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第58話 「カラダでしか伝えられないもの」
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入学してすぐの部活勧誘の期間。
私は、
あまり乗り気じゃないふりをしながら、
校舎の中庭で開かれていた部活紹介を眺めていた。
サッカー部の声。
吹奏楽部の演奏。
美術部の展示。
色んな音や声が、
春の風に混ざっていた。
そんな中、
目を奪われたのは──
ダンス部だった。
中庭の一角で、
先輩たちが音楽に合わせて踊っていた。
リズムを刻む足音。
息の合ったステップ。
揺れるポニーテール。
笑いながら、
自由にカラダを動かしている先輩たちの姿は、
信じられないくらい、
キラキラして見えた。
「すご……」
小さく呟いた。
本当に心からそう思った。
作り笑いじゃない、
舞台用の仮面でもない。
あのときの先輩たちは、
素のままで、
全身で"好き"を表現していた。
──いいな。
素直に、そう思った。
私は、
気づけばダンス部のブースの前に立っていた。
「見てってな!」
「一緒に踊ろ!」
眩しい笑顔で手を振る先輩たち。
強引でも、偽りでもない、
本当に「楽しいから一緒に」って誘っている感じがした。
それが、嬉しかった。
私は、
気づけば入部届を手にしていた。
──カラダを動かすのは、好きだった。
小さい頃から、
走るのも、泳ぐのも、
バスケットも好きだった。
勉強も、上手な言葉も苦手だけど、
カラダを使うときだけは、
素直になれた。
だから、
ダンスならきっと、
私にも、何か伝えられる気がした。
言葉にできないこと。
隠している痛み。
誰にも知られたくない震え。
全部、
カラダでなら、
ごまかさずに表現できる気がした。
「これからよろしくね!」
先輩に手を叩かれて、
私は照れくさそうに笑った。
こんなふうに、
誰かと一緒に笑うのは、
久しぶりだった。
ダンス部の青春。
まだ、
どんな未来が待っているのかなんて、
全然わからない。
でも、
今の私は、
ほんの少しだけ胸を張って言える。
──ここに、来てよかった。
新しい制服の裾を揺らしながら、
私は、
春の光の中へ、
駆け出していった。
──つづく。
私は、
あまり乗り気じゃないふりをしながら、
校舎の中庭で開かれていた部活紹介を眺めていた。
サッカー部の声。
吹奏楽部の演奏。
美術部の展示。
色んな音や声が、
春の風に混ざっていた。
そんな中、
目を奪われたのは──
ダンス部だった。
中庭の一角で、
先輩たちが音楽に合わせて踊っていた。
リズムを刻む足音。
息の合ったステップ。
揺れるポニーテール。
笑いながら、
自由にカラダを動かしている先輩たちの姿は、
信じられないくらい、
キラキラして見えた。
「すご……」
小さく呟いた。
本当に心からそう思った。
作り笑いじゃない、
舞台用の仮面でもない。
あのときの先輩たちは、
素のままで、
全身で"好き"を表現していた。
──いいな。
素直に、そう思った。
私は、
気づけばダンス部のブースの前に立っていた。
「見てってな!」
「一緒に踊ろ!」
眩しい笑顔で手を振る先輩たち。
強引でも、偽りでもない、
本当に「楽しいから一緒に」って誘っている感じがした。
それが、嬉しかった。
私は、
気づけば入部届を手にしていた。
──カラダを動かすのは、好きだった。
小さい頃から、
走るのも、泳ぐのも、
バスケットも好きだった。
勉強も、上手な言葉も苦手だけど、
カラダを使うときだけは、
素直になれた。
だから、
ダンスならきっと、
私にも、何か伝えられる気がした。
言葉にできないこと。
隠している痛み。
誰にも知られたくない震え。
全部、
カラダでなら、
ごまかさずに表現できる気がした。
「これからよろしくね!」
先輩に手を叩かれて、
私は照れくさそうに笑った。
こんなふうに、
誰かと一緒に笑うのは、
久しぶりだった。
ダンス部の青春。
まだ、
どんな未来が待っているのかなんて、
全然わからない。
でも、
今の私は、
ほんの少しだけ胸を張って言える。
──ここに、来てよかった。
新しい制服の裾を揺らしながら、
私は、
春の光の中へ、
駆け出していった。
──つづく。
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