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第54話 あの子とこの娘とそして君もなの? ACT 20
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「部屋にきて」
何びくついてんだ。
たかが部屋に行くくらいで。でも……。そこは女子の部屋で、杉村の部屋であり。……杉村の部屋なんだ。
今まで女の子の部屋なんて入ったことなんてない。
入る機会がなかったというか、その接点がなかったというべきだろうか。
実際、今恵美と同じ家で暮らしているけれど、恵美の部屋に入るなんてもってのほかだ!
近寄るだけで、何を言われるかわかったもんじゃない。
恵美とは同じ屋根の下暮らしているだけで、全くの無関係状態。
それはさ、確かに恵美のことは真剣に想っている。あの時の想い。告白した時のその前からのこの気持ちは間違いなく恋そのものだったと自分でも否定はしない。
でも、今の僕たちの関係はそう言う感情なんてみじんもない……と言ったら嘘だよな。
まだ引っかかっているのは確かだよ。
完全に僕は恵美の事を諦めたのかと言えば、それは違うような気がしている。それでも、前とは違う感情が恵美に対して芽生え、その想いをかげながら、表になんか出さなくたっていい。出しちゃいけないんだという。―――――だからあこがれだけ。
片想い。それだけでいい。『あの事』を聞いてから僕はそう誓ったはずなんだ。
「あのぉ―、笹崎君。ほんとどうしたの?」
「はいっ!」
「勉強するなら、教科書とかいろいろ必要でしょ。私の部屋でやった方が便利かなって思って言ったんだけど。――――もしかしてエッチなこと考えてる?」
ジトっとした目で見つめる杉村。
「いえ、そんなこと一切ありません! ほんとに勉強のことしか頭にありません」て、言うのは建前で、本音は確かに期待感はあるようで……。
「うふふふ、なんだか変なの。でもいいや、行こ」
誘われるまま、杉村の部屋に行くと……これが女の子の部屋。
ま、想像していたのとはだいぶかけ離れているけど。でも部屋の中はなんだか甘い香りが漂っている。
もっとなんだろうぴらぴらした感じっていうのか、ほら、雑誌なんかで映っている写真の部屋みたいに、いやいやそこまではいかなくてもさ、もっといろんなぬいぐるみとかなんかがたくさんあってさ。
ていうそんな妄想じみた部屋とは違っていたのは言うまでもない。
ただ、目を引いたのは本棚にたくさんの書物がぎっしりと並べられていたことだ。しかも、本棚に入りきらない本が沢山積まれていた。いわゆる積本と言われるものか。
「あんまりじろじろ見ないでよ。でもがっかりした?」
「な、なにが?」
「もっといろんなものがあると思っていたんでしょ」
「いやそ、そんなことないよ。でも本たくさんあるね」
「うん、本だけはね。好きだから」
やっぱりこれが杉村の素の姿なんだろう。この部屋には彼女のすべてが詰まっている。そんな感じさえ受けた。
「ところで笹崎君」
「はい!」
「本当に、エッチなこと想像していなかった?」
即座に「してないしてない。まじめに勉強のことしか考えていない」
「そっか」と透かしたような返事が杉村から返ってきた。
な、なに? 僕はどう返事をすればよかったんだよ。
―――――――いったい!!
何びくついてんだ。
たかが部屋に行くくらいで。でも……。そこは女子の部屋で、杉村の部屋であり。……杉村の部屋なんだ。
今まで女の子の部屋なんて入ったことなんてない。
入る機会がなかったというか、その接点がなかったというべきだろうか。
実際、今恵美と同じ家で暮らしているけれど、恵美の部屋に入るなんてもってのほかだ!
近寄るだけで、何を言われるかわかったもんじゃない。
恵美とは同じ屋根の下暮らしているだけで、全くの無関係状態。
それはさ、確かに恵美のことは真剣に想っている。あの時の想い。告白した時のその前からのこの気持ちは間違いなく恋そのものだったと自分でも否定はしない。
でも、今の僕たちの関係はそう言う感情なんてみじんもない……と言ったら嘘だよな。
まだ引っかかっているのは確かだよ。
完全に僕は恵美の事を諦めたのかと言えば、それは違うような気がしている。それでも、前とは違う感情が恵美に対して芽生え、その想いをかげながら、表になんか出さなくたっていい。出しちゃいけないんだという。―――――だからあこがれだけ。
片想い。それだけでいい。『あの事』を聞いてから僕はそう誓ったはずなんだ。
「あのぉ―、笹崎君。ほんとどうしたの?」
「はいっ!」
「勉強するなら、教科書とかいろいろ必要でしょ。私の部屋でやった方が便利かなって思って言ったんだけど。――――もしかしてエッチなこと考えてる?」
ジトっとした目で見つめる杉村。
「いえ、そんなこと一切ありません! ほんとに勉強のことしか頭にありません」て、言うのは建前で、本音は確かに期待感はあるようで……。
「うふふふ、なんだか変なの。でもいいや、行こ」
誘われるまま、杉村の部屋に行くと……これが女の子の部屋。
ま、想像していたのとはだいぶかけ離れているけど。でも部屋の中はなんだか甘い香りが漂っている。
もっとなんだろうぴらぴらした感じっていうのか、ほら、雑誌なんかで映っている写真の部屋みたいに、いやいやそこまではいかなくてもさ、もっといろんなぬいぐるみとかなんかがたくさんあってさ。
ていうそんな妄想じみた部屋とは違っていたのは言うまでもない。
ただ、目を引いたのは本棚にたくさんの書物がぎっしりと並べられていたことだ。しかも、本棚に入りきらない本が沢山積まれていた。いわゆる積本と言われるものか。
「あんまりじろじろ見ないでよ。でもがっかりした?」
「な、なにが?」
「もっといろんなものがあると思っていたんでしょ」
「いやそ、そんなことないよ。でも本たくさんあるね」
「うん、本だけはね。好きだから」
やっぱりこれが杉村の素の姿なんだろう。この部屋には彼女のすべてが詰まっている。そんな感じさえ受けた。
「ところで笹崎君」
「はい!」
「本当に、エッチなこと想像していなかった?」
即座に「してないしてない。まじめに勉強のことしか考えていない」
「そっか」と透かしたような返事が杉村から返ってきた。
な、なに? 僕はどう返事をすればよかったんだよ。
―――――――いったい!!
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