年に一度の旦那様

五十嵐

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105 一週間

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レイチェルが北の館に戻ってから一週間。マクレナン侯爵は、事態が思いのほか順調に進んでいることに満足していた。

邸内の使用人たちは既に、ノアが愛人二人よりもレイチェルを大切にしていると理解しているようだ。さらに数日前、ノアとレイチェルが共に外出したことで、貴族街の商店、そしてそこを利用する貴族たちに対し、二人の関係性が良好であると示された。

これは、マクレナン侯爵とノアが数年前に立てた計画が功を奏したということだろう。

結婚式でのレイチェルの姿を覚えていた者は皆、事実として『ずいぶん健康そうになった』と思ったに違いない。それは言葉にしなくても、コリンス伯爵家でレイチェルがどういう扱いを受けていたのかを裏付けるものだった。また、ノアが笑みを浮かべてエスコートする姿を見た者は、長かったレイチェルの療養生活の終わりを喜んだように見えたはずだ。もちろん、侯爵の耳に届いた噂話は好意的なものばかりではない。中には、これからマクレナン侯爵家で正妻と愛人二人の間でどういうことが起こるだろうかという下世話なものもあった。

しかし、これも愛人二人がマクレナン侯爵邸を出て行けば、違う話になっていく。二人はレイチェルが療養している間のノアの気晴らし、気を紛らわせるためだけにいたと。それに、ノアは北の邸から戻ってきてから、二人と肉体関係を持っていない。しかし二人は、それが仕事でお手当をもらっている身であるため、邸内で事あるごとにノアに振り向いてもらおうとしている。どうにもならない状況でそんなことをすれば、鬱陶しがられるだけだというのに。その点、レイチェルはそんなことはしないのだ。ノアとしても、近くにいても害がない分、傍に置きやすいのだろう。

本来ならば、今のノアの体の状況は受け入れられるものではないが、これは怪我の功名とでも言うべきか。それに…、この怪我にも光明が見えてきた。まさかそんな薬草があるとは…。

北の邸に残るロイのパートナーへは既に手紙を送った。あとは、入手出来次第、もう一人のレイチェルの侍女に届けさせる手筈だ。問題はその商人が不定期に訪れることと、常に薬草を持っているかわからないという点。しかしその場合も、侍女に侯爵家発行の越境許可証を送ったので、隣国まで購入に向かうのは容易い。まだ試していない薬草だけに、結果は未知数だが、何もないよりはましだと侯爵は考えたのだった。
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