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第一章 なぜ私であるのか
堕ちた龍に死を与える役目のもの
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今日の講義は眠くならないなとジーナは話を聞きながら思いつつ次の三つのことを不思議がった。自分自身の眠気のなさ、バルツ将軍の慈悲深き眼差し、ルーゲン師のいつもと違った語り口。
自分のは昼前の教練による興奮がまだ冷めていないためだろうが、バルツ将軍のは狂信さ故の勘違いによるものだと考えられる。この御仁は闘争の時以外にはちっとも勘が働かない。
そうであるためルーゲン師のが真の謎であった。
「その者の内に龍がいることに気付いた最初のものこそが龍を導くものであり、それは同時にソグ教団の創設者であったのです」
師はいつもならバルツ将軍も交えて会話をするようにして話を進めるのだが、今日はほぼ独演のごとき語りでありどこか鬼気迫るものすらあった。
それがために目が冴えるのかな? との疑いも出るものの話を聞くために出来るだけ思考を閉ざした。
「そして龍を導くものは同時に……ジーナ君、これはなんでしょうか?」
おかしなところではじめて質問を挟んできたために戸惑うも、珍しく答えは分かっているために言おうとジーナはルーゲンの表情を見る。
その微笑みと笑っていない眼を、微妙な差であるのに際立っても見える雌雄眼を。歪さとその闇の一端を。
「龍の婿でしたよね。ここは覚えています」
バルツの口が半開きになり、ルーゲンの顔は血の気が引きうっすら青白いものとなるが、ジーナは様子が変だと見て人差し指を額に当てると、やっと気づき、言い直す。
「龍の嫁でしたね失礼しました。いやいや龍の開祖が男だとは知っておりまして、これはただの言い間違いなだけですよ」
「まったくお前ときたらあり得ない間違いをして。お前の知識は底が抜けきって驚くな」
怒りながら言うバルツのその声は情愛が湧いているようでありルーゲンは無反応のままである。どうして? いつもと役割が逆だ。どうなっているのだ、二人は入れ替わったのであろうか?
「ええそうですよ龍の嫁、その通りです。これを以て龍と教団は離れがたい密接なものとなり、ここから現王室の系譜がはじまります」
「以前から気にはなっていたのだがソグという地名はその龍の嫁の名から来ているのではないのか? 噂ではそう聞くがどうなのだ?」
バルツの質問にルーゲンは右手を顎に当てた。
「一説にはそう言われますね。彼女はここに第二の中央を作った。僧による国を、まぁそのおかげで我々や龍身様は危機を脱せられたのですから、その構想はありがたいことでした。しかし研究をしてもそこらへんは空白しか残っておりませんので不明ですけれども、僕はその線だなとは思います。ソグの王室は彼女の一族によるものであり、教団がここにあるのもそれが由縁だと」
それからジーナが手を挙げ、尋ねる。はじめて質問をした。
「そこですが、その名を失ってしまうというのは、いったいどういうことなのでしょうか? 本当にあるというのなら何故龍にそのような力があるのか、お教えいただけませんか?」
質問をした、と二人はジーナを見ながら同じことを思った。
しかもこのような難しいことを聞くとは、バルツはルーゲンがいつもと違う笑みを漏らしたところを一瞬だけ見た。
「ジーナ君……そこを気にするとは確かに人が変わってきていますね。もちろん善き方向にです。以前のあなたなら決してこんなことを気にはしなかったでしょう。着眼点も一般信徒からしたらまず気にかからず、ほぼ常識化しているそこなのも納得できます。そういったところにこそ重大さと真実があり、気づいてしまうところが、不信仰者ならではの不思議さでしょう。ではご質問に答えいたしますと、まず名を失うとは正確な表現でありません。これは失うというよりも元に戻る、復元するという意味です」
「逆ということでしょうか?」
「それも微妙にニュアンスが違いますね。今の名は誤りではなく、仮のものであり真なるものの名に気付き一つになるまでの一時的につけられている仮名なのです。いわば王の宿命ならばいずれは王と呼ばれ司教の宿命ならばいずれは司教と呼ばれ将軍の宿命ならばいずれは将軍と呼ばれ」
そこで急にルーゲンは続けずに催促するようにジーナを見つめてくると、連想が浮かびジーナも言葉が自然と口から出て来た。
「龍の宿命ならばいずれは龍と呼ばれるそれになる、そういうことですか?」
「うむ」
と後方からバルツの拍手の代わりのような同意の声が室内を響かせルーゲンは満足げに笑う。
「ここが分かればあとは呑み込むだけです。そう人は持って生まれた役割や宿命というものがあります。まず生まれたての時は親から名を記号的につけられるか、もしくはなんらかの願望を託されてと様々でしょうが、その名が自分と一つであることは、まだ分かりません。その後自らの人生を生きる中で人は不意に自らに架せられる宿命に出会うかもしれません。それを逃げることなく受け入れ、その生と一緒となり全うすることによって古き名は燃やされ名は真なるものへと変わるのです」
夢中となって語るルーゲンは目が見えにくくなっているために、ジーナの額に汗が滲み顔色が悪くなっていることに気が付かなかった。ジーナは汗をそっと拭い深呼吸を二度ほどした。内なる激しい動揺を押し付け表に出さぬようにするいつもの癖であるものの、それを気取られぬようあえて大きな声を出した。
「龍自身だけなら、まぁそれはなんとなく理解でにますが例のソグ僧の名も共に消えているのはいったいどうしてでしょうか? 龍は何故そのようなことまでするのか?」
二人は驚き目を見張った。大きめな声よりもその口調、訴えにも似たその問いにルーゲンは息を呑み対照的に小さくも通る声で答える。
「これも良い質問ですね。ですがそのような龍の大いなる御心を我々のような小さきものに分かろうはずもありません。事実として龍となると人であった頃の名とその記憶は人々の心から消え去ります。付随して龍と関係の深かったものたちも次第にその名と記憶も消えていきます。忘却したことを認識するのも不思議なことですけれどね。それはまるで龍が人であったことを忘れさせるためのように、です。思うにこれは人と龍との間に境を設けるためのものかもしれません。そこはともかくその忘却の後に残るのは役割と宿命を現すもの、龍となるもの、龍の護るものこれは龍の騎士ですね。それから龍を導くもの、そして龍を討つもの」
さらりと最後のその名を告げられると、ジーナは心臓は心臓に打たれた。ルーゲンがこちらを見ていると視線を逸らしながらジーナは感じ、それから思う。自分の表情は大丈夫かと。表情には出なかったかと。大丈夫、出なかったはずだとジーナは顔をあげるとルーゲンと視線が合い、考える。
あなたはその名を出して、私のなにを探ろうとしたのですか? ジーナは心のなかでそう尋ねてみるもルーゲンからは当然返事は届くはずは無く、代わりに額から左頬を流れ落ちていく一筋の汗の動きを肌で感じながらやがて机の上に落ちた音が聞こえた。聞こえるはずもない音であるのにジーナは確かに聞き、この間の長い時とはほんの僅かなものであるとここでようやく覚えルーゲンの次の言葉を想像した。一番恐ろしい言葉はすぐに出てきた。
こう語られたらどうしよう? 君は龍を討つものでありここに来た目的は分かっていますよと言われたら……どうする? この人が知っているとしたら……私は……
「あのいいですかなルーゲン師。その最後に出てきた龍を討つものとはなんだ? 基本中の基本の講義であるが俺の全く知らない基本中の基本なんてあるのか? あるなら面白いからそこを詳しく教えて貰えればありがたいんだがな」
振り返りバルツの方を見ることができたのはジーナにとって幸いであり感謝の念が湧いた。ルーゲンとの見つめ合いから解放され、勢いを得たジーナはバルツの救いの手にもっと乗りかかった。すると固まったままであったルーゲンの表情が柔らかくなり半ば苦笑いとなり
一つ咳をして俯いてから顔をあげると、その表情は普段のものへと戻っていた。
「失礼、少し先走り過ぎてしまいましたね。初学者と一緒にいますが順番にお話いたしましょう。まず龍となるものですが無論これは龍のことであり世界の中心であり秩序の源泉です。これが龍身様であり日々の儀式によって龍化を深めておられるのです。
それから龍を導くものとは先ほどご説明した通りソグ教団の創設者である僧から始まるものであり、龍の嫁となったために一族の血ではなくその役割は教団が引き継ぎました。
続いて龍の護衛とは君のことですよ」
ちょっとした冗談にバルツとルーゲンは笑い声をあげるがジーナはちっともおかしくはなかった。笑って誤魔化す……できない! 否定、しなければならない。
「いけませんよそれは。それだとシオン様からその役目を奪ったことになります」
「けれども最近はシオン嬢の仕事を幾分か行っているようですし、君が龍の護衛だとしてもそれほどおかしくはありませんよね」
それではおかしいのだ、と思うとルーゲンの眼はまた笑ってはおらずにジーナを見ていた。
「勿論今のはほんの冗談ですが龍の護衛とはそのまま龍の騎士であります。かつて龍となるものの最側近として警護を務めていた戦士の一族の現直系がシオン嬢でありその役目を引き継がれました。シオン嬢はかつての龍身様とは従姉妹かつ幼馴染であり元々無二の最側近なのでありますけれどね。ここまでが龍に仕える一族と組織ということであります。さて次は謎に包まれたままであったものについてですが……」
「恐らくそれは、堕ちた龍に死を与える役目のもののことですよね」
危機を感じ機先を制すためにジーナは自ら答えを提示させ、会話の流れをこちらに引き寄せる。
「……つまりはそういうこととなりますね」
背後からバルツの動揺が明らかに伝わりルーゲンも苦いものを口に含んだような顔をする。
龍についてはこういった直接的な言い方がタブーだということはジーナも知っていた。だから敢えてした。
「二頭の龍がいるというのなら誤っている方に対し誰かがその死を与える役目を負わざるを得ないでしょうけれど、今回の話はとりあえず不吉なのでやめまして、過去の事例ではどうであったのかの御教授をお願い致します」
「それがいい、前回の事例の確認に留めておこう」
渡りに船というようにバルツはすぐさまジーナの提案に賛同し乗った。ルーゲンは小声で唸り声をあげるも、すぐに引っ込め広げていた教本を閉じ仕舞った。見る必要がないのだろう。
「かしこまりました。今の話は政治的な問題もありましょうからやめておきます。その代り過去の話ですが、これは表には大々的には出てはおりませんので、バルツ将軍が知らないとしても不勉強では決してないのです。その理由はお察しの通りです、あまりにも不吉で呪われているがため、としか言えないからでしょうね」
語るルーゲンの声が徐々に小さくなっていく。
「龍祖における謎の一つである敵であった方の龍の最後について。誰が、どうやって? とは公式的な記録では残されてはおりません。堕ちた龍は自らの罪によって死の淵に落ちた……といった抽象的な文章でその最後を伝えるのみです。ですが一般的にはこれでいいのです。堕ちた龍とはいえ龍には変わりはありません。誰それがこうやって龍を討ったとなんて記録に残せるわけもなく研究も全くされていませんでした。その方法の研究とはそのまま龍への反逆計画と見られてもおかしくはありませんからね」
言葉をそこで一旦区切りルーゲンは窓の方へ行く。忌まわしい話をしたから部屋の空気が汚れたので清めたい、といった感じで窓を開け深呼吸をしている。
「とはいえ誰かなのです。どんなに少なく見ても必ずひとりはそれを引き受け成し遂げたのです。けれども記録上はそのものの名は残されてはいません。その呪われた身の名を。おそらくはどれだけ探してもみつからないでしょう……けれども我々はいまその記録を必要としております」
「しかしそんな決して誇れないことをわざわざ書き残しているというのはまずありえないと俺は思うがそこはどうなんだ?」
「……ここからは断片的に残された記録を繋ぎ合わせた僕の仮説でありますので、どうかそのつもりでご了承ください。龍を討つものは存在し使命を果たした後、遥か遠くへ旅立った、僕の仮説はこれです。記録上では龍に手をかけたものについての記述はございません。これを以てそのようなものがいないというのが史料をもとにした史学として当然であります。ところが各々の有力者や回顧録では時々でありますが、名も正体も不明な一人の戦士が龍祖の傍らにいるのです」
ルーゲンは振り返りジーナを見る。見ながら語る。
「それが戦後になるとぱたりといなくなる。側近の一人であるのですから何らかの役職につくのは確実であるのに、そのようなものはいません。姿を消したもの。よってこのものは何か理由があったというわけでしてそれが」
「龍を討ったもの、であると仰るのですね」
ジーナの言葉にルーゲンは嬉しそうな表情でその言葉に対して恭しく頭を下げた。
「そうであるとしたら疑問はほとんど解決いたします。龍に手をかけるものは呪われ忌まわしいものとなる。よって名と記憶は消されるのが当然であり遥か彼方へと追放される。北か南か、東かはたまた西か」
「どのみち世界の果てまで行くわけだ。龍の徳が及ばない遥か彼方へ、そう想像すれば丸く収まりますが、残念ながら」
バルツが尋ねルーゲンが返す。
「はい証拠はございません。なにもかも僕の想像上の戯言だと思っていただけて構いません。実際にそうですから。けれどもこの戦争を前回の再演だとする流れとすれば、その役割を背負ったものが現れるかもしれません。何故なら龍は一つだけだという絶対がありますからね」
「おそらくは血族関係のではなく状況と偶然によってそれは選ばれるのだろうな。はじめからそれだといっては選ばれるはずも、どうしたジーナ? 気分でも悪いのか? まぁそうだな」
とまた勘違いしたバルツが苦しげなジーナの背中に手を当ててさすった。どこまでも今日は変に優しくて困るな。
「龍を討つとか血とか追放とかこの世で最も忌まわしく汚らしい話を聞くのは辛いのは当然になったきたのだな。それでこそ龍の護衛を務めるものだ。まっそんなことはお前には関係などなく、そんなに深く考えずに明日からの任務に精を出すのだぞ。ではそろそろ終わりとしようか」
そういうことではないのだが、とは言わずにジーナは終わりだと知りホッと安堵の息を漏らし何気なく誤魔化しのためか余計なことを聞いてしまった。
「仮に追放されたとしたら一体その女の人はどこに行ったのですかね」
「ほぉジーナ君はその戦士をご婦人と捉えるのですか、これは斬新だ」
ジーナはルーゲンのその言葉で以て魂を掴み上げ問うてきたと感じた。お前は何故そう思うのだと? そうだ、その想像は、おかしい。痛みに声をあげるなとジーナは心の底から声を出す。苦しみを漏らすなと、ここが正念場であり戦場におけるあそこだと。最前線であると。
「龍の騎士が男で護衛もそうなら男二人は暑苦しいだろうと感じましてね。龍祖は男だったとのことでしたので」
ルーゲンは笑う。
「君らしくない味のある推理で。でも僕はその考え方は好きですね」
ジーナは今日のルーゲンがあまり好きではないなと思った。
自分のは昼前の教練による興奮がまだ冷めていないためだろうが、バルツ将軍のは狂信さ故の勘違いによるものだと考えられる。この御仁は闘争の時以外にはちっとも勘が働かない。
そうであるためルーゲン師のが真の謎であった。
「その者の内に龍がいることに気付いた最初のものこそが龍を導くものであり、それは同時にソグ教団の創設者であったのです」
師はいつもならバルツ将軍も交えて会話をするようにして話を進めるのだが、今日はほぼ独演のごとき語りでありどこか鬼気迫るものすらあった。
それがために目が冴えるのかな? との疑いも出るものの話を聞くために出来るだけ思考を閉ざした。
「そして龍を導くものは同時に……ジーナ君、これはなんでしょうか?」
おかしなところではじめて質問を挟んできたために戸惑うも、珍しく答えは分かっているために言おうとジーナはルーゲンの表情を見る。
その微笑みと笑っていない眼を、微妙な差であるのに際立っても見える雌雄眼を。歪さとその闇の一端を。
「龍の婿でしたよね。ここは覚えています」
バルツの口が半開きになり、ルーゲンの顔は血の気が引きうっすら青白いものとなるが、ジーナは様子が変だと見て人差し指を額に当てると、やっと気づき、言い直す。
「龍の嫁でしたね失礼しました。いやいや龍の開祖が男だとは知っておりまして、これはただの言い間違いなだけですよ」
「まったくお前ときたらあり得ない間違いをして。お前の知識は底が抜けきって驚くな」
怒りながら言うバルツのその声は情愛が湧いているようでありルーゲンは無反応のままである。どうして? いつもと役割が逆だ。どうなっているのだ、二人は入れ替わったのであろうか?
「ええそうですよ龍の嫁、その通りです。これを以て龍と教団は離れがたい密接なものとなり、ここから現王室の系譜がはじまります」
「以前から気にはなっていたのだがソグという地名はその龍の嫁の名から来ているのではないのか? 噂ではそう聞くがどうなのだ?」
バルツの質問にルーゲンは右手を顎に当てた。
「一説にはそう言われますね。彼女はここに第二の中央を作った。僧による国を、まぁそのおかげで我々や龍身様は危機を脱せられたのですから、その構想はありがたいことでした。しかし研究をしてもそこらへんは空白しか残っておりませんので不明ですけれども、僕はその線だなとは思います。ソグの王室は彼女の一族によるものであり、教団がここにあるのもそれが由縁だと」
それからジーナが手を挙げ、尋ねる。はじめて質問をした。
「そこですが、その名を失ってしまうというのは、いったいどういうことなのでしょうか? 本当にあるというのなら何故龍にそのような力があるのか、お教えいただけませんか?」
質問をした、と二人はジーナを見ながら同じことを思った。
しかもこのような難しいことを聞くとは、バルツはルーゲンがいつもと違う笑みを漏らしたところを一瞬だけ見た。
「ジーナ君……そこを気にするとは確かに人が変わってきていますね。もちろん善き方向にです。以前のあなたなら決してこんなことを気にはしなかったでしょう。着眼点も一般信徒からしたらまず気にかからず、ほぼ常識化しているそこなのも納得できます。そういったところにこそ重大さと真実があり、気づいてしまうところが、不信仰者ならではの不思議さでしょう。ではご質問に答えいたしますと、まず名を失うとは正確な表現でありません。これは失うというよりも元に戻る、復元するという意味です」
「逆ということでしょうか?」
「それも微妙にニュアンスが違いますね。今の名は誤りではなく、仮のものであり真なるものの名に気付き一つになるまでの一時的につけられている仮名なのです。いわば王の宿命ならばいずれは王と呼ばれ司教の宿命ならばいずれは司教と呼ばれ将軍の宿命ならばいずれは将軍と呼ばれ」
そこで急にルーゲンは続けずに催促するようにジーナを見つめてくると、連想が浮かびジーナも言葉が自然と口から出て来た。
「龍の宿命ならばいずれは龍と呼ばれるそれになる、そういうことですか?」
「うむ」
と後方からバルツの拍手の代わりのような同意の声が室内を響かせルーゲンは満足げに笑う。
「ここが分かればあとは呑み込むだけです。そう人は持って生まれた役割や宿命というものがあります。まず生まれたての時は親から名を記号的につけられるか、もしくはなんらかの願望を託されてと様々でしょうが、その名が自分と一つであることは、まだ分かりません。その後自らの人生を生きる中で人は不意に自らに架せられる宿命に出会うかもしれません。それを逃げることなく受け入れ、その生と一緒となり全うすることによって古き名は燃やされ名は真なるものへと変わるのです」
夢中となって語るルーゲンは目が見えにくくなっているために、ジーナの額に汗が滲み顔色が悪くなっていることに気が付かなかった。ジーナは汗をそっと拭い深呼吸を二度ほどした。内なる激しい動揺を押し付け表に出さぬようにするいつもの癖であるものの、それを気取られぬようあえて大きな声を出した。
「龍自身だけなら、まぁそれはなんとなく理解でにますが例のソグ僧の名も共に消えているのはいったいどうしてでしょうか? 龍は何故そのようなことまでするのか?」
二人は驚き目を見張った。大きめな声よりもその口調、訴えにも似たその問いにルーゲンは息を呑み対照的に小さくも通る声で答える。
「これも良い質問ですね。ですがそのような龍の大いなる御心を我々のような小さきものに分かろうはずもありません。事実として龍となると人であった頃の名とその記憶は人々の心から消え去ります。付随して龍と関係の深かったものたちも次第にその名と記憶も消えていきます。忘却したことを認識するのも不思議なことですけれどね。それはまるで龍が人であったことを忘れさせるためのように、です。思うにこれは人と龍との間に境を設けるためのものかもしれません。そこはともかくその忘却の後に残るのは役割と宿命を現すもの、龍となるもの、龍の護るものこれは龍の騎士ですね。それから龍を導くもの、そして龍を討つもの」
さらりと最後のその名を告げられると、ジーナは心臓は心臓に打たれた。ルーゲンがこちらを見ていると視線を逸らしながらジーナは感じ、それから思う。自分の表情は大丈夫かと。表情には出なかったかと。大丈夫、出なかったはずだとジーナは顔をあげるとルーゲンと視線が合い、考える。
あなたはその名を出して、私のなにを探ろうとしたのですか? ジーナは心のなかでそう尋ねてみるもルーゲンからは当然返事は届くはずは無く、代わりに額から左頬を流れ落ちていく一筋の汗の動きを肌で感じながらやがて机の上に落ちた音が聞こえた。聞こえるはずもない音であるのにジーナは確かに聞き、この間の長い時とはほんの僅かなものであるとここでようやく覚えルーゲンの次の言葉を想像した。一番恐ろしい言葉はすぐに出てきた。
こう語られたらどうしよう? 君は龍を討つものでありここに来た目的は分かっていますよと言われたら……どうする? この人が知っているとしたら……私は……
「あのいいですかなルーゲン師。その最後に出てきた龍を討つものとはなんだ? 基本中の基本の講義であるが俺の全く知らない基本中の基本なんてあるのか? あるなら面白いからそこを詳しく教えて貰えればありがたいんだがな」
振り返りバルツの方を見ることができたのはジーナにとって幸いであり感謝の念が湧いた。ルーゲンとの見つめ合いから解放され、勢いを得たジーナはバルツの救いの手にもっと乗りかかった。すると固まったままであったルーゲンの表情が柔らかくなり半ば苦笑いとなり
一つ咳をして俯いてから顔をあげると、その表情は普段のものへと戻っていた。
「失礼、少し先走り過ぎてしまいましたね。初学者と一緒にいますが順番にお話いたしましょう。まず龍となるものですが無論これは龍のことであり世界の中心であり秩序の源泉です。これが龍身様であり日々の儀式によって龍化を深めておられるのです。
それから龍を導くものとは先ほどご説明した通りソグ教団の創設者である僧から始まるものであり、龍の嫁となったために一族の血ではなくその役割は教団が引き継ぎました。
続いて龍の護衛とは君のことですよ」
ちょっとした冗談にバルツとルーゲンは笑い声をあげるがジーナはちっともおかしくはなかった。笑って誤魔化す……できない! 否定、しなければならない。
「いけませんよそれは。それだとシオン様からその役目を奪ったことになります」
「けれども最近はシオン嬢の仕事を幾分か行っているようですし、君が龍の護衛だとしてもそれほどおかしくはありませんよね」
それではおかしいのだ、と思うとルーゲンの眼はまた笑ってはおらずにジーナを見ていた。
「勿論今のはほんの冗談ですが龍の護衛とはそのまま龍の騎士であります。かつて龍となるものの最側近として警護を務めていた戦士の一族の現直系がシオン嬢でありその役目を引き継がれました。シオン嬢はかつての龍身様とは従姉妹かつ幼馴染であり元々無二の最側近なのでありますけれどね。ここまでが龍に仕える一族と組織ということであります。さて次は謎に包まれたままであったものについてですが……」
「恐らくそれは、堕ちた龍に死を与える役目のもののことですよね」
危機を感じ機先を制すためにジーナは自ら答えを提示させ、会話の流れをこちらに引き寄せる。
「……つまりはそういうこととなりますね」
背後からバルツの動揺が明らかに伝わりルーゲンも苦いものを口に含んだような顔をする。
龍についてはこういった直接的な言い方がタブーだということはジーナも知っていた。だから敢えてした。
「二頭の龍がいるというのなら誤っている方に対し誰かがその死を与える役目を負わざるを得ないでしょうけれど、今回の話はとりあえず不吉なのでやめまして、過去の事例ではどうであったのかの御教授をお願い致します」
「それがいい、前回の事例の確認に留めておこう」
渡りに船というようにバルツはすぐさまジーナの提案に賛同し乗った。ルーゲンは小声で唸り声をあげるも、すぐに引っ込め広げていた教本を閉じ仕舞った。見る必要がないのだろう。
「かしこまりました。今の話は政治的な問題もありましょうからやめておきます。その代り過去の話ですが、これは表には大々的には出てはおりませんので、バルツ将軍が知らないとしても不勉強では決してないのです。その理由はお察しの通りです、あまりにも不吉で呪われているがため、としか言えないからでしょうね」
語るルーゲンの声が徐々に小さくなっていく。
「龍祖における謎の一つである敵であった方の龍の最後について。誰が、どうやって? とは公式的な記録では残されてはおりません。堕ちた龍は自らの罪によって死の淵に落ちた……といった抽象的な文章でその最後を伝えるのみです。ですが一般的にはこれでいいのです。堕ちた龍とはいえ龍には変わりはありません。誰それがこうやって龍を討ったとなんて記録に残せるわけもなく研究も全くされていませんでした。その方法の研究とはそのまま龍への反逆計画と見られてもおかしくはありませんからね」
言葉をそこで一旦区切りルーゲンは窓の方へ行く。忌まわしい話をしたから部屋の空気が汚れたので清めたい、といった感じで窓を開け深呼吸をしている。
「とはいえ誰かなのです。どんなに少なく見ても必ずひとりはそれを引き受け成し遂げたのです。けれども記録上はそのものの名は残されてはいません。その呪われた身の名を。おそらくはどれだけ探してもみつからないでしょう……けれども我々はいまその記録を必要としております」
「しかしそんな決して誇れないことをわざわざ書き残しているというのはまずありえないと俺は思うがそこはどうなんだ?」
「……ここからは断片的に残された記録を繋ぎ合わせた僕の仮説でありますので、どうかそのつもりでご了承ください。龍を討つものは存在し使命を果たした後、遥か遠くへ旅立った、僕の仮説はこれです。記録上では龍に手をかけたものについての記述はございません。これを以てそのようなものがいないというのが史料をもとにした史学として当然であります。ところが各々の有力者や回顧録では時々でありますが、名も正体も不明な一人の戦士が龍祖の傍らにいるのです」
ルーゲンは振り返りジーナを見る。見ながら語る。
「それが戦後になるとぱたりといなくなる。側近の一人であるのですから何らかの役職につくのは確実であるのに、そのようなものはいません。姿を消したもの。よってこのものは何か理由があったというわけでしてそれが」
「龍を討ったもの、であると仰るのですね」
ジーナの言葉にルーゲンは嬉しそうな表情でその言葉に対して恭しく頭を下げた。
「そうであるとしたら疑問はほとんど解決いたします。龍に手をかけるものは呪われ忌まわしいものとなる。よって名と記憶は消されるのが当然であり遥か彼方へと追放される。北か南か、東かはたまた西か」
「どのみち世界の果てまで行くわけだ。龍の徳が及ばない遥か彼方へ、そう想像すれば丸く収まりますが、残念ながら」
バルツが尋ねルーゲンが返す。
「はい証拠はございません。なにもかも僕の想像上の戯言だと思っていただけて構いません。実際にそうですから。けれどもこの戦争を前回の再演だとする流れとすれば、その役割を背負ったものが現れるかもしれません。何故なら龍は一つだけだという絶対がありますからね」
「おそらくは血族関係のではなく状況と偶然によってそれは選ばれるのだろうな。はじめからそれだといっては選ばれるはずも、どうしたジーナ? 気分でも悪いのか? まぁそうだな」
とまた勘違いしたバルツが苦しげなジーナの背中に手を当ててさすった。どこまでも今日は変に優しくて困るな。
「龍を討つとか血とか追放とかこの世で最も忌まわしく汚らしい話を聞くのは辛いのは当然になったきたのだな。それでこそ龍の護衛を務めるものだ。まっそんなことはお前には関係などなく、そんなに深く考えずに明日からの任務に精を出すのだぞ。ではそろそろ終わりとしようか」
そういうことではないのだが、とは言わずにジーナは終わりだと知りホッと安堵の息を漏らし何気なく誤魔化しのためか余計なことを聞いてしまった。
「仮に追放されたとしたら一体その女の人はどこに行ったのですかね」
「ほぉジーナ君はその戦士をご婦人と捉えるのですか、これは斬新だ」
ジーナはルーゲンのその言葉で以て魂を掴み上げ問うてきたと感じた。お前は何故そう思うのだと? そうだ、その想像は、おかしい。痛みに声をあげるなとジーナは心の底から声を出す。苦しみを漏らすなと、ここが正念場であり戦場におけるあそこだと。最前線であると。
「龍の騎士が男で護衛もそうなら男二人は暑苦しいだろうと感じましてね。龍祖は男だったとのことでしたので」
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