“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第45話】 「イきそうな顔して、って言われただけで、もう濡れてた」

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「今日のごほうびな──“演技”だけ」

ソファに座っていた彼女は、
笑いながら、でも淡々とそう言った。

「触ったらダメ」
「気持ちよくなるのも、なし」
「でも、“イきそうな顔”はしてもらうから」

私は、すぐに反応できなかった。

でも、その指示があまりにも“彼女らしくて”、
むしろゾクッとした。

快感を禁止される命令。
なのに、その演技だけは強制される。

それは、“支配”ではなく──
羞恥のための舞台。

私はベッドの上に座らされ、
スカートのまま脚を少し開いて、
上半身をゆっくり仰け反らせた。

彼女は正面から見ている。
微笑みながら、何もしてこない。

「ミオ、その顔──
 “してほしくて震えてる”って顔、もう少しだけ強めて」

私は、何度も喉を鳴らしながら、
息を浅く繰り返した。
実際には触れていないのに、身体が記憶で疼いていく。

欲しくて、欲しくて、
でも、それが絶対に叶わない。

そのこと自体が、
新しい“従属の輪郭”を作っていた。

彼女はベッドの端に移動してきて、
わたしの肩に指を添えた──かと思ったら、
それすらしなかった。

「……あ、ごめん。
 触ったら“役者”に失礼やもんな」

「今日は、“ミオが演じるエロス”を
 わたしが見るだけの舞台やから」

その言葉で、
私の呼吸が跳ねた。

今、自分は、
“彼女に欲望される”存在じゃない。
“彼女を満たすための見せ物”である。

その境界を意識した瞬間──
股間がじんわりと濡れていくのがわかった。

彼女は言った。

「イってないのに、濡れてるって──
 もう、“ミオの身体が勝手に主役を演じてる”証拠やね」

「命令がないと動けへん身体から、
 “命令されると演じ始める女”に進化した感じ」

私は、何も言えなかった。
その言葉が、
なによりも“褒められている”気がしたから。

最後、彼女は目を細めてこう言った。

「次は、“観客”を入れてもええかもな」
「ミオの“見せつけ演技”、もっと評価してもらわな」

その想像だけで、
私はまた、濡れてしまっていた。

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