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一章
第34話 セブンランド大陸
しおりを挟む朝食の後は皆に服を配った。
全てネットで買った日本の服だからサイズが合ってない子もいる。
獣族はお尻に尻尾が生えていて、パンツやズボンの加工が必要だったりと、全員に服を着せるのに時間が掛かってしまった。
服も靴も全然足りていない。早速ゴロウズがネットで纏めて注文してくれている。
服を着終えた皆の前に俺は立つ。
こうして見ると、全員めちゃくちゃ可愛いけど小中学生と変わらんな。
「タマとフォンがまだ本調子じゃないから今日は家の周りで遊んでくれ。家の裏の薔薇園は今が見頃だぞ。近くに小川があるから川遊びしてもいいし、苺畑で苺を摘んで食べてもいい。この家の中を適当に散策してもらっても構わない。太陽が真上に上がったらお昼ご飯を出すからその時間までに食堂に戻ってくるように。以上だ。何か聞きたいことはあるか?」
アストレナが遠慮気味に手を上げた。
「ゴロウ様、ここはどこの国なのですか?その、危険なモンスターは出ないのでしょうか?」
ああ、そうか。まだ話していなかった。
「ここはセブンランド大陸だよ」
「「「セブンランド大陸!?」」」
知っている子もいるようだ。
まぁセブンランドは有名だからね。
アストレナが不安そうな顔で俺に言う。
「かつて七つの王国があったセブンランド大陸はアイアンアントの大量発生で30年以上昔に人が住めない土地になったと教わりましたわ……。アイアンアントはS級モンスターです。もし襲われたら助かる方法はありません」
アイアンアントは蟻のモンスター。体長は3メートルから5メートル程でぶ厚いステンレス金属の甲殻に覆われているからとにかく硬い。
物理攻撃はもちろん魔法も効かない為、単体ではS級モンスターとなる。爆発的な繁殖力があり一度増えてしまうと大群で襲ってくる。因みに群は最高ランクのSSS級モンスターに分類される。
体が重く水に沈むが故に水が苦手で水中に逃げると追ってこない。
「ここはセブンランド大陸の最北、第一ランド島だ。旧フィットリア王国があった場所だな。この島のアイアンアントは5年前に俺が絶滅させたから今は一体もいないよ。危険な動物もいないから安心して外で遊んで問題ないぞ」
第一ランド島は北海道程の広さ。
アイアンアントは雑食で動物はもちろん、シロアリのように木や草も食べる。食べ物が無くなると土や岩まで食べてしまう。
5年前、俺がこの大陸に来たときは10歩あるけばアイアンアントにぶつかるくらい奴等は群生していた。そのせいでセブンランド大陸は草木が一本もない砂漠のような土地だった。おかげで今も野生動物どころか昆虫すらいない。
まぁ葉物野菜は防虫ネット無しで栽培できるから助かっているけど。
「S級モンスターは1体倒すのも至難だと言うに。ゴロウ、お前ほんとうに凄いな」
と嬉しそうなウィスタシア。
「弱点をつくと案外簡単に倒せるんだ。そうそう、ゴロウズのパーツは全てアイアンアントで出来ているんだぞ。頭は魔核、腕は触覚、足はアイアンアントの前足、胴体は後足だ。錆びない鉄だから他にも溶かして色々な鋼材に加工している」
「どうやって殺したのぉ?シャル気になる!」
「ん?ああ、アイアンアントは水に沈めると酸欠で死ぬから、さっきコップを浮かせた要領でアイアンアントを宙に浮かせて湖や深い川に放り込んだり、魔法で転送させた。海岸沿いなら海、水がない場所は土魔法で地面を掘って水魔法で水を張り池を作ったな。高位の炎魔法で溶かすと殺せるけど、後で加工が大変だからだいたい水攻めだ。とにかくだ!この辺りには危険な物は何もないから安心して遊んでくれよ」
するとティアニーの手を挙げる。
「勉強はいつから教えてくれるの?」
「4、5日かけてうちの領地を案内するからその後だな。午前中は各自、興味のある分野……、農業、畜産、漁業、製造、魔法、剣術、政治、商売等を作業や実践をしながら教える。午後は教室で皆まとめて読み書き計算を教えようと思っている。何を学べばいいかわからない子は相談にのるからな」
「わかったわ」
「某は剣術を教えてもらいます!」
「ボクは魔法っ♪」
「領地を案内する間に色々な現場を見て何をしたいか改めて考えてみるといい。よし、ココノには話があるから、ココノ以外は出掛けていいぞ」
「「「「「 はーい! 」」」」」
さて、ココノをどうしたものか……。
奴隷商会にココノを売ったのは、この子の育ての母親だったんだよな……。
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