28 / 313
第一章 なぜ私であるのか
どうして嘘をつくのですか?
しおりを挟む
「散歩といいますと、私見ちゃったんですよ」
二つのことにジーナはビックリする。一つ目は外に出て森の園路に引っ張っていくと、ここまで口を利かなかったハイネが口を開いたこと。それだけではなく声もさっきまでとはまるで違い明るく楽しげな声であったこと。
そして二つ目の見ちゃったとは、いったい何を見たんだ? なにを? とジーナは聞き返せず無言で歩き続ける。ハイネもまた無言になり歩いている……何故無言になる? 疑問を抱くもジーナはそれすら聞けず、考える。
もしかして見ちゃったのはあの日のあれであり、この人は自分を糾弾しに来たのでは? だから無言でこちらの出方を伺っているのでは?
この無言は私はあなたの罪を知っていますよ、とハイネがそう言っているような気がした。
それは思い込みだともジーナは自身の空想に
反論しだす。お前の話ではないかもしれないしお前は普通に聞き返せばいいだけの話だ。
それを勝手に変な話に繋げてあの行為にやましさでもあったというのか? そう、やましさ。あるわけがない、とジーナはあの日のことを思い出す。嫌々行ったあの散歩のことを。あれが、罪なはずがない。
そうだとしたらこの自分の無言はいったいになんなんだろう? またそこに帰ってきた。
この人が何もかもを知っているのだとしたら、さっき悪口を言われたことに対する復讐であり私とヘイム様が一緒に歩いていたことをばらして破滅させる腹積もりで……
だからやめろそこまで深く考えるな。見たのは違うものの可能性があるしお前の話題でないかもしれない。そもそもこんな真面目そうで邪な考えなど抱いてなさそうな清らかな雰囲気の人がそんなことを……するかもしれないな。これまで会話した感じから、うん。
ジーナの思考は混沌の渦に嵌ったものの、意を決しあのことは罪ではない! と心中思いながらハイネの方に顔を向けると、目が合った。
いつからこっちを向いていたんだ? とジーナは思いながらもその朱色に光る瞳に向かって問う。
「見ちゃったって、なにを?」
聞くやいなやハイネは緊張が解けたからのように笑い出した。
「なにを言いだすのかと思いきや、いまさらそこですか? おっそいですよその反応。ああ面白い。でも良かったです。私の話に興味を持っていただけて。私と話すのがちょっとなのかと心配していましたから」
「その、そうだ、まずそこから整理しよう。あのちょっとというのはハイネさんといると考えることが多くなって、中々苦しくなってしまって」
「やだ自意識過剰じゃないですか。見た目から全然そんな感じじゃないのに。いつもそうなのですか?」
「まさか。ハイネさんとかヘイ…………いや、特定の人といる時に普段は考えもしないことで頭を患うことがあって。これはハイネさんがという問題じゃなくてこちらの問題だからどうか気にしないでもらいたい」
「ふーん。でも要するにそれって私といると疲れると言っているわけですよね? つまり私に原因があると言いたいわけですよね」
「……そうかもしれない」
呟くとハイネが苦笑いする。
「そうじゃないよとか違う、とか言わないんですね」
「何が原因か分からないからとりあえずハイネさん自身がその原因の候補者ということで。あなたといると余計なことばかり考えて仕方がない」
「人のせいにしちゃって。そんな言いにくいことがはっきりと言えるのに、私といると辛いとかっていったいどういうことやら。そんなに私といるのが嫌というのなら帰りますよ……もう二度と口は利きませんから」
「それは嫌だ」
ジーナは自分の今の言葉に声に驚き足を止めるとハイネは目を見開いたまま足を止めた。二人はそのまま無意識に見つめ合っていたが、ハイネが先に顔を逸らして不機嫌そうに早口で言った。
「そんなことするわけないじゃないですか。ああもういいです。私がちょっとかなんていう言い訳の話はそれで、いいです。もう蒸し返さないでくださいよ。同僚間で感情的に揉めたら仕事に支障が出て面倒なことになるのですから、やめましょう。そういうの嫌いなので」
と言い切り歩き出したのでジーナも慌てて歩き出すとハイネは素早く口を開き話し出す。
「話を戻しまして、見ちゃったんですよ。と私は言ったわけでしたが、さて、私はいったいなにを見たでしょうか?」
これは鎌を掛けているのか単純なクイズか?ジーナはまた思考に苦しむ。
すぐに返せ、すぐ返事しろ、そう、自分のこと以外で! っとジーナは自らに命令し答えた。
「ふーむルーゲン師を庭で目撃したという類のことかな」
「すごいジーナさん! よく分かりましたねどうしてそう思いました?」
「いやハイネさんはこの前ルーゲン師のことについて話してくれたし、私に対して言うのならそれだと思うのがまず順当なところじゃないかな」
今日の自分はいつもと違って賢いなと思いながら答えるとハイネは明るい表情をした。正解のようだ、良かった。
「そうなんですよ。ここが人気のない森の小道で良かった。話が漏れて他人に噂が広がったら良くありませんのでここだけの話にしましょうね。そう、私、見ちゃったのです。これについての目撃者は間違いなくあのタイミングで一人だけ廊下を歩きふと庭を見た私だけなのでしょう。なんとですね龍身様ことヘイム様がですね、歩いていたのです」
ルーゲンとルーゲンとルーゲンとジーナは念じながらハイネの言葉の続きを待つ。
来ない。ハイネは溜めている。その顔を見ると呼吸も止めている。もしかしてあなたとです、とでも言いたいのか? それともそれを言わせたいのか? 気づけば自分も呼吸を忘れてその唇を見る。固く閉じたままの唇。開かないなら指で広げる必要があるのかなと思っていると動き出した。時でも、止まっていたのであろうか。
「予想通りルーゲン師とですよ。私達の努力が報われました頑張った甲斐がありましたね」
安堵の息を心中で吐きつつジーナは深々と頷いた。遠目で見たから私だと分からなかったのだろう。
それでいいしそれが望ましい。よってこれは彼女のために隠しておかなければなるまい、とジーナは改めて決意する。
「本当に良かった。大成功といって良いな。どんな様子だった」
「はい。ルーゲン師がヘイム様の右手を恭しく手にとりゆっくりと歩いておりました。私はその時小走りでしたし急いでいたので足を止めて凝視するわけにもいかずに見て見ぬふりをしながら通り過ぎましたが、決して忘れられない場面でしたね。今も目に焼き付いています。あれこそが将来のお二人の御姿であって、私は記念すべきそのワンシーンをはじめて見たものかもしれませんね」
そうかそうかとジーナはハイネの興奮した口調に相づちをうつも、心の隅でなにか嫌なものを感じた。
はじめて感じるようななにか知らないものがそこにあるような気がした。
「さぞかし美しい光景だったことだろうな」
自分の声のおかしさを聞きながらジーナは言った。
「忘れらないものとなりますよ。ルーゲン師も儀式用の正装でのお越しでしたしね。とても素敵で」
「それはいいものだ」
心の何かを抑えつけながらジーナは言葉を出していた。落ち着け。その意味不明な感情を抑えろ。いま自分が何であるのかを踏まえて言葉を出せ、と。
「そんなにいいものだったら私も是非とも見たかったな」
「ふふふふっ」
我ながら自然に上手く言えたなと思うとハイネも気持ちよさそうに笑い声を立てたのでジーナは安心した。
これで終わりだ。おしまい。そうやって勘違いしてください。ちょっとの失言も目撃者というのもこれで解決、とジーナは苦労したがこれで良かったと気を楽にしていると、ハイネがちょっとだけこちらに寄ってきたのが分かり見ると目がまた合い、光った。
「ねぇジーナさんはその時に、どこにいたのですか?」
衝撃が身体を貫き通り抜けるとジーナは停止しハイネの赤い瞳が色濃くさながら燃え上がっていく変化をただ見続けた。負けるな、とジーナは思い崩れずに踏み止まる。
「帰ったんだ」
「ヘイム様を置いて帰るなんて、あなたがするはずないじゃないですか」
ハイネの髪がその黒が風になびき揺らめき、ハイネの瞳と唇がその朱が開き光り微笑み歪み喰らう。
「どうして嘘をつくのですか?」
二つのことにジーナはビックリする。一つ目は外に出て森の園路に引っ張っていくと、ここまで口を利かなかったハイネが口を開いたこと。それだけではなく声もさっきまでとはまるで違い明るく楽しげな声であったこと。
そして二つ目の見ちゃったとは、いったい何を見たんだ? なにを? とジーナは聞き返せず無言で歩き続ける。ハイネもまた無言になり歩いている……何故無言になる? 疑問を抱くもジーナはそれすら聞けず、考える。
もしかして見ちゃったのはあの日のあれであり、この人は自分を糾弾しに来たのでは? だから無言でこちらの出方を伺っているのでは?
この無言は私はあなたの罪を知っていますよ、とハイネがそう言っているような気がした。
それは思い込みだともジーナは自身の空想に
反論しだす。お前の話ではないかもしれないしお前は普通に聞き返せばいいだけの話だ。
それを勝手に変な話に繋げてあの行為にやましさでもあったというのか? そう、やましさ。あるわけがない、とジーナはあの日のことを思い出す。嫌々行ったあの散歩のことを。あれが、罪なはずがない。
そうだとしたらこの自分の無言はいったいになんなんだろう? またそこに帰ってきた。
この人が何もかもを知っているのだとしたら、さっき悪口を言われたことに対する復讐であり私とヘイム様が一緒に歩いていたことをばらして破滅させる腹積もりで……
だからやめろそこまで深く考えるな。見たのは違うものの可能性があるしお前の話題でないかもしれない。そもそもこんな真面目そうで邪な考えなど抱いてなさそうな清らかな雰囲気の人がそんなことを……するかもしれないな。これまで会話した感じから、うん。
ジーナの思考は混沌の渦に嵌ったものの、意を決しあのことは罪ではない! と心中思いながらハイネの方に顔を向けると、目が合った。
いつからこっちを向いていたんだ? とジーナは思いながらもその朱色に光る瞳に向かって問う。
「見ちゃったって、なにを?」
聞くやいなやハイネは緊張が解けたからのように笑い出した。
「なにを言いだすのかと思いきや、いまさらそこですか? おっそいですよその反応。ああ面白い。でも良かったです。私の話に興味を持っていただけて。私と話すのがちょっとなのかと心配していましたから」
「その、そうだ、まずそこから整理しよう。あのちょっとというのはハイネさんといると考えることが多くなって、中々苦しくなってしまって」
「やだ自意識過剰じゃないですか。見た目から全然そんな感じじゃないのに。いつもそうなのですか?」
「まさか。ハイネさんとかヘイ…………いや、特定の人といる時に普段は考えもしないことで頭を患うことがあって。これはハイネさんがという問題じゃなくてこちらの問題だからどうか気にしないでもらいたい」
「ふーん。でも要するにそれって私といると疲れると言っているわけですよね? つまり私に原因があると言いたいわけですよね」
「……そうかもしれない」
呟くとハイネが苦笑いする。
「そうじゃないよとか違う、とか言わないんですね」
「何が原因か分からないからとりあえずハイネさん自身がその原因の候補者ということで。あなたといると余計なことばかり考えて仕方がない」
「人のせいにしちゃって。そんな言いにくいことがはっきりと言えるのに、私といると辛いとかっていったいどういうことやら。そんなに私といるのが嫌というのなら帰りますよ……もう二度と口は利きませんから」
「それは嫌だ」
ジーナは自分の今の言葉に声に驚き足を止めるとハイネは目を見開いたまま足を止めた。二人はそのまま無意識に見つめ合っていたが、ハイネが先に顔を逸らして不機嫌そうに早口で言った。
「そんなことするわけないじゃないですか。ああもういいです。私がちょっとかなんていう言い訳の話はそれで、いいです。もう蒸し返さないでくださいよ。同僚間で感情的に揉めたら仕事に支障が出て面倒なことになるのですから、やめましょう。そういうの嫌いなので」
と言い切り歩き出したのでジーナも慌てて歩き出すとハイネは素早く口を開き話し出す。
「話を戻しまして、見ちゃったんですよ。と私は言ったわけでしたが、さて、私はいったいなにを見たでしょうか?」
これは鎌を掛けているのか単純なクイズか?ジーナはまた思考に苦しむ。
すぐに返せ、すぐ返事しろ、そう、自分のこと以外で! っとジーナは自らに命令し答えた。
「ふーむルーゲン師を庭で目撃したという類のことかな」
「すごいジーナさん! よく分かりましたねどうしてそう思いました?」
「いやハイネさんはこの前ルーゲン師のことについて話してくれたし、私に対して言うのならそれだと思うのがまず順当なところじゃないかな」
今日の自分はいつもと違って賢いなと思いながら答えるとハイネは明るい表情をした。正解のようだ、良かった。
「そうなんですよ。ここが人気のない森の小道で良かった。話が漏れて他人に噂が広がったら良くありませんのでここだけの話にしましょうね。そう、私、見ちゃったのです。これについての目撃者は間違いなくあのタイミングで一人だけ廊下を歩きふと庭を見た私だけなのでしょう。なんとですね龍身様ことヘイム様がですね、歩いていたのです」
ルーゲンとルーゲンとルーゲンとジーナは念じながらハイネの言葉の続きを待つ。
来ない。ハイネは溜めている。その顔を見ると呼吸も止めている。もしかしてあなたとです、とでも言いたいのか? それともそれを言わせたいのか? 気づけば自分も呼吸を忘れてその唇を見る。固く閉じたままの唇。開かないなら指で広げる必要があるのかなと思っていると動き出した。時でも、止まっていたのであろうか。
「予想通りルーゲン師とですよ。私達の努力が報われました頑張った甲斐がありましたね」
安堵の息を心中で吐きつつジーナは深々と頷いた。遠目で見たから私だと分からなかったのだろう。
それでいいしそれが望ましい。よってこれは彼女のために隠しておかなければなるまい、とジーナは改めて決意する。
「本当に良かった。大成功といって良いな。どんな様子だった」
「はい。ルーゲン師がヘイム様の右手を恭しく手にとりゆっくりと歩いておりました。私はその時小走りでしたし急いでいたので足を止めて凝視するわけにもいかずに見て見ぬふりをしながら通り過ぎましたが、決して忘れられない場面でしたね。今も目に焼き付いています。あれこそが将来のお二人の御姿であって、私は記念すべきそのワンシーンをはじめて見たものかもしれませんね」
そうかそうかとジーナはハイネの興奮した口調に相づちをうつも、心の隅でなにか嫌なものを感じた。
はじめて感じるようななにか知らないものがそこにあるような気がした。
「さぞかし美しい光景だったことだろうな」
自分の声のおかしさを聞きながらジーナは言った。
「忘れらないものとなりますよ。ルーゲン師も儀式用の正装でのお越しでしたしね。とても素敵で」
「それはいいものだ」
心の何かを抑えつけながらジーナは言葉を出していた。落ち着け。その意味不明な感情を抑えろ。いま自分が何であるのかを踏まえて言葉を出せ、と。
「そんなにいいものだったら私も是非とも見たかったな」
「ふふふふっ」
我ながら自然に上手く言えたなと思うとハイネも気持ちよさそうに笑い声を立てたのでジーナは安心した。
これで終わりだ。おしまい。そうやって勘違いしてください。ちょっとの失言も目撃者というのもこれで解決、とジーナは苦労したがこれで良かったと気を楽にしていると、ハイネがちょっとだけこちらに寄ってきたのが分かり見ると目がまた合い、光った。
「ねぇジーナさんはその時に、どこにいたのですか?」
衝撃が身体を貫き通り抜けるとジーナは停止しハイネの赤い瞳が色濃くさながら燃え上がっていく変化をただ見続けた。負けるな、とジーナは思い崩れずに踏み止まる。
「帰ったんだ」
「ヘイム様を置いて帰るなんて、あなたがするはずないじゃないですか」
ハイネの髪がその黒が風になびき揺らめき、ハイネの瞳と唇がその朱が開き光り微笑み歪み喰らう。
「どうして嘘をつくのですか?」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる