催眠アプリで美少女を彼女にしました

黒須

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第14話 スッキリしました2

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《有間愁斗―視点》


 翌日土曜日――。

 朝10時にミニストップで待ち合わせて映画に行く。この夏オンエアのアニメ映画で恋愛ファンタジー物のようだ。今季上映されているタイトルを一通り砂月さんと一緒に見て、彼女がこれを選んだ。前から気になっていたらしい。
 砂月さんは結構アニメ好きらしくネトフリやMXで見ているようだ。

 集合時間より少し早く着いて車で待っているとマンションから彼女が出てきた。
 今日は黒のフリル付きタンクトップに下はデニムとサンダル。髪はサイドポニテ、活発な女の子って感じで首が細くてスリムな砂月さんによく似合っている。

 彼女はそのまま助手席に乗り込んだ。

「お待たせしました」

「おはよう。砂月さんっていつもお洒落だよね」

「そ、そうですかね……。バーゲンで買った安物ですよ」

「いや、凄く似合ってるよ。可愛すぎてビビった。じゃぁ出発するね」

 映画館までは車で15分くらい。大型ショッピングモール内にある。

 車を走らせながら。

「私、肌黒いから肩出すの少し恥ずかしくて……。やっぱり女の子の美白はアドかなって思うんですよね」

 今日はタンクトップだから華奢な肩を出している。
 うーん。白い方がいいって人もいるけど、俺は別にそうは思わない。

「いや、砂月さん全然黒くないって。それに、それくらいの方が健康的で俺は好きだけど」

「ほ、ほんとですか?」

「ほんとほんと、引き締まった感じがちょっとエロいというか……」

 おっと、また余計な事を言ってしまった。

「エロいって言うのはあれね。セクシーって意味で、つまり可愛いっ意味だから安心してね」

「ぷ、ふふふ、有間さん自己フォロー必死過ぎです。つまり有間さんは私の事、エロい目で見てるってことですよね。わかりました」

「うん、少し違うけど……、もう、そう言うことにしよう。とにかく俺は砂月さんの肌、結構好きだし可愛いいよ」

「……」

 そう言うと砂月さんは黙ってしまった。運転中で顔を見れないが……、褒め過ぎたか?

 確かに色白ではないが、程良く焼けた肌は夏っぽくて、艶々なキメ細かい肌が光を反射すると妙にエロい。
 あ、エロい目で見てるね、ごめんなさい。

 映画は10:50からで、車を立体駐車場に停めて、のんびり歩いて丁度いい時間に着いた。
 チケットは良い席を取るため、前日オンラインで購入済みだから俺はコーラ、砂月さんはアイスティーを買って席へ移動した。

 始まるまではこの映画の話を楽しそうに語っていた砂月さんだが、ホールのライトが消え暗くなると口を閉じだ。
 俺は椅子の肘掛けに置かれた彼女の手に自分の手を重ねる。すると恋人繋ぎで俺の手を握り返してきた。
 言葉はない。だから余計に砂月さんの手の感触が伝わってきた。



《砂月紫陽花―視点》


 映画も後半になって。

 この作品、凄く面白い……、ここからラストにかけてどんどん面白くなっていくんだろうな……。
 だがしかし……、ト……トイレに行きたい!
 またこのパターン!

 エアコン効きすぎ!フロントでブランケット借りれば良かった……。肩出る服にしたのも失敗。有間さんの反応が気になってこんな服にしたけど……、でも有間さん優しかったな……。私がここでお漏らししても優しくしてくれるのかな?してくれないよね!

 ちょっとトイレ行ってきますって言わなきゃ。今の私なら言える。
 …………これからクライマックスなのにトイレに行ったらしらけるかな……。しかも上映したての作品で満席だから今出て行ったら注目される。この席、中央だし……。
 絶対変な女だって思われるよ。

 私はスマホを見る。
 え?あと30分くらいある……無理だ。さっきから足を組んで全力で股間を締めてるけど……もう限界が……。

 すると有間さんが耳元で。

「トイレ行きたいんじゃない?」

 有間さん、エスパーなのっ!?

「あの、えっと……少しだけ」

「我慢は良くないし、俺も付き合うから、行こう」

 私が涙目で頷くと有間さんは席を立って私の手を引いた。
 そのまま二人屈んで満席の映画館中央を横切る。他の客の膝がずらっと並ぶ通路は細くて狭い。有間さんが小声で「すみません」と言いながら私の前を突き進んだ。




 トイレから出ると有間さんは通路で待っていた。私はかなり凹んでいた。映画をちゃんと観れなくてショックだった。

「すみません」
「大丈夫だよ。ってもしかして最後まで我慢できた?」
「たぶん……できました」
「うわマジか……逆にごめん」

 嘘……、絶対我慢できなかった。

「これからいいところだったのに……、有間さんは見ててもよかったんですよ」
「ああ、そう言えばそうだな。気付かなかったよ……ははは。ほんとごめんね」

 違うよ……、私一人じゃ恥ずかしくて行けなかった。
 私、ほんと可愛くない。最悪だ。
 有間さんはあっけらかんとしていて明るい。俯く私を心配そうに見ている。

「どうする?戻る?」

「……ほんとはトイレ我慢できなくて、でもお漏らしキャラみたいに思われるの恥ずかしいくて、一人じゃ行けなくて……、だから有間さんが手を引いてくれて嬉しかったんです」

「ああ、そうなんだ。良かった。なんかずっと足モジモジしてるし、紅茶って利尿作用半端ないからヤバいかもって」
「迷惑かけたのに怒らないんですか?」
「え?怒るわけないじゃん。俺には全然迷惑かけていいんだよ。砂月さんの彼氏なんだから」
「…………」
 何でこんなに優しいんだろう。

「それに、あそこで抜けるのって結構注目されるから、むしろ俺達が映画の主人公みたいだなぁなんて思ったよ。主人公とヒロインみたいな……ははは……。お漏らしキャラのヒロインってチョロインかな?」
「バカにしてますか?」
 そのチョロインって、ちょろちょろおしっこするヒロインって意味ですよね?

「いや、してないです。ちょっとふざけてしまっただけです」
「ふ、ふふ。でも、有間さん凄くプラス思考ですね……ふふふ」

 有間さんが明るいから私も笑ってしまった。

「あ、あのさ、結構面白い作品だったよね」
「そう、ですね……」
「もし良かったら、また今度、一緒に観に来ない?夜もやってるから仕事帰りに行ってもいいし。良い作品は二度目の方が面白いって言うじゃん。伏線多くてもう一回観たいって思ってたんだよね」
「私も続き気になるからまた観たい」

「じゃぁ決まりだね。てか、二人で抜け出したのも結構楽しかったし、もう一度砂月さんと一緒に来れるから結果的には良かったな」
「あの、次は私がお金出します」

 流石に次も奢ってもらったら不味いよね……。

「え、ああ、うん。そう言うことにしておこうかな。じゃぁ今日は戻らくていいか?」
「そうですね!次はちゃんとトイレ対策します!リベンジです!ふん!」
「鼻息を荒《あら》らげられて、やる気を感じるよ。まぁせっかく来たし、ショッピングモールとかゲーセン見てから帰ろっか」
「いいですよ。えへへへ」

 気付けば私は笑っていた。
 私達は手を繋いで映画館を後にする。

 迷惑掛けちゃったけど……、でも凄く楽しい。






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