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第二章 クリスタルエレメント
第6話 選ばれし者
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『迎えにきた?ぼくを?』
自分を指差して、クリスは聞き返した
『ぼくを地底世界に連れて行くっていうの?』
クレアは黙ってうなずいた。
『え、いつ?いま?』
クレアはまた大きくうなずいた。
『うん。できるだけ早い方がいい。さっきも言ったように、今闇の勢力も本格的に動き出しているの。それで、わたしたちの読みに間違いがなければ、あいつらはきっとまたクリスを利用しようとするはず。そうなる前に、あなたに地底世界に来てほしいの』
嘆願するような目でクレアはクリスを見つめた。しかしその口ぶりは、それはもう決定事項だから拒否することは許されないと言わんばかりだった。
しかし、そうは言ってもあの頃と今とでは時代も違えば状況も違う。自分はまだ子供だし、親だって心配する。それに何より、地底世界へ行く理由がない。
前世でエメルアを救おうとしたときのように、誰か大切な人の命が懸かっているというわけでもない。
そんなクリスの思いを読み取って、クレアは説得を続けた。
『あなたは今回、この地球にいるすべての生命を救うことになるかもしれないんだよ。地底世界だけじゃなく、あなたたちの住むこの地表世界も含めて、ね。それにここへは今とほぼ同時刻に戻ってこられるから、心配しないで大丈夫だよ。だって、向こうでは時間の経過がないでしょう?』
『そんなこと言われても・・・』
あまりにも急すぎて、心の準備をする暇もない。そんな責任重大な任務を突然告げられても、「はい、分かりました」と二つ返事で引き受けられるほどの正義感をクリスは持ち合わせていなかった。
どうすべきか分からず紗奈に救いを求めると、紗奈がクレアに疑問をぶつけた。
「話の内容が全然分からないんだけど。闇の勢力とか、次元上昇とか。クリスが地球の全生命を救うことになるっていうけど、一体どういうことなの?地球が滅亡するとでもいうの?」
クレアは肩をすくめた。
『黒いドラゴンの石が闇の勢力に渡ったら、そういうことになっちゃうよ、たぶん。だって、あいつらはあらゆる星の次元上昇を阻止して、その星を消滅させることが目的だもの』
「全然意味が分からない。大体、なんでクリスがそこに巻き込まれないといけないの?それに、クリスがそっちへ行ったところでどうなるっていうの?」
『だから、詳しいことはあとで話すって言ってるじゃない。それに、別にあなたに分かってもらう必要なんてないよ』
そう言われた紗奈はきっとクレアをにらみつけた。しかしそんなことは気にする様子もなく、クレアはゆっくりと瞬きをしてクリスに向き直った。
『とにかく、ここでこうしていても埒が明かない。どうかわたしと一緒に来てほしい』
ふわっと飛んでクリスの正面に立つと、クレアはクリスの手を取った。
『わたしは、あなたたちのことを思って言ってるんだよ。このままこっちにいたら、また闇の勢力に利用されるかもしれない。そうしたら、またエメルアの命も危険にさらすことになるかもしれないよ?あいつらは、目的のためには手段なんて選ばないんだから。実際にあのときエメルアがかかっていた病気も、あいつらの仕業かもしれないし・・・』
クリスはファロスとして生きた前世で恋人エメルアの病を治すため、黒いドラゴンの石を求めて地底世界へと導かれた。しかし結局、その石を手に入れたところでエメルアの病は治せないことが分かり、ファロスは地上へと戻ったのだった。
ではなぜ地底世界へ送られたのかと言えば、それはファロスを使ってドラゴンの石を手に入れようとする闇の勢力の操作によるものではないかというのが、地底都市セテオス中央部のソレーテの推論だった。
もしそうだとすればエメルアの病も闇の勢力によるものだというのは、あながち的外れな考えではない。
あれこれと思案するクリスの袖を、紗奈が引っ張った。
「ねぇ。その地底世界っていうところに行っても、時間が経たないっていうのは本当なの?」
「うん。本当だと思う」
前世で地底世界を訪れたときには実際にそうだった。時間の概念がないためにどれほどの時間滞在したのか分からないが、長い間滞在したのにも関わらず、戻ってきた時は行った時とほぼ同時刻だった。
『どれくらいそっちに行ってる必要があるの?』と、クレアに向かって紗奈が質問した。
紗奈のその質問を聞いて、クリスは紗奈を驚くように見た。紗奈も声に出さずに思念を飛ばしたからだ。驚くクリスに肩をすくめると、紗奈は再びクレアに視線を向けた。クレアは首を傾げた。
『どれくらいって、どういう意味?』
『だから、もしクリスが地底世界へ連れて行かれたとしたら、どれくらいの期間そっちにいないといけないのかっていう意味だよ』
紗奈のその説明を聞いて、クレアは組んだ腕に肘を載せて頬杖をついた。そしてそのポーズのまま少しの間黙り込んだ。
それから顔を上げると、クレアは言った。
『その質問って何か意味があるの?』
逆に聞き返された紗奈は、眉をひそめた。
『何言ってるの?意味あるに決まってるじゃない。地底世界へ行ってから、こっちへ戻ってくるのがいくら同時刻だとはいっても、どれくらいそこに留まる必要があるのかってやっぱり気になるでしょう?』
紗奈のその意見に対して、クレアはゆっくりと大きく首を振った。
『だからぁ、そもそも向こうには時間の概念というものがないの。時間がないのに、どれくらいって聞かれても答えようがないでしょう?何て答えればいいの?これくらいとでも言えばいいの?』
肩幅くらいに両手を広げてクレアが言った。
その説明に今度は紗奈が黙り込んだ。それから納得したようにうんうんとうなずくと、『わかった』と答えた。
『それで、そっちへ行ったら詳しく説明してくれるのね?』
クレアは訝しむように紗奈を見た。
『まぁ、それはそうだけど?』
クレアのその言葉を聞いて、紗奈は笑顔を見せた。
『だったら、わたしも連れて行って』
「え?」
思わずクリスは、声を上げた。
「紗奈ちゃんも、行くの?」
「ダメ?」
「いや、別にダメじゃないけど・・・」
「それとも、わたしが一緒だったら何か困ることでもあるの?」
困惑するクリスに、紗奈は詮索するような視線を向けた。クリスは首を振った。
「ううん。別にそんなことはないと思うよ。でも、何があるか分からないじゃない?ぼくだってまだ行くと決めたわけじゃないし・・・」
「いいじゃない。だって別に向こうへ行っても、時間が経たないっていうのでしょう?一体どういうことなのかわたしも状況がよく把握できないけど、とにかくそれについては向こうへ行ってから詳しい話を聞かせてもらえばいいんじゃない?でも、クリスひとりだけ行かせるのはやっぱり心配だし。それに、わたしがこっちへひとり残っていたらわたしだって危険な目に合うかもしれないっていうじゃない。だったら、わたしも一緒に行った方がお互いに安心でしょう?」
「うーん、まぁそうかもしれないけど・・・」
紗奈の思い切りのよさにクリスが圧倒されていると、傍らで見ていたクレアが首を振った。
『ダメだよ。あなたは連れて行けない』
クレアの思いがけない言葉に、紗奈はムッとした表情をした。
『なんでよ?』
『だって、中央部の許可が下りていないもの。実は今回わたしたちがクリスを呼びに来たのは、中央部の指示でもあるの』
胸の前で腕を組んでクレアは言った。
『クリスが黒いドラゴンの石のひとつを手に入れることのできる選ばれし者かどうか、それはまだ分からない。でも可能性としては大いにあるっていうことでね。でも、あなたのことは連れて来ていいとは言われていない。あなたが自力で地底世界へと通じる時空の狭間を見つけて、向こうの世界へと導かれたのなら話は別だけど』
「何それ・・・」
ふてくされるように唇を尖らせると、紗奈はぷいっと顔を背けた。
その状況に、クリスも何も言えずに黙り込んでいた。
すると、突然『いいじゃない』という声がどこからともなく聞こえてきた。
自分を指差して、クリスは聞き返した
『ぼくを地底世界に連れて行くっていうの?』
クレアは黙ってうなずいた。
『え、いつ?いま?』
クレアはまた大きくうなずいた。
『うん。できるだけ早い方がいい。さっきも言ったように、今闇の勢力も本格的に動き出しているの。それで、わたしたちの読みに間違いがなければ、あいつらはきっとまたクリスを利用しようとするはず。そうなる前に、あなたに地底世界に来てほしいの』
嘆願するような目でクレアはクリスを見つめた。しかしその口ぶりは、それはもう決定事項だから拒否することは許されないと言わんばかりだった。
しかし、そうは言ってもあの頃と今とでは時代も違えば状況も違う。自分はまだ子供だし、親だって心配する。それに何より、地底世界へ行く理由がない。
前世でエメルアを救おうとしたときのように、誰か大切な人の命が懸かっているというわけでもない。
そんなクリスの思いを読み取って、クレアは説得を続けた。
『あなたは今回、この地球にいるすべての生命を救うことになるかもしれないんだよ。地底世界だけじゃなく、あなたたちの住むこの地表世界も含めて、ね。それにここへは今とほぼ同時刻に戻ってこられるから、心配しないで大丈夫だよ。だって、向こうでは時間の経過がないでしょう?』
『そんなこと言われても・・・』
あまりにも急すぎて、心の準備をする暇もない。そんな責任重大な任務を突然告げられても、「はい、分かりました」と二つ返事で引き受けられるほどの正義感をクリスは持ち合わせていなかった。
どうすべきか分からず紗奈に救いを求めると、紗奈がクレアに疑問をぶつけた。
「話の内容が全然分からないんだけど。闇の勢力とか、次元上昇とか。クリスが地球の全生命を救うことになるっていうけど、一体どういうことなの?地球が滅亡するとでもいうの?」
クレアは肩をすくめた。
『黒いドラゴンの石が闇の勢力に渡ったら、そういうことになっちゃうよ、たぶん。だって、あいつらはあらゆる星の次元上昇を阻止して、その星を消滅させることが目的だもの』
「全然意味が分からない。大体、なんでクリスがそこに巻き込まれないといけないの?それに、クリスがそっちへ行ったところでどうなるっていうの?」
『だから、詳しいことはあとで話すって言ってるじゃない。それに、別にあなたに分かってもらう必要なんてないよ』
そう言われた紗奈はきっとクレアをにらみつけた。しかしそんなことは気にする様子もなく、クレアはゆっくりと瞬きをしてクリスに向き直った。
『とにかく、ここでこうしていても埒が明かない。どうかわたしと一緒に来てほしい』
ふわっと飛んでクリスの正面に立つと、クレアはクリスの手を取った。
『わたしは、あなたたちのことを思って言ってるんだよ。このままこっちにいたら、また闇の勢力に利用されるかもしれない。そうしたら、またエメルアの命も危険にさらすことになるかもしれないよ?あいつらは、目的のためには手段なんて選ばないんだから。実際にあのときエメルアがかかっていた病気も、あいつらの仕業かもしれないし・・・』
クリスはファロスとして生きた前世で恋人エメルアの病を治すため、黒いドラゴンの石を求めて地底世界へと導かれた。しかし結局、その石を手に入れたところでエメルアの病は治せないことが分かり、ファロスは地上へと戻ったのだった。
ではなぜ地底世界へ送られたのかと言えば、それはファロスを使ってドラゴンの石を手に入れようとする闇の勢力の操作によるものではないかというのが、地底都市セテオス中央部のソレーテの推論だった。
もしそうだとすればエメルアの病も闇の勢力によるものだというのは、あながち的外れな考えではない。
あれこれと思案するクリスの袖を、紗奈が引っ張った。
「ねぇ。その地底世界っていうところに行っても、時間が経たないっていうのは本当なの?」
「うん。本当だと思う」
前世で地底世界を訪れたときには実際にそうだった。時間の概念がないためにどれほどの時間滞在したのか分からないが、長い間滞在したのにも関わらず、戻ってきた時は行った時とほぼ同時刻だった。
『どれくらいそっちに行ってる必要があるの?』と、クレアに向かって紗奈が質問した。
紗奈のその質問を聞いて、クリスは紗奈を驚くように見た。紗奈も声に出さずに思念を飛ばしたからだ。驚くクリスに肩をすくめると、紗奈は再びクレアに視線を向けた。クレアは首を傾げた。
『どれくらいって、どういう意味?』
『だから、もしクリスが地底世界へ連れて行かれたとしたら、どれくらいの期間そっちにいないといけないのかっていう意味だよ』
紗奈のその説明を聞いて、クレアは組んだ腕に肘を載せて頬杖をついた。そしてそのポーズのまま少しの間黙り込んだ。
それから顔を上げると、クレアは言った。
『その質問って何か意味があるの?』
逆に聞き返された紗奈は、眉をひそめた。
『何言ってるの?意味あるに決まってるじゃない。地底世界へ行ってから、こっちへ戻ってくるのがいくら同時刻だとはいっても、どれくらいそこに留まる必要があるのかってやっぱり気になるでしょう?』
紗奈のその意見に対して、クレアはゆっくりと大きく首を振った。
『だからぁ、そもそも向こうには時間の概念というものがないの。時間がないのに、どれくらいって聞かれても答えようがないでしょう?何て答えればいいの?これくらいとでも言えばいいの?』
肩幅くらいに両手を広げてクレアが言った。
その説明に今度は紗奈が黙り込んだ。それから納得したようにうんうんとうなずくと、『わかった』と答えた。
『それで、そっちへ行ったら詳しく説明してくれるのね?』
クレアは訝しむように紗奈を見た。
『まぁ、それはそうだけど?』
クレアのその言葉を聞いて、紗奈は笑顔を見せた。
『だったら、わたしも連れて行って』
「え?」
思わずクリスは、声を上げた。
「紗奈ちゃんも、行くの?」
「ダメ?」
「いや、別にダメじゃないけど・・・」
「それとも、わたしが一緒だったら何か困ることでもあるの?」
困惑するクリスに、紗奈は詮索するような視線を向けた。クリスは首を振った。
「ううん。別にそんなことはないと思うよ。でも、何があるか分からないじゃない?ぼくだってまだ行くと決めたわけじゃないし・・・」
「いいじゃない。だって別に向こうへ行っても、時間が経たないっていうのでしょう?一体どういうことなのかわたしも状況がよく把握できないけど、とにかくそれについては向こうへ行ってから詳しい話を聞かせてもらえばいいんじゃない?でも、クリスひとりだけ行かせるのはやっぱり心配だし。それに、わたしがこっちへひとり残っていたらわたしだって危険な目に合うかもしれないっていうじゃない。だったら、わたしも一緒に行った方がお互いに安心でしょう?」
「うーん、まぁそうかもしれないけど・・・」
紗奈の思い切りのよさにクリスが圧倒されていると、傍らで見ていたクレアが首を振った。
『ダメだよ。あなたは連れて行けない』
クレアの思いがけない言葉に、紗奈はムッとした表情をした。
『なんでよ?』
『だって、中央部の許可が下りていないもの。実は今回わたしたちがクリスを呼びに来たのは、中央部の指示でもあるの』
胸の前で腕を組んでクレアは言った。
『クリスが黒いドラゴンの石のひとつを手に入れることのできる選ばれし者かどうか、それはまだ分からない。でも可能性としては大いにあるっていうことでね。でも、あなたのことは連れて来ていいとは言われていない。あなたが自力で地底世界へと通じる時空の狭間を見つけて、向こうの世界へと導かれたのなら話は別だけど』
「何それ・・・」
ふてくされるように唇を尖らせると、紗奈はぷいっと顔を背けた。
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