで勝ったことは変わらない。君たちがいないなか雪がどれだけ吹いても敵を撃退したことにはならず勝利とはならなかっただろう。この話をわざわざ君に明かし語ったのには理由があるが、どうだろうジーナ君」

 そう問うルーゲンの表情は寂しげな笑顔のように見えた。伝わらないことは分かっているがそれで伝えないといけないものの表情。そうであるからジーナは若干妥協する。歩み寄る。

「御教授感謝します。必然性はどうであれ、そのような努力を私は否定するほど心は荒んではいませんよ」

 するとルーゲンはこちらが歩み寄った距離分明かる気な表情となり満足げに頷く。

「通じたというのなら良かった。君だったら龍を奇跡含めて全否定してもおかしくは無かったからね」

 ルーゲンは歩みを再開させジーナもそれに続く。龍を全否定する可能性……を考えジーナの心に緊張が走る。そんなことはいつものことであるのに。

 気が付くと眼の前が兵舎と僧院の分かれ道であった。いつの間にここまで来たのか?ルーゲンが笑った。

「失礼。君はいつもいつも僕の講義を半ば放心状態で寝落ちするのを必死で耐えながら聞いているのを見ているから、今回のように時間や距離を超えて夢中で聞いてくれたことは中々に感無量だよ」

「ほんとにすみません。いつも頑張っているのですがどうしても眠気が勝ってしまって。あっ他の僧ならはじめから完全に寝ていますので」

「全く擁護になっていませんよ。それはともかく今回の様子ではどうやら君も龍への信仰が芽生えだしたかもしれないね」

「歩きながらですから眠るわけにもいかなかっただけではないかと」

「どこまでも強情だ。賭けても良いですが君は次の講義では寝ないで僕の話を聞くことでしょう。」

「いやいや元から寝ていませんってば。目をつぶっただけでバルツ様から叱声が飛んできますからね。こんな具合に」

 ジーナはバルツの声真似をしルーゲンは笑い出した。その声真似は下手だと隊では評判だ。

「全然似ていないのがかえって面白いですね。まっそういうことで今回の講義は終了します。ではまた次回に、そちらは明日も頑張ってください」

「ありがとうございました。また来週に。明日は龍の護衛か……」

 憂鬱と共にジーナの脳裏にあれが甦った。先日の、あのことを思い出す。庭でルーゲンが現れた際に見せた、彼のあの顔を。

 思い出す必要なんてないのに……しかしあれはなんだったのか? 聞く必要はないとジーナは思うも逆にも考える……どうして聞けない?

 何故聞いてはならない?

 抑え込む? それは何かに対する明白な意思表示なのでは? 自分に対しても、または、相手に対しても。

 あの人と自分がいたことをあの人が見ていた……それだけ、それだけだが、そこにはどういったものがあるのだろう? ジーナは考えても分からないためにルーゲンを見る。するとそこにはあの日に見せた表情のルーゲンがいた。

「ジーナ君」

 知らない声が聞こえた。さっきまでのルーゲンのものとは思えない、その声。あの時と同じ声。

「唐突なことを言うかもしれないけれど、聞いて貰えませんか?」

 聞きたくないとジーナはまず思うも、だがなにを? と身体が強張り心が逆らった。自分はいったいなにをルーゲンの口から聞きたくないのだろうか? 思考が混乱に陥いるなかでとルーゲンの瞳が射抜いてきた。

 普段は澄み切った灰色の美しさを湛えているというに、今は暗い色で濁らせている。曇り空を思わせるその色は昨日とまるで同じであった。ただ違うのは……ジーナは考えないようにした。今考えたら駄目だ。ルーゲンに見られてしまう。

 隠して守らなければ……だが、なにをだ?

「ジーナ君、聞いてください」

 闇を孕んだ瞳の鈍光には痛みすら感じられた。まるで白日の下に晒されその前ではなにひとつとして隠し通せるものがないと感じるほどの力がそこにあった。

 左右で大きさが異なる歪な眼が、言った。

「僕はですね……龍の婿になるつもりなのです」

 言葉を聞くやいなやジーナの身体はどうしてか軽くなり気が落ち着き無意識のまま答えた。

「はい。師なら問題なくその役を果たすことができますでしょう。そういえばこの前に出会った女官の人もそれを望んでいましたよ」

 ハイネのことを頭の中で思い浮かべながら言うとルーゲンは少し間を置いてから首を振った。

「女官の意見はいいのです。僕がここで知りたかったのは……いやなんでもない」

 ルーゲンの表情はあの陰のあるものから徐々に晴れていき、いつもの自分が知っている表情へと変わり、戻っていく。

「なんでもないのです。ただそれを伝えたかっただけです。ではさようなら今日は楽しかったですよ」

 歩き出したルーゲンは振り返らず遠ざかって行く。私も楽しかったです、とジーナは思うも返事をしなかった、不思議とできなかった。

 その背中を見ながらジーナはいつものことを考える。あの人は何故私に好意的なのだろう?こんなに反対な存在であるのに。そして私はルーゲン師といることに苦しさを覚えないのはどうしてなのか。

 龍の僧であり龍身に最も近くそのうえ龍の婿になると告げてきた男が傍にいても少しも不快感を覚えない。

 それにひきかえあっちの場合は心臓の鼓動が聞こえるぐらい血と心がかき乱され抑え難く黒い何かが奥底から湧くというのに。

 龍とは違うものであるから? そうかもしれないが、それを言うのならまだあちらは、龍というものにまだなっていない。

 そうだというのに心の動悸が収まらなくなるのは……心臓の音を思い出すとジーナはふと思いついた。もしかしてルーゲン師は私の心臓の音に、耳を澄ませていたのではないかと。その音が既に返事となったのでは?

 もしもあの告白に大きな反応を示していたら……しかしジーナは首を捻る。それがどうだというのだろうか、と。

 なにもわからない。
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