61 / 313
第一章 なぜ私であるのか
はたしてどうかな?
しおりを挟む
「ほぉ……そう考えるのか。そちらではそのような習慣はあるのか?」
遠ざかる意識の中で女は男に尋ねた。
「指輪は補助的なものですね。首飾りが正式なもので、指輪は儀礼的な時に左手の薬指につけたりと。もしもそっち関係だとしたら……」
似ているな、と女は思い男の悩む顔を見て内心で笑う。そうだ知らないのだと女は理解する。この男は自分の左手の指のことをよくは知らないのだと。
龍身の指を、知らないのだ。そうだ、あの出会いから今日までこの男は自分の左半身を正面からもまともに見てはいない。よって左手の指の数など知らずにいる。もしもそれを失った場合のことなど知らぬのだ……そして知らなくても良い。
「どうした? 怖いのか?」
女は問い男の視線を向けさせた。
「その意味は何ですか? と聞きたいのか。知りたいのなら教えてやるが、どうする?」
どうなるのかわからないまま女は男に聞きながら見た、その表情を、何かが崩れるも何かが固まっていくその過程を。
「ああ是非とも教えてもらいたい。だけどその前に指輪を薬指に通します。それまで内緒にしてください」
男は女の手先を下から支えるように右手をあげた。
「別に無理はしなくていいぞ。妾は別に指輪などつけることなどすこしも」
「いやいや望んでいないのならこんな風に手をずっとあげたままにしない」
女は鼻で笑う。
「これは降ろし忘れただけだ。痺れてきたからそろそろ下げたいのだが、邪魔が入ってしまったか」
「やっぱり座ったままだとつけにくいから、はい立ち上がって」
支えるどころか持ち上げられるように女は男によって席を立たされ窓辺に移動させられる。
女は窓辺の陽射しの溜まり場へ、光差すところへ立つ。
「それで指輪を薬指に通したいのでナギ、小指と中指を薬指から離してもらえないか」
「そんなに指輪をつけたいのか? それなら自分の指にでも嵌めればよいであろうに」
「無駄な抵抗を続けてないで。そのサイズは薬指ので」
「妾の薬指のサイズであるのなら、そなたの小指になら入るのではないか、え? そんなに指輪をみたいのならどうぞ、いいぞ」
何を言っているんだと男は呆れだす。
「自分の指につけてどうする。私はナギの指についたのを見たいんだ」
女は鼻息を吐いてから溜息をあげた。
「相変わらず自分ルールを押しつけてくるのだな。こちらの意向など無視してな。全くナギはどうしてこんな男の妻となったのやら」
「そういう設定というか運命というか、兎に角あなた今はナギであり私は夫のジンであり、指輪を買ってこうしてプレゼントするわけです。これを受け入れてください」
「受け入れるしかないのか?」
女は視線を外しながら聞いた
「受け入れるしかないのです。ナギはそういう女であり私はそういう男です」
女は遠くを見ながら苦笑いをし咳込み、男の目を見ながら答えた。
「しょうがないな、そこまでいうのなら通させつけさせてやる」
静かに指が動きだし薬指が男の前に差し出される形で前に出た。指輪を持つ男の手は震えた。どうして? その意味は分からぬまま近づけると、近くから大声がした。
「ちょっと待って」
と言うがすぐにうわっと叫び声もし男がそちらを見ようとすると女の声がそれよりも勝った。
「見るな」
それから女は目で合図をしてきた、早くと。導かれるように男はその薬指に指輪を通すと、想像以上に不自然さや違和感もなくそれはそこに収まり、光った。
「綺麗だな」
女が光の中で手をあげると男も答える。
「綺麗ですよ」
雲が太陽にかかったのかそれとも指輪が光を吸い込んだのか、辺りから急に光が消え辺りは暗闇の幕が覆われると、男は瞬間的に左手で女を引き寄せ抱きしめた。
「どこかに、連れ去られるのではないかと思って」
男がそう言うと女は頷いた。
「ああ、そうなるかもしれなかったな」
それから女が右手を二人の顔の間に掲げながら言った。
「ああ言いそびれたが、この薬指への指輪の意味を教えてやる。信頼だ」
「そうだったのか。では、まぁ、的確であったと」
「はたしてどうかな?」
「えっ?」
男が言葉を続けようとするとその場に光が再び戻りゆきそそして拍手の音が響く。驚いた二人は周りを見ると人々が注目していた。
「お客様、ご婚約でございましょうか? おめでとうございます」
恰幅の良い店長らしき人物が現れ祝福の言葉を述べだし、是非ともこの土地での祝賀の行進をさせてもらいたいとの申し出てきた。
男はわけがわからずに狼狽えると女は知っているのか男に耳打ちをする。
「南ソグにはそういう風習がある。断ってはかえって問題になる、受けよ」
と半ば命ぜられ男が了承を告げると店中のものたちは急に準備を始めるなか、先ほどの給仕が首をひねりながら誰かを連れてきた、ハイネだ。
「この御少年は御客様のお知り合いでしょうか? さきほど大声を出したのでみんなで取りおさえまして」
膨れ面のハイネは男の顔を背けながら連れられてきた。
「はい知り合いというか、その友達なのでどうぞこちらにお任せください」
解放されてもハイネは表情を変えなかった。
「少年に見られたままだなんて見事な変身だな」
「……途中でシオン様にご連絡しました。これはちょっと問題があるのではないかと」
するとシオンがこちらに、と男が慄くと女は平然としていた。
「今日の妾の行動は確かに褒められたものではないな」
「いえっその、ヘイム様側ではなく」
慌てるハイネを女が制する。
「その名の女はここにはおらんぞ。ここにはナギしかおらん。そうであろう? この店のものたちにそのことが知れてみよ。問題どころの騒動では済まされなくなるぞ」
「はっはい……そうです。ここにはナギしかおりません」
台風の目のように三人の周りは物音が激しく声が飛び交う状況で男とハイネが不安そうに辺りを伺っていると女が言った。
「落ち着け。もはやこうなったら向うのやらせたいようにやらせるのがいい。二人とも協力をするように、いいな? では彼らの祝福の方法だがな……」
遠ざかる意識の中で女は男に尋ねた。
「指輪は補助的なものですね。首飾りが正式なもので、指輪は儀礼的な時に左手の薬指につけたりと。もしもそっち関係だとしたら……」
似ているな、と女は思い男の悩む顔を見て内心で笑う。そうだ知らないのだと女は理解する。この男は自分の左手の指のことをよくは知らないのだと。
龍身の指を、知らないのだ。そうだ、あの出会いから今日までこの男は自分の左半身を正面からもまともに見てはいない。よって左手の指の数など知らずにいる。もしもそれを失った場合のことなど知らぬのだ……そして知らなくても良い。
「どうした? 怖いのか?」
女は問い男の視線を向けさせた。
「その意味は何ですか? と聞きたいのか。知りたいのなら教えてやるが、どうする?」
どうなるのかわからないまま女は男に聞きながら見た、その表情を、何かが崩れるも何かが固まっていくその過程を。
「ああ是非とも教えてもらいたい。だけどその前に指輪を薬指に通します。それまで内緒にしてください」
男は女の手先を下から支えるように右手をあげた。
「別に無理はしなくていいぞ。妾は別に指輪などつけることなどすこしも」
「いやいや望んでいないのならこんな風に手をずっとあげたままにしない」
女は鼻で笑う。
「これは降ろし忘れただけだ。痺れてきたからそろそろ下げたいのだが、邪魔が入ってしまったか」
「やっぱり座ったままだとつけにくいから、はい立ち上がって」
支えるどころか持ち上げられるように女は男によって席を立たされ窓辺に移動させられる。
女は窓辺の陽射しの溜まり場へ、光差すところへ立つ。
「それで指輪を薬指に通したいのでナギ、小指と中指を薬指から離してもらえないか」
「そんなに指輪をつけたいのか? それなら自分の指にでも嵌めればよいであろうに」
「無駄な抵抗を続けてないで。そのサイズは薬指ので」
「妾の薬指のサイズであるのなら、そなたの小指になら入るのではないか、え? そんなに指輪をみたいのならどうぞ、いいぞ」
何を言っているんだと男は呆れだす。
「自分の指につけてどうする。私はナギの指についたのを見たいんだ」
女は鼻息を吐いてから溜息をあげた。
「相変わらず自分ルールを押しつけてくるのだな。こちらの意向など無視してな。全くナギはどうしてこんな男の妻となったのやら」
「そういう設定というか運命というか、兎に角あなた今はナギであり私は夫のジンであり、指輪を買ってこうしてプレゼントするわけです。これを受け入れてください」
「受け入れるしかないのか?」
女は視線を外しながら聞いた
「受け入れるしかないのです。ナギはそういう女であり私はそういう男です」
女は遠くを見ながら苦笑いをし咳込み、男の目を見ながら答えた。
「しょうがないな、そこまでいうのなら通させつけさせてやる」
静かに指が動きだし薬指が男の前に差し出される形で前に出た。指輪を持つ男の手は震えた。どうして? その意味は分からぬまま近づけると、近くから大声がした。
「ちょっと待って」
と言うがすぐにうわっと叫び声もし男がそちらを見ようとすると女の声がそれよりも勝った。
「見るな」
それから女は目で合図をしてきた、早くと。導かれるように男はその薬指に指輪を通すと、想像以上に不自然さや違和感もなくそれはそこに収まり、光った。
「綺麗だな」
女が光の中で手をあげると男も答える。
「綺麗ですよ」
雲が太陽にかかったのかそれとも指輪が光を吸い込んだのか、辺りから急に光が消え辺りは暗闇の幕が覆われると、男は瞬間的に左手で女を引き寄せ抱きしめた。
「どこかに、連れ去られるのではないかと思って」
男がそう言うと女は頷いた。
「ああ、そうなるかもしれなかったな」
それから女が右手を二人の顔の間に掲げながら言った。
「ああ言いそびれたが、この薬指への指輪の意味を教えてやる。信頼だ」
「そうだったのか。では、まぁ、的確であったと」
「はたしてどうかな?」
「えっ?」
男が言葉を続けようとするとその場に光が再び戻りゆきそそして拍手の音が響く。驚いた二人は周りを見ると人々が注目していた。
「お客様、ご婚約でございましょうか? おめでとうございます」
恰幅の良い店長らしき人物が現れ祝福の言葉を述べだし、是非ともこの土地での祝賀の行進をさせてもらいたいとの申し出てきた。
男はわけがわからずに狼狽えると女は知っているのか男に耳打ちをする。
「南ソグにはそういう風習がある。断ってはかえって問題になる、受けよ」
と半ば命ぜられ男が了承を告げると店中のものたちは急に準備を始めるなか、先ほどの給仕が首をひねりながら誰かを連れてきた、ハイネだ。
「この御少年は御客様のお知り合いでしょうか? さきほど大声を出したのでみんなで取りおさえまして」
膨れ面のハイネは男の顔を背けながら連れられてきた。
「はい知り合いというか、その友達なのでどうぞこちらにお任せください」
解放されてもハイネは表情を変えなかった。
「少年に見られたままだなんて見事な変身だな」
「……途中でシオン様にご連絡しました。これはちょっと問題があるのではないかと」
するとシオンがこちらに、と男が慄くと女は平然としていた。
「今日の妾の行動は確かに褒められたものではないな」
「いえっその、ヘイム様側ではなく」
慌てるハイネを女が制する。
「その名の女はここにはおらんぞ。ここにはナギしかおらん。そうであろう? この店のものたちにそのことが知れてみよ。問題どころの騒動では済まされなくなるぞ」
「はっはい……そうです。ここにはナギしかおりません」
台風の目のように三人の周りは物音が激しく声が飛び交う状況で男とハイネが不安そうに辺りを伺っていると女が言った。
「落ち着け。もはやこうなったら向うのやらせたいようにやらせるのがいい。二人とも協力をするように、いいな? では彼らの祝福の方法だがな……」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる