20 / 28
第1巻 異世界でもギターしかなかった ~迷わずの森とバーウの村~
第21話「迷わずの森の変化」
しおりを挟む**************************************
朝方、ピーネの寝床にて、幸はやるべき事を見つけた。
「「楽奴の解放!
まずはバーウの村の楽奴達の解放と、町のみんなに音楽を届けよう!」」
キヨラと幸は意気込む。
「そうと決まれば……。
とりあえずピーネが起きるまで寝るぞ!」
幸は意気込みとまるで逆の決意を掲げだす。
「なんで!!
そうと決まれば直ぐに動き出すでしょ!」
キヨラのツッコミはもっとも。
幸は黙って立ち上がり指差す。
その腕は身体から垂直に90度に上げられている。
その先には、青々とした森の一端になる葉が生い茂り、大地はない。
そう。ピーネの家はかなりの高所にあり、人間が自分達で降りれるようなものではなかった。
「ねっ。
ピーネが起きるまで、俺達だけじゃ動けないんだよ。
そしてピーネはめちゃくちゃ朝に弱い。
多分昼まで起きないよ。」
幸は昨日の経験を語る。
「ふーん……。
さっそく私の出番ってわけね。」
キヨラは呟く。
幸は知っていた。
起こした所で羽交い締めに合い、柔らか温かい牢獄の中で眠るしかないことを。
キヨラがたとえ揺すったり、大きな声で呼んだりした所で、意味などないのだ。
キヨラは予想外の行動に出る。
「ダースパちゃーん!!
来てー!!!」
まさかの外に向かっての大声。
「ダースパちゃん?
何をしてんだよキヨラ!」
―シュッ―
「呼んだかしら、キヨラ。」
ニュッと音も立てず現れたのは昨日のライブを見に来た大蜘蛛だった。
「来てくれてありがとー!
昨日ぶりだね。
私達ここから降りれないんだー。
ダースパちゃんお願い!
下ろしてくれない?」
顔の前に両手を合わし可愛いウィンクをお届けするキヨラ。
「もちろんいいわよ。」
ダースパちゃんもウィンク返し。
「えっ!?
いつのまにそんなに仲良く!?」
幸は驚きが隠せない。
「幸が、すぐにルーコルアで酔って寝ちゃった時よ。
私こう見えて22歳なの!
お酒も大好きだし。とっても強いのよ」
なるほど……。
ルーコルアはお酒ではないが、似たような気分を味わえる飲み物。
それはそれは楽しい宴の夜を過ごしたのであろう。
それにしても、音楽で通じ合ったとは言え、魔物といきなりこんなにも仲良くなれるのは、キヨラの才能ではないだろうか。
“カサカサカサカサ”
ダースパちゃんは6本の脚を巧みに使い、二人を乗せてあっという間に木を降りて行く。
大蜘蛛の背に乗り二人が地上に降りた時、そこは昨日見た異種族混合村とは大きく違っていた。
「……なんか、すっごいモーツァルトのピンク色……。」
異種族混合村と呼ばれる所以は、のけ者にされていた一種族の魔物一体ずつがパラパラと集まって出来た村だからだ。
それはつまり幸のような、いじめられっこが集まって出来た村。
しかし、今はどうだろう。
村中が、種族がつがいになりイチャイチャと恋のフェロモンでいっぱいになっている。
昨夜のライブの時に増えた魔物達がそのまま村に住み着き、のけ者にされていた魔物達とも和解して、みんなでよろしくやっているのだった。
「もっ、もうこれは町と言って良い規模なんじゃないかな?
みんな仲良くなれて良かったよ。」
幸の気持ち。
◇◇◇
幸がこの異世界に来て、初めて大きく変えてしまう事になった事例が、この迷わずの森になる。
のちに迷わずの森は、混合村の規模が森全土へと広がり、仲間という巨大な結び付きの生き物が集まり、生存し共栄し合う、【迷わずの要塞】と呼ばれる事になる。
幸の音楽はこれからどんどんあらゆる事柄に革変をもたらして行くのであろう。
◇◇◇
「凄いね、なんかみんな幸せそう。」
キヨラの感想。
さらに続ける。
「さぁ!!
地上に降りれたし、どうする?
いきなりバーウの村に行ってゲリラで演奏でもしちゃう?」
キヨラの突飛な思いつきに幸はどう答えるのか。
…………。
……。
**************************************
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
テンプレ最強勇者に転生したら魔女が妻になった
紡識かなめ
ファンタジー
七つの大陸、それぞれを支配する“七大魔女”──
魔力あふれる世界《アルセ=セフィリア》は、魔女たちによる統治と恐怖に覆われていた。
だが、その支配に終止符を打つべく、一人の男が立ち上がる。
名はルーク・アルヴェイン。伝説の勇者の血を引く名家の出身でありながら、前世はただの社畜。
高い魔力と最強の肉体、そして“魔女の核を斬ることのできる唯一の剣”を手に、彼は世界を平和にするという使命にすべてを捧げていた。
──しかし、最初に討伐した《闇の魔女・ミレイア》はこう言った。
「あなたの妻になります。魔女の掟ですから」
倒された魔女は魔力を失い、ただの美少女に。
しかもそのまま押しかけ同居!? 正妻宣言!? 風呂場に侵入!?
さらには王女や別の魔女まで現れて、なぜか勇者をめぐる恋のバトルロイヤルが始まってしまう!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる