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第一章 別世界

32話 ミリの記憶

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「良い?ミリ!本当の最強は最強って言わないの!」「うん!わかった、師匠!」ミリがさらに剣を構える「では貴方に私の特別技を教えてあげよう!」「えぇ!?なになに!?」ミリが目を見開く「私が名付けたその名も【灼炎地獄】その名の通り真っ赤に炎が燃えているのよ」とマリの周りに炎が纏われる「この技はね…炎と自分の気持ちをコントロール出来ないと発動しないの。理性を失ったり自分が勝てないと思えば炎が応えてくれない。つまり自分自身と炎が理解し合う時炎と一体化するのよ」その時からマリとミリの練習が始まった。

「ほらミリ!また自分に自信がなくなってる!」マリが背中を叩く「痛い!難しいんですよ!師匠!」「貴方が炎と一体化すると思ってないからでしょう?」とマリがまた強烈な炎を纏う「この技が発動する時…感じるわ。自分は今生きているんだってことをね、誰にも縛られず生きている事を」「師匠…」ミリが涙を流す「いつか成功させてみせます!」「えぇ!いつか私の灼炎地獄を灼炎地獄で弾き返してみなさい!いつでも待っているわ」マリが歩いていった。

「なにあれ…」シルフが目の前のマリを見る「恐らくあれがマリの…」早紀も目を見開く「まるで炎ですね…」ウンディーネが呟く「あれでギルドを丸ごと焼き払ったのよ…あんなもの今のミリに与えたらミリが死んでしまうわ!」ワダツミが叫んでいる「いえ…ワダツミさん、おそらく信じているんだと思います…」「信じるですって?」ネイトが首を傾げる「ネイトの…鈍感」ユグが顔を出す「マリは師匠…ミリはこの技を知ってる…同じ技で弾き返すことを…マリは信じてる…だから使った…そうでしょ?…早紀」早紀はユグの方を見ると笑顔になった。

「さぁ!行くわよ!ミリ!」マリが剣を振り上げミリに突撃する「マリ…師匠…ありがとう…」ミリが小さく呟くとミリの周りから炎が現れる「あれは!マリと同じ炎ですわ!」ネイトが驚いた目をする「やっぱり…」早紀が頷く。

「ミリ!この技を弾き返した時があなたの勝利よ!」マリが上から振り下ろす「はぁぁぁ!」「絶対に止めます!師匠!やぁぁ!」ガキーン!と音がなり大爆発を起こした。

しばらく2人は剣を混じりあった状態で立っているとマリが倒れる「マリちゃん!」シルフが駆け寄る「はぁ…全く…マリったら弟子相手に本気出しすぎでしょ…」早紀がため息を着く「ヒール」ウンディーネはマリの回復をする「う…ん…」しばらくしてマリが目を覚ます。

「マリ…弟子に一言は?」早紀が呟くとマリはミリを見る「マリ…師匠…」ミリは両目から涙がこぼれている「その顔…ずっと守ってなさい。試験は合格よ」「師匠!」ミリがマリに抱きつく「さてと…操っていた人を探しますか…」早紀は立ち上がると女神の方に歩き出す。

「ユグ…」早紀はしゃがむとユグの顔を見る「はい…何でしょうか…」「ふふっ…ありがとね」早紀は笑顔でユグの頭を撫でた「早紀…さん…えへへ」ユグが頭を触る「あのユグが照れてる」アテナが笑っている「ちょっと!早紀!私より先にユグの笑いを取らないで欲しくてよ!」「あんたはうるさいから引かれているだけでしょ」アテナがネイトに呟いた。

「さぁ!とりあえず戻ろうか!ミリ!」早紀がミリの顔を見る「はい?」「唯一無二の師匠は大切にしてね」早紀はそのま歩き出した「はい!絶対に!」ミリはマリの手を肩に乗せお辞儀した。

「それにしてもマリさんはめちゃくちゃな事をしますね…無理やり思考操作を解くなんて」ウンディーネが早紀の耳に囁く「あのマリならやってくれると思ったよ」早紀がウンディーネの方を向く「操っていた人の詳細は分かって?」ネイトが早紀の顔を見るも早紀は首を振る「そんなの…ミリに聞かないと…分かんないじゃない…」ユグがいつの間にか早紀の腕を掴んでいる「ユグ!私から離れるのね…」フレイヤがしくしく泣いている「あはは…」早紀がユグの頭を撫でる。

早紀には少し不安があった。それは弟子が思考操作により操られていた…それはマリにとってはとても許せないこと…。つまり…

(マリが1人で乗り込みに行くかもしれない…)

早紀はその不安があった「早紀…大丈夫…マリは勝てる…」ユグが頷いている「うん…そうだね」早紀が拠点に入っていった。

「ミリ」早紀がマリの寝ている部屋に入る「今…来ないで下さい…私は師匠を裏切って…」ミリが椅子に座りマリのベッドの横に座っている「ねぇ…ミリ」早紀がミリを後ろから抱きつく「ちょ…早紀さん?」「早紀でいいよ…」早紀がミリの頭を撫でる「…あなたを操っていた人は誰?」早紀がミリの顔を見る「はい…ギルド【鬼神】のリーダーであり国【鬼神国】団長のヘラクレスです…私は…あの方に囚われたのです…」ミリの頬に涙が伝う「分かりました…私とマリでその方を倒しに行きます」「早紀…だめ…私の問題です」ミリが足に乗せている手を握る「マリが聞いても同じこと…だよね?マリ」「え?」ミリがマリの方を向く「もちろん」マリが笑っていた。
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