魔族界の婚活パーティー

風巻ユウ

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婚活6

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「どうだった俺の妖術は…愉しめた?」

席に戻ってきたアサトさんは余裕綽々のご様子。
そう、疲れが一切見えないのです。
あれだけの大妖魔術を駆使しておきながら汗一つかかず髪一本の乱れも御座いません。

「アサトすごいね!キラキラいっぱいのお風呂だった!夢みたいだよお」

とリンさん。冠羽がピコピコ動いてます。
喜びの表現ですね。可愛いですわ。

「あたしもぅ~気持ちよく寝れたあ」

モナミさんは本当に寝てました。ヨダレ垂らして。

「アサト!私の美しい姿を霧なんぞで遮るとはなにごとだ!物申してやる!」
「え。ハワードには効かなかったのか……要改良だな」

おそらくハワードさんは無神経というやつなんだと思います。
自己愛が激しすぎて他に気にするものが無いのでしょう。
誘惑や眩惑に強く、特に夢魔耐性がついているようです。さすが淫魔種です。

「君に効かないのは、何となく分かってたよ。でも実際に無効化されると、結構へこむね」

そう私に向かっておっしゃるアサトさんですが、悔しがるそぶりなど一切なく、むしろニッコリ笑顔で喜んでるようです。

まさかこの狐…マゾ?苦痛を喜びに変え女性からの罵倒に歓喜するという変態的気質の持ち主なのでは…?!
私にとって大魔術や妖術なんかよりよっぽどの驚異です。変態や破廉恥な殿方は信用なりませんわ。

「お気になさらず。無効化する術を少し知っていただけですわ」
「謙遜しなくてもいいよ。実力の差は弁えてるつもりさ」
「貴方こそ謙遜しなくてもいいわ。あれだけの術を披露したのですもの、会場中の女性は貴方に夢中ですわよ」
「君も虜に出来てたら嬉しかったけどね」
「あらあら、お口がうまいですこと」

そんなこんなとお話している間に次の自己紹介タイムが始まりました。
舞台には二人の可愛い樹人さんたちが出てきましたよ。

『私たちは魔樹族エント種。双子の姉妹です。私が姉のチェリー!』
『私は妹のリラ。二人でアイドルユニット"双子の花びらゲミニー・ペタルム"やってまーす!』

溌剌とこなす舞台挨拶は手馴れた感ありますね。
アイドルというのですか。
姉の方は桜桃色、妹の方は青紫色を基調としたフリフリフワフワな衣装ですわね。気になるのはスカート丈が短いことくらいでしょうか。スカートの裾が膝上丈では動いたら確実にパンチラですわよね。

彼女たちは歌って踊って手を振って、愛想振りまいて男性と握手するのがお仕事らしいです。
しかもファンクラブというものも存在していて、舞台の前には彼女たちのだという人たちが魔導カメラを持って陣取ってます。

『みんなー!今日は私たちの為に集まってくれてありがとーーう』

いえ、違います。今日は婚活に来たんですのよ。
あなた達の為に集まったわけではありません。

『新曲の婚活応援歌 "どうしても結婚したいんDESU☆" ここで披露しちゃいます!』
『私たちの歌、楽しんで聞いてネー!みんなで盛り上がろーう!』

オーー!とか前列ファンクラブの皆様は異様に大盛り上がりです。
私はこのアイドルとかいう存在を今初めて認識いたしましたので、どっちかというと引き気味です。
ですが、これも個性ですからね、一応は耳を傾けますわよ。

やけに陽気なフレーズの歌が始まりました。さすがに生バンドは用意できなかったのか録音ですが、舞台前後左右に配置された魔導スピーカーからはガンガンに音楽が流れてます。

というか、あの子たち私たちの歌を聞けと言った割に、口パクですわね。バックミュージックと口の動きが合っておりません。
私の優れた聴力をもってすれば、あの子達の未熟さは手に取るように分かります。歌も未熟なら踊りもイマイチですわね。

それでも一生懸命にアイドルを演じる彼女たちは、どこか光り輝いています。ファンクラブなんかが出来るのも、なんとなく理解できますわね。

彼女たちは歌い踊りながら、色とりどりの花びらを撒いていきます。その花びらは彼女たちの手のひらから、まるでフラワーシャワーのように放出しています。

腕を大きく振る振り付けが多いのは、花びらを広げ会場中に舞い散らせるのが目的なのではないでしょうか。

最終的に、新曲の後にアンコールがあって既存の曲をまたもや歌い踊って、樹人姉妹さんたちは手を振って退場しました。

売店でグッズを販売しているそうなので、帰りに寄ってくださいと販促もしてましたが、まあ、それはスポンサーの意向でしょう。というか、スポンサーはどこなんでしょうね。私が思うに、今回の婚活パーティー主催者様が裏から糸を引いているのは間違いないのです。
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