18 / 23
第十七話: 獣人ローランとの一騎打ち
しおりを挟む
ドラゴンナイツの部隊が炎の渓谷に差し掛かった頃、空気が重く変わるのを全員が感じ取った。大地からは熱風が吹き上がり、マグマの川が激しく噴き出す音が響いている。それに混じって、不気味な咆哮と鋭い金属音が空から聞こえた。
「待って…あれは何?」
フレイムが険しい表情で前方を指差す。
その指先を追った瞬間、ドラゴンナイツ全員の目に焼き付いたのは、炎の渓谷の上空に浮かぶ一筋の影だった。
「獣人?!」
フロストが鋭い声で叫ぶと、その影が徐々に形を現した。それは、鋭い目を持つ狼の獣人だった。彼は灰色のマントを纏い、ブロンズ色の鎧をまとっていた。その身に飛竜の翼はない。それでも彼は宙に浮いており、その動きには重力の束縛を感じさせない圧倒的な威圧感があった。
右手には、まるで大地をも断ち切るかのような巨大な剣を握りしめ、静かにドラゴンナイツの部隊を見下ろしている。
「奴は…これまでの敵とは桁違いだ!」
ボルトが険しい声で言った。
クローは鋭い目でその獣人を睨み、手綱を強く握りしめる。
「何者だ…お前は。」
その問いに、獣人はゆっくりと剣を持つ手を肩に乗せ、低い声で答えた。
「ローラン…それが俺の名だ。」
「ローラン…天空城の幹部の一人だ。」
ブレインが剣を構えながら静かに言葉を紡ぐ。
ローランはその視線をブレインに向けることなく、ただクローを真っ直ぐに見据えた。
「全員、気をつけろ。奴はただの戦士じゃない!」
ブレインが指示を飛ばし、ナイツ全体が一斉に武器を構える。だが、ローランはそれを嘲笑うように、ふっと息をつき、静かに口を開いた。
「クロー、お前に一騎打ちを申し込む。飛竜などに頼らず、お前自身で来い。」
その低く響く声には威圧感があり、クローの胸にずしりと響いた。
「いいぜ。お望み通り、お前と直接決着をつけてやる。」
クローはカイを降りると、漆黒の鎧に包まれた自身の肉体に手をやりながら、両腕に装着された鋭い双爪を展開した。
ファングが後方で声をかける。
「クロー、気を抜くなよ!」
「大丈夫だ、ファング。これは俺がやるべき戦いだ。」
クローがゆっくりと地面に足を踏みしめ、間合いを測るように構える。一方、ローランも巨大な剣を手にゆっくりと歩み寄り、その金属靴が渓谷の岩肌を軋ませる。
「俺にどこまで食らいつけるか、試してやる!」
ローランが低く吠えた瞬間、彼は巨大な剣を振り上げ、一気にクローへと突進した。
「遅い!」
クローはすかさずその攻撃を鋭いステップでかわし、逆にローランの懐へと滑り込む。そして、両腕の爪を振りかざし、ローランの鎧の隙間を狙った。
「ぐっ…!」
クローの一撃はローランの左肩をかすめ、その鋭い爪がブロンズ色の鎧の表面に浅い傷を刻んだ。
「やるじゃないか…だが!」
ローランは剣を片手で振り回し、クローを強引に引き離す。渓谷の風が二人の間に吹き込み、両者は再び間合いを取った。
「思っていた以上に速い。だが、力の差は歴然だ!」
ローランは巨剣を両手で構え、強烈な突きを繰り出す。その一撃はまるで壁を砕くかのような破壊力を持ち、渓谷の岩肌を粉々に砕いた。
しかし、クローはその重い攻撃を読み切り、直前で身を翻して躱す。
「力だけだな、ローラン!」
クローは回避と同時にローランの側面に回り込み、鋭い爪を横一閃に振るった。その一撃はローランの鎧を深く傷つけたが、彼は全く動じない。
「口は達者だが、まだまだ甘い!」
ローランは反撃に転じ、剣を振り下ろすと同時にクローに強烈な蹴りを放った。その蹴りはクローの腹部に直撃し、彼の体を数メートル後方へと吹き飛ばした。
「ぐっ…!」
クローは岩壁に激突しながらも、すぐに膝をつき、再び立ち上がる。
「なぜ、すぐに追撃しない。一騎打ちなのに殺気をまるで感じないぞ、 お前の望みはなんなんだ!」
クローが荒い息をつきながら問いかける。
ローランは剣を下ろし、静かにクローを見つめたまま言葉を放つ。
「ふっ、最初に言ったはずだ、試すとな。一騎打ちなら全力で来るだろうと踏んでのことだったが。クロー…お前との戦いで、確信したことがある。今のその力では俺の主を倒すことはできん。このままガーデに侵攻しても死ぬだけだ。」
「何だとっ!?」
ローランはその言葉を残すと、戦いをやめ、宙に舞い上がり彼方へと飛び去った。クローは岩壁に背を預けたまま、深い息をついた。
「俺の主を倒すことはできん…か。」
その言葉には、単なる敵意ではない何かが込められていた。まるで試練を与えられたような感覚に、クローは胸を締め付けられるようだった。
「クロー、大丈夫か?」
ブレインが歩み寄り、肩に手を置いた。その目には、クローへの信頼と、戦士としての温かい励ましが宿っている。
「…ああ、ローランが何を考えているのか分からないが、確かに奴の言葉には真実味があった。俺たちは、まだ力が足りないのかもしれない。」
「力が足りない…だと? クロー、お前がそんな弱気なことを言うなんてな。」
ファングが不敵な笑みを浮かべて言うが、その声にはどこか気遣いの色があった。
「分かっている。だが、今は前に進むしかない。」
リューガの言葉にクローは小さく頷いた。ローランの言葉に一抹の不安を抱きつつ、ドラゴンナイツたちは次なる試練へと向かって進み始めた――。
「待って…あれは何?」
フレイムが険しい表情で前方を指差す。
その指先を追った瞬間、ドラゴンナイツ全員の目に焼き付いたのは、炎の渓谷の上空に浮かぶ一筋の影だった。
「獣人?!」
フロストが鋭い声で叫ぶと、その影が徐々に形を現した。それは、鋭い目を持つ狼の獣人だった。彼は灰色のマントを纏い、ブロンズ色の鎧をまとっていた。その身に飛竜の翼はない。それでも彼は宙に浮いており、その動きには重力の束縛を感じさせない圧倒的な威圧感があった。
右手には、まるで大地をも断ち切るかのような巨大な剣を握りしめ、静かにドラゴンナイツの部隊を見下ろしている。
「奴は…これまでの敵とは桁違いだ!」
ボルトが険しい声で言った。
クローは鋭い目でその獣人を睨み、手綱を強く握りしめる。
「何者だ…お前は。」
その問いに、獣人はゆっくりと剣を持つ手を肩に乗せ、低い声で答えた。
「ローラン…それが俺の名だ。」
「ローラン…天空城の幹部の一人だ。」
ブレインが剣を構えながら静かに言葉を紡ぐ。
ローランはその視線をブレインに向けることなく、ただクローを真っ直ぐに見据えた。
「全員、気をつけろ。奴はただの戦士じゃない!」
ブレインが指示を飛ばし、ナイツ全体が一斉に武器を構える。だが、ローランはそれを嘲笑うように、ふっと息をつき、静かに口を開いた。
「クロー、お前に一騎打ちを申し込む。飛竜などに頼らず、お前自身で来い。」
その低く響く声には威圧感があり、クローの胸にずしりと響いた。
「いいぜ。お望み通り、お前と直接決着をつけてやる。」
クローはカイを降りると、漆黒の鎧に包まれた自身の肉体に手をやりながら、両腕に装着された鋭い双爪を展開した。
ファングが後方で声をかける。
「クロー、気を抜くなよ!」
「大丈夫だ、ファング。これは俺がやるべき戦いだ。」
クローがゆっくりと地面に足を踏みしめ、間合いを測るように構える。一方、ローランも巨大な剣を手にゆっくりと歩み寄り、その金属靴が渓谷の岩肌を軋ませる。
「俺にどこまで食らいつけるか、試してやる!」
ローランが低く吠えた瞬間、彼は巨大な剣を振り上げ、一気にクローへと突進した。
「遅い!」
クローはすかさずその攻撃を鋭いステップでかわし、逆にローランの懐へと滑り込む。そして、両腕の爪を振りかざし、ローランの鎧の隙間を狙った。
「ぐっ…!」
クローの一撃はローランの左肩をかすめ、その鋭い爪がブロンズ色の鎧の表面に浅い傷を刻んだ。
「やるじゃないか…だが!」
ローランは剣を片手で振り回し、クローを強引に引き離す。渓谷の風が二人の間に吹き込み、両者は再び間合いを取った。
「思っていた以上に速い。だが、力の差は歴然だ!」
ローランは巨剣を両手で構え、強烈な突きを繰り出す。その一撃はまるで壁を砕くかのような破壊力を持ち、渓谷の岩肌を粉々に砕いた。
しかし、クローはその重い攻撃を読み切り、直前で身を翻して躱す。
「力だけだな、ローラン!」
クローは回避と同時にローランの側面に回り込み、鋭い爪を横一閃に振るった。その一撃はローランの鎧を深く傷つけたが、彼は全く動じない。
「口は達者だが、まだまだ甘い!」
ローランは反撃に転じ、剣を振り下ろすと同時にクローに強烈な蹴りを放った。その蹴りはクローの腹部に直撃し、彼の体を数メートル後方へと吹き飛ばした。
「ぐっ…!」
クローは岩壁に激突しながらも、すぐに膝をつき、再び立ち上がる。
「なぜ、すぐに追撃しない。一騎打ちなのに殺気をまるで感じないぞ、 お前の望みはなんなんだ!」
クローが荒い息をつきながら問いかける。
ローランは剣を下ろし、静かにクローを見つめたまま言葉を放つ。
「ふっ、最初に言ったはずだ、試すとな。一騎打ちなら全力で来るだろうと踏んでのことだったが。クロー…お前との戦いで、確信したことがある。今のその力では俺の主を倒すことはできん。このままガーデに侵攻しても死ぬだけだ。」
「何だとっ!?」
ローランはその言葉を残すと、戦いをやめ、宙に舞い上がり彼方へと飛び去った。クローは岩壁に背を預けたまま、深い息をついた。
「俺の主を倒すことはできん…か。」
その言葉には、単なる敵意ではない何かが込められていた。まるで試練を与えられたような感覚に、クローは胸を締め付けられるようだった。
「クロー、大丈夫か?」
ブレインが歩み寄り、肩に手を置いた。その目には、クローへの信頼と、戦士としての温かい励ましが宿っている。
「…ああ、ローランが何を考えているのか分からないが、確かに奴の言葉には真実味があった。俺たちは、まだ力が足りないのかもしれない。」
「力が足りない…だと? クロー、お前がそんな弱気なことを言うなんてな。」
ファングが不敵な笑みを浮かべて言うが、その声にはどこか気遣いの色があった。
「分かっている。だが、今は前に進むしかない。」
リューガの言葉にクローは小さく頷いた。ローランの言葉に一抹の不安を抱きつつ、ドラゴンナイツたちは次なる試練へと向かって進み始めた――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる