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第11章
5 *
しおりを挟むそれから文字通り三日三晩、ノエルとレイシスは朝から晩まで愛し合った。
ヒートを起こした初夜からノエルの発情期は始まり、いくらレイシスから熱を注いでもらっても全く足りない。
それはオメガのフェロモンに煽られてラットが続いている状態のレイシスも同じなのか、一日中ノエルの体を貪っていても体力は尽きないのか何度も何度も求めてくれる。
頭の中も体もとろとろになって、ノエルは一日中レイシスのことしか考えられない日々を過ごしている。
入浴もレイシスが入れてくれるのだが、浴室でも事に及ぶ毎日。一度湯船に浸かりながらセックスをしてのぼせてからは、湯船ではなく浴室の冷たい床に押し付けられレイシスに抱えられながら、清めた体をまたぐちゃぐちゃにされた。
レイシスと体を繋げていない瞬間といえば、食事をしているときくらい。
ただそれも、長くは続かない。
「ノエル…まだ食べたいですか……?」
「んん、もう少し待ってください、レイシス様……レイシス様みたいに強靭な体力はないんですよ、おれ……」
「それは分かっているんですが……分かった、じゃあ食べてていいですから、ね?」
「だめだめ、あ……っ」
レイシスの膝の上に背を向けて座るように抱えられ、ぬぷっと圧倒的な質量の性器が体内に侵入してくる。
一日中、毎日繋がっているからか何の抵抗もなくレイシスのソレを受け入れるノエルの体は、挿入されただけで達してしまいそうなほどの快感を教えこまれてしまった。
「やぁ、です、れいしすさまぁ……」
「んん、かわいい……ノエルの中は嫌がってないですよ…?」
「いやらもん、もうしないでぇ……」
「そう言って、誘っているのはそっちですよ。ずうっと濃いフェロモン出して……それで誘ってないなんて言い訳にもなりません、って」
「あぁんっ!」
下から突き上げられ、思わず大きな喘ぎ声を出してしまった。今は朝で、屋敷中が忙しない時間帯。もしもこの部屋の前を誰か通りかかったら――
「……ん、中がきゅんって締まりましたよ?何か想像しました?」
「ちが、ちがうぅ……」
「もしかしてノエルの大きな喘ぎ声で、ルナやセシリアが来るかもって想像した?」
「んゃ……っ!」
レイシスはだんだん行為中は意地悪になってきて、ノエルが弱い彼の低い声を使って耳元で攻めてくる回数が多くなった。
片手に持ったサンドイッチを震える手で皿に置くとレイシスは満足そうに小さく笑う。腰を思いっきり掴まれたかと思うと、ノエルの顔は枕に押し付ける体勢に変わっていた。
「や、あ、ぁ……!」
「ノエル、ノエル……」
レイシスの膝の上に乗っていた体勢から変わり、腰を高く上げさせられバックで思いっきり腰を打ちつけられる。
ひと突きされるたびに食べたものが口から出てきそうになるような激しいピストンに、ノエルはもう「あ」とか「う」とか、言葉にならない声しか出てこなかった。
「……っ!」
レイシスがノエルと肌を重ねる行為に夢中になっていると、彼はチョーカー越しにがぶがぶとうなじを噛んでくる。
チョーカーは革製なので食いちぎられることはないだろうけれど、いつか絶対に行為中に外されてしまう。
「(……いや、チョーカーを外されて困ること、もうなくない……?)」
ふと冷静に、そんなことを考えた。
チョーカーを外してうなじを噛まれて困ることはもうないのだと、ようやく気がついたのだ。
なんせもうノエルとレイシスは結婚前の婚約者ではなく、結婚をして夫夫になった。
前の人生では結婚式後の初夜のときにうなじを噛んで番契約をしたけれど、今回はまだ噛まれていない。
レイシスが番契約についてどう思っているのか分からないが、ノエルは彼にうなじを噛まれることを望んでいた。
「レイシス様……」
「っふ、……どうしました?」
「うなじ……」
「え?」
「チョーカー外して、うなじ噛んで、ください……」
「!」
今までガツガツと腰を打ちつけていたレイシスの動きが止まり、チラリと後ろを振り向くとレイシスはほろほろと涙を零していた。
「えっ、れ、レイシス様!?」
「す、すみませ……泣くつもりじゃ、なかったんですけど……っ」
「大丈夫です、レイシス様……俺もう、ずっと、レイシス様と一緒に歩んでいきます。だから……後悔なんて、しませんから」
そう言うとレイシスは泣きながらノエルを抱きしめた。
彼の涙で肌が濡れていく感覚がくすぐったいのに、ノエルからうなじを噛むことを許可されて感極まって泣いてしまうレイシスが愛おしくて、ノエルの瞳にも思わず涙が滲んだ。
「サイドテーブルの…潤滑剤の瓶の横にある袋の中に、チョーカーを外す鍵が入ってます」
「……本当にいいんですか?」
「ダメだったら、そもそも体を許してませんよ」
「そう、ですか……」
「レイシス様は嫌ですか?」
「嫌なんかじゃありません。あなたの番になることが、僕の夢でしたから」
すぐに外されてうなじを噛まれないようにするため、ノエルやイヴァンがつけているチョーカーは外されないように鍵がかけられている。
だからそのチョーカーを外せる人は、この世でただ一人。
番になる、アルファだけなのだ。
「レイシス様、俺の番になってください」
ノエルの言葉にレイシスはサイドテーブルから袋を開けて小さな鍵を取り出し、物心ついたときからつけていた、レイシスと婚約をしてからは彼が贈ってくれた銀色のチョーカーを外された。
「は……」
ずっとつけていたのが当たり前だったからか、チョーカーがなくなると首元がひんやりとする。
何も守るものがない状態でいると不安になるのはオメガの本能だろう。
アルファやベータはチョーカーがない生活が当たり前で、これからはノエルもその仲間入りをする。
『レイシス・ブラウンの番』だという印を、色んな人に見られて生きていくのだ。
「レイシス様のオメガだっていう印、みんなに見てもらいたいです」
このアルファは自分のものだ。
世界中探したってそう言えるのはノエルだけである。
「……ノエル・ブラウン。僕の運命として生まれてきてくれて、ありがとうございます」
「あ、ぁー……っ!」
がぶり、うなじに歯を立てられる。
その瞬間、初めてレイシスと体を繋げた時よりもすごい快感に襲われて、ノエルは目の前に火花が散ったような衝撃を覚えた。
そしてじわじわとうなじから『何か』が流れ込んでくる感覚がある。
それはまさにレイシスが体内に入り込んできたときと同じような感覚で、体の内側も外側もレイシスに侵されていくような気がした。
うなじを噛まれたオメガは、相手のアルファのための体に変化するのだと聞いたことがある。
番のアルファにしか効かないフェロモン、番のアルファの子供を妊娠するために作り変わる体。
ノエルはこれで正真正銘、レイシスの『オメガ』になったのだ。
「一生愛してます、ノエル……僕は死ぬまで、あなたを愛します」
ぽたり、レイシスの涙が背中に落ちて、甘い熱がノエルの体中を支配した。
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