恋をし恋ひば~今更な新婚生活の顛末記~

川上桃園

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おまけ

気まずいお茶会(応援御礼SS、婚約時点のお話)

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【マティルダside】
「……あの、サルマンさん」
「なんでしょうか」
「このお店でティータイムをしようと誘ってくださるのはいいのですが……こうも会話が続かないと気まずくありませんか?」
「そうですね」
「こういうときって男性側からも気をつかって、いろいろと話を振ってくださるものですけれど、先ほどから私ばかり話していませんか」
「……あなたが話し好きだからだと思っていましたが」
「違います……!」
「それは申し訳なかったですね。では、どのような話をすればよいでしょう。好きな異性のタイプとか?」
「……」
「マティルダ嬢? どうしました?」
「……もし、自分とまったく違うタイプを言われたらどうするつもりですか。聞いたからと言ってそのとおり変われるものでもないでしょう。ナンセンスです」
「たしかに」
「せっかく評判のよいお店に来たのですよ? 紅茶やお菓子の感想を言い合うとか、話のとっかかりはいくらでもあるでしょう……。サルマンさん、嫌そうな顔をしないでください」
「そんな、甘ったるいことをいう関係ではないはずでは?」
「……ええ、そうですね。形ばかりの婚約をしているだけのふたりですよ」
「なぜつまらなさそうになさるのですか」
「だって、そうでしょう。薔薇に囲まれた庭園で、ふたりきり。かつ、美味しい紅茶とスコーンがテーブルに乗っていて、天気も晴れ。……素敵な景色なのに」
「一緒にいる相手が僕だから?」
「肯定でもあり、否定でもあります。これでも私、楽しみにしてきたんですよ?」
「……わかった。もういい。僕は帰ろう。あとはひとりで気兼ねなく……と。なぜ袖を掴むんだ」
「あっ……。だ、だって、帰るっておっしゃったから! こんなに早く帰ったらお互いの家族が心配するではありませんか!」
「僕がここにいてよいと?」
「そ、そう言っているのです。あ、あなたは私とここで、お茶会をするんです……っ! サルマンさんも、もっと楽しむべきだと思いませんか……!」
「あなたが、そうおっしゃるのなら」





【アドルファスside】


「おや、アドルファス様。おかえりですか」
「ああ、ただいま。ジーヴスは庭の剪定か。精が出るな」
「これがわしの仕事ですから。マティルダ様とのお出かけはいかがでしたか」
「……まあ、なんだ」
「うまくいかなかったんで?」
「ジーヴスが心配するほどのことではないさ。どうにも、以前のように彼女と接することができなくてね」
「へえ。そうなんで? 元々、知人でいらっしゃったでしょうにねえ」
「うん。どうにも言葉が出てこなくなるね。今日も彼女は怒っていたよ」
「怒るということはお元気でいらっしゃるということですな」
「そうだね、今日も元気だった」
「次は、うまくお話できるとよいですねえ。きっとマティルダ様も、アドルファス様の良いところがすぐおわかりになりますよ」
「ありがとう、ジーヴス」

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みんなの感想(2件)

turarin
2025.02.21 turarin
ネタバレ含む
2025.02.21 川上桃園

turarinさん

こんにちは。
感想ありがとうございます!

マティルダの父は、同性なだけに見る目はたしかだったのかもしれないですね。
きっと娘が落ち着くところに落ち着いてくれてほっとしていることでしょう。

宰相の出てくる例の作品も読んでくださっているとのこと、ありがとうございます!

和風、中華、現代恋愛と幅広く取り揃えておりますのでどれかひとつでも楽しんでいただけたならこれ以上の喜びはありません(新作も今後書いていきます)。

またどこかでお会いできましたら幸いです。
ありがとうございました!

解除
しまこ
2025.01.16 しまこ
ネタバレ含む
2025.01.16 川上桃園

しまこさん

感想ありがとうございます
アドルファスも難儀な人ですね…
楽しんでいただけたようでうれしいです
またどこかでお会いできますように

解除

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