“新しい主”が、私を欲しがる夜

nana

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【第64話】 「“誰に見せたらいちばん恥ずかしいか”って聞かれただけで、  わたしの身体は、見せる準備を始めてた」

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翌朝、食器を洗っているとき。
彼女が背後からふっと囁いた。

「昨日の映像、めっちゃ綺麗に撮れてたわ」
「で、ふと思ってん」

「ミオにとって──この映像、誰に見られたらいちばん恥ずかしい?」

問いかけ、だけだった。
なのに、
私は一瞬で全身の血が逆流する感覚に襲われた。

家族?
職場の人?
昔の恋人?
それとも、あの後輩の子?

想像しただけで、
呼吸が浅くなった。

どの相手も、
“見せられたら終わる”と思うのに、
なぜかその“終わり方”に、妙な快感を感じていた。

「……たぶん、職場の上司」
「口では何も言わないけど、
 絶対に距離置かれると思う」

彼女は笑った。

「ええやん、それ」
「“関係を壊す想像”だけで、
 身体がこんなに反応するなんて──
 もうミオ、自分のこと“供物”やと思ってるやろ?」

私は反論できなかった。

心では否定していたけど、
“見られたらどうなるか”を想像して興奮してる自分が確かにいた。

「でも安心して」
「わたしはミオの映像、簡単には使わへんよ」
「その代わり、“見せるふり”はいっぱいするけどね」

「だって、“見せるかもしれない”のほうが、
 ずっと長くミオを支配できるから」

彼女は笑いながらそう言って、
スマホの映像フォルダをちらりと見せてきた。

再生ボタンには触れなかった。
でもその“触れなさ”が、
いちばん強い支配だった。

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