龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

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第3部 私達でなければならない

龍の近衛兵ブリアン

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 その当日、指定された場所にはキルシュしかいなかった、騙されなかったのだ。

 そのうえ驚いたことに本当に近衛隊の見学だけのようである。信じられない。

「ほぉらどうだい隊長。好きなだけあの子を探してもいいよ。そんなに疑るのが好きなんだから思う存分探せばいいさ。蟻の巣のなかまで、どうぞ」

「いやいやもうパッと見で回りには誰もいないって分かるし、もう疑わないから」

「大体ね、あの子はパレードの仕事で忙しいんだよ。こんなところにいるわけないじゃん」

「わかったわかった。それにしてもどうしていつもの仕事着もとい女官の制服なんだ? せっかくのパレードなんだから派手目な私服でも良かったのでは?」

「隊長だっていつもの服装じゃん。あたしはこれでいいんだよ。目的のパレードが終わったら仕事にすぐ戻らないといけないし、それに関係者なら近衛兵に幾分か近づけるじゃん。この服はそのためのものなんだよ」

 それはそうだなと納得しつつもそう語るキルシュの瞳は若干左右に揺れていたが、ジーナは、そこに突っ込まない。疑い出したらキリがないし、もうここで決めたのだからと自分に言いきかせた。これは勘違いだと。

 龍の一行はまだ到着をしない。中央城下町の大通りから真っ直ぐ城門に向かうこの数キロの道を進むだけのものであるが、道にはかつてないほどの人だかりが出来上がっており、兵隊らも加わり交通整理を行っていた。

 城下町の門ではバルツ将軍及び第一隊が出迎えそのあとお供となり、城門では交代しオシリー将軍にムネ将軍と近衛隊が一行と共に城内に入る。

 それだけであるのに、老若男女すべての人々はむやみやたらに興奮をしていた。

 単純に龍の帰還が嬉しくてたまらないのか、そうせざるを得ないのか、または何かが起こることを期待しているのか、どうであれこの雰囲気に共感できないものはただ一人だということは確実であり、その一人とは……

「隊長! あの城門の下だと思うけど見える? 見えるだろ?」

 雑踏を遅々として歩くもキルシュは人と人との間を縫うように先へ先へと進んでいき逆にジーナが迷子になりはぐれそうになってしまう始末だった。

「その前にお前が見えないよ。あっとこんな近くにいたのか。あーはいはいうん、見えるよブリアンが晴れ衣装だな」

 赤い兵装、高名な中央の近衛兵の色であるが、この間に前近衛兵たちと戦ったものがあれを着るとは奇妙だなと思いつつ、前に出た。

「どうだったかっこよかった?」

「お前が見たがるのも無理は無いぐらいに映えていたな。はぐれないように後ろからついて来い、最前列まで人を掻き分けてやる」

 ちょっと失礼すみませんと声を掛けられ振り向く群衆はジーナのその姿と顔を見ると左右にサッと別れ自然に道ができる。

「掻き分けるというかみんなに避けられている感じがするな」

「まぁ隊長って初見だと大抵の人はびっくりするからね。話すと違う意味でびっくりするから二度美味しい人だよ」

 それはどういう意味だろうかと思うも深く考えていけないことだとして二人は最前線、いや最前列に到達した。

 立ち入り禁止のロープのもっと先、隊列の右側にブリアンが立っているのが見える。

「ここじゃ駄目。あっちあっち正面に行こうよ」

「正面はここだぞ」

「そうじゃないそうじゃない。正面というのはブリアンの真ん前ってことさ。そこ以外は全部隅っこで見るものなんてないよ」

 そう言うと速足となったキルシュが右側に歩き出した。

 身体があたり揺れるロープの固さを感じながらジーナはこんな境界線ギリギリだというのになんてあいつはあんなに素早いとはすごいなと変な感心をした。

「すみませんここちょっといいですか。あのあそこにいるのあたしの恋人なんです、ですからどうか席をお譲りください。ちなみにいまこっちに向かってきているあの強面な人はあたしの兄です」

 先についていたキルシュが前の人と話して席を譲ってもらっていたが、あれができるのなら私はいらないのでは? とやや釈然としない気持ちでジーナが身を屈めて前を見ると、真正面にブリアンがいた。

 こちらには気づいているのだろうがそれを面には表さない。自分がいまなにであるのかを意識して立っている。そこにジーナは強い美しさを感じた。

「それにしても良い顔をしているな」

「分かる隊長!? そうだよブリアンはいますっごくかっこいい顔をしているね。いや元も良いよ元も。身長も高いし。目の悪い女はアクが強いとか濃い目とか言うけど、お前らは薄くて印象に残らないお人形でも愛でていればいいさ。あんなにかっこいいのに強くて優しくて勇敢な男なんだよ、すごいよね、隊長だって知っているでしょ」

「それはよくよく知っているよ。あいつは強くて勇敢な男だ」

 答えると背中に衝撃広がった。横を向くとキルシュが苦笑いをし、叩いてごめんと謝る。

「なんだよ隊長。でもあいつは俺より下だからな、て心に思っているからそういうこと言えるんでしょ?」

「いや本当にそう思っているからそう言っているだけだ」

「そこまで直接的に褒められるとなんだか恥ずかしいさ」

 あとそれにな……なんだ、とジーナは出ようとした言葉を引っ込めた。ブリアンについて、何を言ってはならないのか?

 強くて優しくて勇敢であり……目標に向かって真っすぐであり……恋人を大事にしていて……後ろ暗いなにかが無く、それは、まるで。

「あっいま目が合った。そういうことしちゃ駄目だってブリアン。しっかり職務に服さなきゃ」

「そんなにまじまじと見つめたらあっちも気になるだろ」

「こっちはもっと気になってるんだから仕方がないよ。しかしかっこいいね。いくら眺めていても飽きないよこれ」

 その言葉に偽りは無く既に見尽くしたというように眺めているだけとなったジーナに比べてキルシュは一点を、一つを、ただ一人をずっと見続けている。

「お前は本当にブリアンに夢中だな」

「そうさ夢中で大好きで愛してるよ。この世で一番愛してる」

 ジーナの身体が固まった。呼吸もできないまま視線はキルシュに釘付けとなり、目を逸らすことも耳も塞ぐこともできない。そうしなければならないのに。

「なにその顔。さてはあたしの幸せ全開に怖じ気づいたな。あたしたちの愛をさ」

 こいつはいったいなにを言っているのか? とジーナはキルシュの言葉を理解できずにいた。ただ、聞いてはならないことを聞いたとジーナには感じられた。

「なにそのおったまげた顔は。やれやれあのね隊長。ああこの人はすごいきれいさいこう、と思った相手をとことん愛して結婚する。これが人間の最高の幸せだよ。これ以外のはちょっと特殊な人の趣味だね」

 だから何を言っているんだ? キルシュの言葉はどこか一部がぼやけたように音が無くなり、または頭の中にノイズが発生したりとよく聞こえなかった……聞かせようとしなかった。

「ねぇ隊長ってさ、そう思わないかな? なんだかそう思っていなさそうだけど」

 思っているはずはない……思っていない、思ってはいけない……そう口に出さなくてはならないのに、何も動かない。

「好きな人とずっと傍にいること。これ以上なことでもあるの?」

 だれと一緒にいるつもり? と聞いたのか? それはどんな相手? 私は既に……既に……一緒どころかこれは……これは……駄目だ、私はそれを、考えてはならない。その言葉に触れようとすると合図が、出て来る。

 頬が熱くなり、痛みさえ滲んでくる。そうだからこそ教えてくれる、それはここにあり、それ以外にないと。

 だから、お前はそれ以外のなにもかもを……

「ブリアンもキルシュと会えて幸せだったな」

 突然声が戻り、唐突な賛辞が口から飛び出しジーナは自らに驚き今度はキルシュの顔が呆然となり、やがて真顔へと戻り、笑顔となった。

「そうだよ。あたしも彼と出会えて幸せだったよ。でもこれはあたしだけじゃない隊長だって、そうじゃん」

「えっ?」

 ジーナの反応にキルシュは、怯まない。

「本当にそうだよ、隊長だって幸せさ、気付かない振りをしているだけだからね」

 なんだそれは、とジーナが言いかけると近衛隊がローテーションの交代行動をとりだした。

「あっもう時間か、ここにいちゃいられないよ隊長。向うに行って近衛隊の休憩所まで行かなくちゃ」

 そう言いながらキルシュはジーナの手首を掴んで移動しだした。

 さながらその様子は小さな犬に引かれて歩く牛みたいなものでありジーナは自然に従ったのはその手首にかかる万力のごとき握力。

 キルシュの小さな手にどうしてこんな力が? この絶対に逃がさないというそのよく分からない意思を感じてしまいジーナは無心で歩いて行く。

 少し離れた城壁前に設置されたテント小屋。遠距離からも聞こえる男達の話声、近づくにつれてそれ以外の音も聞こえてきた。

 というよりもそれのみが耳に届き聞き取り、それ以外の音は少しずつ小さく遠くに静かに聞こえなくなっていく摩訶不思議なその感覚の中、それは何故かということはすぐに分かった。

「ブリアンに会わなきゃね」

 そのキルシュの声が酷くよそよそしく聞こえる。これでもうその企みが何であるのか理解した。だが足が止まらない。

「あたしはブリアンに会いに来た。これは事実だよ事実。その時に隊長の手首を掴んだ。この際あたしは他のことは何も言わなかったよね?」

 なんのためにこの確認をするのか? ここまで来たらもう引き返せない。引き返せるわけがない。

 そのテント小屋の入口にあれは立っており、こちらを見つめている。目を、離さない。

 ここで逸らしたり引いたりしたら負けであるということのように、おしまいだということのように、けれどもどうしてそうしてはいけないのかを、彼は彼女はそれを考え言葉にするということが、できないでいた。

「言ったじゃん。パレードの仕事をしているって」

 遠くから声がする。こんなに近いのに、こんなにも小さい。

「あたしはどこも嘘ついていないよ。言わないことは多かったけど、聞かれなかっただけだしね」

 いまさらそんなことはどうでもいいことだった。

「騙してなんかないからね。こうしなきゃいけなかったんだよ。ちなみにこれはあたし単独の仕業だから……怒らないでね隊長。あたしと、あの子に対してだよ」

 怒りはしない、怒りはしないが問題はただひとつ。

「交代するキルシュを待っていましたら、大きなコブもついてきた感じですね」

 いつもより化粧が強めに見えるハイネの長い睫を見ながらジーナが思うことはひとつ、これからどうすればいいのやら。
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