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オーケストラはワルツを奏でる、眩い光の差し込むダンスホールでは、一組の美しい男女が初々しさのあるダンスをしており、皆目を奪われていた。
大柄な青年はあまり踊り慣れていないのか、ぎこちない感じだったが、身体能力でカバーをしている様で支える力は抜群、
同じく踊り慣れていないクララをしっかりリードしてくれている。
なぜだろう、青年の耳に揺れるピアスにクララはとても見覚えがあった。
左はラウンドカットされ、右はチェーンの下にドロップカットされたルビーが付いているデザインで、
リカ様に頂いた今付けているピアスにそっくりだった。
「クララ、俺はリカだ。」
ダンスの中盤、突然大柄な青年はクララに告げた。
「は?え?は?」
令嬢にあるまじき声をあげてしまったクララだったが、ダンスの途中でそんな突飛な事を言われ、足を踏まなかっただけ感謝して欲しかった。
「何を言っていると思われてるのは理解する、まずは聞いて欲しい。
俺はリカルド・バリ・ウォルファー、
ウォルファー獣人国の王太子だ。
君は前に隣国で密猟者から狼を助けたことがあっただろう、それが俺だ。」
更に不可解な事を告げられ、クララはもう全く踊りに労力を割くことが出来ず、自称リカ様の腕に支えられて過去を思い出そうとする。
「クロベエ?」
姉と共に隣国へ仕入れに出かけ、市場で怪しい奴隷商人を見つけたクララ達は、持ち前のトラブルに突っ込む性により組織を壊滅させ、そのお礼とお詫びとして夜会に招待され、姉と隣国の王太子がくっつくキッカケとなった。
組織壊滅の際に、沢山の攫われた人々の他に、美しい艶の黒い毛並みのワンちゃんを助けた覚えは確かにある。
狼とは知らなかったが、
クララは、誰にも懐かないそのワンちゃんにクロベエと名前を付けて献身的に面倒を見てあげ、大変可愛がり、最終的には芸を仕込むまでの信頼関係を築いていた。
得意技は一周回ってジャンプ。
隣国では毎日一緒に過ごし、自国に連れて帰ろうと思っていたのに、いつの間にか彼は消えてしまい、とても心配した。
が、なぜか隣国の王太子に心配はいらないと説明されて、まさか王太子が私から奪いこっそり飼うつもりなのかと、疑いの目を向けた。
しかし一国の王子に正面から逆らうのは得策でないと思い直し、姉が嫁に行った際は姿絵でも書いて送って貰えないか頼むつもりでおり、所在が分かったらまたいつかあの可愛い子犬をモフりたいと密かに計画を立て、
更に先走って準備した首輪にはクロベエ
と刻印し、自分のベッドの脇の棚に今もしまってある。
初のティール、ペットライン計画まで立てていた。
「俺はあの時、密猟者を見かけたという村に偵察に行き、薬を使われてそのまま隣国へ攫われた。
俺が王太子なのを知っていたかは分からないが、犯人は隣国の人間で、クララはあのままじゃ戦争になる所を未然に防いでくれたんだよ。
獣人は二つの身体を持ち、身体能力を調節することによって身体の大きさを変えることも可能で、
あの時は薬の回復に力を回す為に子犬のまま過ごすしていた。
君は俺をとても可愛がってくれたね、手ずからご飯を食べさせてくれ、毛並みを整えて、夜は一緒に眠ってくれた、
自分の人生であれだけ穏やかに過ごせたのは初めてだったよ。」
とても愛しいものを見るように、リカ様はクララを見つめ、背中へ回した手に力を込めた。
「クララ、あなたに結婚を申し込む為にこの国にきた」
「え?」
クララは話の展開に全く追いつけず、頭の中で目の前のリカ様の黒髪とクロベエの毛並みを思い出して比べている。
リカ様が結婚、、、
ワードとワードの間に、私と、が入るだけで一気に繋がらなくなる。
綺麗な淑女だと思っていた、憧れる程の高貴さは王族だったからなのか。
「俺が身体のサイズを調節して女のフリをしてまでこの国に来たのは、あなたのひととなりをもう一度見定める為もあったんだ、
国に帰ってすぐ結婚したい相手が出来たと父上に伝えた所、動物にだけ優しい人間では困るといわれてしまってね。
君はどんな人にも真摯に向き合い、規格外のサイズの女性もバカにしたりなどしない。
真面目で勤勉な人だ。
お客様に対してだからと言われればそうだが、それだけでない気遣いを君のドレスには細部に感じることが出来たよ。
もちろんうちの国でも商売を続けてもらって構わない、獣化した際の洋服なんかも人気が出ると思うんだが」
意外な程優しい笑顔で冗談を言うリカ様を見た時に、
前の見た目とは全く違う大柄な青年なのにも関わらず、やっと今ティールの応接室で話したリカ様と彼が繋がったような気がした。
「少し外で風にあたって離さないか?
君を困惑させてしまって申し訳ない。
時間をかけて疑問に全て答える。」
ダンスを終えるとリカ様はクララをバルコニーにエスコートしようとしてくれたが、そこを遮るように金髪の彼がやってきた。
「ごめんね、次は僕の番なんだ」
ディックがクララの右手を取ってダンスを申し込む。
「どうか一曲僕に恵んでくれませんか」
大柄な青年はあまり踊り慣れていないのか、ぎこちない感じだったが、身体能力でカバーをしている様で支える力は抜群、
同じく踊り慣れていないクララをしっかりリードしてくれている。
なぜだろう、青年の耳に揺れるピアスにクララはとても見覚えがあった。
左はラウンドカットされ、右はチェーンの下にドロップカットされたルビーが付いているデザインで、
リカ様に頂いた今付けているピアスにそっくりだった。
「クララ、俺はリカだ。」
ダンスの中盤、突然大柄な青年はクララに告げた。
「は?え?は?」
令嬢にあるまじき声をあげてしまったクララだったが、ダンスの途中でそんな突飛な事を言われ、足を踏まなかっただけ感謝して欲しかった。
「何を言っていると思われてるのは理解する、まずは聞いて欲しい。
俺はリカルド・バリ・ウォルファー、
ウォルファー獣人国の王太子だ。
君は前に隣国で密猟者から狼を助けたことがあっただろう、それが俺だ。」
更に不可解な事を告げられ、クララはもう全く踊りに労力を割くことが出来ず、自称リカ様の腕に支えられて過去を思い出そうとする。
「クロベエ?」
姉と共に隣国へ仕入れに出かけ、市場で怪しい奴隷商人を見つけたクララ達は、持ち前のトラブルに突っ込む性により組織を壊滅させ、そのお礼とお詫びとして夜会に招待され、姉と隣国の王太子がくっつくキッカケとなった。
組織壊滅の際に、沢山の攫われた人々の他に、美しい艶の黒い毛並みのワンちゃんを助けた覚えは確かにある。
狼とは知らなかったが、
クララは、誰にも懐かないそのワンちゃんにクロベエと名前を付けて献身的に面倒を見てあげ、大変可愛がり、最終的には芸を仕込むまでの信頼関係を築いていた。
得意技は一周回ってジャンプ。
隣国では毎日一緒に過ごし、自国に連れて帰ろうと思っていたのに、いつの間にか彼は消えてしまい、とても心配した。
が、なぜか隣国の王太子に心配はいらないと説明されて、まさか王太子が私から奪いこっそり飼うつもりなのかと、疑いの目を向けた。
しかし一国の王子に正面から逆らうのは得策でないと思い直し、姉が嫁に行った際は姿絵でも書いて送って貰えないか頼むつもりでおり、所在が分かったらまたいつかあの可愛い子犬をモフりたいと密かに計画を立て、
更に先走って準備した首輪にはクロベエ
と刻印し、自分のベッドの脇の棚に今もしまってある。
初のティール、ペットライン計画まで立てていた。
「俺はあの時、密猟者を見かけたという村に偵察に行き、薬を使われてそのまま隣国へ攫われた。
俺が王太子なのを知っていたかは分からないが、犯人は隣国の人間で、クララはあのままじゃ戦争になる所を未然に防いでくれたんだよ。
獣人は二つの身体を持ち、身体能力を調節することによって身体の大きさを変えることも可能で、
あの時は薬の回復に力を回す為に子犬のまま過ごすしていた。
君は俺をとても可愛がってくれたね、手ずからご飯を食べさせてくれ、毛並みを整えて、夜は一緒に眠ってくれた、
自分の人生であれだけ穏やかに過ごせたのは初めてだったよ。」
とても愛しいものを見るように、リカ様はクララを見つめ、背中へ回した手に力を込めた。
「クララ、あなたに結婚を申し込む為にこの国にきた」
「え?」
クララは話の展開に全く追いつけず、頭の中で目の前のリカ様の黒髪とクロベエの毛並みを思い出して比べている。
リカ様が結婚、、、
ワードとワードの間に、私と、が入るだけで一気に繋がらなくなる。
綺麗な淑女だと思っていた、憧れる程の高貴さは王族だったからなのか。
「俺が身体のサイズを調節して女のフリをしてまでこの国に来たのは、あなたのひととなりをもう一度見定める為もあったんだ、
国に帰ってすぐ結婚したい相手が出来たと父上に伝えた所、動物にだけ優しい人間では困るといわれてしまってね。
君はどんな人にも真摯に向き合い、規格外のサイズの女性もバカにしたりなどしない。
真面目で勤勉な人だ。
お客様に対してだからと言われればそうだが、それだけでない気遣いを君のドレスには細部に感じることが出来たよ。
もちろんうちの国でも商売を続けてもらって構わない、獣化した際の洋服なんかも人気が出ると思うんだが」
意外な程優しい笑顔で冗談を言うリカ様を見た時に、
前の見た目とは全く違う大柄な青年なのにも関わらず、やっと今ティールの応接室で話したリカ様と彼が繋がったような気がした。
「少し外で風にあたって離さないか?
君を困惑させてしまって申し訳ない。
時間をかけて疑問に全て答える。」
ダンスを終えるとリカ様はクララをバルコニーにエスコートしようとしてくれたが、そこを遮るように金髪の彼がやってきた。
「ごめんね、次は僕の番なんだ」
ディックがクララの右手を取ってダンスを申し込む。
「どうか一曲僕に恵んでくれませんか」
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