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誰もいないところでも、私はまだ芸をしていた
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主に「もう見たくない」と言われた夜、
私は、
なにもない夜道を、
裸の心で歩いていた。
ネグリジェをぐしゃぐしゃに押し込んだカバンが、
やけに重たかった。
リボンも、バルーンも、
もう使い道のない小道具になった。
スマホを握りしめた。
グループLINEは、静かだった。
主からも、主友からも、
何のメッセージも来なかった。
「ナナ、またやってよ」
「次、もっとヤバいの期待してる」
少し前までは、
そんな言葉でいっぱいだったのに。
今は、
まるで最初から、
そこに私なんていなかったみたいだった。
でも、私は止まれなかった。
家に帰ると、
部屋の真ん中で服を脱いだ。
誰もいない空間。
閉め切ったカーテン。
冷たい床。
その中で、
私はひとり、
裸になった。
鏡の前に立ち、
ピンクのヒモパンだけを穿いた。
手には、バルーン。
首には、しわくちゃのリボン。
何も聞こえない。
何も求められていない。
それでも私は、
自分に向かって深々と頭を下げた。
「今日も、ナナの芸を、よろしくお願いします♡」
そう、
誰に見られるわけでもないのに。
床に膝をつき、
胸を張り、
無理やり笑顔を作った。
「ばんざーい!ばんざーい!」
裸で、レースの端を掴んで、
私はバンザイを繰り返した。
50回。
100回。
何回目かもわからないくらい。
途中で、
自然に涙がこぼれた。
笑顔を作ったまま、
嗚咽が漏れた。
でも私は止めなかった。
笑われるために、
壊れるために、
ここまできたから。
誰にも見られてなくても、
誰にも求められてなくても、
私は芸を続けた。
「次はコーラ芸な♡」
自分に言い聞かせながら、
冷蔵庫から取り出したコーラを、
裸のまま一気飲みした。
涙と、炭酸と、
冷たい液体で、
全身が震えた。
最後に、
もう一度、
鏡に向かって土下座をした。
「生まれてきて、すみません!」
自分で叫びながら、
自分の声に、
自分が一番傷ついた。
その夜、
私は裸のまま床に倒れ込んだ。
何も守るものなんてなかった。
ただ、
誰にも見られないまま、
必死で“笑われる練習”を続ける
哀れな女になっていた。
私は、
なにもない夜道を、
裸の心で歩いていた。
ネグリジェをぐしゃぐしゃに押し込んだカバンが、
やけに重たかった。
リボンも、バルーンも、
もう使い道のない小道具になった。
スマホを握りしめた。
グループLINEは、静かだった。
主からも、主友からも、
何のメッセージも来なかった。
「ナナ、またやってよ」
「次、もっとヤバいの期待してる」
少し前までは、
そんな言葉でいっぱいだったのに。
今は、
まるで最初から、
そこに私なんていなかったみたいだった。
でも、私は止まれなかった。
家に帰ると、
部屋の真ん中で服を脱いだ。
誰もいない空間。
閉め切ったカーテン。
冷たい床。
その中で、
私はひとり、
裸になった。
鏡の前に立ち、
ピンクのヒモパンだけを穿いた。
手には、バルーン。
首には、しわくちゃのリボン。
何も聞こえない。
何も求められていない。
それでも私は、
自分に向かって深々と頭を下げた。
「今日も、ナナの芸を、よろしくお願いします♡」
そう、
誰に見られるわけでもないのに。
床に膝をつき、
胸を張り、
無理やり笑顔を作った。
「ばんざーい!ばんざーい!」
裸で、レースの端を掴んで、
私はバンザイを繰り返した。
50回。
100回。
何回目かもわからないくらい。
途中で、
自然に涙がこぼれた。
笑顔を作ったまま、
嗚咽が漏れた。
でも私は止めなかった。
笑われるために、
壊れるために、
ここまできたから。
誰にも見られてなくても、
誰にも求められてなくても、
私は芸を続けた。
「次はコーラ芸な♡」
自分に言い聞かせながら、
冷蔵庫から取り出したコーラを、
裸のまま一気飲みした。
涙と、炭酸と、
冷たい液体で、
全身が震えた。
最後に、
もう一度、
鏡に向かって土下座をした。
「生まれてきて、すみません!」
自分で叫びながら、
自分の声に、
自分が一番傷ついた。
その夜、
私は裸のまま床に倒れ込んだ。
何も守るものなんてなかった。
ただ、
誰にも見られないまま、
必死で“笑われる練習”を続ける
哀れな女になっていた。
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