魔族界の婚活パーティー

風巻ユウ

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婚活9

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 私、ミル・アインキュタレ・アインタリスは、婚活パーティーにて初彼をゲットしました。

 初の彼氏は竜人です。『風の吹き荒れる谷の王ストース・デイル・エミール』という称号もちの竜王だそうで。お名前はニールさんです。

「ニールさん……」
「呼び捨てでいい」
「ニール……では私のことはアイリスと呼んでくださいまし」
「うん。アイリス」

 愛称で呼び合うこの幸せ……!

 さて、竜王であらせますニールの処遇ですが、今現在、私と結婚を前提としたお付き合いということで、我が家に同棲しておりますの。
 同棲するにあたって、まず、ニールの魔族界への移住を長老議会に認めさせました。
 これには骨を折りましたわ~あいつら頑固なんですもん。ど腐れ偏屈ジジイどもが。おっと言葉が乱れました。ごめんあそばせ。
 先代魔王様は「いいよ」のあっさり一言で同棲の許可をくださいましたが、長老たちを説得するのに難儀いたしました。

 最終的に、ニールは竜族からの特命大使になり、魔族界への常駐権をたてに移住を認めさせました。
 これに伴い竜族と魔族が交流し出し、私たちの仲もおおやけになりました。私たち、順風満帆です。

 ……なんて思ったのも束の間。

 忘れてましたけど、私たち婚活パーティーを途中で抜け出してお空でランデブーしちゃいましたよね。
 あの後、会場にも戻らず二人で愛の逃避行したものですから、残された皆様は半数以上が気絶していたのもあって、パーティーも続けれずお開きになってしまったそうです。

 完っ璧に私のせいですわね。申し訳ございませんでした。
 主催者様には謝罪と御礼を、気絶なさった皆様にはお見舞いをお送りしました。お見舞いの品は私の大好きな紅茶セットですわ。これで皆様溜飲を下げてくださるとよろしいのですが。

 さて、今、私の執務室には六人の魔族が居ます。
 私とニールは勿論のこと、魔鳥種リンさん(癒し要員1)、魔熊種ハットベルさん(癒し要員2)、そしてなぜか魔妖狐種アサトさんと淫魔種ハワードさんです。

 癒し要員であるお二人は本当に必要なのです。
 仕事中にも潤いをと思って新たに雇ったお二人なのです。私のために必要ですわ。
 でも、アサトさんとハワードさんは呼んでませんわ。
 なんでおりますのん。

「はははは、黒髪の君のご機嫌伺いさ。パーティー来、忙しくしているみたいだからね」

 そう答えるハワードさん。
 今日も薔薇をプレゼントしてくださいましたが、ちょっと多いです。この部屋にある花瓶いっぱいに差しても追いつきませんわ。
 侍女のメアリーを呼んで新しいのを調達してきてもらいましょう。
 チリンチリンとベルを鳴らして、やってきた侍女、魔羊種のメアリーに花瓶を頼みます。

 一礼して戻るメアリーを見送ってから、ニールのとこへ行きます。
 ぎゅっと抱きついて首筋の匂いでも嗅ぎましょう。
 くんかくんか。ニールは一服の清涼剤です。私にとっての。くんくんしてると落ち着きますの。これは癒し系とはまた違うものですわ。なんていうか……胸熱です。じわじわぽかぽかお腹の下の方にも効きます。
 なかなかの薬効成分ですわね。私限定の。

「君たちは……いつの間にそんな仲になってしまったんだい?」

 アサトさんが何やら愕然とした表情でこっち見てますわ。

「仲良しなのは良いことだよー! ね~」

 と、リンさんはハットベルさんをぎゅっぎゅしています。
 いつの間にというのはあちらの方を言うんじゃないですかねえ。
 ハットベルさんもリンさんを受け止めて腰に手を回してますから、あれはもうカップル成立でいいと思います。

「参ったね。付け入る隙もありゃしないよ。アサト、諦めるんだな」
「くぅぅ……突然飛んでったと思ったらこの顛末……最悪だ。悪夢だ……」

 あら。もしかして私、アサトさんには大変申し訳ないことをしでかしましたか?
 そしてハワードさんは何気に良い人ですか?アサトさんに付き添っていらしたのですね。
 ここは少々お高いコーヒーでも出して差し上げましょう。そう思ってニールから離れようとしたところ、ニールの手に止められてしまいました。

「ニール?私、ちょっとやりたいことが……」
「後でもできることでしょ。それより、もっとくっついて」

 そう言ってニールさんの手が私のお尻に伸びます。
 あ、あら、あらあらら~という間にスカートの裾からニールの手が入って参りました。

「……っ、おいたはダメですわ……」
「ダメじゃないよ。アナタはもう俺のものだもの」
「ん、……だからって、あ……ここでは……」

 さすがに皆様が見ている前ではいけませんわ。はしたない。
 私はニールの腕を解こうとしますが…………解けません。
 なぜに。私、魔王種ですよ。最強種ですわよ?
 どうして振りほどけないんですのー?!

「笑顔も無駄だよ。俺には効かないし……むしろ、興奮してしまうから……あ、もしかして誘ってる?」

 コイツ超笑顔になりやがりましたわー!

「い、意地悪、です! ニールはとっても意地悪ですわー!」
「アイリス限定だよ。ねえ、このまましようよ」

 しようってなんですのおおおお今は真昼間ですのことよ! め! ニール、自重してくださーーいいいと、心の中では叫んでますが現実では体が熱くなってきてしまいニールに抵抗できません。

「顔、真っ赤で可愛い」
「んっ……」

 キスまでされてしまいました。
 こりゃ参った。お手上げですわ。
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