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最終章
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しおりを挟むガチャガチャと性急にドアのカギを乱暴に開けた枢は、陽の細い手首を掴んで寝室へと連れて行く。電気もつけずに真っ暗な寝室のベッドに陽を押し倒すと、彼の手が枢のスラックスに這った。
「……真夜くんとは、Domとして会ってきた?Subとして会ってきた?」
「だから、そんなんじゃないですって…久しぶりだねって話しただけですよ」
「ふうん……おれを置いて?」
「嫉妬ですか?可愛い。遅くなってごめんなさい」
「ん……なにしてるのかなって、しんぱいした…重い?」
「全然。もっと束縛してください」
慰めるようにキスをしていると、陽の手はするりとベルトを奪い去っていく。帰りが遅かっただけでは怒らないと思うけれど、真夜と会っていたことに腹を立てているのだろう。だから今日は彼の好きにさせようと思っていると、熱い手がポロシャツの中に入り込んできた。
「……どうしたい?Switchする?」
「ううん……今日はSubでいたい気分…」
「じゃあ……〈Kneel〉」
陽は既にとろんとした顔のまま、ベッドから下りて床にぺたんと座り込む。上から眺めると、大きめのサイズのTシャツからは陽の鎖骨はおろか胸まで見えてしまいそうで、ドッと熱が高まった。その熱を一気に解放せず抑え込み、枢はベッドの端に腰掛ける。次のコマンドを待っている期待に満ちた顔の陽の細い顎を持ち上げた。
「〈Lick〉、ヒナ。〈Attract〉……手は使わないで、口だけで」
陽は本当に今まで経験がなかったのか?と思うくらい、従順だし何でもしてくれる。手を使わずに口だけで奉仕して、という無茶な要求にも彼はぺろりと唇を舐めて蕩けた顔を見せるのだから、こちらのほうが狂わされてしまう。
「ん、ふ…におい、濃い……」
「あなたと違ってまだシャワー浴びてないから……」
「好き、枢……おれに興奮してくれてる…」
言われた通り、口を使ってスラックスのジッパーを下げた陽は、形のいい鼻を下着に押し付ける。これに関しては本当に恥ずかしいのだが、陽はよくそこの匂いを嗅いではうっとりするのだ。何がそんなにいいのか全く分からない、と言いたいところだが、枢も陽に奉仕するときは同じことをするので人のことは言えない。ただ、彼がそんなところまで愛してくれることに、愛おしさがいつも増すのだ。
「ん、ヒナ……」
下着の上からぱくりと咥えて舐められると、ざらりとした感触に刺激される。下着は陽の唾液か自分の先走りか色が変わるほど濡れていて、陽の形のいい歯が下着の縁を噛んで引き下ろされると自分でも引くほど血管が浮き出たソレが現れ、陽がごくりと唾を飲み込むのが分かった。
「……できる?」
「うん……」
「いいこだね。〈Kiss〉」
「んぅ、うん…キスする、枢……」
とろとろに蕩けている瞳の中にハートが宿っているのが分かる。陽は口いっぱいに一生懸命枢のものを咥えて、舐めて、ぽたりと零れた唾液でカーペットを濡らす彼の頭を労わるようにゆっくり撫でた。
最初は陽の膝を掴んでいた彼の両手を解き、枢は自分の手を絡める。何度も頭を上下に動かしながら奉仕してくれる陽の姿を見るだけで、枢は絶頂が間近に迫っていることに気が付いていた。
でも、まだ果てたくない。
このまま柔らかい陽の口内に迎え入れられたまま、羞恥心と欲が織り交ざって完全に堕ちてしまった陽のことを見つめていたい。
「………っでる、でそう、ヒナ…くち、もう離して……ッ」
コマンドではなくただのお願いだったからか陽は口を離すことなく、枢の言葉を聞いて逆にじゅっと強く吸い付いてくる。彼の柔らかく開いた喉の奥に迎えられ、バカみたいにうっとりしてしまった。
「……ッ」
「んん……」
無理やり引き剥がすつもりもなかったのだが、陽の口内に果ててしまった。どくどくと脈打っている枢のソレを陽は丁寧に舐めとって、口内に吐き出したものをこくりと嚥下するのが分かる。しないでいいのにそうする陽はいつもカパッと口を開けて、綺麗に飲んでしまった証拠を見せてくれるのだ。
「上手にできた?」
「……飲まなくていいって言ってるのに…」
「うん。でもしたくなっちゃう」
「〈Good Boy〉ヒナ……すごく気持ちよかった。〈Come〉」
頬が赤くなっている陽を引き寄せ、そのままベッドに押し倒す。唇だけではなく顔中にキスの雨を降らせ、陽の着ている服をまくり上げた。
「〈Come〉、かなめ……」
今の陽にDomとしてのコマンドの効力はないけれど、彼にそう言われると自分の中が満たされる。お互いがお互いにとって唯一のDomでありSubであることを、誇りに思った。
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