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魔術、習得したい!
世界の仕組み
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────どこだろう。それは巨大な木が聳え立つ場所。あたりには花が咲き、空は青く澄んでいる。
楽園、その言葉がよく似合う場所だった。俺が目を開き、初めて見た世界とは真逆の場所。そうだ、人の声が聞こえない。叫び声が聞こえない代わりに誰もいない。
……この地は、誰のために作られたのだろう。何のための楽園なのだろう。待て、その前に俺はどうしてここに?
「……予定とは違うが、存在はここに確立された。君が生まれた意味を知りたいのならば、ここ目指すといい────エリア・サンサーラを」
声が聞こえる。黒い影のような姿が見える。しかし、手を伸ばしても届かない。声を出したくても、出すことができない。まるで俺の存在がないみたいだ。
そうだ、この楽園には最初から誰もいない。もがいたところで今の俺ではをどうしようもない。
……また、俺は何もできないんだ。そこにいる人は絶対に大事な人なのに。
「落ち込むことはない。今は生きることに専念したらいい。その存在価値が上がった時、またこうやって話すとしよう。いつかは届き超える。その日まで積み重ねるんだ」
積み重ねる……? 何を、どうすればいい。存在価値ってなんだ! 答えてくれ、誰か!
────まだその存在に届かない。そういって遮断するかのように、木の根が視界を塞いでいく。深い闇に落ち、俺は楽園からどんどん遠ざかって行くのがわかる。
少し冷静になれば、手を伸ばしても届かないのはわかる。今はまだ、たどり着けないのもわかる。俺じゃ未熟なんだ、俺として。
「……あぁ、わかったよ。なら、諦めない。いつか必ず、エリア・サンサーラへたどり着く……見えないあんたとも、会話してみせる」
待ってろ、俺は……楽園 に存在を突き立てる!
「……そろそろ帰ってきたらどうだ。起きろ」
ん……? 声が聞こえて……
「うおぁっ! だっ……誰!?」
目を開けると、そこにいたのは片目を髪の毛で隠した青年だ。これと言った表情はしていないが、目から機嫌が悪そうに見える。次に見たのはその周り。布を張ったテントの中の、簡単なベッドの上にいるようだ。本当に簡単なものしかなくて、怪しいものは全くない。
……冷静に考えれば、悪い人ではない。うん、落ち着こうか。
「うん、まぁ落ち着こう。考えればわかる……はず?」
「知らんやつを考えても、わかるかアホ!」
知らない人から刺さるツッコミを受けた。はい、その通りです。俺はどうもこの状況が怖くないらしい。最初の命の危機比べたら、知らない人が目の前にいるのなんて、大したことはない。
「全く……お前はどこを見て安心したんだか」
「そりゃ、あんたが悪い人じゃないと思うからだ。俺をあの地獄から助けてくれた、そうでしょ?」
青年はため息をつきながら「ここまですれば気づくか」と残念そうに口にする。いや、勘です。だがこれで確証が持てた。
────この人が、あの輝く目の持ち主。地獄の中の唯一の祝福。
右目の奥が、熱くなる。じんわりと体が温まる。胸が締め付けられる気がした。この人がいなければ、俺はここにいないんだ。
「────ありがとう、助けてくれて。今生きているのは、あんたのおかげだ」
何だか恥ずかしくて、顔を逸らす。目だけで青年を見るが、青年は相変わらず無表情に近い。言って損した気分になるが、これは言うべきことだ。
すると、青年はどこからともなく、無色透明の石を取り出した。軽く手に握り、口を開く。
「礼はいい。それよりお前はどこまで自分を知っている?いや、どこまで記憶があるかと言った方がいいか」
「なんで、それを……」
「俺はお前を知っている、少しだけな。だがお前は、俺を知っているのか?」
「……知らない。俺がなんなのか、あんたが誰なのかわからない。言葉もわかるし、ある程度知識もあるけど……わからないな」
知識、青年が反応したのはその言葉だった。なるほどな、ポツリとつぶやき、青年は俺を見つめる。その目には、熱が込められていた。表情はこんなにも冷たいのに、その温度差がしっかり目から伝わってくる。不思議な感覚に、思わず身震いしてしまう。
……この人は何者だ?
「だいたいわかった。あとはお前がこれに、どれだけ反応するかだ」
そういって問答無用で、青年は俺の額に、無色透明の石を押し付ける。びっくりしすぎて声すら上げられないまま、額が熱を帯びていくのがわかる。
少しだけ上を見た。すると、そこでは無色透明の石が、七色に光り輝いていた。その光は次第に体を包み、さらにテントの中を照らしていく。綺麗だ、ただの石じゃない。でもこの石は何なんだ?
「ふーむ……この反応は……」
初めて、青年の表情が確かに動く。何か困ったことでもあったかのような、不機嫌な顔だ。
「ど、どうしたんだ?」
「いや……ずいぶんと面倒なことになった。そう思っただけだ」
「何とか言ってくれ、俺のことだろ?」
すると、青年は頭を抱えた。大きくため息をつき、そして無色透明に戻った石を見せる。
「いいか、お前の状況を簡単に言う。お前は記憶はないが人間として生きる上での常識は持っている。だが、それ以外はすべて失っている状況だ」
「それは……何か困るのか?」
「困るとも。お前はこの通り世界の仕組みを知らない」
その時、心に何か刺さるような感覚がした。初めて目の覚めたあの日、巨大な機械が俺を捉えようとした。あれがこの世界の仕組み。命を狙うものなのは間違いない。
「ざっくりとした説明だ。約100年前、地球に小惑星が接近。破壊はしたが、その破片によって地球の資源は破壊された」
「資源が、破壊?」
「そうだ、それにより人間は、科学に頼った生活ができなくなり、わずかな資源をめぐって争いを始めた。そこで現れたのが、魔術師たちだ」
「魔術師?」
何もわからない俺だが、青年は淡々と説明を続ける。俺の知らなさに呆れるような様子もない。魔術師……その説明に青年は少し、言葉を詰まらせる。そして、青年は自らを指さして言う。
「俺のようなやつだ」
そうか、この人は魔術師なのか。あの輝く目も、無表情も、魔術師だから……なのか?
「今まで表舞台から退いていた魔術師が、ここぞとばかりに科学と戦争を始めた。世界を支配できるとでも思ったんだろう。支配をめぐった戦争で、地球人口の3分の2が死滅した。まさに人類最悪の世界大戦……それが「S・S大戦」だ」
「3分の2……じゃあ、この地球上に、人間はほとんどいないのか!?」
「あぁ、さらに権力者は軒並み火星へ行ったよ。科学の力を結集させてね。いわば、政治力のない人間がこの地球に残った。おかげでこの世界は荒廃しているさ」
その時、風が吹く。テントが揺れ、布の隙間から外が見える。その先にあったのは、乾ききった大地と、朽ち果てた木。とても人が住めるような土地ではなかった。
「それで、その大戦のあとが今────」
「────いや、そこからもう100年経った。その後もいろいろあったさ。結果、科学と魔術の争いに、決着はつかなかったんだ。地球に残った僅かな人間をかき集め、科学と魔術はそれぞれの国を作った。しかしそのとき、どちらにも付けなかった人間がいてな」
「どちらにも付けなかった? だって、そこまで人間は、科学を使ってたんだろ。魔術が使えないなら、科学に行くんじゃないのか?」
「……科学は過去の人間では追いつけないほど、進みすぎたんだ。もう誰もが使えるものじゃない。そこで、どちらでもないただの人間は「無個性」と呼ばれるようになった」
無個性、あまり好きじゃない響きだ。その人たちだって個性はあるはずなのに、まるでその人の存在を全否定しているようだ。
────ただ、今の俺にそれはお似合いだ。自分が何もわからない、個性すらはっきりとしていない俺が言えたことじゃない。
「お察しの通り、お前は無個性に当たる。本来この石は、それぞれの持つ色によって輝きを変える。科学を使うなら寒色系に、魔術を使うなら暖色系に変わるはずだ。無個性ならどれにも当たらず、七色に光る」
「やっぱり無個性は……科学に捕まえられるのか。俺は、これから生きていくためにどうすれば……」
「少し違うな。科学は魔術にしか敵対しない。お前は少し特殊だったんだろう」
そして青年は、またどこからともなく、手袋を取り出す。黒く薄い手袋を、何も言わず俺の手にはめる。青年の手は顔に似合わず温かく、手袋も同時に温かかった。ようやく俺は、この部屋が少し寒かったことに気付く。手袋があったほうが……うん? 手以外も温まる?
「この世界で生きていく、俺からの選別だ。防寒を施した魔術防具、ここは寒いから役立つだろう」
「おぉ……全身温かい! これが魔術……!」
「あぁ、科学より身軽だ。複雑に見えて簡単、それが魔術の良さだ」
青年はテントの隅から、一枚の紙を持ってくる。それを撫でると、何も書かれていなかった紙に、地図が浮かび上がってきた。
「おぉぉ? これも魔術か!」
「あぁ、ここから少し行けば、無個性たちの集落がある。しっかりそこで人のために働き、この世界でたくましく生きていくといい」
「……え、あんたは来ないのか」
「俺はお前を助けたが、保護者じゃない。お前とはここでさよならだ」
急に、暗闇に一人にされた気分になった。この人は、ずっとついていない。当たり前だ、人間は自分で生きていく。依存して生きるものじゃないからこそ、どこかで一人にならなきゃいけない。
楽園、その言葉がよく似合う場所だった。俺が目を開き、初めて見た世界とは真逆の場所。そうだ、人の声が聞こえない。叫び声が聞こえない代わりに誰もいない。
……この地は、誰のために作られたのだろう。何のための楽園なのだろう。待て、その前に俺はどうしてここに?
「……予定とは違うが、存在はここに確立された。君が生まれた意味を知りたいのならば、ここ目指すといい────エリア・サンサーラを」
声が聞こえる。黒い影のような姿が見える。しかし、手を伸ばしても届かない。声を出したくても、出すことができない。まるで俺の存在がないみたいだ。
そうだ、この楽園には最初から誰もいない。もがいたところで今の俺ではをどうしようもない。
……また、俺は何もできないんだ。そこにいる人は絶対に大事な人なのに。
「落ち込むことはない。今は生きることに専念したらいい。その存在価値が上がった時、またこうやって話すとしよう。いつかは届き超える。その日まで積み重ねるんだ」
積み重ねる……? 何を、どうすればいい。存在価値ってなんだ! 答えてくれ、誰か!
────まだその存在に届かない。そういって遮断するかのように、木の根が視界を塞いでいく。深い闇に落ち、俺は楽園からどんどん遠ざかって行くのがわかる。
少し冷静になれば、手を伸ばしても届かないのはわかる。今はまだ、たどり着けないのもわかる。俺じゃ未熟なんだ、俺として。
「……あぁ、わかったよ。なら、諦めない。いつか必ず、エリア・サンサーラへたどり着く……見えないあんたとも、会話してみせる」
待ってろ、俺は……楽園 に存在を突き立てる!
「……そろそろ帰ってきたらどうだ。起きろ」
ん……? 声が聞こえて……
「うおぁっ! だっ……誰!?」
目を開けると、そこにいたのは片目を髪の毛で隠した青年だ。これと言った表情はしていないが、目から機嫌が悪そうに見える。次に見たのはその周り。布を張ったテントの中の、簡単なベッドの上にいるようだ。本当に簡単なものしかなくて、怪しいものは全くない。
……冷静に考えれば、悪い人ではない。うん、落ち着こうか。
「うん、まぁ落ち着こう。考えればわかる……はず?」
「知らんやつを考えても、わかるかアホ!」
知らない人から刺さるツッコミを受けた。はい、その通りです。俺はどうもこの状況が怖くないらしい。最初の命の危機比べたら、知らない人が目の前にいるのなんて、大したことはない。
「全く……お前はどこを見て安心したんだか」
「そりゃ、あんたが悪い人じゃないと思うからだ。俺をあの地獄から助けてくれた、そうでしょ?」
青年はため息をつきながら「ここまですれば気づくか」と残念そうに口にする。いや、勘です。だがこれで確証が持てた。
────この人が、あの輝く目の持ち主。地獄の中の唯一の祝福。
右目の奥が、熱くなる。じんわりと体が温まる。胸が締め付けられる気がした。この人がいなければ、俺はここにいないんだ。
「────ありがとう、助けてくれて。今生きているのは、あんたのおかげだ」
何だか恥ずかしくて、顔を逸らす。目だけで青年を見るが、青年は相変わらず無表情に近い。言って損した気分になるが、これは言うべきことだ。
すると、青年はどこからともなく、無色透明の石を取り出した。軽く手に握り、口を開く。
「礼はいい。それよりお前はどこまで自分を知っている?いや、どこまで記憶があるかと言った方がいいか」
「なんで、それを……」
「俺はお前を知っている、少しだけな。だがお前は、俺を知っているのか?」
「……知らない。俺がなんなのか、あんたが誰なのかわからない。言葉もわかるし、ある程度知識もあるけど……わからないな」
知識、青年が反応したのはその言葉だった。なるほどな、ポツリとつぶやき、青年は俺を見つめる。その目には、熱が込められていた。表情はこんなにも冷たいのに、その温度差がしっかり目から伝わってくる。不思議な感覚に、思わず身震いしてしまう。
……この人は何者だ?
「だいたいわかった。あとはお前がこれに、どれだけ反応するかだ」
そういって問答無用で、青年は俺の額に、無色透明の石を押し付ける。びっくりしすぎて声すら上げられないまま、額が熱を帯びていくのがわかる。
少しだけ上を見た。すると、そこでは無色透明の石が、七色に光り輝いていた。その光は次第に体を包み、さらにテントの中を照らしていく。綺麗だ、ただの石じゃない。でもこの石は何なんだ?
「ふーむ……この反応は……」
初めて、青年の表情が確かに動く。何か困ったことでもあったかのような、不機嫌な顔だ。
「ど、どうしたんだ?」
「いや……ずいぶんと面倒なことになった。そう思っただけだ」
「何とか言ってくれ、俺のことだろ?」
すると、青年は頭を抱えた。大きくため息をつき、そして無色透明に戻った石を見せる。
「いいか、お前の状況を簡単に言う。お前は記憶はないが人間として生きる上での常識は持っている。だが、それ以外はすべて失っている状況だ」
「それは……何か困るのか?」
「困るとも。お前はこの通り世界の仕組みを知らない」
その時、心に何か刺さるような感覚がした。初めて目の覚めたあの日、巨大な機械が俺を捉えようとした。あれがこの世界の仕組み。命を狙うものなのは間違いない。
「ざっくりとした説明だ。約100年前、地球に小惑星が接近。破壊はしたが、その破片によって地球の資源は破壊された」
「資源が、破壊?」
「そうだ、それにより人間は、科学に頼った生活ができなくなり、わずかな資源をめぐって争いを始めた。そこで現れたのが、魔術師たちだ」
「魔術師?」
何もわからない俺だが、青年は淡々と説明を続ける。俺の知らなさに呆れるような様子もない。魔術師……その説明に青年は少し、言葉を詰まらせる。そして、青年は自らを指さして言う。
「俺のようなやつだ」
そうか、この人は魔術師なのか。あの輝く目も、無表情も、魔術師だから……なのか?
「今まで表舞台から退いていた魔術師が、ここぞとばかりに科学と戦争を始めた。世界を支配できるとでも思ったんだろう。支配をめぐった戦争で、地球人口の3分の2が死滅した。まさに人類最悪の世界大戦……それが「S・S大戦」だ」
「3分の2……じゃあ、この地球上に、人間はほとんどいないのか!?」
「あぁ、さらに権力者は軒並み火星へ行ったよ。科学の力を結集させてね。いわば、政治力のない人間がこの地球に残った。おかげでこの世界は荒廃しているさ」
その時、風が吹く。テントが揺れ、布の隙間から外が見える。その先にあったのは、乾ききった大地と、朽ち果てた木。とても人が住めるような土地ではなかった。
「それで、その大戦のあとが今────」
「────いや、そこからもう100年経った。その後もいろいろあったさ。結果、科学と魔術の争いに、決着はつかなかったんだ。地球に残った僅かな人間をかき集め、科学と魔術はそれぞれの国を作った。しかしそのとき、どちらにも付けなかった人間がいてな」
「どちらにも付けなかった? だって、そこまで人間は、科学を使ってたんだろ。魔術が使えないなら、科学に行くんじゃないのか?」
「……科学は過去の人間では追いつけないほど、進みすぎたんだ。もう誰もが使えるものじゃない。そこで、どちらでもないただの人間は「無個性」と呼ばれるようになった」
無個性、あまり好きじゃない響きだ。その人たちだって個性はあるはずなのに、まるでその人の存在を全否定しているようだ。
────ただ、今の俺にそれはお似合いだ。自分が何もわからない、個性すらはっきりとしていない俺が言えたことじゃない。
「お察しの通り、お前は無個性に当たる。本来この石は、それぞれの持つ色によって輝きを変える。科学を使うなら寒色系に、魔術を使うなら暖色系に変わるはずだ。無個性ならどれにも当たらず、七色に光る」
「やっぱり無個性は……科学に捕まえられるのか。俺は、これから生きていくためにどうすれば……」
「少し違うな。科学は魔術にしか敵対しない。お前は少し特殊だったんだろう」
そして青年は、またどこからともなく、手袋を取り出す。黒く薄い手袋を、何も言わず俺の手にはめる。青年の手は顔に似合わず温かく、手袋も同時に温かかった。ようやく俺は、この部屋が少し寒かったことに気付く。手袋があったほうが……うん? 手以外も温まる?
「この世界で生きていく、俺からの選別だ。防寒を施した魔術防具、ここは寒いから役立つだろう」
「おぉ……全身温かい! これが魔術……!」
「あぁ、科学より身軽だ。複雑に見えて簡単、それが魔術の良さだ」
青年はテントの隅から、一枚の紙を持ってくる。それを撫でると、何も書かれていなかった紙に、地図が浮かび上がってきた。
「おぉぉ? これも魔術か!」
「あぁ、ここから少し行けば、無個性たちの集落がある。しっかりそこで人のために働き、この世界でたくましく生きていくといい」
「……え、あんたは来ないのか」
「俺はお前を助けたが、保護者じゃない。お前とはここでさよならだ」
急に、暗闇に一人にされた気分になった。この人は、ずっとついていない。当たり前だ、人間は自分で生きていく。依存して生きるものじゃないからこそ、どこかで一人にならなきゃいけない。
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