王道異世界ファンタジー【ドラゴンライダー】〜Dragon Knights 世界の空を制する者〜

語 群青

文字の大きさ
9 / 23

第八話: 呪われた森への足跡

しおりを挟む
 ジ・ザルギルとの激闘から数日が経過した。ドラゴンナイツたちは勝利を収めたものの、天空城の脅威はなお続いており、次なる戦いに向けて準備を整えていた。

 その日の朝、クローは訓練場でフレイアと共に軽い戦闘訓練をしていた。フレイアの動きはいつも通り軽快で力強く、戦闘中に負った傷もほとんど回復しているように見える。

「フレイア、お前の調子も良さそうだな。頼もしいぜ。」
 クローが笑顔でフレイアの首元を撫でると、フレイアは低い唸り声を上げて応える。その仕草にクローは満足そうに頷いた。

「次の戦いも頼むぞ、お前がいればどんな敵だって負ける気がしない。」
 その時、遠くから足音が聞こえ、ブレインが現れた。彼の表情はいつになく厳しい。

「クロー、急いで全員を集めろ。天空城の新たな情報が入った。」
「何だって!」

***

 ブレインに呼び集められたドラゴンナイツたちは、広間に設置された地図を囲んでいた。その中央に立つブレインが低く重い声で語り始める。

「天空城の動きが活発になってきた。次の刺客は“ナグ・サハル”――コブラの祈祷師だ。」

「ナグ・サハル…?」
 ハートが眉をひそめながら呟く。その隣でウイングが槍を肩に担ぎながら険しい表情で口を開いた。

「聞いたことがある。確か、天空城の魔法を司る幹部だよな。呪術とか祈祷とか、そういう薄気味悪い術に長けているって話だ。」
 ウイングの言葉に、ブレインは静かに頷いて続けた。

「そうだ。ナグ・サハルは呪術によって大地を汚染し、周囲の生物を狂わせる力を持っている。ヤツが支配する場所では、空気そのものが毒に変わると言われている。」

「そんなやつが来るのかよ…!」
 クローは拳を握りしめ、険しい顔をして地図を睨んだ。

「さらに悪い報告がある。」
 ブレインの表情がさらに暗くなる。

「ナグ・サハルは、すでにメルセシア南部の森を占拠し、その毒を広げ始めている。放置すれば、この国全土が奴の呪いに覆われるだろう。」

「なら、早く行かなきゃダメだろ!」
 クローが声を上げる。

「もちろんだ。だが、表立った行動では、逆にヤツを身構えさせてしまうかもしれん。大隊ではいけん。」
 ブレインは剣を腰に収めながら言った。

「ナグ・サハルのいる森へ入るのは、俺とウイング、クロー、そしてハートだ。ファングの部隊は後方で支援を頼む。他、持ち場に付きつつ指示を待て。いいか、よし準備を整えろ!」

 森へ向かうドラゴンナイツたちは、それぞれのアーマードワイバーンに跨り、呪われた森へと飛び立った。

***

 森の入口に到着したドラゴンナイツたちは、その異様な光景に言葉を失った。森全体が紫色の霧に覆われ、木々は毒々しい色に染まり、地面には不気味な模様が刻まれていた。まるで、生き物そのものが腐り果てたような空気が漂っている。

「なんだよ、この場所…!これが…ナグ・サハルの呪いの影響か。」
 ウイングが眉をひそめながら槍を握り直す。

「ここに長居するのは危険だ。迅速に動くぞ。」
 ブレインが剣を構えながら言った。

 クローはフレイアの背中を軽く叩きながら、前方を見つめる。
「フレイア、行こう。俺たちでこの森を元に戻すんだ。」

 ブレイン、ウイング、クロー、ハートはそれぞれのアーマードワイバーンと共に、紫の霧の中に向かって降りていった。

***

 森の中に足を踏み入れると、さらに不気味な空気がナイツたちを包み込んだ。地面からは低い呻き声のような音が聞こえ、木々の間からは時折不自然な光がちらついている。

「何かがおかしい…ただの森じゃない。」
 ハートがリンドの背中で周囲を見回しながら言った。

「気をつけろ。この霧には何か仕掛けがある。」
 ブレインが厳しい声で言う。

 その時だった。突然、クローの目の前に不気味な蛇の幻影が現れた。それはゆらゆらと揺れながら、彼の目をじっと見つめている。

「これは…何だ!?」

 クローが声を上げるが、その声が霧の中に吸い込まれるように消えていく。そして次の瞬間、その幻影がクローに向かって襲いかかってきた。

「クロー!」
 ハートが叫び、杖を振るって光の弾を放つ。光が蛇の幻影をかき消したが、その衝撃でクローとフレイアはバランスを崩しそうになる。

「助かった、ハート!」
 クローが礼を言いながら体勢を整える。

「これが…ナグ・サハルの呪いの力か。」
 ブレインが険しい表情で周囲を見渡す。

「ふふふ、よくここまで来たな、ようこそドラゴンナイツ。」

 その声と共に姿を現したのは、ナグ・サハルだった。ヘビのように長い体躯を持ち、全身は黒と紫の模様が入った鱗に覆われている。彼の手には骨で作られた杖が握られ、不気味な光を放っていた。

「お前たちの勇気は称賛に値する。…だが、この森も、この世界もすぐに私の呪いに沈むだろう。この霧が全てを支配している限り、お前たちに勝ち目はない。」

 ナグ・サハルは杖を地面に突き立てると、周囲の霧がさらに濃くなり、空気が一段と重くなった。

「全員、気をつけろ! 奴の呪術が本格的に始まるぞ!」
 ブレインが剣を構えて叫ぶ。

 クローもまた、フレイアの背中に跨りながら爪を構えた。
「ナグ・サハル…お前の呪いなんかに負けはしない!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

処理中です...