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第12話 ご指導いただきます。 その2
しおりを挟むそっと唇を放し「ねぇ何が食べたい?」と真梨香さんが耳元で言う。
俺はは迷わず「真梨香さん」と答えた。
「うふふ、正直な子。でも甘いデザートは食後にしましょ」
その一言で期待感はより一層高鳴った。
「それじゃぁ、オムライス」
「オムライス?」
「うん、俺好きなんだ」
「ふぅーん、そこは佐奈と同じだね。あの子もオムライス好きなんだよね。本当の兄妹みたいだね」
ニコッと笑う顔は母親の顔になっていた。
「それじゃ、作ってあげるよ。オムライス。美味しくて失神したって知らないんだから」
「望むところです」
そう言うと真梨香さんは裸のまま、キッチンのハンガーにかけていたエプロンをつけた。
そして俺の方にくるりと体を回し「どうぉ? 似合う?」と問いかける。
「うんとってもエロいですよ」
「エヘッ。ありがとう」そう言って微笑みながら、キッチンに向かった。
そこに佐奈がやってきた。オレンジ色のダウンジャケットに多分その下はワンピースだろう。スカートの裾から出た足は黒のタイツを履いていた。
「あ、佐奈。これからオムライス作るけど、佐奈もどうぉ?」
真梨香さんのその姿を見て佐奈は表情を変えることなく「今日はいいよ。多分食事もするだろうから」
「そうなの」と一言真梨香さんは返す。
「うん、それと、もしかしたら今晩泊まりになるかもしれない」
泊まり? ということは今夜は帰ってこないということか?
その佐奈の言うことに真梨香さんは「そっかぁ―」とだけしか答えなかった。
でも、泊りって。中学生の子が外泊するのに、その外泊先を聞こうともしない。
少し心配そうに佐奈の顔を見つめると、すっと佐奈が近づいてきて覗き込むように顔を近づけた。
うっすらとだけど化粧をしているのがわかる。
なんか雰囲気が違う。少し大人びたような。見た目はまるでJKのようだ。
俺の同級生にもこんな雰囲気の子がいる。
ま、俺には縁のない子なんだが、ものすごくきれいな子だ。なんとなくその子に似ている気がした。
「お兄ちゃん心配?」
「うん、泊まるってさ」その次の言葉がうまく出てこない。
佐奈はそっと俺にキスをした。やわらかい唇の感触と、リップの味がした。
そして耳元で「大丈夫だよ。言ったじゃない。私もうお兄ちゃん以外の人とセックスはしないって。それに今日はそう言うのじゃないから安心して」
「そう言うのじゃないって友達のところか?」
「うん、そう言うことにしておいて。でね……ママの事お願いね。めいいっぱい可愛がってあげてね……ママの彼氏さん」
真梨香さんの娘の佐奈にそんなことを言われると照れてしまう。
真梨香さんの娘。そして佐奈は今日、俺の妹になった。
真梨香さんとの関係はかなり複雑だけど、彼氏彼女と言うことであれば、それですべてが押し殺せるような気がしている。
そして佐奈はまた耳元で
「ママの事本当に愛してもいいよ。お兄ちゃん」
その一言がズキ―――――んと胸に刺さった。
「それじゃ」と一言言って、佐奈は家を出た。
娘、いや、妹公認の仲。本当にママの事愛してもいいよって。それって、でもあまりにも急展開すぎている。この現状に戸惑いがないといえばそれは嘘になる。
しかし、俺の気持ちはもう進み始めていた。
多分止めることが出来るとするならば、その相手である真梨香さんだけだろう。
ドキドキとした鼓動が止まらない。
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