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なぎさセツナ

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なぎさの決断

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 退院より5年、なぎさはまだ車椅子生活だった。
 自由に動けない事を良い事に御堂夫人は姦りまくっていたが……

(北条寺なぎさ MtF)
   お母様、私、足と左腕を切断しようと思います(真顔)

(御堂グループ総帥夫人 御堂 環奈 MtF)
   ・・・は?

(北条寺なぎさ MtF)
   退院から5年が経ちましたが、進展がないじゃないですか。
   そこで、切断して、義手と義足にしようと思います。
   もちろん、余分な負荷をかけないように、車椅子生活は続けますが、
   そうすれば、必要な時は立ち上がれます。
   幸運にも、義手は北条寺病院が、義足は御堂病院が最先端です。
   その技術をもってすれば、走ることも、左手で物を握ることも可能になると思います。

(御堂グループ総帥夫人 御堂 環奈 MtF)
   なぎさちゃん、あなた何言って……

(北条寺なぎさ MtF)
   お母様、チャンスです!
   北条寺グループが開発した渾身の義手と、
   御堂グループが心血注いで開発した義足、
   それが私の身体を支えるのです、
   これほど象徴に相応しい事はないじゃないですか!


 パシン!
 御堂夫人ななぎさの頬を叩いた。

(北条寺なぎさ MtF)
   お母様?

(御堂グループ総帥夫人 御堂 環奈 MtF)
   なぎさちゃん、あなたそこまで……(涙目)
   分かりました、お父様と渚に話をしてみます。


 その話は即、伝えられ、緊急会議が開かれた。

(バスケ部員 御堂 哲司 FtM)
   無茶苦茶だ!なんで自分の手足を切断しなきゃアカンのや!!

(北条寺 司 MtF)
   なぎさなら、いつか言い出す気がしてた……
   ウチの義手義足の性能や、御堂グループの義手義足の性能差をしきりに気にしていたからね。
   本人は、身体障害者にどう利用したら、より良い生活ができるか考えるようになったって言ってたけど、
   何かあると思ってたんだ。それがこれなのか……

(バスケ部マネージャー 山中 詩織 MtF)
   なら、忘れてもらっては困るわ。
   山中研究所の開発したシリコンと人工皮膚は世界一です。
   今は再生医療にも取り組んでいます。
   一旦切断し、再生医療に賭けてみませんか?
  
(射撃部部員 二階堂 恋 男装)
   再生医療なら、ウチのグループも力を入れている、共同研究に持ち込めないか?

(射撃部部員 琴音 玲 MtF)
   再生医療への資金協力は、ウチの財団がやっている。
   共同研究所を作ってくれない?優先的に予算を回すわ。

(北条寺グループ総帥:司の父 北条寺 渚 FtM)
   どうする、御堂さん。

(御堂グループ総帥 御堂 勝 FtM)
   私は反対だ。
   たしかに言っている事は分かる。
   でも、何故、そこまでしなければいけないのか!
   そんな事をしなくても、成し遂げる!
   そこまで犠牲にならなくて良い。

(北条寺グループ総帥:司の父 北条寺 渚 FtM)
   同じ意見だ、そこまで犠牲になる必要はない。
   そんな事をしなくても、成し遂げる自信はある。


 そこへなぎさが車椅子でやってきた。

(北条寺なぎさ MtF)
   お父様、皆んな。

(バスケ部員 御堂 哲司 FtM)
   なぎさ!お前、自分で何言ってるか分かってんのか?

(北条寺なぎさ MtF)
   分かってるよ。
   退院して5年、残念ながら、まだまだ立てない。
   でもね、やれる事はあると思う。
   同じ車椅子で生活するにしても、
   今のままと、必要な時には立てる義足では、全く違う。
   左手だって、今の使えない状態より、自由に掴める義手の方が便利。
   で、それを実現させたら、あら不思議、
   北条寺グループ渾身の義手と、立つどころか走れる最新型の義足がある御堂グループ。
   私の身体も橋渡し役になっちゃった。
   どちらも脱着式だから、色んな意味で便利。
   なんなら、他にもお勧めあったら教えてよ?

(神道研究会マネージャー 早乙女 哲也 FtM)
   それなら、早乙女グループが扱う車椅子の性能は世界No.1だ!
   カスタムメイドも自由自在、パラリンピックのメダリストも使っている。

(バスケ部員 神谷 凛 男装)
   ウチが開発したモーターとバッテリーは最先端だ。
   小型のは、電動自転車や車椅子にも使われている。

(北条寺なぎさ MtF)
   なら、大丈夫じゃない。
   それ全部、ちょうだい。
   皆んなの協力の結晶が私になる!

(バスケ部マネージャー 山中 詩織 MtF)
   山中研究所を忘れてもらっちゃ、困るわ。
   ウチの開発したシリコンと人工皮膚は世界一よ。
   それと、再生医療にも取り組んでいるわ。
   なぎさちゃんの手足、再生してみせるから。
 
(射撃部部員 二階堂 恋 男装)
   ウチも再生医療はやっている。
   山中と共同研究所を作ろうと話をしていたところだ。

(射撃部部員 琴音 玲 MtF)
   再生医療への資金協力はウチの財団がやっている。
   共同研究所を作れば、優先的に予算を回す。

(北条寺 司 MtF)
   負けたよ、なぎさには。
   ボクの妻は偉大だよ。
   お父様。

(北条寺グループ総帥:司の父 北条寺 渚 FtM)
   分かった、御堂、やれるか?

(御堂グループ総帥 御堂 勝 FtM)
   もちろんだ。

(北条寺なぎさ MtF)
   じゃあ……

(北条寺グループ総帥:司の父 北条寺 渚 FtM)
   なぎさ、お前の身体を使わせてくれ、お前の思いは無駄にしない。

(御堂グループ総帥 御堂 勝 FtM)
   私達に任せてくれ、最高の状態にしてみせる。

(北条寺なぎさ MtF)
   ありがとうございます、お父様方。


 そうなると、話は早い。
 早速解散し、準備に入る。
 プロジェクトチームが組まれ、スケジュールを決めていく。



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