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それぞれの道
第1騎士団の朝
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第1騎士団の朝は陽が上がるあたりから始まる。
第1騎士団は王宮にあるから、カイル王太子の警護も入ることになる。
先にカイルの護衛に当たっているイアンがそのままゼスと共に行動し、その他のニゼス、クラジス、テイルは第1騎士団の者とある場所へ向かうことになった。
向かった先は、前にハルとゼスが対戦した場所だった。
そこには第一騎士団に配属が決まった新人達が集められていた。
「お!お前らも第一騎士団だったか?」
声をかけたのは、第一騎士団に配属が決まった新人でラズドル。
どうやらクラジスと顔見知りらしい。
「なんか配属先が無いみたいな話だったが、第一騎士団だったなんてうれしいな!」
ラズドルは知り合いが一緒の配属先で嬉しい様子だ。
それに対して、クラジスは笑っているが反応が薄い。
『・・・第一騎士団って訳じゃないけど、ハル様が言うんだから何かあるに違いない。』
第一騎士団に配属された新人達が集められて、何をするかと思ったら二人一組の選定と今後の動きについてだった。
説明するのは、第一騎士団所属ルーヴァ。
副団長よりは下で新人よりは上の中間人物だ。
「えー、これから二人一組を決めて仕事を割り振ります!よーく聞いていてくださいねー!」
後ろまで聞こえるように大きな声で話すルーヴァ。
「じゃあ、言っていくからペアになったものは二人一緒にいてねー!」
そう言うと、ルーヴァは順番に言っていく。
クラジスと組むのはラズドル。
ニゼスはテイルとなった。
二人一組の組み合わせを決め終わると、次に仕事内容について話し始める。
「第一騎士団は主に王宮の警護を行いまーす。その中にはカイル殿下の警護もあるので失礼の無いように!王宮と言ってもカイル殿下だけでなく、王さまも王妃もいらっしゃいます。貴族の方を警護するので、警護中はもちろん休憩時も気を引き閉めて仕事に当たるよーに!」
大事な事を言っているのになんだか引き締まらないのはルーヴァのしゃべり方のせいだろうか。
「・・・ハル様の方がちゃんとしてるように見える。」
テイルがボソッと言ったのをニゼスはしっかり聞いていた。
その言葉に納得がいったのかニゼスもうなずく。
前だけ見て、ルーヴァの説明を聞くラズドルは後ろで会話していたテイルとニゼスの内容が聞こえていなかったようで真剣に相づちを打つ。
続いて、今後のスケジュールを話し始めるルーヴァ。
「えっと~、まだ警護を始めるには早いので数日ここでの対戦を行った後にそれぞれに仕事を振り分けまーす。」
入団テストと同じ感じの対戦形式での訓練に入ることになった。
ラズドルとクラジス、テイルとニゼスはお互いに対面して向かい合うことになった。
対面したときにクラジスたち3人はあの時の事を思い出した。
ハルがゼスとの対戦した時、ハル以外の団員は『なんでハル様が護衛騎士をやっている人と交流があってこんなことをしているのか』と思っていた。
が、それは杞憂であったとすぐに思い知らされる。
ハルは格段に強かった。
入団テストでの行動は押さえられたものだったとあの時、他の団員が思い知ったのだ。
「ニゼス、お前あの時動きは見えていたか?」
他の団員に聞こえないようにテイルが話しかける。
最後の方のハルの動きは目で追えないほど早く確実に首をと取る勢いでゼスの首に剣を当てにいってた。
あの時から他の団員はハルに驚きと尊敬・・・ただの女の子ではないと悟ったのだ。
「・・・いや。全然見えなくて、俺はあんな風に剣を扱えるかと言われたら出来ないとしか言えん。」
「そうだよな。でも、あの人はすごい人だ。そんな人のそばで働けるなら本望だ。」
静かに頷くニゼス。
その間も話しているだけでなく、剣の打ち合いはしており、休んでしゃべっている訳ではない。
その会話を聞いてはいるが話しに入らずいたのはクラジスだった。
実はクラジスは耳と目が良いので遠くにいる人の会話は聞こえなくても見えるし、多少なら聞くことも出来た。
『あの時のハル様はすごかった。いつかは稽古をつけてほしい。今は我慢だ。』
今居る闘技場でそれぞれに打ち合いが行われている中、静かな闘志を抱きながら第3騎士所属の3人は任務中の第一騎士団で頑張ることを決意する。
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第1騎士団は王宮にあるから、カイル王太子の警護も入ることになる。
先にカイルの護衛に当たっているイアンがそのままゼスと共に行動し、その他のニゼス、クラジス、テイルは第1騎士団の者とある場所へ向かうことになった。
向かった先は、前にハルとゼスが対戦した場所だった。
そこには第一騎士団に配属が決まった新人達が集められていた。
「お!お前らも第一騎士団だったか?」
声をかけたのは、第一騎士団に配属が決まった新人でラズドル。
どうやらクラジスと顔見知りらしい。
「なんか配属先が無いみたいな話だったが、第一騎士団だったなんてうれしいな!」
ラズドルは知り合いが一緒の配属先で嬉しい様子だ。
それに対して、クラジスは笑っているが反応が薄い。
『・・・第一騎士団って訳じゃないけど、ハル様が言うんだから何かあるに違いない。』
第一騎士団に配属された新人達が集められて、何をするかと思ったら二人一組の選定と今後の動きについてだった。
説明するのは、第一騎士団所属ルーヴァ。
副団長よりは下で新人よりは上の中間人物だ。
「えー、これから二人一組を決めて仕事を割り振ります!よーく聞いていてくださいねー!」
後ろまで聞こえるように大きな声で話すルーヴァ。
「じゃあ、言っていくからペアになったものは二人一緒にいてねー!」
そう言うと、ルーヴァは順番に言っていく。
クラジスと組むのはラズドル。
ニゼスはテイルとなった。
二人一組の組み合わせを決め終わると、次に仕事内容について話し始める。
「第一騎士団は主に王宮の警護を行いまーす。その中にはカイル殿下の警護もあるので失礼の無いように!王宮と言ってもカイル殿下だけでなく、王さまも王妃もいらっしゃいます。貴族の方を警護するので、警護中はもちろん休憩時も気を引き閉めて仕事に当たるよーに!」
大事な事を言っているのになんだか引き締まらないのはルーヴァのしゃべり方のせいだろうか。
「・・・ハル様の方がちゃんとしてるように見える。」
テイルがボソッと言ったのをニゼスはしっかり聞いていた。
その言葉に納得がいったのかニゼスもうなずく。
前だけ見て、ルーヴァの説明を聞くラズドルは後ろで会話していたテイルとニゼスの内容が聞こえていなかったようで真剣に相づちを打つ。
続いて、今後のスケジュールを話し始めるルーヴァ。
「えっと~、まだ警護を始めるには早いので数日ここでの対戦を行った後にそれぞれに仕事を振り分けまーす。」
入団テストと同じ感じの対戦形式での訓練に入ることになった。
ラズドルとクラジス、テイルとニゼスはお互いに対面して向かい合うことになった。
対面したときにクラジスたち3人はあの時の事を思い出した。
ハルがゼスとの対戦した時、ハル以外の団員は『なんでハル様が護衛騎士をやっている人と交流があってこんなことをしているのか』と思っていた。
が、それは杞憂であったとすぐに思い知らされる。
ハルは格段に強かった。
入団テストでの行動は押さえられたものだったとあの時、他の団員が思い知ったのだ。
「ニゼス、お前あの時動きは見えていたか?」
他の団員に聞こえないようにテイルが話しかける。
最後の方のハルの動きは目で追えないほど早く確実に首をと取る勢いでゼスの首に剣を当てにいってた。
あの時から他の団員はハルに驚きと尊敬・・・ただの女の子ではないと悟ったのだ。
「・・・いや。全然見えなくて、俺はあんな風に剣を扱えるかと言われたら出来ないとしか言えん。」
「そうだよな。でも、あの人はすごい人だ。そんな人のそばで働けるなら本望だ。」
静かに頷くニゼス。
その間も話しているだけでなく、剣の打ち合いはしており、休んでしゃべっている訳ではない。
その会話を聞いてはいるが話しに入らずいたのはクラジスだった。
実はクラジスは耳と目が良いので遠くにいる人の会話は聞こえなくても見えるし、多少なら聞くことも出来た。
『あの時のハル様はすごかった。いつかは稽古をつけてほしい。今は我慢だ。』
今居る闘技場でそれぞれに打ち合いが行われている中、静かな闘志を抱きながら第3騎士所属の3人は任務中の第一騎士団で頑張ることを決意する。
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