私、メイドになります!~時空を越える愛を添えて~

風翔ゆめむ

文字の大きさ
11 / 41
第四章 シロツメクサとレモンティー

02 とびきりの一杯

しおりを挟む
「……鞘人さん、あの」

 すみれが切り出したのは、それから2週間ほど経った頃だった。
 季節は梅雨に突入している。じめじめと冴えない天候が続くが、青龍家の本館は完全に空調がきいていて、中で働く分には快適だ。

 そんな爽やかな本館の空気とは裏腹に、すみれの心は湿っている。

 未だに、テストに落ちた理由はわからないままのすみれだった。自分で気付けと命じられた以上、誰にも落ちた理由は聞けないし、さりとて自分のことは案外自分ではわからないものだ。
 何が悪かったのか、一向にわからぬまま半月が過ぎ、焦りもあった。
 精神的に追い詰められそうだなと感じていた時──すみれはふと思い出した。

 あの夜、司が淹れてくれたレモンティー。
 本当に美味しかった。もう一度飲めたら、ささくれた気分も穏やかになる気がして。

「──ストックされてるリーフの中に、レモンティーってありますか?」
「レモンのフレーバードティーのことか?」

 控室の棚の扉を開き、今日の講習に使用する茶葉を選んでいた鞘人の手が、すみれの言葉を聞いて空中で止まった。

「そうです。生のレモンを使わないほうの」

 生レモンを使ったレモンティーの出し方は、すでに習っていた。客人のどんなリクエストにでも応えられるようにする為に、緑茶は勿論、コーヒーのサイフォンによる淹れ方すら習得しなければいけないのだ。
 だが、まだ多種多様なフレーバードティーについてはさほど深く習ってはいなかった。以前アールグレイを淹れたきりだ。

「あぁ……そうだな。抽出時間はそれぞれ書いてあるから、それさえ守れば、他の茶と基本、淹れ方は変わらないが……」

 鞘人が棚の奥から取り出してくれたのは、やはりフレーバードティではあるが、ティーバックではないリーフの紅茶だった。

「これはニルギリをベースにしてある」

(やっぱり、あるんだ)
 手渡された未開封の真空パックを見つめて、すみれは期待に唇を綻ばせた。昨日司がくれたレモンティーは、本人曰く、安物のティーバックとのことだったが、リーフのものならもっと美味しいのかもしれないと思ったのだ。
 鞘人が仕入れもすべて選定して行っているのだから、味や品質は確かなはずである。フレーバードは一般的には少しグレードが落ちる茶葉に香りを添加していると言われるが、ここにあるものに妥協はないだろう。
 内心わくわくしながら、すみれはいつも通りホットでそのレモンティーを淹れてみた。最近は、手順や動作のことで鞘人にいちいち注意を受けることもなくなっている。
 滞りなく淹れ終わり、鞘人を客に見立てて供する。一連の動作が終わった後、自分用に淹れたものにいざ口をつけてみて──すみれは意外な結果に黙りこんだ。

「……」

 美味しい。
 確かに美味しいのだ。温かい紅茶として淹れた分、香りも強く感じるし、品質が良く癖のないニルギリの茶葉にしっかりレモンの香りを着香し、さらにオーガニックのレモン乾燥果皮を混ぜたものだから、レモン特有の皮の苦み・渋味もほぼ感じない。
 飲みやすくて、爽やかなだけでなく華やかな風味で、実に申し分ない。

(だけど、この間貰ったレモンティーのほうが、美味しかった……)

 どこかしっくりこないまま黙って首を傾げているすみれを、向かいに座って茶を飲んでいた鞘人が微かに笑って見やる。

「どうした。思ったような味ではなかったか」

 最近の鞘人は、注意しなければわからない程度ではあるが、稀に笑うようになった。
 表情が以前よりは柔らかく感じる。
 不思議なもので、鞘人に対して壁を感じなくなると、仕事もどんどん楽しくなりつつあった。意思の疎通がやりやすくなった気がするのだ。
 すみれは、そんな鞘人の雰囲気に促され、躊躇いがちに口を開いた。

「えっ、と……不思議だな、と思って……」
「何がだ」
「……以前、ある人に、レモンティーを淹れてもらったんです」

 司だとは言えなかった。鞘人には内緒にしてね、と言われたのだから名前は出せないし、出すつもりもなかった。
 ぼかしながら、すみれは言葉を選んで話した。

「落ち込んでいたときに、わざわざ、淹れてくれて」
「……ふむ」
「それはアイスティーだったので、比べるようなものではないとは思うんですが……すごくそのレモンティーが美味しくて。御本人曰く、安物らしいんですけど。でも、飲んだことが無いぐらい美味しかったんですよ。だから、もう一度そんなレモンティーが飲みたかったんですが……」

 カップをソーサーに置き、すみれは苦笑した。

「記憶の中の美味しさに、辿りつけませんね……」
「……」

 黙ってそんなすみれの独白を聞いていた鞘人は、やがて腕を組み背もたれに凭れかかり、ぼそりと呟いた。

「……それは、仕方ないな」
「え?」
「そのお茶には、どんな高級な茶葉を使ったレモンティーでも叶わないだろう」
「……?」

 首を傾げたすみれに、鞘人がほんの少し、微笑んだ。

「──それが、お前を癒すために淹れられた、特別な茶だからだ」

(あ……)

 すみれは息を呑んだ。
 確かにそうだ。あのレモンティーは、司の言う通り安物かもしれなかったし、ティーバッグで淹れたというのも嘘ではないのだろう。
 だが、それでも美味しかったのだ。

(司さんが、私の為に、作ってくれたから)

 やっぱり、喜んでもらえるってのはいいよね……としみじみ呟いていた司の声を思い出した。俺も、君の喜ぶ顔を思い浮かべながらお茶の準備をするのは、とても楽しかったよ、と。
 淹れてくれた司の、そんな思いが嬉しくて、だから。

「それはお前にとって、とびきりの一杯だったということだろう」
「……とびきり、の」
「そうだ。自分のために心づくしで淹れてくれた茶は、特別に美味いものだ。茶葉のクオリティよりも、大切なものは確実にある」

(茶葉のクオリティより、大切なもの……!)

 鞘人の一言が、胸に響いた。
 メイドたちのシフト交代時間だった。控室に帰ってくるメイドたちの気配で廊下が賑やかになる中──すみれは茫然と、目の前のカップを見下ろしたまま動けなかった。

(あぁ……そっか……)

 ノウハウも、知識も、器の品格や優雅な所作も、それは確かに大事だろう。それらを損なわずに表現することばかり必死にやってきたすみれだ。
 ミスのないように。完璧に。そればかり追って。
 多分、大事なことを見失っていた。
 そうだ。やっと見つけた。
 ──自分に、足りなかったもの。

「……見つけたか」

 鞘人の声に顔をあげれば、厳しく淡々と今まですみれを導いてきた寡黙な執事の瞳が、ひどく優しかった。

                     *   *   *

「あーなになにー? ミルクティー淹れてるの? 私も淹れて!」

 仕事があがって飛び込んできた夏凛の声に、すみれは微笑んだ。
 研修中は同僚のメイドたちにも練習台になってもらい、どんどんお茶を淹れなければいけない。あれからさらに一週間経って、最近はどのメイドたちも、すみれの淹れた紅茶を褒めてくれるようになっていた。

「はい。お疲れ様です。どうぞお席へ」
「わーい。疲れてるときはミルクティ欲しくなるわぁ……」

 ティーテーブルに夏凛を案内し、チェアを引き、客にするのと同じように座らせる。そうこうしているうちに、あと二人のメイドもバタバタと戻ってきて、三人に同時に茶を振る舞うことになった。
 やがて淹れ終わると、皆口々に美味しいと喜んで飲み始める。その様子に安堵しながら皆を見つめていると、夏凛がふとすみれへと視線を向けた。

「ね、すみれは、素材は弄らないの?」
「素材、ですか」

 夏凛の問いの意味はわかる。研修の最初に、鞘人に告げられていた。ランクアップテストに使う茶葉をはじめとする素材の選定は、全て本人に委ねられるのだ。
 つまり、素材に不満があれば、邸にない茶葉を取り寄せてもよい。
 ただ予算は決められているので、金に糸目をつけずに高級茶葉を買いあさるといった真似はできないようになっているが、予算内なら新たな買い物は可能だった。

「……今のところ、素材を弄るつもりはないですけど……」

 普通は皆、邸にある材料でテストに挑むとも聞く。素材をわざわざ新しく取り寄せるという行為は、与えられているものの中で上手に茶の味を引き出すという観点からするとマイナスだ。
 それに、美味しい茶葉なら山ほど邸にあった。それこそテスト用の予算内で買えないような茶葉までもストックされているのである。

「今までテスト受けた人の中で、素材に手をつけた人はいないって聞いてますよ……?」
「そうねえ」

 夏凛は軽く顎に手を添え、笑った。

「確かにね。でも、本当に何か不満があるなら、やればいいと思うわ。要は説得力があればいいんじゃないの、その選定について」
「でもぉ……」

 もう一人のメイドが苦笑して口を開いた。

「鞘人さんが選定しているものですよ? 普通、あたしたちメイドがあれこれ素材に口出せるようなものではないですよぉ……」
「そうそう。それに、皆と同じ素材を使って紅茶の美味しさを引き出せてこそ、だとも思うし……」
「別に、そこまで固く考えなくても。先代様の好みのまま、変更なく仕入れ続けてるものだってあるはずよ?」

 それに鞘人だって神の舌を持ってるわけじゃあるまいし……と、夏凛は相変わらず鞘人については遠慮のない物言いだ。しかし、残り二人のメイドは「そんなこと言えるのは付き合いの長い夏凛さんだけですよ……」と苦笑を交わした。

「鞘人さんと夏凛さんて、長いお付き合いなんですか?」

 思わず気になって問いかけたすみれに、夏凛は肩を竦めた。

「腐れ縁、かな。私と鞘人は、二年前に圓成えんじょう家からこちらに移ってきたから」
「え……圓成えんじょう家?」
「……そ。圓成湖示えんじょうこうじ様に御仕えしていたんだけど、ね。いろいろあって、ね」

 紅茶の残りを急に飲み干し、夏凛は目を逸らして立ちあがった。他のメイドも気がつくと笑顔が消えている。
 一瞬漂った微妙な空気に、すみれは気付いた。
 もしかしたら、触れられたくはない話題だったのだろうか。

「……とにかく。選定について皆を説得させられる根拠と自信があるなら、素材に手をつけるのもアリだと思うわ、ってことよ」

 話題を素材のことに強引に戻す夏凛が、微妙に淀んだ空気を打ち払うように腕組みして微笑む。
 なんとはなしに、圓成えんじょう家を出たいきさつには触れられたくないのだろうと察し、すみれは小さく頷いた。

「でも、茶葉は既に申し分ないクオリティのものが、この邸には揃えてありますよね……」

 だとすれば、茶葉に手をつけるのは得策ではない。かといって水については、この邸では蛇口から空気を多く含んだ浄水が出るようにセッティングされているので、それも手をつける余地がない。日本の水は元々、ミネラル含有量的に柔らかで紅茶に適した水なのである。
 ふとすみれは思い立って、ミルクをグラスに注いでみた。
 口に含む。甘い。

「……ジャージー牛の低温殺菌牛乳よ」

 夏凛の言葉に頷いて、さらに飲んだ。
 すみれは立場上、司の家族として一緒に朝食を摂るから、朝は毎日これを飲んでいる。味はもう、知っていた。
 一般に飲まれている牛乳とは全く違う飲みモノだと言ってもいい。
 まるでソフトクリームにも似た甘みとコクがあるのだ。この邸にきて以来の、すみれの大好物だった。

「……美味しい……ですよね」

 改めてそれを味わいながら呟いたすみれに、周囲のメイドたちがそれは当たり前だろうという風に頷いた。

「まぁね。ジャージー牛でしかも低温殺菌だもん」
「これ以上はちょっと望みようがないんじゃないのー?」

 そんなメイド達の言葉を聞きながら、だがすみれが考えていたのは、あのテストに落ちた夜に聞いた、司の言葉だった。
 疲れた時にはミルクティーを飲む、と司は言った。

(でも……それだけでも俺にはちょっと甘すぎるぐらいなんだけど、って言ってなかったっけ……?)

 確かにこのミルクで淹れたミルクティーはとても華やかで贅沢な味わいだった。
 香りも強くたち、申し分ない。

(……私はこれで大満足だけど……)

 だが、司にとっては、どうなのか。
 手の中のグラスを見つめたまま、すみれは黙然と考え続けていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...