【本編完結】死んだあとに運命だと言われても、

社菘

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第11章

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うなじを噛まれたあと、再び夜まで肌を重ねていたノエルとレイシス。

疲れて気を失うように眠ったノエルが次に目を覚ましたのは、真夜中のことだった。

「んん……」

下半身には相変わらず力が入らないし、噛まれたうなじはズキズキと鈍い痛みが走っている。

起きると何も着ていない状態だったが、体はレイシスが綺麗にしてくれたのかさっぱりしていた。

「ノエル?すみません、起こしました?」
「あ、いえ……そんなことはないですよ」

起き上がるとベッドにはレイシスがいなくて、彼は窓際に置いた椅子に座って夜空を眺めながら水を飲んでいた。

ノエルが起きたことに気がつくとベッドに戻ってきて、髪の毛を梳きながらレイシスが額に口付けてくれる。

この期間中ずっと熱を持っていたレイシスの手から熱が引いているのが分かった。そしてノエルも今までずっと抱えていた熱がいつの間にか引いていて、アルファを欲する気持ちも落ち着いていた。

「……ヒート、終わったみたい、です」
「こっちも、ラットがおさまったみたいです。番になったからですかね」
「そうなんですかね……体も頭もすっきりしてます」
「僕もです。体が痛いとか、変な感じとか、大丈夫ですか?」
「体は……レイシス様がまだ、中にいるような感覚がします」
「なっ、あ、そ、そうですか……」
「ふふっ」

行為中は意地悪で主導権を握っているレイシスだが、熱が引いた途端タジタジになってしまうのだから、ギャップが可愛いなとノエルは微笑んだ。

レイシスは少し拗ねたように唇を尖らせてノエルをぎゅっと抱きしめるものだから、そんなところもまた可愛いなと苦笑した。

「ノエル、あの……」
「なんですか?」
「うなじの痕、見せてほしいです」
「え?」
「僕のものだっていう印を、僕も見たいです」

するり、うなじを指先で撫でられてびくんっと体を震わせた。

改めて見せてほしいと言われると何だかすごく恥ずかしい。

でも彼につけてもらった痕なのでレイシスに見てもらいたいと思い、ノエルは顔や首を赤く染めて後ろを向いた。

「ど、どうぞ……いつでも見てください」
「ありがとうございます」

まだジンジンしているうなじにレイシスがそっと触れる。

ノエルは自分で見えない痕だけれど、きっと赤く腫れているだろう。

どんな噛み痕なのか気になったがレイシスが嬉しそうに笑う様子が分かり、ノエルも嬉しくなった。

「……綺麗です」
「そう、ですか?」
「はい。僕がつけたんだなって……僕があなたの番になったんだなって、感動します」
「ふふ。そう言ってもらえると、俺も嬉しいです」

噛み痕の上に口付けられると、噛まれたときと同じように甘い熱が全身に広がる感じがした。

きっとこれから先ずっと、この感覚は続いていくのだろう。

そのたびにノエルはレイシスの『番』だと自覚して、嬉しく、誇らしい気持ちになるに違いない。

「レイシス様に、聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと?」
「はい。初夜の時に言っていた……子供のこと」
「あ……」

結婚式を終え、初めて二人で迎えた夜のこと。

ノエルはレイシスを体内に受け入れ、彼の熱を最奥に注いでもらったときの話だ。

もしかしたらただのうわ言だったかもしれないけれど、レイシスの口から『僕の子供を孕んでほしい』と言われたことがどうしても頭から離れない。

その言葉にノエルがなんという返事をしたかも覚えている。

でも今までレイシスは『ノエルに負担がかかるから子供はほしくない』と思っていたのを、彼の記憶を転送魔法で見せてもらったときに知った。

ノエルの体を案じてそう思ってくれていたのだが、その気持ちすら変わったらしい。

その変化すら、ノエルにとっては嬉しかった。

「……こればかりは、僕の気持ちだけは決められません。負担がかかるのはノエルの体なので、あなたの気持ちを優先します」
「俺の負担を考えるのは一旦置いておいて、レイシス様の本当の気持ちを知りたいです。それが夫夫ってものでしょう?」

今のノエルとレイシスは前とは違う。

言いたいことはちゃんと言えるし、今の自分たちであれば未来に関しての話し合いは喧嘩にならず冷静にできる。だからこそレイシスには、本音を教えてほしいのだ。

「僕は……あなたとの子供がほしいです」
「はい」
「あなたに似た可愛らしい子を、あなたと一緒に育てたい。この屋敷に可愛い笑い声がたくさん響いてほしいし、幸せな"家族"を作りたい……そう願っています」

前は聞けなかったレイシスの本音。

彼の本音を聞いて嬉しいと思ったし、ノエルは自分のお腹にレイシスとの子供が宿ってほしいなと、素直にそう思えた。

「俺も、レイシス様との子供がほしいです」
「ノエル……」
「レイシス様に似てしっかり者の子がほしいです。でも笑うと可愛くって、ちょっと不器用で、でも誰かを一途に愛せるような子が」

後ろにいるレイシスの胸にもたれて、ノエルは彼の手を自分の下腹部に触らせた。

ノエルよりも大きい手がするりと腹部を撫でて、この期間に何度も何度も中に出されたソレが実ることを願っているようで、レイシスの優しい手がひどく心地よかった。

「今の王宮医師には何度も子供を取り上げているベテラン医師もいますし、医療体制も俺が入る前より整いました。だから今は、昔よりも出産に恐怖は抱いていません。きっと大丈夫ですよ」
「………でも、僕より先に命を落とすようなことがあれば、僕は迷いなくあなたの後を追います」
「もう、それはやめてください。レイシス様には俺よりも長生きしてほしいですし、俺の分まで生きてほしいですから」
「あなたが言うなら、善処します……」
「はい、そうしてください」

自分たちはきっと大丈夫。

このお腹に新しい命が宿ることを、二人は切に願った。


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