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番外
モテないクマタカとモテるモチヅキくん*
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襲い受けのリクエストいただきまして。
クマタカ×人間
。゚.o。*:.●。.:*。゚.o。*:.●。.:*。゚.o。*:.●
「我輩、なんでモテないんであるかなあ」
メルクマール警邏隊隊長ボグスィ・タムーが、不意にこぼした一言は、大体これまでにもよく発せられた迷言である。
ボグスィは獣人だ。それも希少種クマタカ。獣人が多くいるこの世界で、希少種の彼は希少だけに国から保護までされちゃっている珍しい獣人だ。
どういうことかというと、希少種は魔力が高い割に繁殖能力が低いという特色があるから、絶滅しないよう国が繁殖支援してくれているのだ。ありがたいことに。
その中の一つで、『集団お見合い』というものがある。
成人したら国から届く招待状。中には『希少種を集めたパーティーやるから来てちょ』と書かれている。結婚するまで毎年しつこく届く。
国主催であるからしてパーティー会場は国の中央。政府中央機関が集まる首都の、有名な観戦場で行われる。観戦場は丸型の巨大な建造物で、屋根はドームに覆われている。雨など天候の悪い日でもスポーツ試合やコンサート各種イベントが開催できるとあって、一般企業から国の中央政府まで各機関ご用達のものである。
クマタカ獣人ボグスィは、このお見合いパーティーに参加してきたのだった。
結果、大層モテなかったのである。
ボグスィは警邏隊の詰め所内、休憩所にある隊長席と銘打った揺り椅子に座って、ゆ~らゆら揺れている。
この休憩所、休憩所とは名ばかりで鉄アレイにダンベルといったトレーニング器具から足つぼマッサージ板などの健康器具に美顔ローラーまで揃う、室内訓練施設である。
施設の一角に水分補給所と観葉植物、それから揺り椅子にリクライニングチェアなどもあるから、ここで休息を取る隊員も多かった。
「我輩、なんでモテないんであるかなあ」
ボグスィ隊長が、再度こぼした呟きは虚しくその空間に響いた。
訓練施設内、ジムに励む若い隊員の姿もチラホラあるのだが、その誰もがボグスィ隊長の方を見ていなかった。ただ一様に(でっけえ独り言だなあ)と隊員たちは思っていた。そして誰もが(この呟きに返事したらあかん)と覚悟を決めていた。
返事をしたり相槌を打ったら最後、猛禽類クマタカを前にして、パーティーで何があったのかを語られる羽目になる。内容は推して計れる。これまでにもあったことだ。彼は絶望的にモテない。
それは彼の容姿が猛禽類そのもので、普通の貴族令嬢では見ただけで卒倒するような怖さがあるからだ。
彼が傍にいるだけで、貴族令嬢は蒼褪め心臓が縮み上がり食べないで命ばかりはお助けをと懇願する。
哀しいことにこれが現実なのだ。
なまじ貴族に生まれ、猛禽類に産まれ、背が高くガタイ良く怖い外見であるがために、ボグスィは第一印象で好印象を抱かれる確率が低かった。
せめて貴族じゃなければ結婚適齢期の妙齢な女性の分母は大きくなり、万が一でそんなボグスィが良いと言ってくれるお嬢さんがいたかもしれない。しかしそんなミラクル起こる筈もなく、ボグスィが貴族で希少種なのも変わりなく、女性からモテないのはもう運命としか言いようがなかった。
女運絶望的ボグスィ隊長であるが、隊員たちには慕われている。
立派な体格、堂々とした振舞、鍛え上げられし肉体で悪い奴をバッタバッタと薙ぎ倒す猛禽類の姿は、同性からは憧れの眼差しで見詰められることが多い。
今でも、彼は部下の隊員たちから羨望を集め、そして優しく見守られていた。
モテないと嘆く彼を、より一層に傷つけないよう近寄らず騒がず、そっとしておいてくれているのだ。優しい。優しい部下たちである。
しかし中には手厳しい部下もいる。
「こんなとこで何やってんですか隊長。見回りの時間ですよ」
ゆらゆら椅子に巨体を預けて揺れるボグスィ隊長に、遠慮なく近づいてくる男がいる。彼の名はモチヅキ・アレン。新卒で今年から入隊したまだまだ若輩者な人間である。
大抵の人間は女だろうと男だろうと、どんなに慣れていてもボグスィの強さに憧れていても、猛禽類クマタカへ物怖じせず接することは困難だ。だけど、ずかずかとパーソナルスペースへ無遠慮に入り込むモチヅキは、警邏隊隊員の中でも一目置かれる存在だった。神経通ってない無神経な者としてだが。
モチヅキ・アレン。20歳。
黒いサラサラの髪に焦げ茶の瞳。すっと高い鼻と薄い唇は、どこの芸術家が造り給うたと思えるくらいに形や配置が完璧で、美しい顔を魅せている。
背は平均くらいだろうに、足が長いのか腰の位置が高いのか知らないがヤシの木のようなしなやかさ、猫のような柔らかさを秘め、立ち姿まで美しかった。
言わずもがな彼はモテる。
警邏隊の隊務として巡回に出掛ければ、年頃の女子は目をハートにして、小さい女の子には「お兄ちゃんキレイ」と賛美される。お年寄りからも「あんちゃんイケメェンじゃあ」と惚れられる始末だ。
逆に男からは低評価だった。女子から大いにモテる為に、「けっ、イケメンが」というやつである。
「嗚呼モタツキくん。もうそんな時間であるか」
「モチヅキですってば。俺の名前すら間違えるとは…耄碌してますね」
「ほっとけであ~る」
いつもなら元気に食いついてくるクマタカであるのに、この時のボグスィは見合い直後で打ちのめされていた。
パーティー会場で何があったのか、具体的なことは誰一人として知り得ていないが、どうせいつものようにいつもの如くモテなかったのだろう。
モチズキは察した。
「ほっとけないので乗りますね」
「────んあ゛?!」
察したけど、放置するよりボグスィに乗っかることを選んだモチヅキ。
仰向けリクライニング体勢で、ゆ~らゆらしてたボグスィの腹へ、膝蹴り入れつつドスンと馬乗り。
「ごふ…っ、モ、モ、モ、」
「モチヅキですよ脳みそ鳥並隊長」
「う゛…おうぅ…モチヅキくん、我輩に恨みでもあるのかね」
完璧に油断していたボグスィは、モチヅキの全体重を腹一点に受け、その重みと衝撃で涙目になりつつある。
「鍛え方足りないんじゃないですか隊長」
連続して降る嫌味にも、クマタカは猛禽類な金目をシパシパさせて耐える。
グッと腹にも力を入れて、これ以上ダメージ食らわないようモチヅキの両腕を掴んだ。
「しばし待てい」
声は勇ましいけど金目はウルウルしてる。おっと隊長、その目可愛いですとはモチヅキの心の声。
「隊長、あったかいです」
「ん? 何がであるか?」
「羽毛が。俺の尻に当たってる羽毛、けっこうふかふかで気持ちいい」
そんなこと言いながら、モチヅキは腰から下を揺らす。
「────?!?!」
当たっている。上半身、クマタカの羽毛に覆われているボグスィの腹毛部分に、モチヅキの股間部が、服の生地越しであるが当たっていた。
股間部というからにはアレである。雄の分身と玉的なもの。あと尻たぶと、馬乗りされてるから内太腿あたりもボグスィの腹部をスリスリして止まない。
「モチヅキくん…こんなことして、どういうつもりであるか」
「当ててんですよ」
「わざとであるか」
一向に股間スリスリは止まないし、ボグスィもモチヅキの両腕を掴んだまま放さなかった。
その内に血流が巡り、ボグスィもいい歳した健康的な成人済み男子であるので反応してしまう。
「…ふ、ふふっ、硬くなってきましたね隊長の」
「我輩、これでも枯れてないのであるよ」
「ぁ────っ!」
モチヅキの挑発するような笑いに、ボグスィも負けてられないとばかりに腰を跳ね上げた。途端、モチヅキの口から小さな嬌声が上がる。
「…っ、隊長の、ごりごり…っ」
服越しなのに、お互いの股間部が興奮で猛っているのが分かった。
腹部の羽毛があったかいどころじゃなくて、お互いのシンボルが警邏隊制服ズボンの下で張り詰め、十分な熱を孕んでいる。
「ふ…ン…っ、んふ…」
「感じてるであるかモチヅキくん」
ボグスィは遠慮なしに腰を使った。これまでに使ったのは、貴族の嗜みとして筆おろしをしたあの夏の日以来である。実に十数年ぶりぐらいの話だ。
ボグスィが腰を使えば使うほど、モチヅキの頬が染まり目の周りも赤く、その白かった肌が紅色に染まっていく。吐息は艶めかしく、まるで媚びてるように小さな喘ぎを漏らした。
「たい、ちょ…も、やめ…」
やがて懇願の声が聞こえて、ボグスィの腰も止まった。
「先に乗って腰振ってきたのはモチヅキくんであるよ」
「…ふふ、ふ…そうですね…俺が襲いました」
乱れた息を整え、少し潤んだ瞳をボグスィに向けて、モチヅキは己の舌で口周りを舐めた。その仕草は恐ろしく扇情的だ。
ボグスィは掴んでいたモチヅキの両腕を引っ張った。
人の姿へと変化する。距離が縮まった。
「────ぁ、ンンーっ」
唇が重なった時には、クマタカの鋭い黒嘴も変化完了しており、羽毛も溶けるように消えて褐色肌が服の隙間から覗いた。
「ん、たいちょ、その姿」
「もっとするである」
人と、人との唇を合わせ、お互いの唾液を交換する。くちゅくちゅ水音がするのは、深いところまで求めて舌を回しているからだ。
モチヅキはクマタカじゃない人姿のボグスィに陶然とした瞳を向ける。
獣人フェチで、ふかふかの毛皮好き。獣耳バンザイでケモナーなモチヅキであるが、恋愛対象は人間だった。特にボグスィの人姿が好み。
褐色肌のドレッドヘアに逞しくも傷だらけの胸筋。入隊時にシャワー室で偶然垣間見たこの姿に惚れて、またこの姿を見る為にはどうしたらいいか考えた結果がこれだった。
わざと乗っかって襲ってキスまで仕向ける。そうしたら、人間であるモチヅキに合わせて人姿になるはず。
「あ、ふ…隊長のその姿、かっこいい…好き……」
長いキスを終えて呟いたモチヅキの言葉に、隊長の隊長がビクンと反応してビッグきのこに育ったのは言うまでもない。
ボグスィにとっても、モチヅキはひたすら好み直球ド真ん中の美人なのである。
「んなこと言うなである。孕ませるぞ」
「ん、孕むまですればいい」
モチヅキ・アレンには特殊能力がある。それは、この世界にやってきた恩恵だと、モチヅキを拾ってくれた貴族が言ってことだが…。
(あれ? 俺の孕み能力、隊長に喋ったかな?)
と、疑問には思ったけど口に出さず。それよりも早くヤりたかったので、モチヅキは下半身を覆う下穿きを、さっさと脱いだ。
*
この後、見回りへ行く時間になっても隊長が現れないと探しに来た隊員たち。彼らは察して、鍛錬室のドアに『使用中』という張り紙をしてから、その場を去った。
ドアの向こうでは、引っ切り無しにモチヅキの、色っぽい嬌声が響いていたという。
また何年後かに、モチヅキはタムー伯爵家に嫁ぐのだが、それはまた別の話である。
<おわりである>
たいちょーの裸
モチヅキくんの美貌
ちくびはだいじ
クマタカ×人間
。゚.o。*:.●。.:*。゚.o。*:.●。.:*。゚.o。*:.●
「我輩、なんでモテないんであるかなあ」
メルクマール警邏隊隊長ボグスィ・タムーが、不意にこぼした一言は、大体これまでにもよく発せられた迷言である。
ボグスィは獣人だ。それも希少種クマタカ。獣人が多くいるこの世界で、希少種の彼は希少だけに国から保護までされちゃっている珍しい獣人だ。
どういうことかというと、希少種は魔力が高い割に繁殖能力が低いという特色があるから、絶滅しないよう国が繁殖支援してくれているのだ。ありがたいことに。
その中の一つで、『集団お見合い』というものがある。
成人したら国から届く招待状。中には『希少種を集めたパーティーやるから来てちょ』と書かれている。結婚するまで毎年しつこく届く。
国主催であるからしてパーティー会場は国の中央。政府中央機関が集まる首都の、有名な観戦場で行われる。観戦場は丸型の巨大な建造物で、屋根はドームに覆われている。雨など天候の悪い日でもスポーツ試合やコンサート各種イベントが開催できるとあって、一般企業から国の中央政府まで各機関ご用達のものである。
クマタカ獣人ボグスィは、このお見合いパーティーに参加してきたのだった。
結果、大層モテなかったのである。
ボグスィは警邏隊の詰め所内、休憩所にある隊長席と銘打った揺り椅子に座って、ゆ~らゆら揺れている。
この休憩所、休憩所とは名ばかりで鉄アレイにダンベルといったトレーニング器具から足つぼマッサージ板などの健康器具に美顔ローラーまで揃う、室内訓練施設である。
施設の一角に水分補給所と観葉植物、それから揺り椅子にリクライニングチェアなどもあるから、ここで休息を取る隊員も多かった。
「我輩、なんでモテないんであるかなあ」
ボグスィ隊長が、再度こぼした呟きは虚しくその空間に響いた。
訓練施設内、ジムに励む若い隊員の姿もチラホラあるのだが、その誰もがボグスィ隊長の方を見ていなかった。ただ一様に(でっけえ独り言だなあ)と隊員たちは思っていた。そして誰もが(この呟きに返事したらあかん)と覚悟を決めていた。
返事をしたり相槌を打ったら最後、猛禽類クマタカを前にして、パーティーで何があったのかを語られる羽目になる。内容は推して計れる。これまでにもあったことだ。彼は絶望的にモテない。
それは彼の容姿が猛禽類そのもので、普通の貴族令嬢では見ただけで卒倒するような怖さがあるからだ。
彼が傍にいるだけで、貴族令嬢は蒼褪め心臓が縮み上がり食べないで命ばかりはお助けをと懇願する。
哀しいことにこれが現実なのだ。
なまじ貴族に生まれ、猛禽類に産まれ、背が高くガタイ良く怖い外見であるがために、ボグスィは第一印象で好印象を抱かれる確率が低かった。
せめて貴族じゃなければ結婚適齢期の妙齢な女性の分母は大きくなり、万が一でそんなボグスィが良いと言ってくれるお嬢さんがいたかもしれない。しかしそんなミラクル起こる筈もなく、ボグスィが貴族で希少種なのも変わりなく、女性からモテないのはもう運命としか言いようがなかった。
女運絶望的ボグスィ隊長であるが、隊員たちには慕われている。
立派な体格、堂々とした振舞、鍛え上げられし肉体で悪い奴をバッタバッタと薙ぎ倒す猛禽類の姿は、同性からは憧れの眼差しで見詰められることが多い。
今でも、彼は部下の隊員たちから羨望を集め、そして優しく見守られていた。
モテないと嘆く彼を、より一層に傷つけないよう近寄らず騒がず、そっとしておいてくれているのだ。優しい。優しい部下たちである。
しかし中には手厳しい部下もいる。
「こんなとこで何やってんですか隊長。見回りの時間ですよ」
ゆらゆら椅子に巨体を預けて揺れるボグスィ隊長に、遠慮なく近づいてくる男がいる。彼の名はモチヅキ・アレン。新卒で今年から入隊したまだまだ若輩者な人間である。
大抵の人間は女だろうと男だろうと、どんなに慣れていてもボグスィの強さに憧れていても、猛禽類クマタカへ物怖じせず接することは困難だ。だけど、ずかずかとパーソナルスペースへ無遠慮に入り込むモチヅキは、警邏隊隊員の中でも一目置かれる存在だった。神経通ってない無神経な者としてだが。
モチヅキ・アレン。20歳。
黒いサラサラの髪に焦げ茶の瞳。すっと高い鼻と薄い唇は、どこの芸術家が造り給うたと思えるくらいに形や配置が完璧で、美しい顔を魅せている。
背は平均くらいだろうに、足が長いのか腰の位置が高いのか知らないがヤシの木のようなしなやかさ、猫のような柔らかさを秘め、立ち姿まで美しかった。
言わずもがな彼はモテる。
警邏隊の隊務として巡回に出掛ければ、年頃の女子は目をハートにして、小さい女の子には「お兄ちゃんキレイ」と賛美される。お年寄りからも「あんちゃんイケメェンじゃあ」と惚れられる始末だ。
逆に男からは低評価だった。女子から大いにモテる為に、「けっ、イケメンが」というやつである。
「嗚呼モタツキくん。もうそんな時間であるか」
「モチヅキですってば。俺の名前すら間違えるとは…耄碌してますね」
「ほっとけであ~る」
いつもなら元気に食いついてくるクマタカであるのに、この時のボグスィは見合い直後で打ちのめされていた。
パーティー会場で何があったのか、具体的なことは誰一人として知り得ていないが、どうせいつものようにいつもの如くモテなかったのだろう。
モチズキは察した。
「ほっとけないので乗りますね」
「────んあ゛?!」
察したけど、放置するよりボグスィに乗っかることを選んだモチヅキ。
仰向けリクライニング体勢で、ゆ~らゆらしてたボグスィの腹へ、膝蹴り入れつつドスンと馬乗り。
「ごふ…っ、モ、モ、モ、」
「モチヅキですよ脳みそ鳥並隊長」
「う゛…おうぅ…モチヅキくん、我輩に恨みでもあるのかね」
完璧に油断していたボグスィは、モチヅキの全体重を腹一点に受け、その重みと衝撃で涙目になりつつある。
「鍛え方足りないんじゃないですか隊長」
連続して降る嫌味にも、クマタカは猛禽類な金目をシパシパさせて耐える。
グッと腹にも力を入れて、これ以上ダメージ食らわないようモチヅキの両腕を掴んだ。
「しばし待てい」
声は勇ましいけど金目はウルウルしてる。おっと隊長、その目可愛いですとはモチヅキの心の声。
「隊長、あったかいです」
「ん? 何がであるか?」
「羽毛が。俺の尻に当たってる羽毛、けっこうふかふかで気持ちいい」
そんなこと言いながら、モチヅキは腰から下を揺らす。
「────?!?!」
当たっている。上半身、クマタカの羽毛に覆われているボグスィの腹毛部分に、モチヅキの股間部が、服の生地越しであるが当たっていた。
股間部というからにはアレである。雄の分身と玉的なもの。あと尻たぶと、馬乗りされてるから内太腿あたりもボグスィの腹部をスリスリして止まない。
「モチヅキくん…こんなことして、どういうつもりであるか」
「当ててんですよ」
「わざとであるか」
一向に股間スリスリは止まないし、ボグスィもモチヅキの両腕を掴んだまま放さなかった。
その内に血流が巡り、ボグスィもいい歳した健康的な成人済み男子であるので反応してしまう。
「…ふ、ふふっ、硬くなってきましたね隊長の」
「我輩、これでも枯れてないのであるよ」
「ぁ────っ!」
モチヅキの挑発するような笑いに、ボグスィも負けてられないとばかりに腰を跳ね上げた。途端、モチヅキの口から小さな嬌声が上がる。
「…っ、隊長の、ごりごり…っ」
服越しなのに、お互いの股間部が興奮で猛っているのが分かった。
腹部の羽毛があったかいどころじゃなくて、お互いのシンボルが警邏隊制服ズボンの下で張り詰め、十分な熱を孕んでいる。
「ふ…ン…っ、んふ…」
「感じてるであるかモチヅキくん」
ボグスィは遠慮なしに腰を使った。これまでに使ったのは、貴族の嗜みとして筆おろしをしたあの夏の日以来である。実に十数年ぶりぐらいの話だ。
ボグスィが腰を使えば使うほど、モチヅキの頬が染まり目の周りも赤く、その白かった肌が紅色に染まっていく。吐息は艶めかしく、まるで媚びてるように小さな喘ぎを漏らした。
「たい、ちょ…も、やめ…」
やがて懇願の声が聞こえて、ボグスィの腰も止まった。
「先に乗って腰振ってきたのはモチヅキくんであるよ」
「…ふふ、ふ…そうですね…俺が襲いました」
乱れた息を整え、少し潤んだ瞳をボグスィに向けて、モチヅキは己の舌で口周りを舐めた。その仕草は恐ろしく扇情的だ。
ボグスィは掴んでいたモチヅキの両腕を引っ張った。
人の姿へと変化する。距離が縮まった。
「────ぁ、ンンーっ」
唇が重なった時には、クマタカの鋭い黒嘴も変化完了しており、羽毛も溶けるように消えて褐色肌が服の隙間から覗いた。
「ん、たいちょ、その姿」
「もっとするである」
人と、人との唇を合わせ、お互いの唾液を交換する。くちゅくちゅ水音がするのは、深いところまで求めて舌を回しているからだ。
モチヅキはクマタカじゃない人姿のボグスィに陶然とした瞳を向ける。
獣人フェチで、ふかふかの毛皮好き。獣耳バンザイでケモナーなモチヅキであるが、恋愛対象は人間だった。特にボグスィの人姿が好み。
褐色肌のドレッドヘアに逞しくも傷だらけの胸筋。入隊時にシャワー室で偶然垣間見たこの姿に惚れて、またこの姿を見る為にはどうしたらいいか考えた結果がこれだった。
わざと乗っかって襲ってキスまで仕向ける。そうしたら、人間であるモチヅキに合わせて人姿になるはず。
「あ、ふ…隊長のその姿、かっこいい…好き……」
長いキスを終えて呟いたモチヅキの言葉に、隊長の隊長がビクンと反応してビッグきのこに育ったのは言うまでもない。
ボグスィにとっても、モチヅキはひたすら好み直球ド真ん中の美人なのである。
「んなこと言うなである。孕ませるぞ」
「ん、孕むまですればいい」
モチヅキ・アレンには特殊能力がある。それは、この世界にやってきた恩恵だと、モチヅキを拾ってくれた貴族が言ってことだが…。
(あれ? 俺の孕み能力、隊長に喋ったかな?)
と、疑問には思ったけど口に出さず。それよりも早くヤりたかったので、モチヅキは下半身を覆う下穿きを、さっさと脱いだ。
*
この後、見回りへ行く時間になっても隊長が現れないと探しに来た隊員たち。彼らは察して、鍛錬室のドアに『使用中』という張り紙をしてから、その場を去った。
ドアの向こうでは、引っ切り無しにモチヅキの、色っぽい嬌声が響いていたという。
また何年後かに、モチヅキはタムー伯爵家に嫁ぐのだが、それはまた別の話である。
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たいちょーの裸
モチヅキくんの美貌
ちくびはだいじ
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