“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第36話】 「“わたしの一番えぐいとこ、あげてきて”って言われた夜」

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「なあ、今度──」
「“わたし以外の誰か”に、見せてみてくれる?」

彼女はいつも通りの声で、
でも決して軽くない言葉を落としてきた。

「ただ見られるんじゃなくて、
 あんたの“いちばん従ってる瞬間”──
 ちゃんと、“誰かに手渡してみて”って話」

私は目を伏せた。

それは「見られるプレイ」なんかとは違う。
“心の奥の服従”を、他人に触れさせるという命令。

快楽のコア。
自分でも直視できないほど、従属の熱を抱えた場所。

それを、誰かの前に差し出す──
その意味を、私の身体はすぐに理解していた。

「今まで全部、“わたしにだけ”見せてきたやろ?」
「でも一回、“知らん人の前”で──
 あんたの“正直な反応”を晒してみて」

「どれだけ震えても、
 わたしは何も止めへんよ」

その数日後、彼女が呼んだのは、
彼女の“関係者”だという女性だった。

名前は名乗られなかった。
私も、名乗らなかった。
そこにあったのは、たったひとつ──命令されたシチュエーション。

「じゃあミオ──」
「“自分のいちばん気持ちいいとこ”、
 その人の目の前で触って、ちゃんとイって」

「“誰かの前”でしか出せない顔、
 見せてきて」

部屋の真ん中に敷かれたマット。
私はそこに座らされ、
指を這わせはじめた。

彼女は少し離れた場所で、見ていた。
でも今、ミオの身体に最も近い場所には──
“彼女じゃない誰か”がいる。

その緊張と羞恥、そして快感の歪みが、
私の腰をゆっくり震わせていく。

「声、我慢せんでええよ」
「むしろ、“聞かせてあげて”」

彼女がそう言った瞬間──
私の中で、何かが弾けた。

喘ぎ声が漏れた。
指が濡れた音が、室内に響く。
肌に汗がにじみ、
視線を浴びるたび、脳がしびれた。

“誰かに支配された自分”を、
“さらに別の誰か”に差し出す。

それが、こんなにも倒錯的で、
こんなにも誇らしいなんて──

私は知らなかった。

彼女は最後に近づいてきて、耳元で囁いた。

「“誰のものか、わからへんくらいに従ってる”って、
 それ、いちばんエロいんよ」

「ミオ、ほんまえらいな。
 今日、ほんまに綺麗やった」

その言葉に、私は泣いていた。

涙も、快感の一部だった。
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