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本編
仲直りはデコチュー
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翌日、スカイと顔を合わせたノエリオは、気まずかったことを払拭するべく、にっこり笑った。
スカイとは、やっぱり仲良くしたい。ごめんなさいと言い出すのは無理でも、笑顔を向けることはできた。
「スカイ、今日も頑張るんだぞ」
サボっちゃ駄目なんだぞというニュアンスを含ませた台詞で兄貴風を吹かせ、ノエリオは開店準備に勤しむ。
「おめーの方が頑張れチビピノ」
年齢的にも、この店に雇われた順でも、スカイの方が先だった。なのにノエリオは出会った頃から変わらずスカイのことを年下に見てくる。いい加減、年齢を打ち明けるべきか迷ったこともあるが、目の前でピーピー騒ぐ白兎が面白いので放ってある。
「イタッ…っ、耳引っ張んな! スカイのいじわる」
「痛いだけか? これは? ここはどうだ?」
「ひやっ?! はうぁ…?!」
ノエリオが奇声上げ出した。
兎耳を、ただ引っ張るだけではなく、指先を動かして毛並みを逆立てたり、耳の内側へと徐々に指を這わせ、最終的に兎耳の奥、人差し指がスポッと嵌るくらいの小さな耳穴に到達した。
そこは温かくも柔らかい場所だった。スカイにとってであるが。ノエリオからしたら耳奥でガサガサ音がして奇妙な感覚だ。
「顔赤くなってんぞチビっピノ。気持ちいいんじゃねえの?」
「んな…! そんなこと…っ」
ノエリオの頬は薄桃色に染まっている。これは繊細な兎耳を弄られ、耳穴にまで侵入を果たしたスカイの指先が、もぞもぞ動いて何だかよく分からない刺激を送ってくるからだぬ
。あまつさえ、スカイはノエリオにぴったりとくっつきノエリオの羞恥に染まった顔を覗き込む。
「こういうこと、初めてか?」
「ふぁ?」
「初めてかって訊いてんの」
「ん、うん、こんなこと他に誰がやるっていうんだ…スカイしかやんないんだぞぉ…」
今にも泣きそうに顔を歪めさせながら答えるノエリオの答えに満足したのか、スカイは喜色満面。
「そうか」と呟き、「俺以外の誰にもやらせるなよ」と言い放ってからノエリオのおでこにキスをした。
「────ふぁ?!」
これまでに戯れで耳を引っ張られたり擽られたりはあったが、おでこにチューでデコチューは初めてだった。
途端にドクリと飛び跳ねた心臓が、ノエリオの全身を熱くさせる。血液循環効率がアップしたのと同時に魔力回路も活性化した気がした。
体中が火照る。
スカイの指が再び兎耳をまさぐり、それから耳穴が解放されても、ノエリオは己の心臓がドクンドクンと大きな音を立てているのを聞いた。
そうこうしている内に営業時間がくる。客が店に入ってくる。
スカイは接客に動いたが、ノエリオは火照った顔を何とかしようと、厨房を横切って勝手口から飛び出した。
「ノエリオ?」
気づいた水色兎耳のウィルが声を掛けてくる。
「ごめん、ごめん、サボってごめんなさいなんだぞぉぉぉ、ふえぇぇーー」
サボりは良くないと、いつも豪語していた自分が今、どうしようもない感情につき動かされて逃げようとしていた。ノエリオは勝手に出てくる涙を拭っては荒ぶる心臓を落ち着かせることに必死になった。
ただでさえドジっ子なノエリオ。この時も狼狽して裏路地を駆け回り、どこかのドアから出てきた獣人にぶつかった。顔面強打の上、地面へと尻もちをつく。
「アイタッッ…タタタ…ごめ」
謝ろうとした矢先、「またかねチビ助」と声がした。昨日も聞いた聞き覚えのある鳥声。ピーチチチとか可愛いものではなくドスの効いた渋辛い声だったが、鳥の獣人だから鳥声である。
キリッとした獲物を見定めたような瞳を向ける猛禽類。希少種クマタカの姿を目に入れて、ノエリオは恐怖に固まる。涙は強制的に引っ込んだ。
「あわわ怖い顔」
「なんだ。またノエリオか」
「モタツキくん、チビ助が怪我してないか看てくれである」
「モチヅキですセクハラ隊長ついでの顔面凶器。おーい、ノエリオ正気か? 隊長が怖くてションベン漏らしてないか?」
モチヅキは相変わらずサラサラ黒髪イケメンな面構えである。尻もちついてるノエリオを立たせてくれて、痛い所はないかと尋ねながらも体中を触る。これこそセクハラだと思うけれど…。ノエリオは複雑な気分で、また髪の毛払い除けられ兎耳を引っ張られて「みいー!」と鳴いた。この鳴き声に意味はない。
「おいおい、なんて声で鳴くんだノエリオは。それに、隊長の顔面が人を射殺しそうな凶器だからって怯え過ぎだ。別に、このタカは兎を狩ったりはしないんだ。素人童貞だし」
「待ってモタツキくん、その情報は要らなかったよ必要なかった。というか、どうして我輩がプロにはお世話になったけどピュアで穢れなき天使だってことを知ってるのであるか?30歳独身素人童貞天使だってなんで知って?」
クマタカはオロオロしながらも自分の情報を漏らしてるけどいいのかなとノエリオは思いながらも、「ぶつかってごめんなさい」と頭を下げた。
「良い子! なんて良い子なであるかチビ助は…! おお、そうだ。二度もぶつかってしまったお詫びに、これからディナーを御馳走してあげよう。何か好きなものはあるかい?」
「隊長、さっき最後の一件が終わったからって、今日の仕事が全部終わったわけじゃないですよ。報告書どうすんです? それとも、もう直帰にするんですか」
「ああ、直帰でいい。報告は適当にやっといてくれたまえ。では行こうかチビ助。メルクマールには、いい居酒屋があると知り合いに教えてもらったのである。一度行ってみたかったんであ~る」
ノエリオが何か口を挟む余裕はなかった。気づけばクマタカの獣人に肩を掴まれ、ぐっとくっつかれたまま、舗装された煉瓦道を歩いて店の方向へ戻っていた。
モチヅキは「俺も後から行きますよ」と警邏隊の詰め所に戻って行く。
誰もクマタカの行動を止める者はいなかった。
「さあ、ここだここだ。苔むした看板に苔だらけの階段。間違いない。ここが苔庭のイタチ亭であるな」
連れて来られたのはノエリオも見知った場所。ノエリオの職場。苔庭のイタチ亭。木の扉を押し開けて二人は暖かい色した煉瓦の門を潜る。
「へい。らっしゃいやせ~て、ピノ?」
クマタカの顔した人相やばい獣人と連れ立って戻ったノエリオに、店員のスカイは目を剥いた。
「ス、スカイ…あの、その」
「んー? チビ助、ここの店員と知り合いか?」
「あうぅ…おっちゃん」
「おっちゃんではない。ボグスィ・タムーである。ボグスィと呼べ」
「ボグスィのおっちゃん」
「間違いではないな!」
ガハハハと豪快に笑いつつノエリオの肩を抱き、空いてる席にどっかりと腰を落ち着けたクマタカのボグスィ。スカイを呼んで注文する。
「店員の猫ちゃんよお、酒と肉をくれ。後で部下たちがわんさか来るから、大皿料理十品ほどお願いするのである。それから、このチビ助の好きな料理を。我輩の奢りなのである」
「へーい。大皿料理いっぱいね。んで、ピノに奢り、ねえ…」
スカイは注文を紙に書付ながらノエリオを横目で見やる。ノエリオは肩を竦めて俯いていた。気まずいらしくスカイと目を合わせようとしない。
ノエリオはノエリオで、先程にデコチューされたことを思い出して顔を上げれないでいた。スカイの声を兎耳に入れる度、あの声を紡ぐ口が、さっき自分のデコにキスしたという事実を再確認させてくるのだ。顔を上げて、スカイの顔をまともに見れるはずなかった。顔見たら口だって見てしまうから。
(うぅぅ…スカイ、なんでそんな美味しそうな唇してんだ…俺ぇ、おかしくなっちゃったぞ。変なことばっかり考えてる…!)
目の周りが熱くなって頭は沸騰しそうだった。ノエリオは垂れた兎耳をさらに垂れさせて、クマタカのボグスィの横でもじもじしていた。
「いつの間に、うちの店員と仲良くなったんすか?」
スカイが不機嫌そうな声で訊ねる。
「店員? チビ助が?」
ボグスィに問われて、こくこく頷くノエリオ。視線は下がったままだ。
「そうか。チビ助、ここの店員か。ちゃんと働いてて偉いぞ~」
わしわし頭を撫でられるだけ撫でられているノエリオを半眼に眇めた猫目で見つめたスカイは、「ふーん」と興味なさげな声を出してから、くるり振り返り黒尻尾を揺らして厨房へ向かった。
「あう、あうぅ、ボグスィのおっちゃん、奢ってくれんのは嬉しいんだけど、俺、仕事あるから」
「嗚呼、職務中なのであるなチビ助は。よし、休憩の時に好きな料理を好きなだけ食べるが良いぞ。それを我輩が奢ろう」
気前のいいボグスィの発言を断ろうとは思わなかった。ノエリオは「うん。ありがとな、おっちゃん。うちの料理おいしいからな。楽しんでって」と言い残し席を立つ。エプロンをつけて仕事を再開しようとした時、観葉植物の鉢の影にそれが立っているのを見つけた。
「あれ? じー様」
正確には、じー様から貰ったうさぎのぬいぐるみであるが、そのぬいぐるみは、ぬいぐるみのはずなのに直立不動で立っていた。背中に観葉植物の鉢があるから、そこに凭れて一服しているかのようなスタイルである。
ノエリオが声をかけた時、うさぎのぬいぐるみはギクッと肩をすぼめた。まるで生きているもののような反応だ。
ノエリオは、そんなうさぎのぬいぐるみの奇妙な反応に気づいているのか気づいていないのか、「こんなとこだと蹴られちゃうぞ」とぬいぐるみを抱っこし、厨房の隅にある目立たない椅子の上に置いた。
うさぎのぬいぐるみを置いてから、ノエリオはきょろきょろ辺りを見回し、スカイの姿を見つけた途端、顔が赤くなる。火照ってしょうがないから、ノエリオはスカイのいない方から厨房を出て、ホールへ仕事をしに出て行った。
「いらっしゃいませ」
丁度やってきた客は警邏隊の制服を着た団体だった。
「うおーここだここだ。あったけえ」
「隊長は?」
「あそこだ。もう酒飲んでんぞ、あの獣人は…」
「俺も俺も~ぉ」
「酒だー!」
既に始めてしまっている隊長ボグスィのいる席へ、何人もの男たちが詰めかけた。
「悪いなノエリオ、大勢で詰めかけちゃってさ」
「えーと、大丈夫なんだぞ。空いてる席にどうぞだぞー」
モチヅキが声を掛けてくれたのもそこそこに、隊長を囲う五人からあぶれた数人を他のテーブルへ案内し、ノエリオは給仕に勤しんだ。出来上がった大皿料理から順番に運ぶ。
「なあ、ノエリオって、ここで働いてんの?」
モチヅキが給仕姿のノエリオを見てそう言ってくる。ノエリオは「うん」と頷きつつも、直ぐにモチヅキから離れて他のテーブルへと料理を運んだ。
同じ学び舎で学んでいたはずなのに、片や領主に抜擢されるほどのエリート、片や冒険者御用達の居酒屋店員。どうしても自分の境遇と重ねてしまう。
モチヅキと会話するだけで、こんな不快な気持ちを抱くことが嫌で、モチヅキのいるテーブルにはあまり近寄らないようにした。
その日も、夜の客がはけるまで働いたノエリオ。帰宅前にうさぎのぬいぐるみを探した。なぜかキッチンカウンターの上に座っていたけれど、気にせず胸に抱きしめてから二階の階段へと向かう。
その途中、「ピノ、ちょっと話がある」とスカイに呼び止められた。
うさぬいを抱っこしたままノエリオは振り返る。そこには少し険しい顔したスカイ。怒ってる…?と訊きそうになったけど口を噤んだ。
「警邏隊の中にさあ、えらい綺麗な顔したやついたじゃん。お前と喋ってた…あれって、なに?」
友達か?と訊こうとしたスカイだったが、言葉にした単語は誰でもない「なに?」という一単語だった。
もし友達かと訊いて、友達だと肯定された場合、おそらくもやもやとした感情が残る。そう思って咄嗟に出た言葉が「なに?」だった。我ながら無関心を装いつつでも気にしてるの丸わかりな言葉チョイスだなと、スカイは心の中で自嘲する。
「モチヅキのこと? あれは同級生だったやつだぞ。今は見ての通り警邏隊の…エリートだよなあ、どう見てもさ」
「同級生…」
ノエリオの返答に、ほっと胸をなでおろしたスカイは、胸にもやもやを溜めることなく会話ができたことにも安堵していた。昨日、どうやら自分の何気ない一言がノエリオの癇に障ってしまったらしいので、それなりに反省もしていたのだ。
今も、慎重に言葉を選びながらノエリオの様子を窺っている。
なんで他人に対してここまで心砕いてるのか────これまで自分のことばかり考えていた自分らしくないとは考えたが、ノエリオがいつも通りにドジっ子を発揮して、明るく笑ってないと調子が狂うのも事実だった。
「学校に通ってたって言ってたもんなあ…そうか、あれは同級生か。それにしたって、あんま嬉しそうじゃねえな。ああ、あいつ人間だもんな。もしかして、学校でお前を虐めてたのはあれか?」
前に聞いたことがあるのだ。ノエリオが人間の多い学校に通っていたこと。そこで獣人だと差別される対象だったこと。スカイはその話を聞いて、ノエリオは人間に虐められて、人間が嫌いになったんだと思っている。
「ううん、モチヅキは違うんだぞ。あいつは面白いやつで、皆からも慕われてて、いいやつなんだぞ」
そうだった。己の口から飛び出た言葉で思い出す。モチヅキは差別しないやつだった。常に友達の輪を作り、慕われ、笑わかせてはノエリオにも、「兎耳の手入れってどうやってんだ?」なんてグルーミングについて興味津々で訊いてくるようなやつだった。
やけに兎耳に拘っているのはなんでだろうな。
「へえ。いいやつ…」
確かに仲間たちと和気藹々と喋り、楽しそうにしていた。仲間のジョッキが空になるとおかわりを注いだり、スプーンを落としたやつにも新しいスプーン渡したり。なんだかんだ気の利くやつだと思ったもんだ。
しかし、それはそれ。いいやつだと認める他にも、何か別の感情が渦巻いてくるのをスカイは自覚していた。それはノエリオの心がモチヅキに近すぎやしないか?という問題に関してだ。そう、これは由々しき事態。
これまでにもノエリオにちょっかいかける輩はいた。お尻撫でたりのセクハラするオヤジもいた。あのクマタカオヤジもノエリオの肩を親し気に抱いていたではないか。それを見て複雑な気分だったスカイなのだが、モチヅキほどじゃなかった。モチヅキと親しそうにしているノエリオには果てしなくイライラする。
「いいやつとは、どこまでの仲だったんだ?」
「え────スカイ?」
ノエリオの両肩に手を置いて、そのまま、ぐっと身を寄せていく。またデコチューしたら、こいつはどんな顔するんだろう。スカイは大きく見開くノエリオの大粒ダイヤよりも魅力的に見える瞳を見つめながら思った。
「はーい。そこまで」
「う。ウィル…」
「その兎を食うには、まだ早いよ。もっとも、俺は熟成熟れ兎だから食うのは今がチャンスだけどね。相手いないから無理だけどさ。どうせなら売ってみようかな熟れたところでも。熟れ兎なだけにね。ふふ…熟れと売れをかけたんだよ…ふふふ」
突如の下ネタ発言をかまし、両手で顔を覆い、笑い出したウィル。安定の彼の発言と行動に、ノエリオは思わず苦笑いしてスカイの手から逃れた。
「あ、ピノ」
「お疲れ様なんだぞ。スカイ、また明日な! ウィルも~」
と、挨拶しながら階段を登ろうとしたところで、ウィルの背後に立つ人物に気づく。
「ウィルは私と夜の遊びをしましょうね。熟れ兎で食べごろなんでしたっけ。実に美味しそうですよね」
口端を円弧に歪め糸目を更に細めるテオ。
これ以上はお邪魔だと察したノエリオもスカイも、さっさとその場を後にした。
顔を覆ってしまったが故にテオの醸し出す怪しい雰囲気に気づかないウィルだけが、ひとり楽しそうに笑っていた。
スカイとは、やっぱり仲良くしたい。ごめんなさいと言い出すのは無理でも、笑顔を向けることはできた。
「スカイ、今日も頑張るんだぞ」
サボっちゃ駄目なんだぞというニュアンスを含ませた台詞で兄貴風を吹かせ、ノエリオは開店準備に勤しむ。
「おめーの方が頑張れチビピノ」
年齢的にも、この店に雇われた順でも、スカイの方が先だった。なのにノエリオは出会った頃から変わらずスカイのことを年下に見てくる。いい加減、年齢を打ち明けるべきか迷ったこともあるが、目の前でピーピー騒ぐ白兎が面白いので放ってある。
「イタッ…っ、耳引っ張んな! スカイのいじわる」
「痛いだけか? これは? ここはどうだ?」
「ひやっ?! はうぁ…?!」
ノエリオが奇声上げ出した。
兎耳を、ただ引っ張るだけではなく、指先を動かして毛並みを逆立てたり、耳の内側へと徐々に指を這わせ、最終的に兎耳の奥、人差し指がスポッと嵌るくらいの小さな耳穴に到達した。
そこは温かくも柔らかい場所だった。スカイにとってであるが。ノエリオからしたら耳奥でガサガサ音がして奇妙な感覚だ。
「顔赤くなってんぞチビっピノ。気持ちいいんじゃねえの?」
「んな…! そんなこと…っ」
ノエリオの頬は薄桃色に染まっている。これは繊細な兎耳を弄られ、耳穴にまで侵入を果たしたスカイの指先が、もぞもぞ動いて何だかよく分からない刺激を送ってくるからだぬ
。あまつさえ、スカイはノエリオにぴったりとくっつきノエリオの羞恥に染まった顔を覗き込む。
「こういうこと、初めてか?」
「ふぁ?」
「初めてかって訊いてんの」
「ん、うん、こんなこと他に誰がやるっていうんだ…スカイしかやんないんだぞぉ…」
今にも泣きそうに顔を歪めさせながら答えるノエリオの答えに満足したのか、スカイは喜色満面。
「そうか」と呟き、「俺以外の誰にもやらせるなよ」と言い放ってからノエリオのおでこにキスをした。
「────ふぁ?!」
これまでに戯れで耳を引っ張られたり擽られたりはあったが、おでこにチューでデコチューは初めてだった。
途端にドクリと飛び跳ねた心臓が、ノエリオの全身を熱くさせる。血液循環効率がアップしたのと同時に魔力回路も活性化した気がした。
体中が火照る。
スカイの指が再び兎耳をまさぐり、それから耳穴が解放されても、ノエリオは己の心臓がドクンドクンと大きな音を立てているのを聞いた。
そうこうしている内に営業時間がくる。客が店に入ってくる。
スカイは接客に動いたが、ノエリオは火照った顔を何とかしようと、厨房を横切って勝手口から飛び出した。
「ノエリオ?」
気づいた水色兎耳のウィルが声を掛けてくる。
「ごめん、ごめん、サボってごめんなさいなんだぞぉぉぉ、ふえぇぇーー」
サボりは良くないと、いつも豪語していた自分が今、どうしようもない感情につき動かされて逃げようとしていた。ノエリオは勝手に出てくる涙を拭っては荒ぶる心臓を落ち着かせることに必死になった。
ただでさえドジっ子なノエリオ。この時も狼狽して裏路地を駆け回り、どこかのドアから出てきた獣人にぶつかった。顔面強打の上、地面へと尻もちをつく。
「アイタッッ…タタタ…ごめ」
謝ろうとした矢先、「またかねチビ助」と声がした。昨日も聞いた聞き覚えのある鳥声。ピーチチチとか可愛いものではなくドスの効いた渋辛い声だったが、鳥の獣人だから鳥声である。
キリッとした獲物を見定めたような瞳を向ける猛禽類。希少種クマタカの姿を目に入れて、ノエリオは恐怖に固まる。涙は強制的に引っ込んだ。
「あわわ怖い顔」
「なんだ。またノエリオか」
「モタツキくん、チビ助が怪我してないか看てくれである」
「モチヅキですセクハラ隊長ついでの顔面凶器。おーい、ノエリオ正気か? 隊長が怖くてションベン漏らしてないか?」
モチヅキは相変わらずサラサラ黒髪イケメンな面構えである。尻もちついてるノエリオを立たせてくれて、痛い所はないかと尋ねながらも体中を触る。これこそセクハラだと思うけれど…。ノエリオは複雑な気分で、また髪の毛払い除けられ兎耳を引っ張られて「みいー!」と鳴いた。この鳴き声に意味はない。
「おいおい、なんて声で鳴くんだノエリオは。それに、隊長の顔面が人を射殺しそうな凶器だからって怯え過ぎだ。別に、このタカは兎を狩ったりはしないんだ。素人童貞だし」
「待ってモタツキくん、その情報は要らなかったよ必要なかった。というか、どうして我輩がプロにはお世話になったけどピュアで穢れなき天使だってことを知ってるのであるか?30歳独身素人童貞天使だってなんで知って?」
クマタカはオロオロしながらも自分の情報を漏らしてるけどいいのかなとノエリオは思いながらも、「ぶつかってごめんなさい」と頭を下げた。
「良い子! なんて良い子なであるかチビ助は…! おお、そうだ。二度もぶつかってしまったお詫びに、これからディナーを御馳走してあげよう。何か好きなものはあるかい?」
「隊長、さっき最後の一件が終わったからって、今日の仕事が全部終わったわけじゃないですよ。報告書どうすんです? それとも、もう直帰にするんですか」
「ああ、直帰でいい。報告は適当にやっといてくれたまえ。では行こうかチビ助。メルクマールには、いい居酒屋があると知り合いに教えてもらったのである。一度行ってみたかったんであ~る」
ノエリオが何か口を挟む余裕はなかった。気づけばクマタカの獣人に肩を掴まれ、ぐっとくっつかれたまま、舗装された煉瓦道を歩いて店の方向へ戻っていた。
モチヅキは「俺も後から行きますよ」と警邏隊の詰め所に戻って行く。
誰もクマタカの行動を止める者はいなかった。
「さあ、ここだここだ。苔むした看板に苔だらけの階段。間違いない。ここが苔庭のイタチ亭であるな」
連れて来られたのはノエリオも見知った場所。ノエリオの職場。苔庭のイタチ亭。木の扉を押し開けて二人は暖かい色した煉瓦の門を潜る。
「へい。らっしゃいやせ~て、ピノ?」
クマタカの顔した人相やばい獣人と連れ立って戻ったノエリオに、店員のスカイは目を剥いた。
「ス、スカイ…あの、その」
「んー? チビ助、ここの店員と知り合いか?」
「あうぅ…おっちゃん」
「おっちゃんではない。ボグスィ・タムーである。ボグスィと呼べ」
「ボグスィのおっちゃん」
「間違いではないな!」
ガハハハと豪快に笑いつつノエリオの肩を抱き、空いてる席にどっかりと腰を落ち着けたクマタカのボグスィ。スカイを呼んで注文する。
「店員の猫ちゃんよお、酒と肉をくれ。後で部下たちがわんさか来るから、大皿料理十品ほどお願いするのである。それから、このチビ助の好きな料理を。我輩の奢りなのである」
「へーい。大皿料理いっぱいね。んで、ピノに奢り、ねえ…」
スカイは注文を紙に書付ながらノエリオを横目で見やる。ノエリオは肩を竦めて俯いていた。気まずいらしくスカイと目を合わせようとしない。
ノエリオはノエリオで、先程にデコチューされたことを思い出して顔を上げれないでいた。スカイの声を兎耳に入れる度、あの声を紡ぐ口が、さっき自分のデコにキスしたという事実を再確認させてくるのだ。顔を上げて、スカイの顔をまともに見れるはずなかった。顔見たら口だって見てしまうから。
(うぅぅ…スカイ、なんでそんな美味しそうな唇してんだ…俺ぇ、おかしくなっちゃったぞ。変なことばっかり考えてる…!)
目の周りが熱くなって頭は沸騰しそうだった。ノエリオは垂れた兎耳をさらに垂れさせて、クマタカのボグスィの横でもじもじしていた。
「いつの間に、うちの店員と仲良くなったんすか?」
スカイが不機嫌そうな声で訊ねる。
「店員? チビ助が?」
ボグスィに問われて、こくこく頷くノエリオ。視線は下がったままだ。
「そうか。チビ助、ここの店員か。ちゃんと働いてて偉いぞ~」
わしわし頭を撫でられるだけ撫でられているノエリオを半眼に眇めた猫目で見つめたスカイは、「ふーん」と興味なさげな声を出してから、くるり振り返り黒尻尾を揺らして厨房へ向かった。
「あう、あうぅ、ボグスィのおっちゃん、奢ってくれんのは嬉しいんだけど、俺、仕事あるから」
「嗚呼、職務中なのであるなチビ助は。よし、休憩の時に好きな料理を好きなだけ食べるが良いぞ。それを我輩が奢ろう」
気前のいいボグスィの発言を断ろうとは思わなかった。ノエリオは「うん。ありがとな、おっちゃん。うちの料理おいしいからな。楽しんでって」と言い残し席を立つ。エプロンをつけて仕事を再開しようとした時、観葉植物の鉢の影にそれが立っているのを見つけた。
「あれ? じー様」
正確には、じー様から貰ったうさぎのぬいぐるみであるが、そのぬいぐるみは、ぬいぐるみのはずなのに直立不動で立っていた。背中に観葉植物の鉢があるから、そこに凭れて一服しているかのようなスタイルである。
ノエリオが声をかけた時、うさぎのぬいぐるみはギクッと肩をすぼめた。まるで生きているもののような反応だ。
ノエリオは、そんなうさぎのぬいぐるみの奇妙な反応に気づいているのか気づいていないのか、「こんなとこだと蹴られちゃうぞ」とぬいぐるみを抱っこし、厨房の隅にある目立たない椅子の上に置いた。
うさぎのぬいぐるみを置いてから、ノエリオはきょろきょろ辺りを見回し、スカイの姿を見つけた途端、顔が赤くなる。火照ってしょうがないから、ノエリオはスカイのいない方から厨房を出て、ホールへ仕事をしに出て行った。
「いらっしゃいませ」
丁度やってきた客は警邏隊の制服を着た団体だった。
「うおーここだここだ。あったけえ」
「隊長は?」
「あそこだ。もう酒飲んでんぞ、あの獣人は…」
「俺も俺も~ぉ」
「酒だー!」
既に始めてしまっている隊長ボグスィのいる席へ、何人もの男たちが詰めかけた。
「悪いなノエリオ、大勢で詰めかけちゃってさ」
「えーと、大丈夫なんだぞ。空いてる席にどうぞだぞー」
モチヅキが声を掛けてくれたのもそこそこに、隊長を囲う五人からあぶれた数人を他のテーブルへ案内し、ノエリオは給仕に勤しんだ。出来上がった大皿料理から順番に運ぶ。
「なあ、ノエリオって、ここで働いてんの?」
モチヅキが給仕姿のノエリオを見てそう言ってくる。ノエリオは「うん」と頷きつつも、直ぐにモチヅキから離れて他のテーブルへと料理を運んだ。
同じ学び舎で学んでいたはずなのに、片や領主に抜擢されるほどのエリート、片や冒険者御用達の居酒屋店員。どうしても自分の境遇と重ねてしまう。
モチヅキと会話するだけで、こんな不快な気持ちを抱くことが嫌で、モチヅキのいるテーブルにはあまり近寄らないようにした。
その日も、夜の客がはけるまで働いたノエリオ。帰宅前にうさぎのぬいぐるみを探した。なぜかキッチンカウンターの上に座っていたけれど、気にせず胸に抱きしめてから二階の階段へと向かう。
その途中、「ピノ、ちょっと話がある」とスカイに呼び止められた。
うさぬいを抱っこしたままノエリオは振り返る。そこには少し険しい顔したスカイ。怒ってる…?と訊きそうになったけど口を噤んだ。
「警邏隊の中にさあ、えらい綺麗な顔したやついたじゃん。お前と喋ってた…あれって、なに?」
友達か?と訊こうとしたスカイだったが、言葉にした単語は誰でもない「なに?」という一単語だった。
もし友達かと訊いて、友達だと肯定された場合、おそらくもやもやとした感情が残る。そう思って咄嗟に出た言葉が「なに?」だった。我ながら無関心を装いつつでも気にしてるの丸わかりな言葉チョイスだなと、スカイは心の中で自嘲する。
「モチヅキのこと? あれは同級生だったやつだぞ。今は見ての通り警邏隊の…エリートだよなあ、どう見てもさ」
「同級生…」
ノエリオの返答に、ほっと胸をなでおろしたスカイは、胸にもやもやを溜めることなく会話ができたことにも安堵していた。昨日、どうやら自分の何気ない一言がノエリオの癇に障ってしまったらしいので、それなりに反省もしていたのだ。
今も、慎重に言葉を選びながらノエリオの様子を窺っている。
なんで他人に対してここまで心砕いてるのか────これまで自分のことばかり考えていた自分らしくないとは考えたが、ノエリオがいつも通りにドジっ子を発揮して、明るく笑ってないと調子が狂うのも事実だった。
「学校に通ってたって言ってたもんなあ…そうか、あれは同級生か。それにしたって、あんま嬉しそうじゃねえな。ああ、あいつ人間だもんな。もしかして、学校でお前を虐めてたのはあれか?」
前に聞いたことがあるのだ。ノエリオが人間の多い学校に通っていたこと。そこで獣人だと差別される対象だったこと。スカイはその話を聞いて、ノエリオは人間に虐められて、人間が嫌いになったんだと思っている。
「ううん、モチヅキは違うんだぞ。あいつは面白いやつで、皆からも慕われてて、いいやつなんだぞ」
そうだった。己の口から飛び出た言葉で思い出す。モチヅキは差別しないやつだった。常に友達の輪を作り、慕われ、笑わかせてはノエリオにも、「兎耳の手入れってどうやってんだ?」なんてグルーミングについて興味津々で訊いてくるようなやつだった。
やけに兎耳に拘っているのはなんでだろうな。
「へえ。いいやつ…」
確かに仲間たちと和気藹々と喋り、楽しそうにしていた。仲間のジョッキが空になるとおかわりを注いだり、スプーンを落としたやつにも新しいスプーン渡したり。なんだかんだ気の利くやつだと思ったもんだ。
しかし、それはそれ。いいやつだと認める他にも、何か別の感情が渦巻いてくるのをスカイは自覚していた。それはノエリオの心がモチヅキに近すぎやしないか?という問題に関してだ。そう、これは由々しき事態。
これまでにもノエリオにちょっかいかける輩はいた。お尻撫でたりのセクハラするオヤジもいた。あのクマタカオヤジもノエリオの肩を親し気に抱いていたではないか。それを見て複雑な気分だったスカイなのだが、モチヅキほどじゃなかった。モチヅキと親しそうにしているノエリオには果てしなくイライラする。
「いいやつとは、どこまでの仲だったんだ?」
「え────スカイ?」
ノエリオの両肩に手を置いて、そのまま、ぐっと身を寄せていく。またデコチューしたら、こいつはどんな顔するんだろう。スカイは大きく見開くノエリオの大粒ダイヤよりも魅力的に見える瞳を見つめながら思った。
「はーい。そこまで」
「う。ウィル…」
「その兎を食うには、まだ早いよ。もっとも、俺は熟成熟れ兎だから食うのは今がチャンスだけどね。相手いないから無理だけどさ。どうせなら売ってみようかな熟れたところでも。熟れ兎なだけにね。ふふ…熟れと売れをかけたんだよ…ふふふ」
突如の下ネタ発言をかまし、両手で顔を覆い、笑い出したウィル。安定の彼の発言と行動に、ノエリオは思わず苦笑いしてスカイの手から逃れた。
「あ、ピノ」
「お疲れ様なんだぞ。スカイ、また明日な! ウィルも~」
と、挨拶しながら階段を登ろうとしたところで、ウィルの背後に立つ人物に気づく。
「ウィルは私と夜の遊びをしましょうね。熟れ兎で食べごろなんでしたっけ。実に美味しそうですよね」
口端を円弧に歪め糸目を更に細めるテオ。
これ以上はお邪魔だと察したノエリオもスカイも、さっさとその場を後にした。
顔を覆ってしまったが故にテオの醸し出す怪しい雰囲気に気づかないウィルだけが、ひとり楽しそうに笑っていた。
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