8 / 453
破壊と再生
進化
しおりを挟む
効果固定化を使った事で付与力を大量に消費してしまった。
しかしそれによって泉には複数の効果が固定され、長い時間を掛ければ充分に元が取れる。
颯太が泉の猛毒を吸収して、泉自体も除去を続けている。
颯太は更に大きく成長して、樹高は6メートル程に。幹も立派になっていた。
私も少しだけ背が伸びた。見た目は8歳位だろうか。颯太の方がずっと成長が早い。
ただのオイル溜まりだったものが、ようやく汚水程度になった頃、颯太に変化が現れた。
颯太がキラキラと光り輝き出したと思ったら小さな光が集まっていき、人の形を作り出した。
「お母さん!」
目の前に現れたのは白い服を着た5歳位の男の子。少し茶色掛かった髪にクリクリの茶色の瞳が私を見つめていた。
「颯太なの?」
「そうだよ!」
颯太は私の所に駆けて来てしっかりと抱きついてきた。私も抱きしめ返す。
突然颯太が人の姿になったのは何故だろうか?
優しく頭を撫でながら颯太を見ていると表示が現れた。
【颯太 世界樹の精霊】
颯太も精霊になったのね。良かったわ。
世界樹という種類の木なのね。この世界ではよくある木なのかしら?
泉の汚染がかなり無くなって、泥水位になった頃、颯太の提案で《成分複製》を使って、泉の周りの大地に水を撒き始めた。
少しでも周りの汚染が改善される事を期待して2人で水を撒き続けた。
同時に少しずつ泉を拡張していく。小さな水溜まりのままではこの先困る事もあるだろう。颯太はかなり大きくなったし、必要な水の量も増えているだろうから。
☆★☆★
時は流れて、私達は周りに撒いた水の効果を確信していた。
汚染状態と表示されていた大地が【状態:なし】になっていたからだ。
日差しが強く暑い日も、雪の降る寒い日も、絶えず水を撒き続けてきた成果だった。
私と颯太は抱き合って喜んだ。
「じゃあお母さん、次のステップに行こう。」
「次のステップ?」
「うん!《効果合成》で《気候操作》と《成分複製》を組み合わせて雨を降らせよう。そうすればもっと広い範囲に水が撒けるよ。」
「それはいいわね。早速やってみよう。」
実行してみたら、さっきまで青空だったのがあっという間に黒い雲に覆われて、ポツポツと雨が降り始める。
雨を見てみたら泉と同じ成分になっている。これで環境が改善されれば《植物生成》を付与してもう一度雨を降らせよう。上手くすれば緑が戻ってくる筈だ。
雨はかなり長い間降り続け、大地を削り大きな川を作っていく。
空や大地をじっと見て状態の確認をしてみたら汚染がかなり少なくなっていた。
これならもうすぐに《植物生成》が出来そうだ。
環境の改善を待つ間、余った付与力は泉の拡張に使う事にした。
泉は小さな公園の池位の大きさになり、水深はおよそ50センチ位で水は透き通り底が見える程になっていた。
今、私達は颯太の木の下で雨が止むのを待っている。
「植物は作れるけど、動物はどうすれば作れるだろう?」
「僕にも分からないよ。また突然変異を使ってみる?」
「そうね。暫く様子を見て、生き物が生まれないのなら突然変異に頼って見ましょうか。」
「うん!暫くは《植物生成》を使って様子見だね!」
「颯太も兄弟が欲しいでしょう?」
「僕はお母さんがいれば何もいらないよ!」
そう言って顔を埋めてくる。
私は颯太の頭を優しく撫でながら考える。
颯太の様に優しく賢い子が沢山いたら心強いし楽しいだろう。しかしここで焦ってはいけない。みんなが颯太の様に強く育つとは限らないのだから。しっかりと見極めて、より良い環境を用意した上で《植物生成》は使っていこう。
夢や希望を思い描きながら、2人で雨が止むのを待っていた。
しかしそれによって泉には複数の効果が固定され、長い時間を掛ければ充分に元が取れる。
颯太が泉の猛毒を吸収して、泉自体も除去を続けている。
颯太は更に大きく成長して、樹高は6メートル程に。幹も立派になっていた。
私も少しだけ背が伸びた。見た目は8歳位だろうか。颯太の方がずっと成長が早い。
ただのオイル溜まりだったものが、ようやく汚水程度になった頃、颯太に変化が現れた。
颯太がキラキラと光り輝き出したと思ったら小さな光が集まっていき、人の形を作り出した。
「お母さん!」
目の前に現れたのは白い服を着た5歳位の男の子。少し茶色掛かった髪にクリクリの茶色の瞳が私を見つめていた。
「颯太なの?」
「そうだよ!」
颯太は私の所に駆けて来てしっかりと抱きついてきた。私も抱きしめ返す。
突然颯太が人の姿になったのは何故だろうか?
優しく頭を撫でながら颯太を見ていると表示が現れた。
【颯太 世界樹の精霊】
颯太も精霊になったのね。良かったわ。
世界樹という種類の木なのね。この世界ではよくある木なのかしら?
泉の汚染がかなり無くなって、泥水位になった頃、颯太の提案で《成分複製》を使って、泉の周りの大地に水を撒き始めた。
少しでも周りの汚染が改善される事を期待して2人で水を撒き続けた。
同時に少しずつ泉を拡張していく。小さな水溜まりのままではこの先困る事もあるだろう。颯太はかなり大きくなったし、必要な水の量も増えているだろうから。
☆★☆★
時は流れて、私達は周りに撒いた水の効果を確信していた。
汚染状態と表示されていた大地が【状態:なし】になっていたからだ。
日差しが強く暑い日も、雪の降る寒い日も、絶えず水を撒き続けてきた成果だった。
私と颯太は抱き合って喜んだ。
「じゃあお母さん、次のステップに行こう。」
「次のステップ?」
「うん!《効果合成》で《気候操作》と《成分複製》を組み合わせて雨を降らせよう。そうすればもっと広い範囲に水が撒けるよ。」
「それはいいわね。早速やってみよう。」
実行してみたら、さっきまで青空だったのがあっという間に黒い雲に覆われて、ポツポツと雨が降り始める。
雨を見てみたら泉と同じ成分になっている。これで環境が改善されれば《植物生成》を付与してもう一度雨を降らせよう。上手くすれば緑が戻ってくる筈だ。
雨はかなり長い間降り続け、大地を削り大きな川を作っていく。
空や大地をじっと見て状態の確認をしてみたら汚染がかなり少なくなっていた。
これならもうすぐに《植物生成》が出来そうだ。
環境の改善を待つ間、余った付与力は泉の拡張に使う事にした。
泉は小さな公園の池位の大きさになり、水深はおよそ50センチ位で水は透き通り底が見える程になっていた。
今、私達は颯太の木の下で雨が止むのを待っている。
「植物は作れるけど、動物はどうすれば作れるだろう?」
「僕にも分からないよ。また突然変異を使ってみる?」
「そうね。暫く様子を見て、生き物が生まれないのなら突然変異に頼って見ましょうか。」
「うん!暫くは《植物生成》を使って様子見だね!」
「颯太も兄弟が欲しいでしょう?」
「僕はお母さんがいれば何もいらないよ!」
そう言って顔を埋めてくる。
私は颯太の頭を優しく撫でながら考える。
颯太の様に優しく賢い子が沢山いたら心強いし楽しいだろう。しかしここで焦ってはいけない。みんなが颯太の様に強く育つとは限らないのだから。しっかりと見極めて、より良い環境を用意した上で《植物生成》は使っていこう。
夢や希望を思い描きながら、2人で雨が止むのを待っていた。
7
あなたにおすすめの小説
【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
逢生ありす
ファンタジー
女性向け異世界ファンタジー(逆ハーレム)です。ヤンデレ、ツンデレ、溺愛、嫉妬etc……。乙女ゲームのような恋物語をテーマに偉大な"五大国の王"や"人型聖獣"、"謎の美青年"たちと織り成す極甘長編ストーリー。ラストに待ち受ける物語の真実と彼女が選ぶ道は――?
――すべての女性に捧げる乙女ゲームのような恋物語――
『狂気の王と永遠の愛(接吻)を』
五大国から成る異世界の王と
たった一人の少女の織り成す恋愛ファンタジー
――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
この物語は悠久の王・キュリオの前に現れた幼い少女が主人公である。
――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され……すべてが大きく変わるだろう。そして……
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない――
出会うはずのない者たちが出揃うとき……その先に待ち受けるものは?
最後に待つのは幸せか、残酷な運命か――
そして次第に明らかになる彼女の正体とは……?
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!
心太黒蜜きな粉味
ファンタジー
※完結しました。感想をいただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。
これは、今まで暮らしていた世界とはかなり異なる世界に移住することになった僕の話である。
ようやく再就職できた会社をクビになった僕は、不気味な影に取り憑かれ、異世界へと運ばれる。
気がつくと、空を飛んで、口から火を吐いていた!
これは?ドラゴン?
僕はドラゴンだったのか?!
自分がドラゴンの先祖返りであると知った僕は、超絶美少女の王様に「もうヒトではないからな!異世界に移住するしかない!」と告げられる。
しかも、この世界では衣食住が保障されていて、お金や結婚、戦争も無いというのだ。なんて良い世界なんだ!と思ったのに、大いなる呪いがあるって?
この世界のちょっと特殊なルールを学びながら、僕は呪いを解くため7つの国を巡ることになる。
※派手なバトルやグロい表現はありません。
※25話から1話2000文字程度で基本毎日更新しています。
※なろうでも公開しています。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる