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あなたが知らないあなたの母のこと Side story オスカー・イスカラング2
イザベラ・マロスレッド。それが、イザベラが地上に生を受けた時の名前。マロスレッド公爵家の次女として生まれたのだった。
大国の高位貴族家に生まれ幸せだったかと聞かれれば、イザベラは迷うことなく否定の言葉を発するだろう。王家の血を引く公爵家の二の姫だ、当然生まれた時から様々な政治に晒されてきた。
しかし、それは高位貴族家に生まれた者の定め。幼少期からの教育でイザベラは当たり前のこととしてどんな定めも受け入れていた。
美しいドレスに宝飾品、高等教育、最高食材で作られた食事、身の回りの世話をする下位貴族出身のメイド達。これらをまだ何もその対価を返すことが出来ないイザベラが享受するのは、政治的価値への先行投資。幼い頃からイザベラは己の存在理由を教えられるままに理解していた。
王家に直接生まれたのではなく、王家の血を受け継ぐ公爵家の次女。この立場はなかなか使い勝手が良かったようで、イザベラは三歳の時に資源が豊富な隣国の王の第七妃になることが決まった。
三歳の令嬢の未来が第七妃。普通に聞いたら何かの間違いではないかと思われる内容だ。しかしそれは紛れもない事実で、相手は父親より年上、イザベラが三歳の時に四十七歳の王だった。王の孫の方がイザベラに年齢が近いというのに。
では、どうしてこんな婚約が成立したのか。
理由は簡単。隣国の王が欲したものとスプラルタ国王が欲したものが丁度交換出来たのだった。
隣国にはスプラルタ国王が欲する資源が多くあった。どうにか大量に輸入出来ないかと考えていたところに、たまたま耳にした隣国の王の言葉。
スプラルタ国王はすぐさま最高の持ち札をチラつかせた。それがイザベラだった。
三歳で婚約、五歳になったら隣国への挨拶訪問、十五歳で輿入れ。イザベラは十年以上先までの予定を決められたのだった。
様々なマナーを叩き込まれ五歳で向かった隣国で、イザベラは初めて婚約者の王に目通りした。結婚がどういうものか理解も出来ないのに、将来の夫と対面したのだ。イザベラの隣国での滞在期間は三か月。その間、王は時間を作ってはイザベラに課題を与えていった。
課題の中には馬鹿げたものが多々あった。その代表例が『家族以外の男性とは話さない』や『家族と身の回りの世話をする者以外に声を聞かせない』だった。
『アーサーさま、自国の王族の皆さまにはどうしたら良いのでしょうか?』
『可愛いイザベラが不敬で罰せられては困る。それは仕方ないとしよう。が、お前があまり口を開かない理由は書簡にして送っておく』
隣国の王が望んだのは、言うことを良く聞く美しい小鳥を自分で育てたいというものだった。自分以外に囀ることがないように。
大きくなってしまった鳥は、多くのことを知っている。しかし、生まれたばかりの雛であればある程扱い易い。
高貴な羽を持つ、美しい小鳥。スプラルタ王が知る中の一番がイザベラだったのだ。一番を差し出す見返りが資源の輸入量。
当時の王の欲望にイザベラは使われたのだった。
隣国への大切な献上品となったイザベラには護衛が何人も付けられた。十二歳の時に、その護衛の中に騎士見習いの十五歳のオスカーが加わった。
大国の高位貴族家に生まれ幸せだったかと聞かれれば、イザベラは迷うことなく否定の言葉を発するだろう。王家の血を引く公爵家の二の姫だ、当然生まれた時から様々な政治に晒されてきた。
しかし、それは高位貴族家に生まれた者の定め。幼少期からの教育でイザベラは当たり前のこととしてどんな定めも受け入れていた。
美しいドレスに宝飾品、高等教育、最高食材で作られた食事、身の回りの世話をする下位貴族出身のメイド達。これらをまだ何もその対価を返すことが出来ないイザベラが享受するのは、政治的価値への先行投資。幼い頃からイザベラは己の存在理由を教えられるままに理解していた。
王家に直接生まれたのではなく、王家の血を受け継ぐ公爵家の次女。この立場はなかなか使い勝手が良かったようで、イザベラは三歳の時に資源が豊富な隣国の王の第七妃になることが決まった。
三歳の令嬢の未来が第七妃。普通に聞いたら何かの間違いではないかと思われる内容だ。しかしそれは紛れもない事実で、相手は父親より年上、イザベラが三歳の時に四十七歳の王だった。王の孫の方がイザベラに年齢が近いというのに。
では、どうしてこんな婚約が成立したのか。
理由は簡単。隣国の王が欲したものとスプラルタ国王が欲したものが丁度交換出来たのだった。
隣国にはスプラルタ国王が欲する資源が多くあった。どうにか大量に輸入出来ないかと考えていたところに、たまたま耳にした隣国の王の言葉。
スプラルタ国王はすぐさま最高の持ち札をチラつかせた。それがイザベラだった。
三歳で婚約、五歳になったら隣国への挨拶訪問、十五歳で輿入れ。イザベラは十年以上先までの予定を決められたのだった。
様々なマナーを叩き込まれ五歳で向かった隣国で、イザベラは初めて婚約者の王に目通りした。結婚がどういうものか理解も出来ないのに、将来の夫と対面したのだ。イザベラの隣国での滞在期間は三か月。その間、王は時間を作ってはイザベラに課題を与えていった。
課題の中には馬鹿げたものが多々あった。その代表例が『家族以外の男性とは話さない』や『家族と身の回りの世話をする者以外に声を聞かせない』だった。
『アーサーさま、自国の王族の皆さまにはどうしたら良いのでしょうか?』
『可愛いイザベラが不敬で罰せられては困る。それは仕方ないとしよう。が、お前があまり口を開かない理由は書簡にして送っておく』
隣国の王が望んだのは、言うことを良く聞く美しい小鳥を自分で育てたいというものだった。自分以外に囀ることがないように。
大きくなってしまった鳥は、多くのことを知っている。しかし、生まれたばかりの雛であればある程扱い易い。
高貴な羽を持つ、美しい小鳥。スプラルタ王が知る中の一番がイザベラだったのだ。一番を差し出す見返りが資源の輸入量。
当時の王の欲望にイザベラは使われたのだった。
隣国への大切な献上品となったイザベラには護衛が何人も付けられた。十二歳の時に、その護衛の中に騎士見習いの十五歳のオスカーが加わった。
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