“実況される身体”が、私の名前になった夜

nana

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【第25話】 『“ナナのタイミングで喘ぐのがいちばん抜ける”って言われて、ちょっと誇らしかった』

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──どこで声を漏らすか。
どこで沈黙するか。
どこで目をそらすか。

それを全部、自分で決めるようになってから、
私は“従っていた頃”より、ずっと神経を研ぎ澄ませていた。

誰の指示でもない。
“自分のリズム”で、感じるタイミングを操る。

そんな私に、ある夜、コメントが届いた。

《ナナのタイミングで喘ぐのが、いちばん抜ける》
《予定調和じゃない感じが、たまらん》

──私はその言葉を、
コメント欄じゃなく、“心のど真ん中”で読んでいた。

自分で感じて、自分で演じて、
自分で編集するように、
“今日のナナ”を作り上げる夜。

最初は、それがただの孤独に思えた。
誰も指示してくれない。
どこまで見せればいいか、自分で決めなきゃいけない。

でも、画面越しの反応が、
私の“演出”をちゃんと受け止めてくれているとわかってから──
それは、ある種の“ライブ”になった。

私という身体を、
“実況されながら自演する”スリル。
私は、その緊張感の中で、
ひとつの欲望をこっそり育てていた。

──顔、出したらどうなるんやろ。

コメント欄で何度か、そういう話題が出ていた。

《ナナの顔、見てみたい》《でも見ない方が想像膨らむ》
《声と身体だけで満たされるって、逆に新しい》《想像だけで何度もイケる》
──そのどれもが、私を試しているようだった。

でも私は、
誰かに言われたから顔を出すつもりはなかった。

もし出すとしたら、
それは“私のタイミング”で。

喘ぎ声も、指先の動きも、
全部、自分で決めてきたように。

“顔”もまた、誰かに奪われるんじゃなく、
私の意志で差し出すものにしたかった。

その夜、私はカメラの角度をいつもより少しだけ上にした。

まだ、顔は見せない。
でも、“いつでも映せる場所”に、自分を置いた。

「……もし、出すなら。
見てくれる人、いますか?」

コメント欄は、一瞬止まって、
そして静かに、やさしくざわめいた。

《出してもし出さなくても、見てるよ》
《ナナの選ぶタイミングが、いちばん興奮する》
《顔より、その声が“本物”って証明してる気がする》

──私は、その言葉に小さく頷いて、
今日も、自分のペースで声を漏らした。

「私のタイミングで感じて、
 私のタイミングで、見せる。」

それが、今のナナのルール。
そしてそれを、“いちばん抜ける”って言ってもらえたことが、
なによりも誇らしかった。

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